庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経済成長が基本とし成長の中身の将来性を見定めよう。

2015-10-31 | 快適エネルギー社会問題

日本の活性化を図るには、「GDP成長目標」を掲げるのも、判り易い数値目標として看板には良いかも知れない。

しかし、経済成長の中身に目を向けて、活性化に貢献する成長と、そうでないGDP数値の増加だけになってしまうのを、区別しなければならない。

その典型が、先に説明した「燃料電池自動車」の育成策である。

この分野のGDP増加は、富裕層だけへのお金の還元であって、社会全体への波及効果は全くない。

むしろ、【水素ステーション】の様な負のインフラの拡大で負担が増えてしまう。

 

経済成長に貢献し、地域社会の経済活性化に波及するのは、『再生可能電力事業』であることは、言うまでもない。

太陽光発電は一時的な投資ではあるが、20年以上もの間に発電を続けて、最終的には地域電力の担い手として、貢献し続ける。

もちろん、適切な保守、管理、修理などの仕事が地元に残り、雇用機会を確保しながら、電力を供給し続ける。

従来の様に石油や天然ガスを輸入し続けるのでは、貴重な外貨と雇用の機会を海外に持ち出し続けてしまう愚策の継続になる。

 

電力以外もエネルギー分野でも、新技術の開発を国策として継続的に支援をすれば、日本の将来を担える新産業に発展できる分野は、数多く存在する。

そのひとつに、このブログでも説明してきた『バイオマス由来の燃料』の開発であり、具体的には、『ジェット燃料の脱石油化』である。

詳細は10月13日~22日のかけてのブログで、十分に説明しているので、省略するとして、要点は、「国内産のバイオマス原料でのジェット燃料生産」である。

今までは、石油の様な燃料は、逆立ちしても日本国内では生産できないが、「バイオマスの栽培」による「燃料生産の技術」は、すでに研究が進んでいる。

 

これからの段階は、市場競争原理に任せているだけでは、世界の中での開発競争に後れをとり、事業化の先陣は、欧米企業に独占される懸念がある。

まずは、日本国内での気候条件や地理的条件に適したバイオマスで、どこよりも先に栽培技術、培養技術、燃料製造技術で、先頭を走る必要がある。

『二番手では、ダメなんですか』という{誰かの妄言}では。ダメなんです!

一番に始めて、見えない段階から苦労する「研究開発力」と、リスクを十分に検討して、[大胆に投資する起業家]を選抜するのが、国力の基盤になる。(続)


成長戦略の中身を真剣に見直すことで恩恵が広がる。

2015-10-30 | 快適エネルギー社会問題

アベノミクスの成長戦略には、『再生可能エネルギーの最大限の導入促進』が掲げられていた筈である。

しかし、想定以上に太陽光発電の設置が進んだ電力会社の管内では、需要が少ない時間帯に、太陽光発電の発電量が最大になると、供給過剰になる。

そこで電力会社は、せっかく設置しても「太陽光発電」の送電線への接続条件に、無制限に発電停止の指令ができる様にしてしまった。

太陽光発電を計画する事業者は、設置した設備の償却費用を適正にするには、フル発電が必要になるのに、発電制限が課せられては、採算性が悪化する。

 

電力会社側の言い分を、優先してしまったので、【太陽光発電の設置機運】は、一気に冷え込んで、経済全体への恩恵は縮小してしまった。

経済活性化になる「再生可能電力の設備投資」に、ブレーキをかけてしまう様な愚かな電力政策が、経済停滞の原因になり、GDPはマイナス成長になる。

電力事業経営の不備を放置して、既得権の電力族産業を擁護している安倍政権には、「GDP600兆円目標」を言い出せる資格はない。

先のブログで提言した様に、『電気自動車の充電に優遇の枠』を設けて、余剰になる時間帯の再生可能電力を、最優先で活用するべきであろう。

 

日本の経済の再活性化には、新技術の開発促進が不可欠である。

新技術を事業採算性が成り立つまで育成する「新事業環境の優遇策」も、必須の状況になっている。

このどちらが欠けても、将来を担える「新産業の成長」が損なわれてしまう。

再生可能エネルギー産業では、電力関連の技術開発が、「太陽光発電」以外は、経済産業省の愚かな判断によって、出だしの段階で世界から遅れてしまった。

太陽光発電の技術開発は、2000年までは世界の最先端であったが、その後に「新事業環境の優遇策」では、欧州諸国に完全に抜かれて、敗退している。

 

