庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

野田政権の産業活性化策は、成り行き任せの官僚依存だけ。

2012-01-31 | 海洋産業問題
野田内閣は産業の再生を最重要課題に上げているが、その中身は、民主党政権になってからの意思を入れた政策は皆無に近い。
自民党政権時代から続けている官僚依存の体質から一歩も踏み込んでいないから、変わり映えのしない補助金政策ばかりを、羅列しているだけになる。
日本の特色を活かした「海洋産業」などは、海底開発のメタンハイドレードの事業化調査程度で、それ以外は、成り行き任せの無策状態である。

ここでもう一度、海洋産業の重要な課題である、藻類からのエネルギー利用を説明しておこう。
海洋産業で漁業の位置づけは、もちろん重要であるが、水産庁の所管事項であるためにエネルギー利用の方面は、まったく無関心の状態である。
しかし、エネルギー産業は国の将来を左右するくらいに重要政策であるのに、経産省のエネルギー部門だけで、政策を決めて来た弊害が顕著にあらわれ、その最たるものが、原発の安全神話、安価神話の崩壊で明確になった。

何度も説明してきたが、海岸線を利用した人工藻場の造成によって、海藻類の大量栽培に成功すれば、エネルギー源の原料は無限に近いくらいに手に入る様になる。
海藻類の光合成能力は、陸上の樹木の10倍以上になる。
日本の国土(37万平方キロメートル)の1/3の面積の海面利用によって、日本全国で利用されているエネルギー総量を、置き換えることができる。
まずは、中国と同程度の沿岸部1400kmに人工藻場を造成する計画だけでもスタートすれば、10年もかからないで、かなりの成果を産むであろう。

海藻類の代表事例として「昆布の栽培」と、その利用方法の説明を追加しよう。
現在、コンブから「バイオ燃料」を製造するシステムが、アメリカでは盛んに研究されている。
その中で、日本人が創業したカリフォルニア州のベンチャー企業が、昆布を分解してエタノールを造り出すバクテリアの開発に成功した。
このシステムは、将来のガソリン代替の燃料「ブタノールの生産」にも応用でき、さらに、軽油の代替となる「バイオディーゼルの生産」も可能になる。

この様な研究開発の事例は、アメリカでは活発に行われているが、日本では、「淡水の藻類を栽培して燃料化する研究」がわずかに動いているだけである。
この違いは、エネルギー政策に取り組む政権首脳の危機意識の差によるのだ。

海洋産業の育成には意思を入れた長期の支援政策が必須。

2012-01-30 | 海洋産業問題
海洋産業立国を目指すとしても、どこから始めるのが適切かは議論になるところである。
本日の朝日新聞(朝刊7面)には、「完全養殖クロマグロ世界へ」と題して、近畿大学と民間企業の豊田通商が協力した事例が紹介された。
2年前に長崎県の福江島に「養殖会社ツナドリーム社」を設立して、大型の円形生簀で半年間かけて、卵から体長30センチの幼魚に育てた。
さらにこれを3年ほど生簀で養殖すると1メートルの成魚になり、市場で高価格で取引できる。
ここまでの成果を出すのに、40年間の研究の蓄積があった。

この様に海洋産業は、まず漁業資源の養殖事業が取り上げられる。
市場価値の高い事業でないと、民間企業の参入は難しいからであろう。
だが、養殖漁業にも問題が多く潜んでいて、養殖に必要な小魚類の収穫が必要であり、その排泄物による海水の汚染も問題になってくる。
その課題の解決には、海岸線沿いに大型人工藻場の造成が急務なのである。
人工藻場については、このブログで2010年4月27日~5月2日に懸けて、詳しく説明をしておいたので、再読していただきたい。

要約して説明すると、日本の海岸線の4%に相当する沿岸部の1400kmに、人工の藻場を造成する事が優先すべき目標課題である。
藻場ができると、そこが魚類の産卵場となり幼魚の育成に適した海域となる。
それを目指して多くの魚類が集まるので、漁業資源が豊富になり、養殖用のえさとなる小型魚類が豊富にとれる。
また、養殖による「海水の富栄養化」に対しても、人工藻場の海藻類が、その栄養分を吸収して成長するので、海水汚染も防げて海藻の成長も促進される。

