庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

国民の意思を無視した政策にこだわり、怠慢を決め込む政府。

2013-05-03 | バイオ燃料・バイオマス
日本の長期の国創りにおいて、「経済の安定的な成長」は不可欠の課題である。
短期的には、原発の安全性を確実にするために「原発関連に追加投資」が必要になるが、それも全原発ではなく4分の1以内に抑えるべきである。
さらに、再生可能エネルギーへの投資促進によって、発電コストの低減を図ることも優先すべきで、この費用も電力代に上乗せされて負担が必要になる。
だが、高い電力費の負担があると、足かせになって経済に悪影響が及んでくる。
そこで、政府と電力会社は、「石炭火力発電の増設」に踏み込もうとしている。

安倍政権は「経済成長戦略」を最重要視するとしているが、その方向も軸足も定まらない迷走状態に陥り、【口先だけの政策の乱発】に終始している。
電力費が高騰する原因を、国民が『原発の再稼働を拒否』していることや、『石炭火力発電の増設を認めない』論調のせいに責任を転嫁している。

石炭火力発電の『発電量当たりの[CO2]排出量』を大幅に抑制する技術手段は、現時点でも実現しているのに、知らないふりをして逃げている。
それは、石炭燃料に「バイオマス由来の燃料」を混合して、石炭燃料の割合を少なくして燃焼させる「混焼発電の技術」だ。

現在でも、一部の電力会社は、「カナダ製の木質ペレット」を輸入して、石炭火力発電の燃料に混合して発電を実施している。
ただし、「木質ペレット」では、石炭にくらべて発熱量が下がるために、混合出来る比率は5%程度に抑える必要がある。
これを木質ペレットではなく、発熱量の高い『木炭、または、バイオ炭』にして混合すれば、混合比率を30~40%程度に高めても、発電効率に支障ない燃焼が可能で、『発電量当たりの[CO2]排出量』は大幅に抑制される効果がある。しかし電力会社は、この様な『バイオ炭の混焼』には後ろ向きである。

その理由は、現段階では「木炭の生産コスト」が、輸入炭(主としてオーストラリア産)の価格の2倍以上になってしまうからである。
それ故に、国内には林地残材などの【未利用木質材が大量に放置】されていても、木炭に加工しての売り先が少なく、林業の停滞を引き起こしているのだ。

しかし、石炭火力発電の燃料費は4円/kWh.と廉価であり、これに30~40%程度の木炭を混合しても、混焼発電の燃料費は7~8円/kWh.程度で、石油火力発電の16円/kWh.よりも大幅に安いのだ。
中央政府は、この事実を知っていても「混焼発電」には踏み込まない。理由は?