庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

民間企業の体裁をしてきた電力会社はお役所並みの非効率。

2013-05-09 | 経済問題
企業の価値は、「多くの人に雇用の機会を提供し、高い給与で社員を雇用し、働く環境、福利厚生に経費配分」していることだと、前回に提示しました。
大多数の方の賛同は得られると思いますが、異論をはさむ方もいる筈です。
そのとうり、「電力会社の現状は、まさに、企業価値の高い状態」であったのに、原発事故後に大赤字になって、世論からは「社員の給与を引き下げて、贅沢な福利厚生施設は、手放すべきだ」と大きな批判を浴びたではないか。

この批判の原因は、「市場における参入自由の民間企業の業界」と、政府の監督下にある「独占的権益を持った見かけ上の民間企業の業界」の違いにある。

市場の参入が自由な業界では、すべての企業が利用者、消費者のニーズの沿った商品・サービスの提供を競争的に獲得する事業である。
「顧客の満足を得られる様な価格と質の商品・サービス」を提供しない限り、市場競争で脱落する運命にある。
顧客優先のなかでの、企業活動であり社員重視の経営でなければ存続できない。

その一方で、地域独占の電力事業は、競争的な企業の新規参入は許されない。
だから、特権を与えられた電力会社は、監督官庁の言うことだけを聞いていれば、価格は自由に設定できるので、「社員の優遇は、やり放題」になる。

社員の優遇ならば、まだ許容できるが、放漫経営の殿様商売をしていながら、高額の収入を得ている役員以上がゾロゾロとつらなり、役員の経費は使い放題で、その分をすべて電力料金に上乗せできるのは、理不尽と言える。
原発大事故の影響で、この様な理不尽な電力料金に世論の不満は沸騰して、ついに、電力事業の独占体質の改革に向けた動きを止められなくなった。
自民党政府もやむなく、[2020年に向けての発電・送電の分離制度]に転換することで、発電事業分野は民間企業の参入自由となる。
これで発電事業の経営力の競争が進み、優れた経営をした企業が選抜される。

この状況に転換したあとで、「社員の給与を高くし、福利厚生に経費配分を厚く」することが、企業価値の評価になる。

公益的な事業分野では、独占的に一企業に権益を与えるのは、そもそも、間違いのもとである。
鉄道事業においても、国鉄体制の時代は独占的な放漫経営によって、大赤字と事故続発のダメ企業に停滞していた。
それが分割民営化され、民間鉄道との競争路線もあって殿様商売を卒業できた。