問題は、藻場を造成する上で多額の先行投資が必要なことである。
海藻類の効率的な育成と収穫物の利用価値の開拓には、まだ、多くの研究と開発が必要である。
その段階では、政府の意思を入れた研究開発の助成策が重要な役割を果たす。
また、この方面への関心が高まることで優秀な人材が、ライフワークとして仕事に打ち込める事業環境の整備が不可欠である。

しかし、研究機関や民間企業の経験もない【政治塾卒業閣僚】では、その認識はひとかけらもない、新産業オンチばかりが数字いじりをしているだけなのだ。

新産業の最優先課題として再び海洋産業立国の提案。

2012-01-29 | 海洋産業問題
日本の2011年の貿易収支が赤字になったと発表され、マスメディアで大きく報じられた。
戦後の日本経済を成長させてきた原動力となった、「加工貿易による国造り」は、
大きな成果を産んで、日本の各地のインフラ造りを飛躍的に増進させて、世界の先進国に浮上させた。
だが日本の将来は、「貿易立国」を卒業して、国内需要を増加させる『高付加価値社会立国』とする方向に転じなければならない。

その重要な分野として、日本は豊かな海の恵まれた立地条件を活かした『海洋産業立国』を目指すべきであると、このブログで書いてきた。
昨日には、「泥水の中のドジョウは大海を知らず。」と題して、野田内閣の国造りビジョンにおいて、海洋資源に着目しない認識不足を指摘した。
この海洋資源を最優先にして研究開発し、世界の先進国に地位を維持するとともに、世界に有益な資源を供給する役割を担える国を目指す様な、大きな目標を持つべきである。
新たな資源を基に、高付加価値を生み出す産業を、長期的なビジョンに沿って実現するのが、国家の重要な仕事である。

野田内閣が発足する時に、このブログで「海洋産業関連」を書いてきた。
2011年9月1日「日本の将来像を描く国造りの目標を活発に議論すべき時期だ。」
ドジョウを自ら名乗った野田首相の視野の狭さは、国内の泥水の中で動き回るだけの意識では、決定的に国の方向を誤る危険が潜んでいたからである。
ドジョウではなく、ウナギの様に大海に出て行って、海洋の栄養を十分に取り入れて立派に成長し、国民に豊かな滋養とおいしさを提供できる様に変身して欲しいのだ。
海洋産業には、無限に近い可能性と「高い付加価値資源」が潜んでいる。

その内容の片りんを紹介したいが、その前に次のブログを再読して頂きたい。
2011年5月20日「日本は海洋国家であると認識して再度提言する
『海藻類の人工栽培』 
2010年9月29日「海洋エネルギー資源が豊富にあるのに事業化は最後尾」
2010年8月21日「日本のCO2排出削減の手法は海藻類の人工栽培が主力に」
2010年8月14日「植物としての光合成能力は海藻類に勝るモノはない。」
関連8月12日。15日。

泥水の中のドジョウは大海の資源を知らず。

2012-01-28 | 海洋産業問題
野田政権の「日本再生戦略」が年央までに策定される、と報じられているが、今の官僚機構に委ねているだけの、無難な総花主義に陥る懸念がおおきい。
自民党政権時代も、何度も経済活性化、再生の方針が出されているのに、一向に成果が出てきた兆候もない。
それは、現在の縦割り官僚機構の中での活性化策は、すべて過去の成功体験の延長上の発想にとらわれていて、グローバル経済が拡大した現状には、通用しないモノばかりしか、提案されていないからである。

ここに至っては、今までにない発想で、日本の特徴を活かした立地環境と資源を活用して、日本国民の資質に備わった潜在能力を引き出す『国家目標としての新産業』を、重点的に開拓するべきである。

このブログで何度も書いてきたが、日本は四方を豊かな海に恵まれて、しかも、国際的に認められた経済水域は、世界で6番目の大きさをもっている。
陸上だけの産業立地では、1億2千万人の豊かな生活には、条件が不利である。
しかし、海面、海中、海底の利用を徹底的に開発すれば、豊かな資源を活用して安心で快適な生活環境を創り上げることは、実行可能な目標なのである。

野田首相の施政方針演説では、海洋への資源開発研究には、わずか数行の言葉で取組を述べているが、まったく関心の深さも熱意も感じられない。
経済産業省は、海底の資源、メタンハイドレードの開発に取り組んでいるが、経済性の見通しは、厳しい状況であるから、長期の取組を覚悟するしかない。

野田首相をはじめ民主党の幹部は、自分の政治生命の中での成果は期待できないので、お定まりの言及だけに留まっている。
こんな消極的な、いや無関心な状況では、新産業に育つ芽は全くないと言える。

