庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

成長戦略に欠かせない産業構造の変革を最優先せよ。

2013-06-30 | 経済問題
日本経済の再活性化において歴代の自民党政権は、旧時代産業の大企業を優遇する政策ばかりを重視してきた。
大企業が取り組む産業は、大量生産によって効率のよい生産システムと技術で、商品の価値を維持したままで、より安価に生産できる事業が有利である。
1990年代の初期までは、この様な「生産効率のアップ」がそのまま価格競争力の優位を引き出して、国内市場はもとより、海外への輸出競争力においても強い産業として発展し、日本経済を支えてきたのである。

ところが、国内市場の伸びの鈍化とともに、「今までと同じ価値の商品」では普及が伸びなくなり、輸出市場に重点を置く「産業構造」になってきた。
この段階において、もう一つの流れが活発になり、海外市場の規模が拡大した時点で、「生産自体を市場が伸びる新興国に移す」動きが本格化してきた。
同時に、日本以外の国の経済停滞によって、日本の為替レートが「円高に向かう」潮流が出来つつあった。
海外市場の伸びと円高により、日本国内での「製造原価を抑える為の賃金抑制」が、生き残り策の最重要な対策であると、民間企業の流れは定着してしまった。

大企業主導の産業界は、正社員の給料の削減を最大の経営課題にし、それ以上に人件費を下げる必要があると、非正規社員の雇用比率を無制限に拡大した。
それは、結局は国内市場での購買力を制限なく引き下げることにつながった。
すべての大企業がこれに同調して、【国内需要の慢性的な不足を招き、デフレ経済の縮小主義】に陥ったのである。

一部の識者が指摘した様な、「高付加価値商品」への革新を果たすコトに成功した民間企業だけが、従来の様な高賃金を維持できる構造なのである。
日本の大部分の企業が、この様な『高付加価値型創出事業』へ転換できる政策が、今一番重要視される成長戦略の要になるのだ。

日本の大企業は、今や海外市場の拡大に企業の総力をあげる時代になっている。
国内での『高付加価値商品の創造』よりも、「海外展開の拡大」の方が「成功の確率が高い」から、経営者としては安易な方を選ぶのは、当然の判断である。
それを理解できな【中央官僚と自民党政治家】は、法人税減税や海外事業拡大策の【金融支援】への優遇に「国民の税金を投入」するコトしか頭にない。

成長戦略の要を『高付加価値の創出』に頭を切り替えて、その戦略に沿う事業を重点的に育成する「産業構造の転換」だけが、日本の生きる道である。

第三の矢の民間投資を喚起する成長戦略は早くも看板倒れ。

2013-06-29 | 快適エネルギー社会問題
先の衆議院選挙の自民党の公約では、エネルギー政策の見直しをして、「10年以内に電源構成のベストミックス」を確立する、としていた。
その中で、風力、太陽光、地熱、バイオマスなどの「再生可能エネルギー」の供給を引き上げるとして国民に約束していた。
また、電気料金を決める現行の総括原価方式は見直しも含めて検討し、「電力システム改革」(広域系統運用の拡大・小売参入の全面自由化・発送電分離)を断行すると、今回の参議院選公約で、踏み込んだ。
この電力改革が、再生可能エネルギーの普及拡大を後押しの役割を果たし、代替電力の民間参入によって電力料金の抑制ができる狙いだ。

ところが、現実の政策実施においては、国会会期末の泥仕合によって、『発電・送電の分離制度』の法案の成立を、廃案にして葬る事態にしてしまった。
選挙公約を国民との重要な約束との認識が薄く、自民党内部に居座っている電力族の抵抗によって、早くもトン座するテイタラクである。
衆議院選の公約の「再生可能エネルギーの供給力引き上げ」は、半年もしないうちになし崩しにウヤムヤにして、参議院選の公約からは引っ込めてしまった。
これも、旧電力族の横やりに屈して、国民全体の要求をどこかに放り投げてしまった不誠実の現れである。

この中央政府の迷走状態に陥ると、せっかくの各地域における「再生可能エネルギーの投資機運」が、完全にブレーキを架けられる状況になる。
各地で、耕作放棄地や遊休の造成空地を利用して、太陽光発電の設置計画が具体化しているのに、電力会社は送電線の余力の不足を理由にして、太陽光発電の電力の買い取りを拒否する。

風力発電の適地の「東北電力管内」では、他の電力管内への送電線網の上限があることを理由に、民間の風力発電設置の計画を受け入れない事態である。

四国電力管内では、太平洋の風力発電適地があるのに、余剰になった電力を中国地方に送電する送電線網の能力が、不足するとの理由で計画を断っていた。
四国電力は、伊方1号機・2号機(56.6万KW)、3号機(89万KW)の3基で200万KWの原発の発電が停止したままでいる。

