庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

官僚主導が腐敗に進んでいる農業の政官業癒着の今後。

2014-10-31 | 国創り政治問題

日本は世界でも農業が強いということは、あまり知られていない。

このブログでも、以前に「日本は世界第5位の農業大国」浅川芳裕著、講談社α新書(2010年2月)により、概要を報告した。

副題は「大嘘だらけの食料自給率」となっていて、農水省の国民への啓蒙が、日本の農地利用において「食料自給率」を最重視している愚を指摘している。

カロリーベースの食糧支給率が40%程度だから、日本はお米の自給を絶対に守ることが重要である、とする農水省の論法である。

 

しかし、農業の強さは、お米以外の農産物の生産性向上と全農業の生産額で評価されるのが正当である。

日本国民の食糧の価値は、カロリーだけを重要視する愚かさを脱して、一人当たりの農産物生産性と耕地面積当たりの生産額で、評価されるべきである。

これらの評価から、日本はすでに世界第5位の農業大国になっているのだ。

何故、この様な実力を評価しないで、農水省の官僚たちは「日本農業弱体論」を、問題として声高に主張するのか。

それは、お米農家を守ることが、多額の予算配分を受ける口実として最適であり、それには【カロリーベースの食糧自給率】を言い続ける必要があった。

 

ついに、お米農家を守るための「減反政策」が行き詰まりになって、自民党政権も方針を転換せざるを得なくなった。

お米の生産を自由化して、弱い農業者の救済に予算を回すことにした。

利権を持っている農協関係の「中央統制組織」を解体する方向に進みだした。

中央で統制する組織は、「農水省」の系列に集約するのが狙いで、政治家たちは【農業改革論】にのって、日本農業の成長路線化の船に乗り換えたのである。

『地方創生』と「農業の6次産業化、成長産業化」の謳い文句が、改革の旗印であるが、実質は、農業官僚と業界・農業族議員の癒着の強化である。

 

現在までの「食料自給率偏重」のお米農家保護政策が、明確に破綻していることは、誰の目にも明らかになった。

農業官僚は、この破綻を取り繕うために、「地域創生」の旗印を利用して、農協の中央統制組織に責任を転嫁して、「利権を奪う改革」に乗り出した。

欧州などの農業先進国のお手本が見えてきたので、官僚たちの政策推進能力は、発揮する場面が登場したのである。

これで当分の間は、農業官庁の存在意義を確保出来るので利権は増えるのだ。


日本の官僚主導に依存して活力を失った政治主導。

2014-10-30 | 国創り政治問題

自民党政権を構成している政治家は、以前は幅の広い層の意見を代表する集団で、保守的な政治家集団ではなかった。

見習うべきお手本があれば、それに追いつく様に「官僚機構の頭脳集団」が、政策を立案して、自民党の政治家が承認すれば、実行にかかれる。

いうなれば、「お手本追従型官僚主導政治」を主力とした政治家集団である。

これが、1980年代の終わりころから、お手本の事例が見えなくなって、「バブル経済の浮足景気」に翻弄されてからは、官僚の頭脳集団が迷走し始めた。

官僚機構に担がれた自民党政権は、バブルの後始末を逃げ回るしかできない。

 

この様な自民党の旧態依然たる政治を、「自民党をぶっ壊す」の掛け声で、バブルの後遺症にケリをつけたのが、小泉政権であった。

この時期には、官僚依存の既得権構造を破壊した成果はあったが、それでも明治維新からの中央官僚統制型政治は、大部分が温存されてしまった。

デフレ経済に落ち込んだ要因を、金融政策ばかりに押し付けたことで、労働分配率の長期的な低下に無策でいたために、デフレを一層長引かせてしまった。

底辺層の【働く人の実質的な賃金は低下】し続け、【豊かな中間層は減少】して、地方経済は活力を失うばかりになっていた。

 

中央集権の弊害を「政権交代の主眼」に据えて、多数派を占めた民主党政権は、「地域主権」が選挙公約であった。

しかし、官僚群の協力を得られない政治家たちは、能力不足を露呈して「政権担当した3年半」の期間中に、地域主権型の政治には全く進めなかった。

中央官僚の政策立案と実現する能力は、口先だけの政治家とは大きく違う。

結局、党内の意見対立が露呈しただけで、具体化できた政策は、「再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度」[FIT]だけに終わった。

この法制度は、地域社会での自立的な電力を供給する事業のキッカケをなる。

 

自民党政権が復活してからは、表面的には政治主導の体裁を保ちながら、中央官僚の政策立案能力で、中央集権的な制度の補修と強化が図られた。

官僚群は自分たちの権限が増えて、裁量の余地が生まれる政策には、真剣に取組むので、実現するのが確実になる。

従来の様に、官僚の知恵が表に出ることは避けて、政治家が自分で法律を成立させて手柄を立てた様に装うのである。

世論やマスメヂィアの反発にあったら、政治家の責任になる様に仕向ける。(続)