これから育成すべき技術領域では、『洋上風力発電』の分野が、日本ではもっとも重点を置くべき方向である。

また「浮体式洋上風力発電」の技術開発は、はじまったばかりの段階であるから、今こそ、最重点の国策にすれば、今後の50年を支える基幹産業になる。

同様に、日本の優れた技術基盤をベースにした「将来を担える新産業」に育てる分野を、真剣に審査すれば、多くの新産業、新技術の若芽が見つかるだろう。

既存業界の意見ばかりを採りあげる様では、「600兆円」はカラ手形に終わる。


上層部の1割だけが恩恵を受けるより9割の人に恩恵を。

2015-10-29 | 経済問題

安倍内閣の今までの政策の主眼は、富裕層と大企業への恩恵を最大にして、経済活性化のけん引役にすることで、順番に大会社の従業員が潤うことになる。

そして、中堅企業の従業員に広まり、最終的には非正規社員の層にも、「給与アップの効果が広がる」との、トリクルダウン効果を期待していた。

しかし、3年にも近づくのに、超金融緩和の恩恵は、富裕層と大企業にだけの収入増加で、大企業社員でトントン程度である。

その他のすべての働く人へは、消費増税分すら、収入増加はない状況である。

 

アベノミクスの三本目の矢の「新成長戦略」による新産業の育成は、お祭り騒ぎのドサクサに紛れて、埋没して行く懸念が大きい。

新三本の矢を打ち出しても、「GDP600兆円」目標との号令だけで、○○会議が開かれているが、お役所の御膳だてはこれからである。

富裕層の恩恵が先に回る政策では、新産業は育成出来る道筋は開けない。

広い層の働く人達への普及が期待できる分野に、重点を置いた政策に、集中的に国の予算を配分すべきであろう。

 

実例をもとにして、効果的な政策の考え方を、説明してみよう。

自動車の分野での将来像を上げてみると、「水素エネルギー社会」への道は必要であるが、「水素自動車(燃料電池車)」の育成と普及は、不適切な政策である。

それは、富裕層への無用な補助金政策であり、水素ステーションの大幅な普及ができない段階では、広がりは期待できない。

それを補助金で進めると、不採算の水素ステーションのバラマキによって、各地での赤字補てんに無駄な税金が投入され、庶民の負担が増えるだけである。

 

それよりも電気自動車の普及の育成に力を注ぐ方が「適切な政策」になる。

現在の電気自動車の価格は、まだ少し高い段階であるが、電池の量産が拡大すれば、価格は一般庶民が購入できる価格帯になる。

さらに、用途を短距離用(100km以下)に割り切れば、搭載する電池の量を減らすことで、ガソリン車と同等以下にすることもできる。

現在の段階ですでに、急速充電器の設置は、全国で1万5千基以上にもなっているので、どこに出かけても、充電がすぐにできるので安心である。

自宅での充電では、電力が余剰になる時間帯での「割安の電気料金」によって充電ができるので、消費電力料金(燃費)は、ガソリン車よりも大幅に下がる。

こうすれば、再生可能電力の増設を進める効果もあり、恩恵は広がるのだ。(続)


水素エネルギーの利用策は再生可能電力の貯蔵利用に。

2015-10-29 | 快適エネルギー社会問題

水素エネルギー社会の到来は、燃料電池車の大量普及によって、国民全体への波及が期待されるわけではない。

再生可能エネルギー電力が、今後の政策支援によって、大量に普及促進が図られる段階では、電力を一時的に「水素エネルギー」として蓄積するのが良い。

既に【九州電力の管内】では、送電線容量の制約によって、太陽光発電の接続量を制限する必要が生まれている。

電力需要量が少ない時期に、晴天が続くと「太陽光発電の発電量が過剰」になるので、【発電させない様にする契約】にしている。

水素エネルギー化ができれば、発電を制限する必要がなくなるのである。

 

余剰電力の一次的な貯蔵ができないと、九州では「太陽光発電」と「風力発電」の新規設置ができなくなる。

設備投資をしても、フルに発電できないと、採算性が悪化するので、地域での新設の機運のブレーキがかかってしまう。

現在は畜電型のバッテリーなどに一時的に電力を貯蔵しているが、畜電に要するコストは大幅にかかるので、大量普及は望めない。

電力を水素エネルギーに変えて貯蔵する技術の革新が、早急に必要な段階だ。

 

急ぐ必要もない【燃料電池車の普及の補助金】政策を実施したり、採算性が全く望めない【水素ステーションの設置】に税金を投入して、国民の税負担を無駄に増やすなど、論外の政策は止めるべきだ。

そのお金が財源のあるならば、『電力の水素エネルギー化の蓄積設備』を、必要性の高い地域に優先的に設置助成をするべきである。

この政策ならば、再生可能電力の増設の投資と、水素エネルギーへの変換設備投資、それに、水素の貯蔵設備、さらに、水素から発電する設備が必要になる。

この様に、需要不足の日本経済には、4重にも貢献する需要喚起策になる。

 