それなのに、風力発電の設置容量は、60万KWに制限をしているので、不足している電力は、輸入石油の発電コストの高い火力発電に依存し、電力料金の値上げを申請する有様である。
これも安倍内閣の失政の悪影響が波及するのだ。

結果がすべての安倍内閣は、エネルギー政策無能者集団だ。

2013-06-28 | 経済問題
安倍政権のうたい文句は、「政治は結果がすべてだ。先送りの決められない体質(民主党政治)とはおさらばだ!」である。
ところが、アベノミクスと呼ばれる「超金融緩和による円安誘導」だけは、株式市場の投機家にチャンスを与えて、活況を呈して乱高下効果をうみだした。
おかげで、その恩恵にあずかれる一部の財産家と輸出が主力の大企業だけには、おカネが回る様になった。
景気は、気の持ちようも影響するので、おこぼれにあずかれる様な気分になった人たちもアチコチで現れ、気分だけは不景気から抜す結果を産んでいる。

しかし、それ以外の政策は全く「結果が出せない」状況で、すでに半年以上も過ぎている。
国土強靭化のうたい文句で、「大量の国債だよりのバラマキ公共投資」は、一部の土建族を好況気分にさせているが、地域の恩恵にはほとんど良い影響がない。
その反面の結果として、長期金利が上昇しだして、慌てて財政再建の具体策を打ち出す必要に迫られて、泥縄的に参院選挙の公約に押し込んでいる。
口約束だけの、結果が期待できない「カラ手形」となるのは目に見えている。
さらに、成長戦略の打ち出し方は、迷走状態とシカ言い様がない。

最大の成長分野は、エネルギー政策の大転換による「民間投資の活発化」に頼るが、安倍内閣は、すべて先送りと先祖がえりの消極的姿勢に終始している。
代替電力の民間資本活用を狙う【電力改革の先兵。発電送電の分離制度】に対しては、経済産業省は長年の懸案を前に進めようとして、第一弾の法案をまとめて国会に提出したが、土壇場で、守旧派電力族の策謀によって廃案となった。
政治は結果がすべてであるから、これは安倍内閣の失政に間違いない。
これで、民間の投資意欲に水を注いで、成長戦略の脆弱さを露呈した。

原発依存度を下げると口では言いながら、【他者責任の姿勢】に終始している。
核燃料再処理による高速増殖炉の成立は全く絶望的であるのにしっかりした方針を何も出さず、ズルズルと無駄な研究費を「もんじゅ」につぎ込んでいる。
核燃料の再処理路線も、全く経済性が成り立たないと判っていても、撤退の決断もしないで行き倒れを待って、税金のムダ使いを放置している様だ。
そのあおりで、海外から不審感をもたれ、最悪のタイミングで「MOX燃料」の引き取りを、フランスから強要された。

すべて受け身の先送り姿勢が原因で、何も決められない政治に落ち込んでいる。

公益性を感じない様な電力会社を地元社会は受け入れない。

2013-06-27 | 核エネルギー・原子力問題
日本の電力会社の経営陣の態度は、「公益的な事業を独占的に委任された責任」を、全く感じさせない【官僚主義的な組織人】の冷酷さを持っている。
日本の国策として【原発神話のウソに塗り固められた論理】で、住民軽視の【原発の運転管理】を実施してきた誤りを、真摯に反省する人間性を持ち合わせていない様である。
何よりも、電力会社の組織の存続を重要として、その組織の論理を無理やりに国民、住民に押し付ける【民主主義社会における企業とは思えない】傲慢さだ。

特に関西電力の経営陣の無神経さは、「安全性に対する真剣な取り組み」を任されたとは思えない。
脱原発依存の『大多数の国民の要求』を全く意に介さない様な、原発事故がなかったかの様に「プルサーマル燃料による再稼働」を、以前の計画どうりに進めようとする。
従来よりも格段に危険性が増えている【高濃度のMOX燃料】を、高浜原発3号機・4号機(PWR。87万KW、1985年稼働)に搬入して、近隣の地域社会の不安など、意に介さないで再稼働の準備を進めている。