保守政権のぬるま湯に浸りきった自民党議員の不勉強。

2014-10-29 | 国創り政治問題

自民党政権の政治は、保守政党ということで、いつも守旧派の立場を重視する様である。

それでも、1980年代までの保守・革新の二大政党時代は、自由主義の政党として広い範囲の国民の意見を反映する、「幅の広い政策」を実現してきた。

福祉面や健康維持の「国民皆保険制度」の採用など、革新的な政策にもチャレンジして、世界の先端的な政策実現も実行してきたので、保守ばかりではない。

しかし、1990年年代バブル崩壊以後は、問題がおきても、既得権勢力の要求ばかりを優先した政策に偏り、多くの国民の支持を失ってしまった。

 

小泉政権時代に、「守旧派を抵抗勢力としてあぶりだし」て、果敢に既得権勢力の破壊に進んでいたので、一時的に自民党への国民の支持がひろがった。

しかし、小泉首相が退陣した後の、第一次安倍政権からは、大企業よりの【守旧勢力を増長させる政策】に陥り、国民の支持が目に見える様に落ちて行った。

遂に、民主党政権に交代させられて、野党に転落して「官僚の助け」を失って、政策立案能力を喪失した政党になり下がってしまった。

民主党政権の相次ぐ失策によって、政権に返り咲いた「第二次安倍政権」は、官僚の助けを得ることが出来たことで、体裁を保つことが救いになった。

 

ところが、官僚の能力も限界が見えて、「日本の将来の国創りビジョン」は、自民党政権になっても、一向に国民に説明出来る様に具体化しない。

とにかくデフレ脱却、経済成長促進にと、昔の夢を復活させるだけの、旧来の成長路線の復活を望んでいるだけである。

しかし、円安に誘導しても「輸出企業の一部が潤うだけ」にとどまり、大多数の企業と国民は、円安のデメリットばかりの負担を強いられる。

昔の土建国家並みの「公共事業の乱発」によっても、一部の土建業者が潤うだけで、人手不足状態で「経済の波及効果」は、ほとんど生まれない。

 

世界の潮流は、脱化石燃料の流れだが「再生可能エネルギー」の普及促進には、2000年代の初頭に【原発優先政策】をとっていたために、完全に出遅れている。

民主党政権末期の「再生可能電力の固定価格買取り制度」の影響で、太陽光発電だけが突出して、認定ラッシュを起こしてしまった。

九州電力は、対応ができずに早くもお手上げの【送電線接続保留】に逃げ混んで、新規投資に急ブレーキをかける迷走ぶりである。

自民党政権の不勉強ぶりは、様々な分野で、馬脚を現して迷走ばかりである。


将来世代に負担のツケを回すばかりの安倍自民党政権。

2014-10-28 | 国創り政治問題

原発の負の遺産を大量に残したまま、当面の電力の置き換え設備に「石炭火力発電」を急ぐのは、世界の潮流に背く行為である。

しかも国内だけでなく、「日本の環境技術の海外展開」と称して、途上国などの旧式の石炭火力発電を、日本製の新技術石炭火力発電は、発電効率が上がる分だけ、[CO2排出量]が削減されるから環境貢献技術だ、と主張している。

世界の環境保護団体は、この主張を手前勝手な「もうけ主義の典型」として、大きな批判を展開し、撤回を求めている。

 

日本は他の分野では、途上国に支援する拠出金を気前よく提供しているが、せっかくの日本の善意は、この石炭火力の輸出によって、帳消しになっている。

石炭火力発電の設備の輸出で、潤うのは「ホンの一部の大企業」だけである。なけなしの収入の中から収めた税金は、海外に支援をしても評価されずに、「日本は地球環境を無視した儲け主義の国、と批判を受けるだけになってしまった。

ここでも安倍政権は、一部の大企業の利益を優先し、大多数の国民に負担を回す「既得権擁護政権」の本質を露呈している。

 

それも現在段階だけで済む話ではなく、将来における新たな負担が膨らむことは、目に見えているのだ。

世界の潮流は先進国の責任として、[CO2排出量]の大幅削減を義務として果たすこと、を要求している。

2030年頃には、最優先課題となって日本の石炭火力発電からの[CO2排出量]を半分以下からゼロのレベルに引き下げる必要がある。

その方法として[CO2排出の地下貯留]しか、可能性が見つからないので、日本の領土、領海内での【地下貯留】が可能な場所を開拓しなければならない。

そこを【地下貯留場】として建設し、[CO2排出]を分離しても輸送して、貯留するには、膨大なコストがかかるのである。

 