燃料電池車の補助政策は、お金持ちや大企業への支援金政策で、【格差拡大】の影響が加速する愚策である。

再生可能電力の設置加速は、地方へお金が流れ、地域再生への一助になる。

水素ステーション補助政策は、【大都市への援助】になるばかりで、地方へのお金の流れを減少させる。

『再生可能電力の水素によるエネルギー貯蔵設備』補助政策は、「地域への公共投資策」となって、地域経済に貢献する。どちらが適切かは、自明である。(続)


GDP600兆円のお祭りの御神輿は燃料電池車だ。

2015-10-27 | 経済問題

安倍内閣の新三本の矢「GDP600兆円」の目標設定は、国創りのビジョンもないままの、景気付けの掛け声だけ勇ましい【賢くない看板】である。

その中でも、エネルギー関連では「水素社会の到来」を、夢の実現であるかの様に扱って、しかも、「燃料電池車の普及」を支援すると号令をかけている。

それに踊らされたか、東京都は2020年に向けて、燃料電池車用の水素ステーションを都内に35か所以上、設置することを目標にした。

なんでも、お祭りに間に合わせる様に動きだすと、日本人は[無理にでも寄付を集めてやり遂げてしまう]国民性を利用して突進する。

 

長い将来を考えると、「水素エネルギーを利用した社会」への技術開発は必要であり、特にエネルギーの貯蔵と輸送には、必要となる技術である。

このブログで技術開発の課題を説明し、日本が最先端を進むことを期待したい。

しかし、燃料電池自動車の開発促進は、自動車企業の技術開発競争の面が多大にあって、現在の社会が必要としている方向ではない。

水素燃料を利用した自動車の初期段階では、路線バスなどの様に「水素ステーション」の必要性が少ない分野での、普及を図るのが妥当である。

 

それなのに、一部のお金持ちの好奇心を満足させ、自分は富裕層であることを誇示する「燃料電池車」のために、採算性のまったく成り立たない「水素ステーション」を各地に設置する、と言い出している。

都内に造る「水素ステーション」の設置費用と、その運営の赤字を埋める経費は、すべて都民の負担になる。

東京都は2020年までに、路線バス燃料電池車を100台導入する計画をしている。このバス用に限るならば、現在ある「水素ステーション」の立地で十分であり、都民の税金投入は必要ないし、水素ステーションの採算性も向上する。

 

また、現在の段階では、燃料電池車は「究極のエコカー」であるとの宣伝は、誇大広告であり、社会を惑わす「誤解を広める」役目を果たしている。

水素エネルギーは自然界に存在するわけではない。

今の水素エネルギーは、天然ガスを原料として製造しているので、その段階では大量の「炭酸ガスを排出」している。

電力から『水の電気分解で製造』だから、炭酸ガスが出さないとしている。

その大元の電力を作る段階では、石炭や石油を燃やす火力発電が8割である状況だから、大半が「再生可能電力」に依存する時期になれば、の話である。(続)


国創りの目標としてのGDP追求は問題を混迷させる。

2015-10-26 | 国創り政治問題

安倍内閣の新三本の矢では、少子化対策を本格的に取組む姿勢として、「希望出生率1.8」を打ち出したのは、国民も期待する目標である。

【介護離職ゼロ】の目標は、いささかマトハズレの表現だが、高齢化社会に向かってますます重要になる介護問題に、真剣に取組む意思表明と受け取れる。

最も問題とすべきは、【GDP600兆円】の大風呂敷である。

GDPの追求ばかりでは、経済の根幹と先進国社会の矛盾した社会問題は、悪化することが見えているのに、相も変わらずGDP信奉では情けない。

 

今年の前半に、社会的に大きな課題となったのは、フランスの新進経済学者「トマ・ピケティ氏の21世紀の資本」であった。

主張の最重点は、[経済成長率(g)<資本収益率]の原理により、【単純な経済成長政策では富裕層がますます豊か】になっていく、と指摘したことである。

つまり、【資本収益率】とは、おカネが生みだす利益率であり、モノ作りやサービス産業が生みだす「経済成長率」よりも、常に優位になっている。

【お金持ちはますます豊か】になり、働く人にはソコソコの利益配分か、マイナス配分になる、という経済の本質を指摘したことが、大きな話題になった。

 

その指摘に対して、安倍政権は応えることも出来ずに、ただ、日本の場合は【格差の拡大】は、アメリカや欧州よりも少ない、と逃げてしまっていた。

半年後の今になって、格差拡大の問題には全く触れずに、ただ、経済成長率の指標である「GDPの数値目標」だけは、国創りの基本目標に据えている。

半年間の間に少しは勉強したのかと思ったら、何も考えていないで、ただ従来どうりの経済成長目標の数字を、過大に楽観視して、「GDPさえ大幅に増加すれば、格差拡大などは問題ではない」、と言いたい様である。

