庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

安倍政権の成長戦略はあいまいな内容で優柔不断だ。

2016-11-30 | 快適エネルギー社会問題

アメリカの次期大統領が、「温暖化問題は中国のでっち上げだ」と勇ましく批判していたが、不勉強の謗りを受けないためにも、すぐに路線転換するだろう。

そして、エメリカに雇用を持ってくると「大統領選挙」で公約していたのだから、新規事業となる「太陽光発電パネルの製造工場」を大量に誘致する。

また、風力発電の最適な地域には、日本製の風力発電工場を建設促進して、大量に雇用を創出するだろう。

なにしろ、自動車産業や家電産業に匹敵する「雇用規模になる次世代産業」は、そうは見当たらないので「このチャンスを見逃すはずはない」。

石炭産業の将来的な雇用創出などは、今更、論じる必要もないくらいに乏しい。

 

一方の日本の安倍首相は、政権交代の総選挙では、「再生可能エネルギーの最大限の普及促進」を図ると公約していたが、その後の打ち出した政策は皆無である。

それよりも、政権公約にはしなかった、「原発の再稼動に力を入れる」電力目標を、政権の中枢に据えてしまった。

原子力発電への依存度を20%以上にも高めて、火力発電では【石炭火力発電の新規建設】にも、20%以上も目標に入れてしまった。

これらの電源は、需要の変動に対して、【発電量の調整がきかない融通性のない発電設備】であるから、気象に応じて変動する「太陽光や風力との相性」が悪い。

つまり、「最大限に再生可能電力を導入する」との、政権公約を反故にする路線だ。

 

安倍政権が次世代産業を育成して「成長戦略を推し進める」としても、有力な次世代産業を冷遇しているようでは、民間企業の積極的な投資は期待できない。

原発産業や石炭産業が、将来的に伸びる可能性は全くないのに、政権公約を無視してでも優遇するのは、成長戦略の中身が全く不透明で曖昧だからだ。

「地方創生戦略」は大変に重要だが、中期的、長期的に取り組むことの必要な課題である。

4年間や8年間で目に見える再生は無理な目標である。

観光立国も最重要であるが、これは、地道なノウハウの積み重ねが必要で、政府が権力を使って促進する取り組みでは失敗する。

 

アベノミクスの再加速を号令をかけていても、中身が曖昧だから、民間機魚の投資も迷うだけで【様子見をするしか経営判断ができない状況だ。】

一方のアメリカ経済の再生にとって必要なのは、「雇用機会を国内に増やす」ことにつきるから、トランプ氏が製造業を取り戻すという路線は明確だ。

さらに、疲弊したインフラの重点的な再構築は、建設、土木、などの公共事業の大増発であると、投資が向かう路線は明確に見える。

従って、世界に有り余っている投資資金はアメリカ国内に向かい、日本での投資機会が少ないと見るから、円安に移行するのだ。

円安になって潤うのは、一部の輸出関連企業だけである。

優柔不断の安倍政権では、成長戦略が見えないから、経済は停滞に向かって行く。


アメリカの国土に適したエネルギー資源は風力発電だ。

2016-11-29 | 快適エネルギー社会問題

トランプ次期大統領が「太陽光発電のポテンシャル」に気がついたら、このエネルギー資源を放置しておくはずは無い。

太陽光ばかりが強くて雨も降らない土地では、【農地にする利用は不可能】だから、土地の価格はタダ同然である。

その土地の近辺に電力を大量に必要としている地域があれば、安い土地を買収して「太陽光パネルを設置するだけ」で、30年以上も電力エネルギーを生み出す。

もちろん、太陽光パネルの生産はアメリカ国内に建設することで、国内投資が増えると同時に、大きな雇用機会を生み出す。

「製造業を国内に誘致して雇用を増やす」と大統領選での公約は、容易に果たすことができるから、取り組まないはずはない。

 

アメリカの国土は、太陽光発電に適しているだけではない。

内陸部や海岸部分には、風力が一年中、強い地域があり、風力発電に適している。

今までは設備のコストが高く、耐久性も低かったので、一時期の風力発電設備は、老朽化しているから、風力発電ビジネスは、利益が出ないとされていた。

しかし、近年の技術革新と世界的な風力発電ブームによって、今や火力発電を凌ぐ「発電コスト大幅低下」による有利さが、着目されている。

日本では国土が狭いデメリットにより、建設工事の困難さがあって、大量の建設は無理である。

しかしアメリカの国土ならば、大部分に建設は可能で、最適な地域が多い、

 