日本の原子力発電政策は、完全に行き詰まっていることは、誰の目にも明らかであるのに、当面の電力会社としての存続だけしか考えないで、その場しのぎ的な経営ばかりを続けている。
中央政府は、原発政策を進めてきた自民党政治家の無責任体制によって、民主党が始めた「原子力規制委員会」の新安全基準の審査に「すべての責任を転嫁」して逃げるばかりである。
当面の参議院選挙をしのぐことだけが、安倍自民党政権の目先の仕事なのだ。
曰く、「新安全基準に適合した原発の再稼働について、地元自治体の理解が得られるよう努力する。」

地元自治体とはどの範囲を想定するのか、何も触れない上に、理解を得られる努力を、どの様にするのかも説明はない。
再稼働を「電力の値上げを抑制することを条件とする」などの、地元社会に説明をできる「再稼働の必要性とメリット」を、説明できる努力を中央政府として責任を持って当たるにか、怪しいものである。
北海道電力・四国電力・九州電力は、再稼働を地元に了解してもらう条件に、電力料金の据え置きを約束できるのか、国が責任をもって電力会社を監督せよ!

地域社会は原発依存の経済体質から離脱する再生経済を。

2013-06-26 | 核エネルギー・原子力問題
地方社会の経済を活性化させる主導権は、言うまでもなく地域の住民、自治体の自立的な意思と判断による。
決して中央政府や官僚の思惑に委ねることなく、将来の展望を地域自らが描いて、その方向に沿った自発的な選択で決めて行くべきなのである。
エネルギー問題における原発依存度をどの様に減らして、脱原発の地域経済を創り上げるのも、一重に地域住民の選択と決断による。

この面で四国の原発再稼働は、伊方原発3号機を「プルサーマル運転ではない、最小のリクスのもとに」、四国電力が電力料金の値上げを抑制する約束の下に、
四国全体の将来性を考えて、合意すべきであろう。
同様に他の地域でも、中央政府の都合や政治判断は排除して、地域社会の将来を最優先しての選択と合意を重視するべきだ。
地域住民と電力会社の信頼関係を取り戻すコトが優先されて、初めて地域の将来エネルギーの自立のあり方が、合意できる形で構築される。

九州電力の場合を見てみると、佐賀県の玄海原発は1号機が38年経過しているので、廃炉にする対象にして、廃炉事業の検討を開始するのがよい。
3号機、4号機(PWR。118万KW)は、再稼働を目論んでいるが、九州電力が2011年に【再稼働問題へのヤラセメールなどの不当介入】を行ったことで、九州全体の住民との信頼関係を大きく損ねてしまった。
これを修復することは容易ではなく、その面もあって、当面の再稼働予定原発は、鹿児島県川内原発1号機、2号機(PWR。89万KW)を対象にしている。
鹿児島県の住民と、九州全体の自治体との信頼を作り直すことが、優先される。

それには、再稼働を住民が認める代償に、電力料金の値上げ(6.23%)を、止めることができる、と約束する。
九州電力は、経営努力の効果もあって、10電力体制の中でも、一番低廉な電力価格で供給できる能力をもっている。
九州の住民にこの実績を示して理解を得られ、日本で一番、電力の使いやすい地域であることを、九州全体のアピールポイントに出来る。

さらに将来的には、地熱発電の普及促進や、バイオマス発電の適地を開発して、豊富な自前の電力供給力を地域の特徴としていけば、その有利さを認めた企業の進出など、経済活性化の基盤とすることができる。
早期に、中央政府の言いなりなる様なプルサーマル発電原発から離脱できる。

地方分権の試金石となる原発再稼働問題を四国電力に問う。

2013-06-25 | 核エネルギー・原子力問題
地方分権が長期的な国策となる方向だが、エネルギー政策においては、どの程度の権限が地方政府に委ねられるか、今後の動きが注目される。
原発の再稼働問題については、地方自治体や住民の意見を最大限に尊重すれば、東京電力、中部電力、北陸電力、中国電力は、再稼働はゼロにすべきであろう。
関西電力については、現在は2基稼働しているが、今後は福井県だけでなく、滋賀県、京都府など、近隣県の意向が大きく影響する筈である。
大阪府、大阪市も今後は電力供給余力を十分に検討の上で、2基だけでも再稼働させるコトを容認するかが問われる。

四国電力の今後については、原発建設の歴史を振り返っておく必要がある。
愛媛県の最西端部の伊方町に、原発の建設計画が起きた時に、1973年に住民たちが「原発の設置許可処分の取り消し」を請求して訴訟を起こした。
当時の最先端の研究者グループ(京都大学原子炉実験所)が全面支援して、原発の安全性を巡る大科学論争を展開した。
しかし途中で、国が不利な状況になると圧力がかかり、裁判長の交代などの、不自然な介入があって、裁判は国側の勝訴となり、地域を支配した経緯がある。
伊方原発1号機(56.6万KW)は、1977年運転開始し36年近く過ぎている。