だが、世界の潮流は既に海洋資源の開拓はもとより、海中の利用価値として、海藻、海草類の研究開発が進行している。
このブログでも何度も採りあげて紹介したが、海藻類は、植物利用としての効率は最高レベルで、食料資源、家畜の飼料資源として、大きな利用価値がある。
さらに、その先には油を収穫できる種類も豊富に存在し、バイオ燃料に加工する研究が盛んになっているが、日本ではまったく立ち遅れてしまっている。
現状では経済性・採算性の見通しは、立っていないが、あと5年程度の研究開発で、事業性が成り立つ可能性が高い。

野田政治の範囲では、泥の中で動いているダケで、大海の資源を知らないのだ。

原発運転ゼロは経済活動に好影響だが、逃げ腰はブザマ。

2012-01-27 | 経済問題
枝野経済産業大臣は、今年の夏場の電力供給を、「原発の稼働ゼロ」で乗り切る方針を明らかにした。
国民の大多数が、「脱原発依存社会」を望んでいる状況を汲みあげて、予備の電力動員や、節電の一層の浸透で、需給のひっ迫を乗り切れると想定した。
この方針表明は、経済活動にとっても、好影響を与える筈である。
民間での自家発電機の総動員による経済効果や、節電機器、設備の買い替え、拡充の需要が一層加速することで、経済活性化にプラスである。

大震災直後の夏場は、震災で発電所の被害によって東北、東京電力管内では、「電力使用制限令」が出されたが、今夏はその必要もない程度の需給状況である。
一部には、電力供給不安があるから、海外に生産移転をする事業者が続出するとして、原発の再稼働を必須と論じるモノもいるが、これは、「原発産業村の影響」を受けた、原子力中毒症評論家の言う事である。
民間企業生産の海外移転は、「国内需要不足、長期の円高、デフレ経済、人件費削減依存の限界」の影響で、電力不足懸念は、コジツケの理由にすぎない。

また、「原発運転ゼロの実現」と並行して、電力産業の抜本的な改革によって、『発電事業、売電事業の地域独占を崩す』ことができる。
設備効率の良い発電所の建設や改築に対する民間投資が、一気に加速する。
『再生可能電力の固定価格買取り制度』の開始も、新産業としての役割の重みを増すことに繋がる。
この様に「原発稼働ゼロ」の状況によって、経済活性化の状況が引き起こされることが証明できれば、安全性に不安のある原発は、すべて停止しておいて、順次に廃炉の作業に移行する事ができる。
この廃炉事業も、経済活動に対する効果が期待されるので、54基の計画的な廃炉事業産業を、育成して行くことである。

この様な重要な脱原発に対して、野田首相は自分の口からは言わないで、経産相の発言として、間接的に表明したことになる。
なぜ自分の口で言わないのか、ここが野田首相の政治手法の限界を表している。
もし、「原発運転ゼロ」の表明で、産業界の反発が強かったら、あれは、経産相の意見であるからとして、泥水の中でドジョウの様にスルリと逃げてしまうつもりなのだ。

いつも曖昧にして、一番安全な場所を用意する「ドジョウ政治」の流儀なのだ。

デフレ対策のない野田首相の施政方針は夏場で泥に埋没。

2012-01-26 | 経済問題
野田首相の施政方針演説が国会で行われたが、国民に訴える中身は、まったくさみしい限りである。
三つの優先課題に取り組むとして、大震災からの復旧、復興と原発事故との戦いに力を注ぐとしているのは、当然としても、「日本経済の再生に挑む」と月並みな表現で、具体策は総論的な内容ばかりである。
新たな成長に向けた具体的な工程表を伴う「日本再生戦略」を年央までに策定する、としているが、力の注ぎ方が全く不十分である。

民主党が2年半前に掲げた政権公約は、どこかに放り込み、忘れてしまったかのような、官僚の作文ばかりの羅列である。
エネルギー政策の根本的な見直しが迫られているのに、夏までに新しい計画と戦略が取りまとめられるのを、見ているだけの様な姿勢である。
脱原子力発電も曖昧で、温暖化対策も明確な目標もなく、タダ取組をして行きます、と熱意のない逃げ姿勢に終始している。
こんな政府の取組姿勢では、せっかくの新産業の目玉になる「再生可能エネルギー産業」への、民間の新規投資と参入意欲には、冷や水をかけられている様な状況におかれる。