これらの費用は、2030年代の日本の電力消費者が【電気料金で負担】で賄わなければならなくなる。

いまの段階で「電気料金を抑制」するために、一番安価な【石炭火力発電】を増やすことは、現世代の負担はないが、将来世代が負担増加分をすべて負うのだ。

この構図は、原発の使用済み核燃料の最終処分や、廃炉後の放射性廃棄物の処分費用を、楽観的に扱って、いまだに技術も費用も不確実の状態にそっくりだ。

この不都合な費用を先送りして、当面ダケをしのぐ「自民党政権」の悪弊である。


石炭に依存する安倍政権は中国並みの発展途上国に転落。

2014-10-27 | 環境問題

原発の安全性は、国民の支持を得るのは、困難であると肝に命じるべきである。

産業界と電力族の「政官財癒着既得権層」に対する配慮からか、(いままでの政治活動資金源であったから)律儀に【原発再稼働】を口にしている。

だが、原発を抱え込んだママのエネルギー政策を採ることは、将来に政治的なリスクを負うことになる。

だから、原発に代わる安価な発電設備が早急に必要である、として、「石炭火力発電の促進」に突き進んでいる。

 

確かに、最新式の石炭火力発電は、発電効率も高いので、旧式な石炭火力よりも発電コストは安価になり、[CO2排出量]も2割近く削減される。

しかし、天然ガス火力発電よりも、[CO2排出量]は2倍くらいに増加する。

安倍政権は、将来のことは棚に上げておいて、とにかく当面のエネルギー、電力を安価に抑えて、経済活動への障害を除きたい一心である。

経済政策の第一の矢「超金融緩和」では、輸出企業だけが潤って、大多数の企業と国民は、円安による負担ばかりを増加して、不満が限界に達している。

だから、電力価格を抑えることに必死なのである。

 

だが、世界の情勢は安倍政権のモクロミとは、まったく違った方向に進む。

先日(10/20~25)まで、ドイツのボンで気候変動会議が行われていたが、それに先駆けて、9月23日ニューヨーク国連本部で各国首脳を集めた国連気候変動サミットが開催された。

国連総会の開催を1日遅らせても、このサミットを開催した意義は大きく、環境問題解決に向けた世界の期待値が高いことを物語っている。

京都議定書に続く枠組みを2015年末の合意を目指し、各国は意欲ある削減目標の提出を目論むが、日本は安倍政権の消極的姿勢で大きく出遅れている。

 

日本の削減目標は、2020年に2005年比で3.8%削減と、世界では最後尾の目標数値で、大きく批判をされている。

2030年に向けての目標では、『EUは志を高くの謳い文句で40%削減』である。

これに遅れては大国の威信にかかわると、アメリカと中国も前向きになった。

日本だけは、目標を示すことも出来ず批判をまともに浴びている。

その様な状況であるにもかかわらず、石炭火力発電の大増設で、逆向きに走っているのは、中国の様な石炭主力の発展途上国レベルに合わせるつもりか。

だが、石炭依存は将来には大きなツケが回ってくることは確実なのだ。(続)


原発に懲りて石炭依存に政策転換したアトは神頼み。

2014-10-26 | 経済問題

安倍政権は原発への依存度を引き下げるためには、「電力会社が新設する石炭火力発電」に置き換える腹つもりの様である。

2014年10月時点で国内に新規建設される「石炭火力発電」の規模は、25基で、発電能力は1346万kWに達する模様である。

これらの石炭火力発電は、2016年から稼働が開始され、2020年頃には増設が次々に稼働して、ピークに達する。

現在は「天然ガス火力発電」が、化石燃料使用では[CO2排出]が一番少ないレベルだが、【石炭火力発電】は最新技術の設備でも、2倍以上の排出になる。

 

安倍政権は、2012年に閣議決定している「2050年に80%削減」の目標には、完全に逆行する政策に転換してしまった。

何故、この様な愚かな選択をするのか、理解に苦しむ「無神経さ」であるが、どうやら、円安誘導による「化石燃料費用の膨大な増加」が、経済活動の足かせになる、との景気後退恐怖心からであろう。

なにしろ、現在の世界情勢では、石油の高どまり傾向は今後も続くし、中国などの動向次第では、さらに価格が上がり続ける。

天然ガスも、アメリカ産の輸入の目途は立たず、値上がり傾向は避けられない。

 

そこで、もっとも価格が安定して安価な石炭火力に依存した、電力構成にしようと目論んでいる。

だが世界の「地球温暖化対策の強化」は、待ったなしの動きになっている。

EUは世界に先駆けて、2030年には1990年比で40%の排出削減を目標にすると決定した。

この目標実現に向けて、「再生可能エネルギー」の更なる普及促進政策を打ち出す準備を、着々と進めている。

 