その割には、少子化対策や介護問題を重点化するのは、基本的な姿勢がバラバラの混乱したままを、連想させる。

 

国創りの安定のためには、エネルギー自給率の低い状況を最重視する課題に取り上げて、今後の20年間に自給率を引き上げる目標にするべきである。

そのためには、脱石油の政策を重点化して、「再生可能で国産化可能な燃料」を、産業化する政策目標を立てる。

その新産業によって、「GDPの増加が促進される」のであるから、その成果を積み上げることで、日本の将来像の健全性が具体化されるのである。

総花的な「GDP指標の数値目標」は、重要課題の選択を誤る元凶になる。(続)


安倍政権の公約はアベノミクスの破綻で支離滅裂状態。

2015-10-25 | 国創り政治問題

【アベノミクス】が第一の矢の失敗と、第二の矢の土建国家路線が、国民の信用を損ないかねないので、内閣改造によって【一億総活躍社会】を打ち出した。

マネーの流れのトップダウンコントロールは、実効性が無いことはもはや明確で、今度はトップの旗振りで、【総員奮励努力せよ】との路線である。

安倍首相はよほど戦前の日本が好きな様で、「日本再興戦略」とか、「強い日本を取り戻す」などの、勇ましい掛け声を繰り返している。

選挙で国民に公約した「景気回復、この道しかない」との路線は、アベノミクスのほころびで、信用失墜の寸前である。

 

「一億総活躍社会」とは、何を目指そうとしているのか、専任の大臣までつくりだして、縦割り行政の非効率を廃して、すべての政策を総動員すると言う。

新三本の矢に掲げている「GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」との看板は、中身がバラバラのレベルで、如何にも即席の感じが否めない。

「GDP600兆円」の政策動員には、これからの調整と言う有様だ。

少子化対策の「希望出生率」という政策目標は、初めて出てきた願望で、【少子化対策で産めよ増やせよ】の、戦前の看板のカモフラージュなのか。

 

「介護問題」は、厚生労働者の長期の取組課題であるが、【介護のために離職する人をゼロ】とは、要するに、一億人の大多数を仕事に邁進させたいのだ。

とにかく安倍政権の基本が、国民はわき目も振らずに、目の前の仕事に奮励努力することで、経済の指標のGDP数値が増えれば、強い日本の復活だとする。

先進国の大きな課題である、【経済成長だけを追求すると格差が拡大】して悪影響で、社会全体が不安感と不満の増大が進む、最重要課題を直視していない。

一人当たりのGDP追求だけでは、少子化の流れを改善することは、出来ない現実にも、真剣な政策検討を繰り返す努力もしていない。

 

少子化対策は、「女性活躍の場が増える」コトだけでは無理であり、「出産・子育てを応援する社会と」との公約実行すら、中途半端にゴマカシている。

若い世代の収入が、子育ての意欲を失わせる現実に、どの様な対策を打ってきたのか、「PDCAサイクル」を回すと公約しているが、それも実行しない。

それどころか、「国の存立を全うし、・・・安全保障法制の整備」については、国民の不安をあおり続けて閣議決定と国会の強行突破を図った。

公約には、数行しか書いていない「遠方離島周辺海域」への自衛隊の派遣を、拡大解釈で可能にしてしまった。これで、少子化の流れはさらに加速する。(続)


将来の洞察もできないままにトップダウンで鼓舞ばかり。

2015-10-24 | 国創り政治問題

安倍政権の言い出すことは、どうも「トップダウンの効率性」を重要と考えていて、発想が独裁制を目指している様に見える。

デフレ脱却の政策目標は「国民の合意を得られる重要課題」であるが、その手法については大きな問題だらけである。

日銀の総裁をすげ替えて、トップダウン方式に、超金融緩和政策に転換した。

2014年以降、一気に「円安誘導が効果」を上げて、株価の急上昇が始まった。

富裕層が真っ先に恩恵を受けて、マスメディアの論調も「デフレマインドから離脱」と、アベノミクス第一の矢の即効性を、持て囃して支持率上昇を招いた。

 

ところが、4月からの消費税増税の影響は深刻な消費不足を招いてしまった。

同時に円安誘導による悪影響の「輸入物価の上昇」で、庶民の暮らしは悪影響ばかりであり、消費購買力の減少は明らかで、当然の景気停滞である。

慌てた安倍政権は、経団連をはじめとした経済界の経営者に、賃金引上げの催促を連発して、どうにか、大手企業社員の賃上げには成果を引き出した。

しかし、中小企業には利益の配分は全くないから、従業員への給料の増額は望むべくもない。

結局のところ、上層部の大企業の社員だけは救済されたが、その他の企業では、実質賃金はマイナスのままで、生活防衛に走るしかなくなっている。

 