対照的に、アメリカの取組姿勢を鮮明にするオバマ大統領の演説は、経済の再生に対する熱意が伝わってくる中身である。
特に、金融バブル崩壊後の失業増大に対しては、徹底的に雇用に創出を重点政策にしている。
さらに、経済のデフレへの落ち込みを防ぐために、FRBとタッグを組んで、『インフレ目標』政策を採用し、物価上昇率2%目標を明確に打ち出している。
この数値を実現するために、金融緩和政策を断固として継続するという姿勢を鮮明にしているのだ。

日本のドジョウ首相は、リーダーシップを発揮するところが一切ない。(ただし、消費税増税だけは、政治生命をかけるとしている。)
総論的な解説調の羅列だけで、デフレの克服や新産業に取り組む姿勢が、トウリいっぺんの総花主義である。
全ては、官僚とその取り巻きの提案が上がってくるのを待って、世間の反応を見ながら、調整型の決着をして行くだけの政治スタイルである。

こんな調子で、また1年以内に首相交代の時期が、巡ってくるのだろう。

日本の経済成長の低迷と物価下落は政府の無策を実証。

2012-01-25 | 経済問題
2011年度の経済成長率は、マイナスに陥る見込みだと、報道された。
消費者物価もマイナスで、デフレ経済は依然として進行中である。
2002年から2007年は低成長であったが、それでも実質経済成長率は、1.5~2%程度を維持していた。
2008年以後は、アメリカの金融破綻によっての大不況の影響で、マイナス成長となったが、2010年には回復傾向であった。
3・11以降の災害の影響もあるが、無策では日本経済は低空飛行のままになる。

野田内閣はこの様な実情を知りながら、経済の活性化に対する施策を全く打ち出せないでいる。
大震災被害からの復興だけは、何とか取り繕っているが、この投資効果による経済活性化は2~3年ほどで薄れて行く。
2014年4月から消費税を8%に上げる法案を、政治生命をかけて進めるなどの、経済政策オンチぶりを振りまいている。
野田政権発足以来、経済活性化に貢献できる政策は、進展がないに等しいのだ。

新産業の要となる「再生可能エネルギー産業」の活性化に大きな効果が期待される『再生可能電力の固定価格買取り制度』が、菅内閣の粘り腰で、2011年8月に成立したが、実施策の具体内容を決める委員会の人選でつまずいて、国会で差し戻しになってしまった。
これで、民間企業の事業参入の勢いにブレーキをかけて、政府の取組姿勢の本気度に疑問を持たせるテイタラクである。
[TPP]参加騒ぎでは、政府の産業政策の未熟ぶりを露呈し、国内産業の育成に対する腰の定まらない不勉強をさらけ出した。

この様な実績では、民間企業が大量の内部留保資金を持っていても、国内での新規事業への投資を決断するリスクが大きすぎる。
それよりも、海外への事業展開に力を入れた方が、業績拡大のチャンスが大きいと考えるのは当然である。
生産設備の更新をしたり、拡大を検討する時に、円高、人件費、物流経費、エネルギー経費など、どれをとっても日本国内への投資は、割が合わない。

「野田政府は、海外の政府よりも不安が大きいので、今は投資をしたくない」、というのが世間の評価である。
それでも値上げ(増税)ばかり主張する経営者は、経営感覚ゼロである。

国際商品化万能の意識を転換すべき、ガラパゴス商品。

2012-01-24 | 経済問題
日本の経済を活性化させて、国内の雇用を確保して労働分配率を上げてゆく。
これは、誰も異論がない方向で「総論では賛成」している。
しかし、具体的政策となると、日本政府と自治体行政の迷走によって、ここ20年間は成果をあげていない。
当ブログでは、「モノ作りでも海外でできる様な分野はテコ入れしない」と提案して来た。
[IT産業]の様に、国が大金を投入して保護育成してきても、業界は国内需要だけでは成り立たないとして、海外にほとんどの生産拠点を移してしまった。

この様な事例は、枚挙にいとまがないが、それでは日本でのモノ作り産業は、ゼロで良いのか、という疑問が出る。
その答えとしては、「日本独特のカテゴリ―商品」か、または『高付加価値商品』の分野において、モノ作り産業は日本経済の活性化に貢献できる。
価格競争力に頼らないで、『高付加価値』の魅力で市場に伸びてゆく商品、サービスを、堅実に育成して行く事が基本政策であろう。
だが、この産業育成路線は、長い時間と継続的な努力が必要である。