日本の安倍政権は2030年に20%程度の削減目標を掲げるだけで、それも、実現は危ういので、国連での削減目標の提示を先延ばしを図っている。

石炭火力発電を大増設した後での削減は、[CO2の地下貯留]が技術的手段となっているが、現在の段階では技術的には可能でも、処理施設にかかる経費は大きく膨らんでしまう。

石炭火力発電だけなら安価な電源といえるが、[CO2の地下貯留]の設備を後処理設備として併設すると、発電コストは2倍に膨れあがる。

短期の電源として石炭火力に置き換えた後は、神の助けを請うしかない様だ。


地球環境問題にまったく無関心の安倍短期政権は・・。

2014-10-25 | 快適エネルギー社会問題

国連の気候変動問題に対する世界各国の流れが、着実に動き出している。

しかしながら、日本の動きは安倍政権になってからは、この動向にたいして、全くと言ってよいほどに無関心を装って、逃げ回るだけである。

それどころか、現実に打ち出す動きは、すべてが、逆行する政策ばかりだ。

このブログで、7回に渡って批判した「リニア中央新幹線」の計画の認可は、その最たる事例で、旧時代感覚のママ「超高速鉄道の拡充」に突っ走る。

省エネルギー化に逆行するインフラを増やそうと言うのだから、呆れかえる。

 

鉄道や発電所をいったん造ったら、50年間に渡って、その影響が社会全般に及ぶのだが、安倍政権は全く短期的な思考しか出来ない。

第一次安倍政権が「超短期政権」であったから、今回の第二次安倍政権も、「短期的な視野の政策」しか、考えるスベがないのだろうか。

デフレ脱却を目指すにしても、長期的視野ならば、「賃金デフレの克服」に主眼を置く必要があるのだが、「おカネを大量に市場に供給」する短期政策だけだ。

脱原発依存では、長期のエネルギー政策を深く検討も出来ずに、短期の【原発再稼働】を急ぐだけで、原発依存度を下げる計画は空文のままだ。

 

2050年の大きな目標である「温室効果ガス80%削減」の時期には、原発は確実にゼロになることが、国民の願望である。

それ故に、「再生可能エネルギー」の最大限の普及政策は、最優先であるにも拘わらず、送電線網の拡充・強化は、電力会社任せの無責任姿勢のままだ。

短期的には、原発停止を補っている「老朽化火力発電」は、早急に新鋭の火力発電に代替して行く必要がある。

本来は、その役割は「天然ガス発電の最新鋭化」で賄うべきであるが、電力会社と一緒になって、「石炭火力発電所」の大増設の政策にのめりこんでいる。

 

いまの段階で、「石炭火力発電所」を新設すれば、これによる【[CO2排出]の大幅増加】は、50年以上も日本の責任になってしまう。

2030年の目標達成も危ぶまれている状況で、さらに、排出増加に邁進するなどは、「リニア新幹線の建設」の愚かさを、【10倍以上も上回る愚の骨頂】である。

いくら短命の象徴政権でも、この様な短期的な視野の政策ばかりを乱発されては、あとの転換を引き受けざるを得ない政権には、大きなお荷物だ。

今すぐにでも、石炭火力発電の計画は、天然ガス火力に転換することだ。

そうしておけば、あと始末に要する費用は、次世代の負担を軽くする。(続)


迷走のエネルギー政策の懸案から逃げ回る安倍政権。

2014-10-24 | 核エネルギー・原子力問題

安倍政権のエネルギー政策は、日本の将来をどの様にして行こうとしているのか、さっぱり解らない政治姿勢である。

脱原子力を国民の大多数が望んでいるのに、原発は維持する方針にこだわって、核燃料の再処理を進める方針は変えようとしない。

青森県六ケ所村の再処理工場は、計画をはるかに上回る予算を投入したにもかかわらず、まだ問題だらけで完成しない。

放射性廃棄物の最終処理も、方針が決められないまま、原発の再稼働だけは、電力会社の都合を優先して、安全対策は不十分のままに進め様とする。

 

安倍首相は、政権の公約で、「原子力発電への依存度はできるだけ減らして行く、と国民に説明している。

その上で、「再生可能エネルギー電力】は、最大限の導入を徹底して進める、と施政方針演説で強調した。

ところが、九州電力管内で発生した「再生可能発電設備の接続保留」が、唐突に宣言されて、再生可能電力の投資意欲に冷や水を浴びせたのだ。

その理由にひとつに、九電管内の原発を再稼働すると、再生可能電力の接続分は過剰な電力になるからだ。

 