四国電力管内では、冬場の電力供給予備率は、6.7%の余力がある。
夏場における供給予備率は、今のところ問題なく乗り切れるので、原発の再稼働を急ぐ必要はない。
問題は、原発停止までの間の期間で原発への依存度が43%に達していて、今はこれがゼロになると、燃料費の負担が大きく膨らんでいることである。
また、原発停止状態でも、維持するためだけで、年間500億円も経費がかかってしまい、四国電力の2013年3月期決算では、428億円の赤字に転落している。
電力料金の値上げを11%で申請されて、現在も審査中である。

原発の新安全基準の適合審査を伊方原発3号機(89万KW、1994年稼働)を先に稼働する計画で準備している。
しかし、この1基を稼働することで、電力料金に値上げを止めることができるか、はっきりしていない。

しかも、伊方3号機では、プルトニウムを混合した燃料で運転する「プルサーマル発電」を、目論んでいるのだ。
住民に安心感を尊重するならば、少なくともプルサーマルは止めるべきだ。

原発再稼働の手続きは住民の立場と自治体の意思を尊重。

2013-06-24 | 核エネルギー・原子力問題
日本の原発を再稼働するに当たって、原子力規制庁の新安全基準に適合することは必須として、その上で、地元の住民・自治体が再稼働の必要性を切実に感じて容認することが不可欠である。
その面からみて、もっとも妥当性のある原発は、北海道電力の泊原発3号機(91.2万KW)であろう。
福島第一原発で事故を起こしたBWR型(沸騰水型炉)ではなく、PWR型(加圧水型炉)であり、建設時期も最新の2009年12月である。
日本に現存する原発では、専門家から見ても、一番リスクが少ない設備である。

北海道電力は、冬場に電力消費量のピークを迎える。
2014年の冬場を乗り越えるには、現存の火力発電設備では余裕率が少なく、万が一の火力発電所の故障が発生すると、停電のリスクもある。
北海道住民の安心感を得るためにも、泊原発の再稼働を認める方が、総合的に見ても妥当性が高い。
北電は原発への安全対策費は約900億円の追加投資が必要だが、この費用は電力料金の値上げによって、賄う計画になっている。
しかし、原発を再稼働すれば、火力発電に必要な化石燃料の費用が減ることで、電力料金の値上げをせずに、経営努力を最大限に実行すれば乗り切れるだろう。

もし、北海道の住民、自治体が、再稼働を認めない場合には、北海道電力からは【電力料金の値上げ10.2%申請】されているので、住民負担が増えてしまう。
事故のリスクが最も低く、電力需給の余裕率を保持して、電力料金の値上げを抑制するには、「泊原発3号機」を再稼働させるのが、もっとも合理的な判断であろう。

しかし、原子力推進を無暗に進めてきた【原子力族の利権を守る姿勢】が、少しでも現れる事態になったら、合理的な再稼働の容認も「不信感の再増殖」によって、迷走し始める恐れがある。

原発事故の発生原因をもう一度振り返れば、最大の問題は【原子力族の利権優先体質】が、安全性の軽視とズサンナ形式主義に陥る、諸悪の根源であった。
北海道の電力の問題は、北海道の住民の意思を最大限に尊重して、政治家や、財界のメンバーが、口出しを一切すべきではない。

地方分権、地域主権の真髄を踏まえて、誠実な対応と手続きによって、地域のエネルギー問題を乗り越えて行く正念場になる。

原発再稼働を急ぐ理由は電力料金の値上げ回避になるのか?

2013-06-23 | 核エネルギー・原子力問題
福島原発の炉心溶融の安定化がまだ不十分な段階で、原子力規制庁の新安全基準が施行されたので、すぐに原発の再稼働申請をする電力会社の都合は、赤字転落の現状から脱したい為である。
再稼働を急ぐ理由には、原発を停止したままだと、電力の発電コストがかさむので、「電気料金の値上げ」をせざるを得ない状況で、利用者に負担がかかるから一日でも早く値上げ回避の再稼働をすると、必要性をアピールしている。
しかし、何よりも安全性と地元の理解が優先するので、東電、中部電力、関西電力は、現状の原発停止状態(関西電力は2基稼働のみ)を続けるしかない。