マネーの流れをトップダウンで支配できる、とカン違いしている安倍政権には想定外の事態に、安全保障議論を打ち出して、表舞台から隠してしまった。

思惑どうりに、国会の議論とマスメヂィアの大部分は、「国論を二分する議論」に明け暮れて、アベノミクスの想定失敗の責任論は放置されたのである。

安倍政権にとっての救いの風は、アメリカのシェールガス生産の効果で、産油国が対抗せざるを得なくなった影響で、「原油価格の引き下げ」を図ったことだ。

円安で大幅な貿易赤字になり、国民生活を苦しめる燃料費の高騰は、このおかげで大幅に値下がりして、批判の声はなくなってしまった。

 

一息つける時間が稼げたので、改造内閣の看板政策に、「一億総活躍社会」を目指すと、大風呂敷を広げることで、アベノミクスの失政を繕うことにした。

中身は何か判らないままに、70年以上前の【一億総玉砕】を思わせる様な、国民奮起のスローガン政策である。

よほど戦争が好きな首相と見えて、各所の、日本の【トップダウン効果】を狙う意識が見える。

これで国民を鼓舞すれば、良いとでも思っているのだ。(続)


高付加価値を生み出す源泉には日常生活の安定が基本。

2015-10-23 | 暮らし・健康問題

経済活動が安定成長になることは、望ましいことだが、それだけでは不足だ。

人々の心の中には、少しづつでも生活が豊かになっていく状況が実感できることがもっとも必要である。

日本の経済は、1990年代にバブル崩壊のあとに、生活のゆとりを実感させる経済成長は実現できていなかった。

賃金デフレが、その最たる原因であるが、「GDP数値」ばかりが安定成長の指針とカン違いされて、国の経済運営がされてしまったからである。

 

世界の多くの先進国で、富裕層と一般の働く人々との、【収入と資産の格差が拡大し続けてきた】ことが、世界中での需要不足の不満の原因となっている。

一部の新興国の経済成長により、デフレに落ち込む事態は緩和されていたが、新興国の成長の鈍化により、デフレに陥る懸念はさらに深刻になっている。

デフレは【格差の拡大を加速】させる上に、豊かさの実感が減少する。

節約指向を加速させて、「高付加価値社会」への転換にブレーキをかける。

縮小型の経済につき進んで、さらに【格差拡大】と「豊かさ感の喪失」に進む。

デフレからの脱却、格差拡大にブレーキ、GDP成長の追求が最重要である。

 

その上で、日常生活の安定感が広がり、少しでも、付加価値の追求で豊かさを実感できる社会に進むには、国の安定感が必要になっている。

安倍政権は安全保障政策として「海外での集団的自衛権」の行使の法改正で、石油の輸入経路の確保を、と宣言するが、かえって不安をあおっている。

それよりも、『国内で自給できる脱石油燃料』政策や、「再生可能電力の最大限の増強」政策の方が、はるかに国民の安心感を強化するだろう。

この政策は、地方の新たな付加価値を生みだす新産業を誘発する。

地方から都市部や海外に流出している資金を減少させ、地域に収入が入る。

 

何よりも貢献するのは、地域に定住する人の雇用を増やすことが、最大の成果になるであろう。

人口減少に歯止めをかけて、少子化への不安を減らすことは、長期の国の安定感を強化するのである。

育児の支援政策も、中途半端なままにしておいては、国民の安心感の強化につながらない。

一億総活躍社会などと、掛け声だけの総花政策に走る様では、カラ手形になる。

明確な目標と実行可能な具体策を国民に提示し、意思を注ぎ込むことだ。


今から10年間は輸送機器用燃料の脱石油・国産化だ。

2015-10-22 | バイオ燃料・バイオマス

日本で将来の国の安全保障と安定した経済活動を目指すには、エネルギーの自給率を大幅に向上させて、不測の事態にも耐えられる体質にするのが目標だ。

それには今の段階で、温室効果ガス削減の機会を逃して、輸送用機器の燃料を国産化に取り組まなければ、いつの時点で取組ができると言えるのか。

2020年の航空機の燃料の[CO2排出]削減の行動が必要になり、本格的に『脱石油を目指した再生可能エネルギー』によるバイオ燃料産業の好機である。

航空機燃料から始めれば、自動車用燃料、船舶用の燃料の国産化につながる、バイオ燃料産業が促進される状況に発展するであろう。

 

