庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本経済停滞の最大原因は労働分配率の低減を進めた経済界。

2013-05-07 | 経済問題
日本の経団連に所属する大企業や製造業界の経営者たちは、1990年代からずっと経済政策に対して「民間企業代表」の立場を誇示してきた。
その言い分は、日本の経済を向上させるには、製造業の重視と既存の大企業の優遇によって、「雇用の維持」を優先すべきであるとの大義名分による。
ところが雇用維持と言いながら、「非正社員」を3割以上にも増やして、日本の働く人たちへの給与の配分「労働分配率」を下げ続けてきた。
それでも、人件費の削減が不足だとして、新規の設備投資の大部分を海外生産拠点の強化に回して来たのである。

気がついてみれば、日本国内の生産設備の大部分は老朽化して、生産性も上がらない旧式な設備が大部分になっている。
それ故に、人件費を下げても価格面での競争力は一向にあがらない。
とうとう、「円安にしないと海外生産への移転を早めるぞ!」と政府と日銀に迫り、それを鵜呑みにした安倍内閣に実施させるコトになった。
ところが円安にした後でも、経団連会長の企業「住友化学工業」は、国内の旧式工場を閉鎖し、その代わりの生産量は海外拠点の増強によって賄う、とした。
つまり、国内の雇用維持の大義名分は、「真っ赤なウソ」であったのだ。

この様な背信行為は経団連の前会長の時代から【あからさまに実施された派遣切り】の横行で明白になっていた。
アメリカのリーマンショックによる世界経済の不況を受けて、日本の経済も影響を受けた際に、当時の経団連会長の親企業キャノンは下請け企業の【派遣社員の雇用を真っ先に首切り】して、自社の損失を最小とする経営を実行した。
企業経営者としての【自社企業の利益を最優先】に考えるならば、これは是認されるだろうが、日本の経済全体の利益を考えて意見を代弁する「経団連の姿勢」としては、【軽薄で断罪に値する連中】の集まりである。

この時期からは、国民のことなどは後回しで、とにかくグローバル化された世界市場で生き残るコトが必須の多国籍企業としては、株主利益が最優先で、それに沿わない経営者はクビになるのが世界に標準になっていたのである。
それに気がつかない政治家のお粗末な政策が、今の日本経済の停滞を招いて長引かせているのだ。

「軽断連の言い分は経済に貢献する」とカン違いをして、労働分配率の低減に目をつむり、大企業優遇の為に税金をつぎ込み続けた政治家が愚かなのである。