トランプ氏が「風力発電の製造工場を誘致する意思」があるならば、今後の8年間に大量に建設することが可能になる。

技術面での日本製風力発電機が優位な点をアピールすれば、日本からの「風力発電用の部品」に輸出が実績生み出すであろう。

風力発電設備は、自動車産業を上回る部品集積産業であり、日本の高度技術とアメリカ流の大量生産の技術を融合させれば、日米にとってのメリットは大きい。

安倍首相は、新幹線技術の売り込みには熱心だが、日本製の風力発電設備を売り込む意思が全く乏しい。

それは、一時代前の【品質も耐久性も劣った風力発電設備】の時代の悪印象が、頭に染み付いてしまっているからだろう。

 

多分、トランプ氏は「太陽光発電パネル」の製造工場をアメリカ国内に誘致する計画を進めるから、並行して、風力発電の日米共同事業を提言するのだ。

日米の合意ができれば、設置の普及速度は、新幹線よりも早いだろう。

あの後発の中国でさえ、2003年に方針を転換して、北京政府が風力発電に力を入れ始めたら、わずか10年で、世界最大の設置量を達成するほどに成長している。

アメリカが本気になり、日本が技術面での支援をすれば、8年以内に世界最大の風力発電設備が、北アメリカ大陸に出来上がるだろう。

 


日本の無策状況を尻目にアメリカと中国が製造業の拠点を。

2016-11-28 | 快適エネルギー社会問題

アメリカの次期大統領は、国内に製造業の呼び戻しをして、大量生産工場を誘致することで雇用の大幅な拡大を政権公約にしている。

何よりも、象徴的な自動車産業の製造拠点を、アメリカ国内に戻すことが最優先されるであろう。

しかし、自動車産業は数十万点に及ぶ部品の集積で、一旦流出した製造工場を再構築するのは、並大抵の仕事量ではない。

不動産王の経験から、中古のビルを購入して、内装の改築によって「不動価値を大幅に高める」仕事で、成功したのとはわけが違う。

政権が発足してからその困難さに気がつくのは、実業家にはすぐにわかるはずだ。

 

そこで、代替策として提言したいのは、「太陽光発電パネル製造と発電ビジネス」の爆発的な拡大戦略である。

製造技術は日本の企業が20年以上の努力によって、大幅な合理化が行われて、ほぼ完成の領域に達している。

あとは、大量生産工場の設置を思い切った投資によって拡大して、量産効果を存分に発揮する「アメリカ流の得意分野」の仕事である。

基本的な資源は、安価な電力と大量に供給できる地域ならば、工場の建設には1年とかからないであろう。

あの中国が、2003年に再生可能エネルギーの拡大策に転換してから、日本の技術を真似して「大量生産工場を建設できた」のだから、アメリカなら造作も無い。

 

アメリカ国内には、太陽光発電に適した立地条件の土地が、日本とは比較にならないくらいに大量に存在している。

多くはただ同然の土地価格で、平坦で設置が容易な地形の土地が放置されている。

必要になるのは、近隣に大量の電力消費地があることで、そこまでは送電線を拡充する必要がある。

それも、日本の様に険しい地形の土地でなければ、送電線を建設するのは安価で短期間に設置できるのだ。

まさに不動産王のトランプ氏が、ビル建設と土地開発で腕をふるった領域の延長の仕事である。

 

【温暖化問題は中国がでっち上げた嘘だ】、と言ってきたが、アメリカ国内に製造業が短期間で実現して、ただ同然の土地が利用できて価値が上がる。

これを見逃すはずがないビジネスマンであるから、トランプ次期政権では、「再生可能エネルギー」の太陽光発電産業が、一気に活性化するであろう。

日本への恩恵は、製造技術の関連設備の発注が舞い込むだろうが、それ以上のメリットは生まれない。

安倍政権の成長戦略には、【太陽光発電の次世代技術戦略がない】も同然だから、

アメリカと中国の世界一争いを、傍観しているだけの無策に終始する。(続)


アメリカ人の典型のビジネス成功者の流儀は成果主義だ。

2016-11-27 | 国創り政治問題

日本の国民性は、もともと、大量に消費する贅沢志向は、嫌われる傾向にあり、富裕層の豊かな富は、あまり目立たないところに付加価値をつける。

住宅にしても、衣服にしても、絢爛豪華ではなく、名人芸的な仕事の質感を重視する「緻密な仕上がりの高級品」を尊ぶ精神構造である。

その正反対のアメリカ人の成功者は、広大な土地を所有して、豪華な住宅と調度品に囲まれる「見かけの重要さ」をシンボルとしていた。

その成功者のモデルとなっていた「不動産王のトランプ氏」が、次期大統領に選出されたので、目に見えやすい政権公約を、自身の達成目標に据えたのである。

短期間の4年で達成できる「ビジネス目標」を掲げたような政治目標だ。

 