それでは雇用確保がままならないと、異論をぶち上げる経済評論家が多いが、代替策を持っているわけではない。
そこでの代替案は、「日本独特のカテゴリ―商品」を、できる限り広い分野で、長い期間に渡って維持することである。
具体的に自動車産業の例でいえば、日本独特の規格『軽自動車』を、もっと積極的に育成する事である。
この「日本独自の軽自動車」は、道が狭い市街とか山間部で使いやすく、年寄・女性が便利に利用していて、最近では若者も関心を高めている。

車幅が狭く制限され、エンジンの排気量も国際的には小さく抑えられているので、国際商品にならない【ガラパゴス規格】を長年に渡って守ってきたと、悪口を言われ続けてきた分野である。
しかし、それが返って、海外生産への移転を防止して、自動車の生産コストを低減させる技術を進化させた。
日本の人件費で製造しても、消費者に十分に受け入れてもらえる価格で提供出来るレベルである。

価格が安いのが善ではなく、消費者が受け入れる価格で提供する事が善なのだ。

海外生産に移転するのを覚悟して、産業育成を判断せよ。

2012-01-23 | 経済問題
日本の経済停滞の根源には、長期の円高傾向が続いていることにある。
実力以上の円レートが続いてしまう原因には、アメリカの金融偏重の成長政策の破綻で、バブルが崩壊して経済が破綻寸前になっていることである。
オバマ政権になって、必死に財政出動をして底が割れない様に支えているので、ドルが過剰に流動する様になりドル安が続く。
それに加えて、欧州のユーロ圏の経済弱体国が、実力以上の国債依存体質に陥っていたのを、国際投機集団に狙われて国債の暴落をしかけられている。
その影響で一気にユーロ安が進み、経済の停滞が長引く様相である。

その様な理由で円高傾向は続き、輸出依存産業はマスマス、価格競争力は不利になる一方である。
アメリカや欧州の経済停滞を理由にしていては、企業経営者は解任されてしまうので、人件費ダウンや、海外への製造拠点の移転を加速するばかりになる。
もう明確になっているコトは、価格競争力に依存する商品は、いずれ海外に生産が移るのだから、その覚悟を決めた上での、日本経済の立て直しを図ることに尽きる。

その具体策は、『内需依存型産業へ重点投資』を実施しての、経済活性化である。
つまり、「海外に移転する可能性がない産業を徹底的に優遇」して、産業発展させるのだ。
月並みなモノの製造業は、国策で保護する事を止めて行く覚悟を決める。
交通産業や運輸業は、海外移転はあり得ない産業で、この分野は『人件費を極力上げて行く政策』に転じる。
販売業、コンビニなどのチェーンストア業界、外食産業、中食産業など、内需型の産業では、『労賃を毎年上げて行く長期計画を実施』する。
さらに将来性のある新産業を開拓して、雇用機会を増やすことに最重点をおく。

ここで判断を間違ってはいけない。
新産業分野でも、電気自動車用の2次電池、例えばリチウムイオン電池などに、政府がテコ入れして補助金を莫大につぎ込んでいるが、結局、大量生産する段階では、海外に製造拠点が出て行ってしまうのだ。
それをくい止めようとしても、中国などの新興国が力をつけて追いつき、結局は価格競争力で、かなわない状況になる。

つまり、モノ作りでも海外で出来る様になる分野は、テコ入れをしないことだ。

国内の経済活性化に不可欠な賃金アップを内需産業から。

2012-01-22 | 経済問題
日本の経済がいつまでたっても元気が出ないで、低成長を続けているのは、政府と産業界の認識が時代遅れになっているからである。
民主党の野田代表が選ばれ後、すぐに経団連にあいさつに行ったりして、1970年代の情景を思わせる時代錯誤ぶりであった。
自民党の谷垣総裁も、経団連に媚を売る様な姿勢で、今でも【重工長大産業】を後生大事にすることに、頭がすっかり固まってしまっている。

重工長大を重視する姿勢は論外だが、1980年代に日本経済をけん引した「家電産業」や「自動車産業」も今では主力の座を降りる段階である。

勤労者の賃金水準を上げることが、総需要不足の日本経済を活性化させる根本的な対策である。
その一環での、「賃金引きあげの春闘」では、国内需要型の産業が、賃上げを牽引して行くことになった。
内需産業で、コンビニの売上が、前年比で8%増加して9兆円近くになった。
これは業界の努力で商品を増やして消費者を呼び込んだ効果である。
その売り上げ増加を、コンビニ従業員の給与増加に結び付けるのが、業界と政府の重要な責任である。

