北朝鮮の金正恩は、韓国との南北対話の機運を盛り上げて、一時的に強硬路線を封印して対話姿勢に転換した。
微笑み外交の成果をもとに、今度は対アメリカ政策を、「核兵器の放棄を前提」として受け入れ、朝鮮半島の安定化を目指すとした。
この大義名分によって、今までの暴挙のツケを一気に棚上げして、アメリカ大統領との直接対話を申し入れて、トランプは即決した。
北朝鮮とアメリカは、他の国よりも意思決定が大胆で、即決が可能な体制にあり、日本の政策対応はおよびもつかない。
しかも、アメリカとの直接対話を申し入れるのと並行して、中国へ接近を図り、習近平政権はこの機会を逃さずに北京訪問を大歓迎した。
金正恩は、北朝鮮国民に向けての面目を保ち、「核兵器の放棄戦略への転換」の支持を獲得したようだ。
その「核兵器の完全放棄を前提とするアメリに対抗するには、中国の核の傘の庇護に依存する」戦略が妥当である。
中国としても、北朝鮮の消滅や混乱は望まないところで、核の傘を差し出す意欲は十分にある。
あとは、韓国との首脳会談によって、中国の核の傘を承認させておき、アメリカとの直接対話で容認させる。
日本の出る幕は一切ない。