その絶好の時期が始まっているのに、藻類の培養で油脂を生成、抽出する事業を海外生産に依存してしまっては、国の長期政策としては不都合に尽きる。

油脂を最終製品のバイオジェット燃料に精製する設備を、海外技術でも日本に設置して、最終工程を国内の生産に固執するのも、せめてもの救いである。

最終工程だけでも、日本国内で取組む仕組みを確保しておけば、当面は原料を海外からの輸入でつないでおいて、時期を見て国産化に移行ができる。

期待すべきは、「日本発の技術で、日本に適した藻類の油脂生産の産業化」であって、本格的に取り組む体制を早急に構築して行くべきであろう。

 

この「バイオジェット燃料の国産化」が端緒となって、原料となる油脂の生産が軌道に乗り始めれば、『軽油の国産化』が間違いなく実現する。

軽油はご承知のとうり、トラック輸送の燃料として大量に利用されている。

船舶用にも建設機械の燃料としても、利用範囲が広いので需要量は飛躍的に増大するから、国産化が進めば大きな産業が、国内に創出される。

年間での需要量は3000万KL以上で、軽油価格が100円/L.としても、3兆円規模の新産業となり、石油の輸入減少で貿易収支の大幅改善となる。

今がその入り口に立っていると認識しなければならない。

 

この10年間に「バイオ燃料の国産化」の可能性に全力を傾ける時期であることは、自明のことであるのに、政府も民間企業も様子見をしているばかりだ。

経済の長期的な自立と発展には、エネルギーの自給率向上が、大きく貢献できる要素である。

今までの日本は、耐久消費財の技術革新と事業の拡大で、経済成長の原動力としてきたが、これからは、その貢献度合いは、機体ができない。

エネルギーの自立の上に、高付加価値の分野に進むことができるのである。(続)


消極的な取組に終始した航空業界の非合理な国産化。

2015-10-21 | バイオ燃料・バイオマス

将来とも、ジェット燃料を「石油由来の燃料」に依存したままでは、立ち行かなくなることは、航空会社も当然判っている。

現在は、ジェット燃料は精製された状態で、日本に輸入されているのが現状だ。これが、「バイオジェット燃料を混合した燃料」への切り替えを迫られても、海外から輸入すれば、今と同じで問題ではないと考えていた様だ。

この様な状況だから、経済産業省が国内企業にバイオ燃料の研究開発を要請して、補助金を用意しても、積極的に協力する企業はごくわずかである。

 

だが、2020年からは世界の航空会社では、「二酸化炭素の排出削減」の義務が生じるので、あらゆる努力を払って、「バイオジェット燃料」の実現を図っている。

その時になって、日本の航空会社が【海外のバイオジェット燃料の輸入】をしようとしても、日本に輸出する余裕はないと、断られる可能性が高い。

それで、今頃になって、慌てて国産化した「バイオジェット燃料の製造」を、駆け込み的に始めているわけである。

しかも、原料となる藻類から抽出される油は、ユーグレナ社の様に、アメリカで量産を始める状況にならざるを得ない。

 

結局のところ、原料はアメリカ産を輸入して、日本で「バイオジェット燃料」に精製する設備だけは、設置しておけば、日本が輸入出来ないことはない。

石油の輸入依存度を少しでも減少させる絶好の機会であるのに、藻類の培養設備や、油の抽出設備は海外に設置して、量産をするしか選択できない。

国産化の目標は、チグハグな政策の迷走によって、原料の油を輸入して「精製だけを国産化」する、非合理的な生産しか出来ない計画になってしまった。

原料になる藻類からの油を、早急に国産で可能にすることが急務である。

 

ところが、国内での藻類の培養を目指して研究開発している企業グループは、「光合成型藻類」の一種である「ボトリオコッカス」を採用している。

この藻類は、現在までに発見されている種類では、もっとも油脂の生成量が多いので、マスメヂィアにも取り上げられて、大きな話題になった。

しかし、日本の気象条件では、【藻類が必要とする太陽光が低いレベル】に留まり、オマケに曇天や雨天が多いので、培養事業は容易ではない。

その上に、開放型の培養池では他の微細植物も入り込み、培養を妨げてしまう。

それを防ぐために、培養池の水の酸性度を高くする必要があり経費がかかる。

それで、量産時のコスト予測は、大幅に目標を超えて難渋している様だ。(続)


国内産のバイオジェット燃料の実現までの障壁。 

2015-10-20 | バイオ燃料・バイオマス

日本のバイオ燃料のベンチャー企業である「(株)ユーグレナ」は、石垣島で「ミドリムシの培養の事業」を進めてきた。

創業してから10年近くが経過しているが、本格的な量産体制への投資は、日本ではなく、アメリカ本土への計画で進めている。

さらに、ミドリムシから搾った油は、原油と同様に、航空機燃料の成分に精製することが必要になる。

日本国内には、航空機燃料向けに「バイオジェット燃料に精製」する設備が無いので、国内での生産には、『精製設備』を建設する必要があった。

 