つまり、九州電力の方針は、原発の電力を流せる送電線の容量を確保すると、新たな再生可能電力は過剰であるから、送電線に接続させない、と決めた。

あまりの身勝手な宣言に、九州電力管内の怒りと批判が、九電に向けられた。

慌てた九州電力では、小口の50KW未満の太陽光発電の接続は認めることに変更して、批判の矢を当面は逃げる姿勢である。

しかし再生可能電力は、天候に左右される発電量の変化で、必要な時に電力不足を起こす恐れがあるので、元々、電力会社は、後回しにしたがる。

安定供給義務のある電力会社では、接続を拒否できる法制度になっているのだ。

 

この様な事態を招いたのは、法整備が不十分なままに、再生可能電力の増強を謳い文句にした安倍政権に責任がある。

その一方で、原発の再稼働を進めたがる電力会社の都合だけで、再稼働の後押しをする経済産業大臣の発言が無責任に流れる。

原発への依存度をできる限り下げて行くとの政権に方針も知らずに、原発依存は3割程度にすると、依然と変わらない割合で依存するつもりだ。

エネルギー関係の懸案がヤマズミである経産省は、大臣抜きで運営されるのだ。


経営上のリスクを十分に検討するのが経営者の責務だ。

2014-10-23 | 交通問題・自動車

JR東海の経営者は、暴走気味の中央新幹線を、【リスクの検討を大甘にした計画】を、国土交通省の審査を通過させた。

将来の鉄道のあり方の検討もしないで、とにかく、世界最高速の実現に執念を燃やしている様だ。

しかし、次世代に残す重要な遺産であるから、拙速に決めてしまっては、【負の遺産】になりかねない。

もっと、謙虚な姿勢で科学的、合理的、人間的にじっくりと考える必要がある。

一度、頭を落ち着かせる狙いで、10年間のモラトリアムを設定するのが良い。

 

まず、なぜ2027年までに、名古屋までの中途半端な開業をいそぐのか。

2045年までに大阪までの全通を目標にするならば、工事の開始を10年間遅らせても、実現可能であろう。

その方が『負債の利払いを減らせる』ことができる上に、『工事費のコスト削減』や『車両・システムの完成度』を上げることができる。

JR東海社長は記者会見で、【様々なリスクの指摘を受けた答え】として、2027年の開業時期を変更することも考慮している、と答えた。

 

日本の国策が、「地方創生」に大きく転換する時期に、中央集権、大都市発展重視時代の「超高速鉄道インフラ」の大規模な拡大が必要なのか、再考すべきだ。

安倍政権は、当面の景気対策ばかりに頭が埋没して、2030年に向けた日本の重要課題が見えなくなっている。

成長産業と期待される「再生可能エネルギーの普及目標」を低めに設定して、民間の投資意欲を削ぐ「腰の引けた政策」ばかりである。

鉄道関係での投資を促すには、より一層の省エネ目標を目指すべきだ。

 

その目指すべき『将来のエネルギー戦略』に沿っているかが、今回の「第二東海道新幹線」(中央新幹線)の、基本的な審査の対象である。

国土交通省まかせでは、世界の中の日本の責務を果たすことができない。

さらに長期の将来目標として、2050年には、1990年比で、「温室効果ガス」の排出量を80%削減する義務が掲げられている。

実現には並大抵の努力では達成が困難であるが、この様な高い目標に向かって、国民全体で新技術と省エネルギー化の向かって行く事が、活性化になる。

その様な、全体の流れをしっかりと見れば、【リニア中央新幹線の計画】が、如何に無謀で逆行しているかが、ハッキリするだろう。


JR東海の経営陣のリスク想定は大甘の楽観的姿勢だ。

2014-10-22 | 交通問題・自動車

ここまで、このブログで「リニア中央新幹線」の工事認可と開始決定に、批判を書き続けてきたが、納得出来ない読者もいることでしょう。

日本の国民は、やはり世界一、世界初という新技術への夢と誇りを持ちたい等願望が強いのだから、当然であろう。

だが、これからは、世界の難問が次々と深刻化する上に、日本の人口減少という最大の国難が襲いかかってくる。

いままでの様な楽観的な予測と期待だけで、技術の進歩を盲信してはいけない。

あらゆる側面からも、リスクの大きさを予測して、対処しなければならない。

 

人口減少問題は、すぐには影響を予測できないし、対策もこれから始まる長期的な最大リスクであるが、ひとまず、次のリスクを検討しよう。

地球環境問題は、日本が[CO2排出]削減義務を負わなければならない、として、鉄道関係事業者の責任はどうなるであろうか。

JR東海の経営陣は、鉄道はもともと交通インフラの中では、省エネルギーであるから、これ以上の責任を負わないで済むと楽観的に見ている様だ。

これが、大きな判断の誤りで、大企業はすべて均等に、現段階よりも「2030年の削減目標」に向けて、最大限の削減義務を課せられる。

 