交通産業や運輸産業は、9割以上が中小企業で、大手企業よりも賃金水準は7割程度、ボーナスは3割にとどまる。
この様な格差を放置してきた賃金政策を、頭を転換して改善策を実行すべきだ。
確かに、人件費の増加を安易に料金の値上げに転嫁する様では、経済に悪影響を与えるばかりである。
省エネ化へ投資を積極的に支援し、得られた電力、燃料費節減の効果を人件費アップに回すなど、勤労者の賃金水準を上げる政策を徹底的にすすめるべきだ。

日本が経済停滞に陥った最大の原因は、重厚長大産業、それに家電、自動車産業などの、大手企業で輸出志向型の業界に、有利なことばかりを実行してきたことにある。
輸出指向企業は、「円高に伴う価格競争力を維持する」と称して、勤労者の賃金を抑えて、非正規雇用者の比率をあげてしまった。
1990年代から労働分配率の長期低下で、国内の購買力が大きく抑制された。

増税路線に走る前に、国内総需要の増加策路線に頭を転換する事が必須なのだ。
民主党政権は、大手企業の労組の代表が多いので、転換できないというのか。

値上げを了解してもらうには、身を削る潔癖な志を貫け。

2012-01-21 | 経済問題
東京電力の料金値上げが、経済産業省の「電気料金制度・運用見直しに係る有識者会議」で、検討されることになった。
また例によって、経産省内の原子力村・電力産業擁護に偏った「似非有識者が潜り込んだ」【見せかけの「有識者会議」】でないことを願うばかりである。
今回の値上げの理由は、原発を再稼働して欲しくないと消費者全体が望んでいるので、それの電力の代替には「既設の効率の悪い火力発電所」も動員して、化石燃料を消費して【発電コストが高くなった】コトが発端である。

原発ゼロ運転を望む消費者も、この理由ならば最小限の値上げも容認する。
問題は、その理由に紛れ込ませて、値上げの分を他の使途にも使って、経営合理化の努力を怠る事態になることである。
東電の経営体質の腐敗ぶりを徹底的に洗い出して、少しでも値上げ幅が抑えられる様にするのが、経産省、大臣の重要な責務である。
今までの様な、電力会社の杜撰な経営による甘い経費削減のままでは、値上げ幅が大きくなって、国民生活を犠牲にすることは明らかである。

ところが肝心の政府の方が、もっと足元がふらついている。
内閣の命運をかけての【消費税アップ10%】が、根拠が薄弱で、財務省官僚の言いなりになっていることが浮上した。
政府は『社会保障の充実』を財源面から保障するために、『税と社会保障の一体改革』との大目標で、昨年の9月の野田内閣発足以来の審議を重ねてきた。
ところが、税率アップ5%の増収分13兆5千億円のうち、1%分は「消費税引き上げに伴う政府支出増加2兆7千億円」と、もっともらしい名目としている。
だが、実際に社会保障関係での経費は9千億円で、残りの1兆8千億円は、公共事業や防衛費に回すことにしている。

この原案は財務省が作り、時の財務大臣野田氏は、このことを了解していた。
首相になったら、そのことをすっかり忘れて、消費税のアップは、「国民の皆さんが将来の社会保障の充実で安心して生活できる」ために実施するので、「政府の無駄使いになる様なことは一切させない」、と大声で言い張っていた。
そんな詐欺まがいの説明は、すぐにばれているのに、財務省主導の増税路線に乗せられて、1兆8千億円モノ官僚の無駄使い増加に加担していた。

岡田副総理は、その詐欺行為はダメとして、消費税アップ分のすべてを『社会保障充実』関係に回すと言明した。
首相を交代した方が良いだろう。

デフレ経済へ突き進む野田内閣は値上げを試金石にせよ。

2012-01-20 | 経済問題
電気料金の値上げに対して、政府は何もできない無策ぶりである。
東京電力が企業向けに電気料金を2012年4月から18%も値上げするとして、一方的に公表したことに、意見も言えない状況である。
さすがに、これではまずいということで、「一般家庭向けの電気料金」を、上げ幅を圧縮させるコトで、何とか体面を繕う様にしている。
その値上げ認可の条件として、東京電力に徹底したリストラ、無駄の削減を実施する事を求めるとしている。