航空機業界では、2020年からは「二酸化炭素[CO2]の排出量」に上限を設ける行動計画を策定している。

それをクリアーするためには、ジェット燃料の「植物由来にバイオジェット燃料」をある割合で混合させる対策が、必須であるとされている。

つまり、日本の飛来する航空機のジェット燃料は、混合燃料に切り替わるのであるが、日本から離陸する航空機の燃料は、日本の空港に「混合燃料と備蓄して給油」しなければならなくなる。

国内にも「バイオジェット燃料の精製工場」を建設する必要が生じている。

 

日本の航空会社では、全日空が中心となって「アメリカの石油大手シェブロン」から技術供与を受けて、2018年に稼働する『精製設備の建設』に着手する。

この技術は、アメリカでは航空機向けのバイオ燃料精製プラントとして、すでに商業化を目指して進んでいる計画に倣って、基本設計の供与を受ける。

つまり、アメリカ発の技術を日本に移転する構図で、日本独自の技術開発は断念している状況である。

原料となる「ミドリムシの増殖事業」は、日本発のベンチャー事業であるが、量産規模の事業はアメリカ大陸でなければ、事業採算性が見込めない状況だ。

 

この様に、日本の脱石油燃料の政策は、民間企業の努力はあるものの、国策的なジェット燃料自給化の動きは、まったく出来ないでいる。

それは、原料の生産を「光合成型藻類の培養」に頼る方式を、補助金の対象にしたからである。

(株)ユーグレナ社は、ミドリムシの培養には、石垣島の様に太陽光の日照率が有利な地域で、実証的な事業を始めて、「培養ノウハウを蓄積」してきた。

その結果は、量産設備はアメリカの日照率の良い地域に移転する選択だ。(続)


日本の政府と燃料供給石油企業は経済成長の機会を傍観。

2015-10-19 | バイオ燃料・バイオマス

石油燃料の代替となる「バイオ燃料の普及促進」は、地球環境保全に貢献するのは当然であるが、実は経済成長を促進する効果も期待できるのだ。

欧州委員会が、「バイオ燃料の技術開発を支援」する制度として、2020年からの「バイオジェット燃料の混合義務付け」を決定したのも、その意図がある。

現在の技術レベルでは、「バイオジェット燃料」の量産価格は、通常の石油由来の「ジェット燃料」に比較して、2倍くらいの価格である。

これが、多少は安価に出来る様になっても、割高な「ジェット燃料」を、利用しようとする航空会社はいない。

 

そこで、市場競争に依存しない促進政策として、「一定割合のバイオジェット燃料を強制的に利用する制度」を決定した。

すると、航空会社はできるだけ安価に「バイオジェット燃料」を調達する必要に迫られて、関係する燃料企業に、早期の開発を要請する。

燃料企業は取引先の航空会社の強い依頼では、他の案件に先駆けて、研究開発への投資と量産設備の新規投資計画を進めなければならない。

それを見ている『新規参入意欲のある企業』も、研究開発と設備投資の計画に着手して、既存の燃料企業を追い越す勢いで、投資を始める。

 

この様に、将来に明確な目標を掲げれば、民間企業の意欲を引き出すことで、経済活動の活性化が図れるのである。

ところが日本では、航空会社の【脱石油燃料】の長期方針は、まったく心もとない状況で、政府が支援をしない限り、研究投資すらしようともしない。

そのぬるま湯に浸りっぱなしの、燃料会社は【欧州のバイオ燃料義務付け】には、外国企業の「バイオジェット燃料」の供給を受けるつもりである。

買取り価格が高騰しても、なすすべがない状況に追い込まれてしまいそうだ。

 

せっかくの「経済活性化のチャンス」であるのに、欧州の動きを見ているだけの「長期政策のビジョン」すらない日本政府は、早くも諦めの様相である。

安倍政権は、電力の脱石油の動きは、原子力依存のママに、「再生可能電力の最大限の促進」を謳っている。

しかし、輸送用燃料の脱石油に関しては、代替技術の開発促進は、名目だけの予算付けで、研究開発の支援をしているつもりであるが、実績はゼロに等しい。

欧州の様に、目標年限を決めて「利用義務付け制度」を導入する検討もしていないで、ただ、従来どうりの【研究助成の補助金政策】に、終止している。(続)


欧州では政府の義務付でバイオジェット燃料の普及に。

2015-10-18 | バイオ燃料・バイオマス

バイオジェット燃料の研究開発を促進する政策として、「ジェット燃料に賦課金を課す」ことで財源を生みだし、『優遇した価格で買取る制度』を説明した。

現実的に成果物(バイオジェット燃料)が供給された段階で、成果を生んだ企業に、上乗せ金額が支払われるので、無駄使いになることが全くない。

今までの様に、研究開発を申請した企業に補助金を支給するのでは、成果が確実に生まれてくるかは、保証の限りではない。

現実は大半の研究補助金は、無駄な研究投資に使われて、失敗に終わっている。

 