他の電力会社の状況を見ると、中国電力は、島根原発1号機(46万KW)、2号機(82万KW)は停止していて、2013年3月期の純損益は、219億円であった。
赤字分の経営合理化を早急に図れば、電力料金の値上げなしで済む範囲である。
津波対策が必要な上に、BWR型(沸騰水型)の原発には、「フィルター付き排気(ベント)設備」が義務付けられているので、再稼働の為の改修費用が1000億円以上もかかる。
再稼働は長期間かかるので、経営努力によって電気料金値上げを抑制すべきだ。

北陸電力の志賀原発1号機(54万KW)は、機器の不具合で体詩したままであり、2号機(135.8万KW)は、2006年に金沢地裁で地震事故の危険性で運転差し止めの判決を受けた。
その後の高裁、最高裁で、逆転されて運転可とされたが、今度は活断層の疑いが浮上している。
ABWR型(沸騰水型)であるので、「フィルター付き排気(ベント)設備」の設置が必要であり、再稼働の申請は見送る模様である。
2013年3月期の純損益も9800万円の黒字であるから、原発を停止したままでも電力料金の値上げする必要はない。

この様に「中国電力」「北陸電力」は、原発を停止したままでも、電力料金の値上げを消費者に強いる必要はない。
むしろ3年以上も先になる再稼働に向けて、地域との信頼関係を作り直すことと、電力企業としての経営力を強化するコトを重点にすべきなのである。

今年度の再稼働の可否を検討する対象は、北海道電力、四国電力、九州電力のPWR型(加圧水型炉)の6基を、地元自治体が「再稼働の容認」の同意するかどうかが、問われて来るのである。(続)

安倍内閣の前ノメリ原発再稼働表明は中身が全く曖昧だ。

2013-06-22 | 核エネルギー・原子力問題
安倍自民党の参議院選挙の公約には、原子力規制委員会が「電力会社の申請により安全性が適合」とされた原発は、再稼働に向けて地元自治体の理解が得られる様最大限の努力をする、と謳っている。
何のために、国民の不安感がぬぐえない段階で、あえて再稼働を急ぐのかは、きちんとした説明はない。
日本を安全・安心な国にするとして、財政にゆとりもない段階で、あえて【国土強靭化基本法】を成立させて、莫大な税金を使うと宣言しながら、もっとも不安の大きい原発を急いで再稼働させる神経は、クルっているとしか思えない。

問題の多い「関西電力管内」には、13基の原発があり、11基は停止中である。
そのうちの美浜原発1,2号機は、既に40年以上も経過している老朽機である。
高浜原発1、2号機も38年以上経過して後2年で、想定寿命の40年を超える。
さらに、日本原電の敦賀原発1,2号機の直下には、活断層があることが判明して、廃炉にする可能性が大きくなっている。
関西電力の大飯原発の敷地内にも活断層の疑いが浮上して、再稼働の是非が疑問を持たれる状況である。

この様な安全性に疑問が残るママの原発には、「再稼働の申請があっても、慎重に調査を重ねる」必要があるので、3年以上も先に延びるであろう。
再稼働の審査に合格できる可能性のある原発は、関西電力管内では、高浜3号機、4号機の2基のみに限定される。
現在は、民主党の野田政権が暫定安全基準で、駆け込み再稼働した大飯原発の2基だけであるが、これは9月の定期検査で停止して、正式の安全審査を合格しなければ再稼働はできない。
結局、関西電力管内では、現在と同じ電源構成の電力で、向こう3年間をしのぐコトになるだろう。

その上に原発の周辺に地元自治体において理解が得られた場合に、稼働が可能になるとの説明だが、地元自治体とは、どの範囲になるかは明確にしていない。
関西電力の高浜原発の場合は、福井県のほかに、滋賀県、京都府が入り、大阪府も地元自治体に含まれることが問題になっている。

大阪府と大阪市は、野田政権時代に関西電力に要求した再稼働の条件に、100km圏内の知事と安全協定結ぶことが、必要であるとした。
この場合は、兵庫県、奈良県、三重県、岐阜県まで、同意を得る地元である。

原発の再稼働を急ぐと言う安倍政権は無鉄砲極まる。 

2013-06-21 | 核エネルギー・原子力問題
安倍政権の原発方針は、エネルギーの長期政策は何も決めていない暗闇の中だ。
安全と言いくるめられた自民党政治家達は、民主党が決めた「原子力規制委員会」の「原子力安全規制の改訂」に乗るだけで、何も判断をしようとしない。
改訂された安全基準に合格したら、余計な評価を加えずに、とにかく地元の同意を得るためにポーズだけはとる。
地元が同意しなければ、電力会社の信用がないからだ、と逃げ口上を用意してあるから、政治家の責任にはならない仕組みができている。