だが、肝心の政府側が無駄使いの垂れ流し状態では、東電の無駄使い体質が見直されるにしても、大甘の状況になる恐れがおおきい。
東電の役員や幹部社員の給料が高すぎるコトは、以前から言われていた。
一般企業よりも高い給料水準のままに、企業向けの電気料金を上げることが、「自社の権利である、と宣言する殿様商売体質」のままで許されるわけがない。
電気料金を18%アップさせるならば、給料を18%カットすべきだろう。

当然だが、役員の特権はすべて返上すべきであろう。
個室の廃止をはじめ、送迎の役員用社用車は、廃止して売却処分する。
本社社屋は売却して、面積を縮小して賃貸にする。
そのほか、民間企業ならば赤字転落した場合に取るべき経費削減策は、すべて実施することだ。
そこまでやって初めて、殿さま商売からの脱皮をした経営努力を認め、最小限の電気料金の値上げを、容認する事が理解される。
そこまで徹底して実行すれば、国民の不信感は少しは和らぐだろう。

東電と同じ様な赤字体質の政府、行政官庁は、徹底したリストラと無駄使いの削減を実行しているだろうか。
民主党に政権交代してから、わずか1兆円程度のムダ削減が、事業仕分けであぶり出されたにすぎない。
今回、独立行政法人の4割削減を民主党の【行政改革調査会】でまとめ、政府は実行することになった。
ただし、独法の統合などの整理で、数を102から65に減らすことが決まっただけで、独法向けの予算が4割削減されるわけではない。

この程度のリストラ努力で、【消費税の値上げ】が国民から容認されるとは思うな。
地域主権の具体化に取り組み、2重行政のムダ削減こそが本命である。

日本の不安材料を取り除けない【不安増大内閣】はノ―だ。

2012-01-19 | 経済問題
野田内閣は原子力発電所の40年廃炉を決定しておきながら、原子力族の抵抗に押し切られて、例外規定として、運転延長が20年まで認められると、言い出している。
原発の発電コストが、火力発電(特に最新型の天然ガス発電)よりも割高であることが判明したにも拘わらず、まだ、今の原発を後生大事に運転を長引かせて、原子力族の存続を支援している。
国民の8割が『脱原発依存社会』を望むのに、それが見えない人種たちである。

世論の大勢は、電力需要が逼迫する時期には、原発の運転も容認せざるを得ないが、そうでない地域や季節には、原発は止めておくべきと考えている。
それから言うと、静岡県の浜岡原発は廃炉として、そのほかの20年未満の原発が13基もあるので、発電量が不足する心配は全くない。
なんで老朽化した40年以上の原発を運転しようというのか、不可解である。
「安全性が対策されていれば運転しても問題ない」といっても、電力会社と経産省の原子力産業関係者の隠ぺい体質を、国民は2度と信用はしない。

野田首相は日本の根幹の問題をまったく理解していない。
総需要不足の原因は、【現在の不安】と【将来の漠然とした不安状況】に備えて、国民も企業も【おカネを使おうとしない】ことにあるのだ。

役人天国の腐敗した行政と無駄使い。
政治家の数ばかり多く、不勉強で決定できない体質の無能力。
新産業の育成の取り組では、大幅な遅れによる雇用創出不足。
勤労者所得の慢性的な低下に歯止めなしの無策。
月並みな商品しかできない旧体質企業の停滞・堕落ぶり。

この様な不安材料には事欠かない上に、【エネルギー政策の大失敗】である。

世論の大勢が『脱原発依存社会』の明確になっているのに、このエネルギー政策すら、グズグズと原発存続、再稼働を引きずる優柔不断の内閣では、国民の不安は増大するばかりである。
さらに、国内農業などの地域社会の大元になる長期政策もなく、アメリカ主導ペースの[TPP]参加表明など、不安を煽る迷走ぶりである。
「社会保障制度の改革に役立つ財源」としての大義名分を掲げて、【消費税の増税】を目論むなどは、国民の不安を、さらに増加させるばかりである。

これでは国民はさらに支出を絞り、不安に備える。
間違いなくデフレ加速なのだ。

電力会社に牛耳られている政権は総辞職か解散すべき。

2012-01-18 | 経済問題
東京電力の値上げに対する反発が、一斉に沸き起こっている。
自分の責任で大事故を起こして、その負担を利用者に転嫁しようという「民間企業」は、聞いたことがない。
事故による損失の責任は、企業の経営合理化で最大限に払い、赤字になってもまず自社の資産を売却して、最後に売るものがない状況まで、経営努力を重ねるのが民間企業の常識である。
2年前に倒産した「日本航空JAL」は、国有化された後に徹底した再建策を講じて、運航に支障なく黒字化になった。