2027年開業時に、「リニア新幹線」の消費電力は、74万KWと想定されている。

環境省と大臣は、「これほどのエネルギー需要の増加は看過できない」と注文を付けたが、無視された様である。

それと東海道新幹線の消費電力、在来線鉄道の電力、施設の消費電力をすべて

現段階よりも半減させる義務が法律で課される公算が大きい。

その対策としては、省エネに加えて再生可能電力を購入するか、設備を自前で建設する必要があるが、その経費増をJR東海は検討もしていない様である。

 

国交省は、「開業時まで車両や施設の省エネ化が進む」とノーテンキぶりだ。

それならば、モラトリアム期間10年の間に、どの程度の進化が実現出来るか、既存の車両や東海道新幹線で省エネ実績を示して、国民に説明をするべきだ。

建設工事費の算出も、品川~名古屋間の工事費が従来の見積もり4.6兆円から5.5兆円に増加している。

短期間の間に、1.2倍に工事費が増加していることは、2027年の開通時までの工事費の増加が懸念されて、見積もりが大幅に狂うリスクがある。

さらに超金融緩和の終結時に、借入金利の大幅アップのリスクも想定すべきだ。


リニア新幹線の建設開始は10年間遅らせるのが正解だ。

2014-10-21 | 交通問題・自動車

JR東海が、東海道新幹線の補完的な第二新幹線を必要としている背景は理解が出来るにしても、その具体策に「リニア方式の新幹線」は適していない。

その理由は、あまりに環境負荷が大きく、建設費も運行費も高い交通インフラになるので、「地域創生」に役立たない上に、お荷物になりかねないからだ。

少なくとも、現在の新幹線技術よりも運行に要するエネルギーは、減少させる技術を基盤にすることが必須である。

現在の社会的要請と将来に地球環境問題の観点からは、省電力は必須である。

 

自動車の進化の方向は省エネルギー化であり、長寿命化による省資源である。船舶技術の進化も省エネルギー化と、再生可能エネルギー燃料への転換だ。

航空機において、省エネルギー化の競争は一層促進され、さらに使用燃料は将来に向けて「バイオマス燃料」への転換が課題となっている。

現在時点では、世界のあらゆる交通手段が、省エネと脱石油に向けて最大限の努力を払い、2027年時点では、かなりの進歩を遂げているであろう。

その時点で、大電力を消費する「超高速鉄道」の開通は、世界のモノ笑いの対象になる可能性が大きいのだ。

 

今でこそ、「夢の超特急の革新」として、世間に期待されると思い込めるが、2027年の段階になっても、言い切れる自信があるのか。

JR東海社長は、「我が国の交通政策史上に残る、日本が誇る新技術の実現」に向けて夢が動き出した、と記者会見で述べた。

2045年の品川~名古屋~大阪の全線開通時に、「日本が誇る新技術の実現」と言える人が、何人残っていると考えるのか。

いまの段階では、省エネルギー化、人口減少対策の具体化の進展をみることにして、10年間のモラトリアム期間を設定する必要がある。

 

この間に世界の地球気候変動問題の進展が見えてくる時期が明らかになる。

日本は最大限の努力をはらって、[CO2排出]削減に向かわなければならない。

大企業は最大の責務を担って、省エネルギー化に向かわざるを得なくなる。

JR東海は、その時期になって、「リニア方式」に固執したことを悔やむだろう。

安倍政権の掲げた「2050年で人口1億人維持」の人口減少対策は、東海道ベルト地帯の交通量の動向が、どの様な影響を受けるか、もっと見えやすくなる。

それでも、第二東海道新幹線が必要ならば、着工も覚悟してやればよい。

この10年間に、大阪までの工事費も積み立てておけば、一気に全通出来る。


安倍内閣と国交省の無責任がJR東海の無謀計画の原因。

2014-10-20 | 交通問題・自動車

国土交通省はJR東海の「リニア中央新幹線の工事実施計画」を、審査した結果、計画を適当と判断した。

あくまでも工事の技術基準への適合や、工事予算の妥当性の審査にすぎない。

環境への配慮を審査したとなっているが、地球環境問題の温室効果ガス(CO2排出)に対する適正さは、まったく考慮に入っていない。

そもそも、安倍内閣は、世界の潮流である「温室効果ガスの排出削減」には、全く後ろ向きであり、大企業に対しての削減努力を要請すらしていない。

 