東京電力の福島県内の原発は、福島第一原発の4基は爆発でなくなり、残り2基も廃炉以外の選択はない。
福島第二原発の4基も、福島県と立地自治体の意向は、廃炉すべきと決定しているので、再稼働の審査を受ける意味がない。

それでも、東電が再稼働を目指して審査に適合するために追加投資をした場合は、東京電力の必要経費を認められて、電気料金の上乗せによって、経費を回収できるから、経営者の責任にはならない。
ムダになると判っていても、電力会社は審査に合格する様に動くしか、選択の余地がないのである。

東京電力の新潟県の柏崎市刈羽根原発の4基は、新潟中越地震によって、想定に2倍以上の揺れが発生したために、耐震補強の必要性に迫られた。
2007年からすでに6年も経っているのに3基の補強工事の目途は立っていない。
残りの4基も、今回の改訂された安全基準を満たすには、大きな投資が迫られる上に、新潟県の地元自治体は、福島原発の事故原因の究明もできていない段階では、再稼働の容認はあり得ないとしている。
さらに、近隣の地盤に活断層の疑いが残っているので、この面からも「原子力規制委員会」の審査は、一番、後回しにする方針である。

中部電力の浜岡原発は、2011年5月の停止要請を受けて、停止作業中に最新鋭の5号機に破損事故が発生した。
この事故の内容は、あまり報道されていないが、海水が原子炉内に400トンも流入する前代未聞の破損事故であったが、旧組織の「原子力安全・保安院」は、中部電力の中間方向を鵜呑みに承認するだけの、無責任さであった。
再稼働の可否や機器の安全性確認には、まだ何も決められない未知の状況だ。

東京電力と中部電力は、原発再稼働は、一基も出来ない状況にある。(続)

原発の再稼働を急ぐ安倍政権の支持率は急落が必然だ。

2013-06-20 | 核エネルギー・原子力問題
安倍政権は日本の成長戦略にとって、電力の安定供給と低価格の実現が必要だとして、原子力発電の再稼働を目論んでいる。
民主党政権時代に発足した「原子力規制委員会」が、福島原発大事故を経て【安全規制基準の見直し】を進めて、来月には施行されるので、審査に合格した原発は再稼働させることに力を注ぐ、としている。
しかし、規制基準の見直しは、世界的に見てもまだまだ、大甘と言える点が数多く見受けられる上に、福島原発の事故原因が未だに解明されないことには、責任ある言及は一切なしで逃げ回っている。

なぜ、原発の再稼働を急ぐのかと見ると、「成長戦略」の実現のためには、電力料金がやすくなるコトを前提としているからだ。
ところが原発の再稼働前の段階で、火力発電を総動員して電力供給をしているのに、経済の活性化の為には、円安に誘導するのが良いと言ってしまった。
円安になれば、輸入化石燃料の価格が大幅に上がり、電力料金が上がる影響が明確であるにも拘らず、カン違いをしてデフレ脱却が優先するとしていた。
つまり、経済の為にはまず「円安に誘導」して電力価格を上げ、その後に「原発再稼働」に突っ走って電力価格を下げる、というアベコベ論法だ。

この方策が不可思議であるのに、安倍政権の面々には理屈も何も通用しない。
超金融緩和によって金利の低下を誘導するつもりが、反対に長期金利が上がってしまっても、こんな筈ではないとクビを傾げるばかりの日銀の総裁が、開きなおっているのと同様の、ボケ気味の石頭の様である。
それでは、石頭にも通じる様に、もう一度「原発を再稼働する理屈」は、どこがクルっているのか、丁寧におさらいをして反省を促すことにしよう。

原発の再稼働を急いだ「野田政権」は、大飯原発を安全性の確認を怠り「安全性は確保されている」からと容認して、総選挙で大敗をして退陣した。
電力不足を起こす危険性があるから、安全確認をハショッタのだが、今では電力不足は再稼働を急ぎたい電力会社の【下心のあるデータ】に影響されたのだ。
安倍内閣のもとでの、原発再稼働を急ぐのは、電力コストが下がるから、「経済成長の為には、一日でも早い方が良い」、との宣伝に影響されている。

だが、原子力発電が電力コストを下げることなど、今や幻想の段階に入っていることに、気がつかない。
「守旧派経済人」がボケ石頭のままで、安倍政権をセッツイテいるからである。(続)