東京電力の送電・売電の地域独占制度が、民間の常識を通用させないのである。
この機会に『送電網事業の分離』をして、東電以外の発電事業者を最大限に参加させることが、安易な値上げを防ぐ最善の方策である。
原発の大事故の後に、従来から提言されていた『発電・送電の分離制度』を検討するとしていたが、その改革のスピードではまったく生ぬるい。
内閣の最優先課題として、今国会での政策決定をすべきである。

それには、「一般消費者向け電力の値上げ」を法律にそって却下することだ。
電気料金の値上げを認めれば、景気停滞の状況において経済活動を低下させる。
それは、野田内閣の増税政策と同じくらいに、消費者の需要減退を引き起こして、【デフレ経済の長期化】にマスマス拍車をかける。
その様な最悪の経済に引き込む【安易な電力料金値上げ】を、阻止できないような内閣ならば、即刻、不信任を突き付けて退陣させるしかないのだ。
東電を守って国民生活と経済の回復を犠牲にする様な、常識のない内閣は、日本にとって有害である。
今、衆議院解散を行えば与党はバラバラになり、政局は不安定状態に突き進む。

次期の政権の訴えるべき政権公約は、まず『隗より始めよ』の教えにそって、『議員歳費の半減、公務員給与の民間並みへの引き下げ』である。
その次は、電力事業の徹底改革、『送電・発電の分離制度』を先頭にして、民間活力を引き出す発電事業の近代化である。
その中身は、「再生可能エネルギー電力」の優遇と「天然ガス発電の増強」だ。

その間にどうしても電力不足の心配がある場合に備えて、日本全国で一番安全性の高い評価を得た原発を4基だけ残して、あとは廃炉にする『脱原発』だ。
この政策を掲げた政党の連立政権が、スタートする事で日本は再生できる。

値上げは国民生活を最下位にする、お役所感覚が元凶だ。

2012-01-17 | 経済問題
今さら東京電力の杜撰な経営感覚を批判しても始まらない。
しかし、それでも「電力会社」という前時代的な経営感覚が、他への悪影響を及ぼすので、あえて「再確認」をしておきたい。
原発大事故を起こした後、東電の交代した社長が、他人に責任であるかの様に、電力会社は民間企業であるので、「値上げをする権利がある。」と宣言した。
企業用の電力を2012年4月から2割値上げすると一方的に発表したのだから、お上意識の典型である。
これで契約電力50㌔㍗以上の約24万の事業所が、電力値上げの影響を受ける。

値上げの理由は、原発が停止して火力発電所の燃料費が急増したので、その分を消費者側に転嫁する、という理屈である。
しかし民間企業であれば、自社の責任によって損失が出たり製造コストが上がったからといって、「値上げは権利である」との態度で一方的に値上げをしたら、消費者が離れるのは当然である。
大手の事業者は東電管内での製造を減らして、他の地域に生産を移すであろう。
中堅事業者は、独立発電事業の会社から電力を買うことで、少しでも経費の節減に向かう。

企業と国民の「節電と省電力設備」への動きは、さらに加速するであろう。
これによって、省電力産業は活性化するが、節電に走れば経済活動を阻害する。
2012年の4月以降の動きが注目されるが、東電が値上げによる収入増加は、もくろんでいる年間5000億円には程遠い結果に終わるだろう。
安易な値上げ路線は、目論見どうりには進まないのが、民間の常識である。

しかし、お役所発想は全く民間の経営感覚が欠如している。
財務省のモクロミは、消費税を2014年4月から8%に増税して、税収を増やして、財政赤字を減らそうとしている。
だが収入が増えない国民は、消費税アップでは、他の買い物を減らすしかない。
結局、消費税を3%から5%に上げた時と同じ様に、需要不足の景気悪化を招くことで、日本全体の経済を停滞させる。
それでも日本国への収入が少しでも増えるから、財務省はそれでいいのだ!

財務省の官僚に取り囲まれての仕事しか経験していない野田氏は、民間企業での経験がないためか、「お役所感覚」がスッカリ染みついてしまった。
「ギリシャ危機」に驚いて消費税アップを叫んだ、菅直人の二の舞なのだ。