来年には、国連の気候変動枠組みの交渉で、各国は削減数値を提示して、2020年~2030年に向かての削減努力目標が、国際的に審議の対象になるのだ。

その時になってから、慌てて「省エネルギー化」「CO2排出削減」に関して、民間企業に義務を課す規制を論じても、このリニア計画は障害になるだろう。

一方で大幅に排出増加をする計画を認可しておきながら、他の企業へは、負担を強いる「CO2排出削減」の義務を規制で実施するなど、理屈が合わない。

「省エネルギー化」「CO2排出削減」は、経済産業省と環境省の管轄であり、国土交通省は、その国際義務には何も関与しない、では済まされないのだ。

 

安倍政権は2050年には、人口規模を1億人以上に維持する長期目標を策定した。

その具体策はまだこれからであるが、その1億人維持すら困難とされている。

それにも拘わらず、JR東海の計画では、「リニア中央新幹線」を大阪まで延伸する構想があり、2045年には全通させる計画である。

今よりも二割以上も人口が減り、しかも、多くは高齢者が増える傾向であるから、大都市間を高速で移動する必要性のない人口構成になるのだ。

しかも、これから「地方創生」の号令ともに、東海道ベルト地帯への過度の集中を避ける国策を実行する方向に転じる。

 

JR東海は、東海道新幹線の運行で、売上高の7割以上を占めているが、利益のほとんどが新幹線頼りである。

この様な体質のママ、さらに品川~名古屋~大阪と2重の投資になる路線を新設して採算性が成り立つ可能性はほとんどない。

JR東海社長は、【東京、名古屋、大阪の拠点にさらに人が集まる】と予想して、売上額や利益が増える未来を描く「楽天的見積もり」に終始する。

もし、ヒトの往来が減少して売上減になれば、東海道新幹線の運賃を値上げして、リニア新幹線の赤字補てんをする魂胆であるなら、許されない欺瞞である。


JR東海の経営陣は頭をカラにして一から考え直すべき。

2014-10-19 | 交通問題・自動車

『地方創生』にとって必要な「次世代の鉄道インフラ」は、どうあるべきか。

この議論は今までの経緯では、まったく議論も研究もされていない。

高度経済成長時代には、大都市間を高速で快適安全な鉄道を結ぶことが、大きな経済的メリットを生む、と明確に判っていた。

それを具体的に実現するには、戦前から構想のあった「弾丸列車の技術的な完成」であり、当時の国鉄技術陣と先見の明のある経営者の実行力であった。

新幹線技術を実現して、見事に日本の経済発展を支えて、国民の生活にはなくてはならない交通インフラが拡充されたのである。

 

しかし現代において、さらに超高速が必要であるかは、大きな疑問である。

リニア方式は車体を空中に浮かせるために、【多量の電力を必要】で運行経費が高く、路線上のすべてに高性能の磁石を設置するから、建設費も膨大になる。

これからの日本は、省エネルギー化の促進をさらに進めて、電力の供給も「火力発電から再生可能エネルギー電力」に転換して行く必要がある。

2027年においては、JR東海が消費する電力の半分以上は、再生可能電力で賄う責任がある。

それには、今からでも積極的に自社で消費する電力を、再生可能電力(風力、地熱、バイオマス発電など)に切り替える経営計画を立てる必要がある。

 

この様に、次世代の新幹線を計画する前提としての課題は、ヤマズミである。

第一に、「地方創生」の方針に沿った適切な鉄道インフラの具体像の策定だ。

次に、現在の新幹線技術の省エネルギー化を革新するには、どの様な方式へ変革するのが良いか、の技術的挑戦である。

この観点からすると、「リニア方式の新幹線」は、技術的に落選する筈である。

第三に、現在の東海道新幹線で消費する電力は、すべて「再生可能エネルギー電力」に転換する計画を、国民に提示すべきである。

これらの計画を示したうえで、沿線住民と自治体の理解を得る段階に入れる。

 

国土交通省が建設計画を審査して、建設にゴーサインを出したのは、明らかにこれらの必要な検討課題を、すっとばして、暴走しているだけである。

どうやら、リニア方式の新幹線を、中国に【先を越されて実現されたリベンジ】を、この中央新幹線建設で晴らすことが、前提になっている様である。

だがこの様な、まず「リニア方式ありき」の無謀な計画は、確実にどこかで破綻を招く恐れがあり、強引に実現しても負の遺産になることは確実だ。(続)