成果物に対し、支援の上乗せをする方法は、「再生可能電力の[FIT]制度」が、2012年7月から施行されて、読者もなじみがあり理解し易いであろう。

しかし未だに、成果に対する報酬制度が、効果的であるかを疑問視する専門家も多いので、別の【促進制度】の事例を紹介しておこう。

それは、期限を区切った『使用の義務付け制度』で、具体的には欧州委員会の決定によって、2020年から欧州に到着する航空機に課せられた制度である。

バイオジェット燃料を20%混合した燃料を使用することが義務とされ、それができない航空会社には、課徴金が課せられる。

 

要するに、「バイオジェット燃料の量産価格」が高い場合でも、2割の燃料はバイオ燃料を使用しなければならない規則である。

仮に、ジェット燃料の価格が100円/L.の場合に、「バイオジェット燃料価格」が【200円/L.】であったとしよう。

混合燃料の平均の燃料価格は、【120円/L.】になるので、ジェット機利用者は、その分の経費を負担することになる。

航空会社は、燃料費が上がると利用客が減るので、できるだけ安価に「バイオジェット燃料」を製造・供給できる企業を選定する努力を払う。

この要求にこたえられる企業は、シェアを伸ばして企業は成長する仕組みだ。

 

つまり、政府が強制的に使用量を増やす制度にすれば、何が何でも、早く安価な「バイオジェット燃料」を研究開発して、成功させるインセンティブが働く。

欧州委員会では、この効果を狙って「世界での先進的なバイオ燃料企業」を、育成する方針なのである。

しかし、欧州諸国に在籍している企業だけが、成功して勝ち残るわけではない。

アメリカ企業や、その他のバイオジェット燃料の量産に適した地域での、「新興企業が勝ち残る」可能性も大きい。

それでも、あえて脱石油を加速するのだ。(続)


目標を明確にして挑戦する事業者の成果物の買取優遇で。

2015-10-17 | バイオ燃料・バイオマス

政府が脱石油燃料の開発促進を、10年以上も前から看板政策に掲げてきたが、なんにも成果を生み出せないで、迷走している原因は、推測ができるだろう。

それは【達成すべき目標を曖昧なまま】にして、各省庁の担当部門が、予算獲得の手段にしてしまっているからである。

中央の官僚たちは、認められた大義名分のある「政策課題」に、自分たちの権益が及ぶ方法で、予算を獲得するのが最優先の目標になっている。

その政策課題が求める「成果の目標」が、アイマイであるから、政策の中身の適否はあまり「真剣に検討」をしないで、見栄えの良い課題に補助金をつける。

 

こうして、バイオ燃料の政策的な研究支援は、自動車用の代替燃料(見栄えが良い)を政策課題に掲げた。

先行国でのエタノールの量産化(ブラジルで実績)が、もっとも実用化が近いとして、サトウキビの栽培が日本には適地もないのに、税金を投入した。

沖縄でのサトウキビの栽培による砂糖事業は、補助金なしでは成り立たない実情を無視して、【補助金をつければ研究開発は進む】だろう、との甘い想定だ。

原料をお米にしてみたり、木質材からエタノールと製造するなど、事業性のまったく見えない研究に、予算獲得の目標だけで、研究補助金を出し続けた。

 

中央官庁の官僚たちは、植物栽培や製造技術もしらず、事業採算性の想定も出来ないので、ただ、補助金を申請してくる事業者の資料を見るだけである。

申請資料の出来栄えが、補助金合格の条件とは言わないが、とにかく、失敗しても責任は補助金の申請者にあるから、【真剣に検討】はしないで済む。

そのうち、どこかの事業者が成果を出せば、自分たちの手柄として、予算獲得の増額の説明に使える、と期待だけは、している様だ。

技術開発や新規事業の開発は、官庁が考えるほど{容易な挑戦課題}ではない。

 

そこで、このブログで何度も説明した様に、補助金ではなく、『成果物を優遇した固定価格で買取り』する制度が、研究開発の促進に効果的なのである。

なぜ、補助金政策よりも効果的かは、すぐに理解ができるだろう。

目標の到達点{量産価格と供給量の義務}を、明確に提示して、この目標に向けて、研究開発した事業体から、優遇価格で買取る契約をする。

事業者を公募して、「上位の3~5社」と、研究開発の契約を結ぶのである。

「バイオジェット燃料事業」の場合は、市場のジェット燃料価格が100円/L.の場合に、200円/L.で10年間の買取り契約をする仕組みである。(続)