中央政府が新産業の育成に拘わらない制度を目指す。

2013-06-19 | 国創り政治問題
地域社会が自分たちの将来を選ぶことが出来る制度を、これからの日本で構築することが、日本全体の活性化につながって行く。
今は各地域で起こす新産業への支援策を、中央の官庁が予算と権限を握っているので、中央政権の方針がブレテしまうと、継続的な支援策が途絶えてしまう。
特に、中央官庁や政治家に要求する力の強い「守旧型産業界」の意見がとうり易いので、どうしても地域の「革新的な新事業」への育成政策は、後回しになってしまうのだ。

それでも、地域の中堅企業や研究組織では、少ない予算を工夫して「失敗を恐れずに新技術や新事業に挑戦」をしている。
数少ない挑戦課題の中から、やっと芽を吹き出して花が咲きそうになってから、中央官庁が育成に乗り出す状況だ。
つまり、中央にいる様な政治家や官僚は、成功しそうな状況が出来てからでなければ、乗り出してこないのである。
その様な革新事業の芽が出るまでは、地方政府に回る【細々とした交付金】の範囲内で、厳しい財政制約の中でしか支援が出来ない現状だ。

それならば、新産業や新技術の育成の権限を、地方政府に半分以上を譲り渡すべきなのである。
中央政府と官庁が所管する領域は、国家戦略目標にかかわる長期的な革新課題に絞り込むのが適切な政策である。
例えば、『海洋研究と開発』の様な国家百年の体系に沿って、世界の最先端の研究と海洋開発の先進技術に、継続的に進める必要のある分野を「戦略的な長期計画」に沿って、継続できる体制で支援をするコトが必須である。

時の中央政府の選挙目当てに走りがちな、マスメディア受けする「成長戦略」による「新事業育成策」などは、全く役に立たない非効率な育成に終わるのだ。

地方政府の任された「地域に根付いた新事業育成策」は、政治の動きに左右されるコトが少なく、支援組織の官僚も腰を据えた育成政策に専念できる。
二年ごとに部署が変わり、違う分野の担当領域をカバーしなければならない中央官庁の組織の中では、いかに優秀な官僚でも「腰を据えた育成策」専念できる環境にはない。

新産業にかかわる部門は、国家目標レベル以外は、すべて地方政府の権限に回して、必要な予算も『地方分権の大義』に沿って、移譲すべきなのである。

失敗の可能性が高い革新事業分野には政府資金は回らない。

2013-06-18 | 経済問題
大企業の経営陣が事業の拡大や、新分野への進出に投資をする場合、長期的な市場の成長を十分に検討の上に決断をする。
アベノミクスの円安誘導などの、一時的な為替レートで判断することはない。
円高が進んだから輸出向けに商品に不利になることは、一時的にはあるだろうが、それだから生産を海外に移すなどの軽率な経営判断をしている様では、もともとの経営戦略が成り立っていない証拠でもある。

ところが、自民党の政治家や中央官僚たちは、国内への投資を促進させるために、投資減税を早急に導入することにした。
「アベノミクスの第三の矢」の成長戦略が、株式市場からの反応で失望されたので、慌てて追加の成長戦略を打ち出す必要が出たからである。
しかし、今から投資減税があるから設備の新規投資をしようという「製造業の企業経営陣」は、先行きの経営戦略が成り立っていない様な、老朽産業である。
市場が拡大している成長産業は、輸出先の経済動向を見ながら長期的な企業独自の経営戦略によって、最適な拠点と投資時期を判断しているのである。

ドサクサ紛れに導入する「投資減税のエサ」につられて、国内投資を決断する様な企業は、本来は退場を迫られる様な衰退事業を抱えていて、苦し紛れの国内投資を減税頼りに実施する様なレベルの低い経営である。
本来は、成長の初期の段階の「革新的な新事業分野」の研究・開発投資を支援することが、おカネの使い方としては優れている。
しかし、革新的な事業は、成功の確率は低い段階にあるので、助成金の使い先としては、失敗する可能性が高い。
官僚が「支援先を選択する権限」を持っているので、できる限り失敗のリスクの少ない、「革新度の低いオールド事業の手直し」の分野に向いてしまう。

中央官僚の世界では失敗は許されないので、現状の改良程度の技術や老朽産業の支援に限定されてしまう。
それでは、研究開発投資を活発にする支援は、どうすれば良いのか、日本の現状からだけでなく、将来に向けて判断する必要がある。

国の将来像を描くには、地域社会が力をつけて、独自の産業育成を自発的に継続することが期待される。
そのためには、まず、新事業育成の地域戦略を策定することから始めて、どの企業の新事業を支援するかは、地方政府に権限を移すことが突破口となる。

