庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

中期の電力政策を果敢に実行すべき段階なのに安倍内閣は?

2013-05-04 | バイオ燃料・バイオマス
日本の経済成長を持続させるには、安定した電力供給を確保して、さらに電力コストは国際的にも標準に近づけなければならない。
その方策は、2012年の実績で19%にも達している「石油火力発電」の割合を、可能な限り減少させることである。
石油火力発電の燃料費は、[16円/kWh]で、発電コストが割高である。
その上、2020年には運転開始後40年以上を経過した設備は、100基以上にもなり、石油火力の73%が老朽基となってしまう。

今後も中東地区の不安定状態が続く上に、新興国の石油需要を増大の一途であるから、原油価格はさらに高騰することは確実である。
日本政府もそのことは良く解っているので、2021年までに「天然ガス火力発電」を33基新設して1600万KW以上を賄う計画である。
同時に、「天然ガスの調達先を多様化」して、安定供給と購入価格の低減を図る交渉を、国策として展開する方向に進み始めている。
「天然ガス火力発電」の燃料価格は、[11円/kWh]で、これをさらに引き下げが出来れば、発電コスト全体を低減させるコトが可能になる。

問題はその先にある「石炭火力発電の将来」をどうするか、政府はただ「電力会社の計画」を、鵜呑みにしているだけの様である。
現在は「石炭火力発電」の供給量は、全体の27%を占めているが、燃料費が安くて[4円/kWh]のレベルで発電コストも安い。
石炭の埋蔵量は豊富で200年以上は、利用出来る見込みである。
輸入国は、オーストラリアやインドネシアなど、政情が安定しているので、リスクは少ない。

最大の欠点は、『発電量当たりの[CO2]排出量』が最大であることだが、これも、「バイオ炭の混焼」を進めて、混焼率を高めることで、天然ガス火力発電レベルに抑制するコトが実行可能である。
政府は、今すぐにでも『石炭に混合出来るバイオ炭の製造』に、優遇策を適用して、日本中で無駄にされている「林地残材」を原料として活用すべきである。
未利用の残材は、2000万m3とされているが、林業を活性化して『間伐遅れの人工林の手入れ』を実施すれば、5000万m3の未利用木質材が利用出来るのだ。

石炭火力発電への「バイオ炭利用義務付」を制定すれば、「未利用木質材のバイオ炭製造」によって地域社会の活性化策にもなるのに、安倍内閣は動かない。

安倍自民党政権は中央官僚の作る政策に乗るだけのお公家様。

2013-05-04 | 環境問題
自民党政権は1997年末に締結された「京都議定書」の温室効果ガスの削減目標を1990年比で6%削減することを受け入れた。
この削減においては、経済産業省の官僚のモクロミは、大半の電力を石油火力発電に依存していた状況から、【大幅に原子力発電を増設】して、[CO2]排出削減を実現しようとの魂胆であった。
電力会社は、利権の多い「原子力発電設備」を大幅に増やすコトで、利益率の大きい電源を増やせば、「原子力産業利権集団」の増殖を図れるメリットがあった。

経済産業省は、この機会を利用して電力会社への影響力を増やそうと画策して、いわゆる【原子力ムラの強化】に取り組んできた。
その間には、石油依存を減らすコトが国策であったので、石油火力の置き換えには、原発の増設計画を正当化する「大義名分が必要」であったのだ。
欧州諸国で取組を始めていた『再生可能エネルギー電力』は、発電量は小粒で手間ばかりかかる上に、利権構造にはならないのでメリットがなかった。
ましてや、石炭火力発電に「バイオ炭を混合して燃料」とすることなどは、眼中に全くなかったのである。

電力会社も石炭火力発電に「バイオマス由来の燃料」を混合することで、[CO2]排出削減に効果があるコトは判っていた。
しかしバイオマス燃料は、経済産業省の管轄ではなく、農林水産省の分野にまたがるから、省庁間の縦割りに権限が錯綜するので、やりたがらない。
結局、[CO2]排出削減対策は、【原発の増設】と「天然ガス火力発電への転換」が主力方針となって、2011年3月11日までは、突き進んでいたのである。

3・11以後は、原発の増設はあり得ないので、50基の原発をどの様なルールに沿って廃止して行くかが、国策として論議されるのを待っている状況だ。

だが自民党政権は、『温室効果ガスの削減目標』を2013年以降には、「目標値そのモノを掲げることを拒否」して、国際交渉の場からは逃げの姿勢に転じた。
削減目標達成のために【原発の再稼働】すらも、国民の反発を受けそうで、表舞台での議論を避けようとして、【逃げ回る日本】の汚名を受けたままでいる。

石炭火力発電を可能な限り、『バイオ炭混焼発電』に転換して行けば、国内の資源である「木質材の有効利用」が進み、林地における地域雇用に貢献出来る。
地域社会の活性化にも、逃げ姿勢の【ダンマリ戦術】に終始する安倍政権は、【電力族・原子力ムラの利権集団】の呪縛から逃げることもできない。