大都市集中の国創りを止めるのに反するリニア新幹線。

2014-10-18 | 快適エネルギー社会問題

JR東海の経営陣は、将来に負の遺産を残す懸念がある「リニア中央新幹線」の工事を、来年にも開始する計画を暴走気味に走りだした。

安倍政権は遅すぎる転換であるが、「地方創生」を最重点政策に掲げる。

都市部の経済ばかりが発展しても、国が衰退する流れを止めることはできない。

豊かな地域社会こそが、日本の特質が活かした文化を熟成させることができる。

大都市の間を高速で結ぶことで、高度経済成長時代の夢を追いかける旧時代人間には、地方創生の意義が全く判っていないのだろう。

 

現状のままの人口減少が進むと、地方の経済的な衰退は加速して、半分近くの自治体は消滅の危機に向かってしまう。

この人口減少に対して、「国民の94%が望ましくない」と答えている。

「人口増加するよう努力すべき」33%、『減少幅が小さくなるよう努力すべき』は23.5%、「現在程度の人口を維持すべき」は18.6%である。

国民の75%が人口減少に最大限の対策をするべきだ、としているのだ。

安倍政権は、まずは「地方創生」の旗印を掲げて、人口の増加の役割を地方の人たちに期待をかけるしかない。

 

大都市圏の生活環境は、金銭的、利便性には優れていても、子育てには適さない環境で、東京都などは、出生率1.27の平均値をはるかに下回る。

この様な一極集中的な経済発展が、人口減少に拍車をかけたのは明らかである。

それにも拘わらず、2007年に「JR東海の経営判断」で、全額を自費で建設する「リニア中央新幹線」の計画に突入したのである。

この時期にはすでに人口減少は深刻になっていたのだが、JR東海にとっては、

「リニアは東海道新幹線の別線」というのが、本質的な性格だ、と説明する。

大動脈の東海道新幹線が、津波や地震の災害で、マヒした場合でも、「リニア中央新幹線」があれば、経営が続けられる、という理屈である。

 

しかし、JR東海の経営問題よりも、日本の人口減少対策の方がはるかに大きな問題で、最優先されるべきである。

それならば、第二新幹線(東海道かどうかは別)の計画をあたって、これからの国創りの方向に沿って、地方創成に向けた適切な交通インフラにすべきだ。

リニア方式では、停車駅を最小にする必要があって、品川~名古屋間には、わずか4駅しか設置しない。

しかも、その駅周辺は地域社会からのニーズとは、無縁の場所である。(続)


まだ旧時代感覚の巨大プロジェクト依存の経済政策。

2014-10-17 | 交通問題・自動車

JR東海が「巨大プロジェクト」として、東海道新幹線の交通量が将来も増え続けると想定して、「リニア新幹線」の建設に動きだした。

問題だらけの新技術であり、夢の超特急とのうたい文句も、もはやあまり魅力にならない、旧時代の感覚を引きづっている様である。

認可した国土交通省の大臣は、『三大都市圏の人の流れが劇的に変わり、国民生活や経済活動に、大きなインパクトをもたらす』と、意義を強調した。

だが、ネガの要素が多すぎる「見切り発車の負の遺産」になりかねない。

 

この新幹線は、東海道新幹線の輸送容量が限界に達しているから、さらに輸送力の増強が必要との背景もあって計画されたが、それだけではない。

中国が上海において、リニア方式の新幹線を国家プロジェクトで強引に完成させたことで、日本の鉄道技術の先端において、先を越されたと思われた。

しかし、短距離のリニア方式新交通は、費用がかかる割には、メリットがほとんどなくで、中国でもその後の評価は失敗した政策であるとされた。

表向きは国家の威信をかけてのプロジェクトであるから、口が裂けても批判は起こり得ないのである。

 

ところが、日本の鉄道関係者は、このリベンジをなんとしてでも晴らしたいとの執念で、リニア方式で、第二東海道新幹線を完成させたいのである。

このブログでは、2013年9月19日、20日に、リニア方式に固執すると、日本経済にデメリットが大きく、環境負荷が増えて将来に禍根を残すと批判をした。

その大きな理由は、従来の鉄道方式に比べて、電力消費量は3倍以上になる見込みであるから、輸送料金も高くなり、CO2排出量も大幅に増えてしまう。

さらに、東海道新幹線に比較して、中央部の山岳地帯を走らせるために、長距離のトンネルが大半で、7割にも達する工事区間で膨大な建設費用がかかる。

 

この建設における残土の問題、水源への影響、工事における大量のセメントと工事車両の消費する燃料など、環境への負荷が増えるデメリットが大きい。

この様に環境への負荷と膨大な費用の投下により、完成時の2027年には、完全に【お荷物となる負の遺産の増加】になることは、確実である。

しかも、その時期には東海道間の交通需要が、今よりも減少している可能性が大きいから、完全な赤字路線のなる公算が大である。

安倍政権は、すでに、『地方創生に転換』し、人口減少の歯止めをかける政策に重点を置くと、国民に約束している。(続)