中央政府は地域での革新的な取り組みを邪魔しないこと。

2013-06-17 | 国創り政治問題
大企業に有利な制度を維持することは、『創造的な破壊をして、イノベーションを起こす』機会を削ぐことになる。
なぜ、大企業が抱えている事業を、わざわざ破壊してでも、新しい新事業を生み出すことが必要なのか、難しい理屈になるが、20世紀の経済学の集積によって、多くの経済学者に認められている。
資本主義社会の活力は、創造的破壊の上にイノベーションを起こすことが、「社会の経済的活力を維持する」上で必須の若返りを図ることで蘇るのだ。

この原理の説明は、回りくどくなるので別の機会に書くことにするが、新規の事業を絶え間なく生み出して、全体としての活力を保つのである。
あたかも、森林の維持には老木が成長力を失って、衰えはじめて暴風により倒壊した後に、太陽の光が地面にも届くようになると、新しい幼木の成長に効果が出て、その中に勢いのよい若い樹木がスクスクと育ち、その光の空間を埋める様に成長していく。
その状況が森林のあちこちで起きて、全体としての森林を維持しながら、若い樹木の成長力によって、健全な森林環境を持続して行く。

大企業が成長して巨大化した場合に、各所で硬直化した事業や腐敗した組織が生まれて、全体としての活力が停滞することは、よく知られている。
この場合には、企業全体としての収益性の悪化によって、成長を止めるか、最悪は倒産に向けての会社整理に移行する。
大企業の倒産は、大量の失業者や関連会社に悪影響が及ぶので、政府が支援をする場合が多い。
しかし下手に支援をすると、組織の腐敗がそのまま残り、非生産的な事業がそのまま維持されて会社の活力は著しく低下する。

この様な非生産的な企業を残すことは、新事業の活躍する余地が広がる機会を減らし、事業の刷新を邪魔することになる。
日本の長期に渡る「経済成長の不振」には、この様な老朽化して非生産的な大企業を、政府の温存政策によって、事業刷新を邪魔して来た悪影響がある。
「資本主義の原則」によれば、非生産的な状況になった企業は、退場を迫れられて事業撤退をする筈である。

政府の余計な政策が、この新陳代謝を邪魔してきたのが日本停滞の一因である。
各地で芽生えている「革新的な新事業」の為には、ジャマをしないことだ。

既得権企業と中央官僚に担がれた世襲政治家に革新は無理。

2013-06-16 | 国創り政治問題
経済活性化には、民間企業が果敢にイノベーションに取組むことが必須である。
また同時に、地域に根付いた中堅企業や新進気鋭のベンチャー起業家を、地方政府が継続して支援する風土も重要である。
成熟した先進国では、人々は現状の生活を維持することに最大の関心が向き、冒険的でリスクの大きい「未知の分野への関心」が薄れてしまうが、これは経済のレベルを低下させることにつながる。
現状を守ることで、維持はできなくなるのが「資本主義社会の必然」なのだ。

20世紀の経済学では、「資本主義体制が最も適切」だとされている。
全体主義、社会主義、共産主義は、どれも硬直化を腐敗を生み出して、経済の非効率を蔓延させて、社会は崩壊に向かう。
その点で、「資本主義体制」は、利潤を生み出す必然性によって、絶えず「改革の必要性」に迫られて、硬直化や腐敗した企業は退場を迫られる。
生産性の向上を図ることに成功した企業が生き残る仕組みだから、最終的にはどの企業も利益が出なくなる段階に達する。
ひとつの事業分野や技術の世界で、生産効率が高まって行くと、雇用の機会が減って経済的に停滞や縮小がおきる。


それゆえに、その事業分野を破壊するくらいに、革新的な事業や技術を起こさないと、経済停滞で社会は衰退に向かうのだ。
そこで、経済学者のシュンペーターは、資本主義社会では、「創造的破壊を引き起こす」必要性を提唱した。
経済学での理論として周知だが、どの様にして行けば「絶えず創造的破壊」が起きて、「革新(イノベーション)を生み出せるか」は、答えが出ていない。

「既得権を持った企業や組織」からは、破壊も革新もおきないのは当然である。
自分の権益を損なうような「リスクの大きい革新」に力を注ぐことはない。

中央官僚は、権益維持の集団であり「混乱を招くような革新」は、極力避けることが使命になっている。
政治家がいくら「構造改革」や「規制緩和」を唱えても、抵抗するのが習性になっている集団が、協力する筈がない。
世襲政治家は、自分が引き継いだ権益集団の代弁者であり、革新的なことは避けるのが役割で、小さな改良に限定した政策を小出しにする。

日本の経済構造は、この革新に抵抗する勢力ばかりが、力を持っている状態だ。