「アメリカ流の政権目標」は、とにかく「リーダーシップを発揮して見える成果」を掲げることに終始する。

トランプ次期大統領は、自由貿易路線の象徴である「TPP交渉を離脱」して、国内に製造業を呼び戻して、白人の低所得労働者に雇用を確保すると豪語した。

「象徴的な製造業は自動車産業」であるから、現在の段階で「メキシコ生産を計画している企業の経営方針を、取りやめさせることは実行するだろう。

これは目に見える成果として、いの一番に取り組む課題だ。

それだけでは、とてもアメリカの製造業の復活が軌道に乗るわけではない。

錆び付いた「ベルト地帯」を再生することは、いくら不動産王の実績を持ってしても、4年間では成果がでる課題ではない。

 

それに気がつくには時間はかからないが、代替策となる製造業は、何があるのか。

トランプ次期大統領は、「温暖化問題は中国政府のでっち上げだ」と批判していたが、これは側近や識者からの情報を受ければ、すぐに転換するだろう。

それどころか、温暖化対策に必要な「再生可能エネルギー」への投資が、経済再生と雇用創出の効果的だとわかれば、見解を一気に変更するだろう。

しかし、再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電のパネルは、「中国製のコスト競争力」の前には、どこもかなわないのが現状である。

そこで、トランプ氏は、中国政府の為替操作と、太陽光発電パネルの「ダンピング輸出」に攻撃の焦点をあてる。

 

アメリカ国内に、「太陽光パネルの大量生産工場を誘致」して、中国製を締め出す策略を考え出すに違いない。

太陽光パネルの製造技術の革新は、日本メーカが得意としてきた技術だが、経済産業省が、2002年頃から日本国内での設置補助を打ち切ってしまった。

困った各企業は、海外の市場に活路を見つけ出す経営にせざるを得ない状況で、中国市場の将来性に目をつけて、中国に製造拠点を設置してきた。

その製造技術を真似て、現在では中国が世界で最大の製造拠点となっている。

この製造をアメリカ国内で実施するのは、数年のうちに成果が出る施策だ。(続)

 


日本の高付加価値の創造性を発揮することが成長の原動力。

2016-11-26 | 国創り政治問題

大量消費商品の輸出による貿易黒字で、日本経済は大躍進を遂げてきた。

その後の円高と人件費の上昇で、大量普及商品の価格競争力が低下するのは、新興国の台頭によって避けられない流れであった。

この流れに逆らうように、「日本の働く人の給与水準を抑える」ことで、生き残りを図かろうとしたのは、時間稼ぎはできても解決策にはならない。

給与が抑えられてしまうと、消費が伸びなくなって「デフレ経済に突入」して、抜け出られなくなってしまう。

歴代の自民党政権は、新自由主義の潮流を疑いもせずに、自由貿易に突き進んできたが、その路線はデフレへの道であり、経済停滞社会の到来を招く。

 

この道をすでに進んできた「アメリカ経済」は、「レーガノミクス路線」によって、市場経済の規制緩和と大企業への減税によって、投資が活発になって、「成長が著しく拡大し税収が増える」としていたが、現実には逆走になっている。

規制緩和と技術進歩によって、引き起こされた「ITバブル」は、一時的な経済成長におわり、一部の「超富裕層を生み出した」だけに過ぎなかった。

金融規制の緩和では、「住宅バブルを拡大」させて金融破綻を引き起こし、大損をした富裕層と金融業界だけは、政府が救済して大復活をした。

しかし、そのあおりをうけたアメリカ国民には、失業と低賃金化だけが残った。

こうして、世界で最も「収入格差が拡大した社会」を作り出している。

 

この事態に対して国民は、保護貿易主義を打ち出し、低賃金労働者のために、仕事を作り出すと公約した「トランプ氏を次期大統領」に選出した。

その政策実現には財源の問題が隠されているが、公共事業の大幅な拡大の期待によって、早くも株価上昇、ドル高、金利上昇の機運が起きている。

アメリカ経済は、行きすぎた国際金融資本の優遇と自由貿易路線に転換によって、「経済の再生と国民の不満解消」を最終戦課題として、新規まき直しである。

そのトランプ氏に教えを請いに行った安倍首相は、信頼に足る人物との意見交換で、何を感じ取ったのか、明らかではない。

だが、[TPP交渉]によって、【市場経済をグローバル化して、アメリカンスタンダードに合わせる方向】が正しくない、と悟ったはずである。

 

安倍政権の路線変更の兆候はまだ見えないが、少なくとも「賃金引下げによる価格競争力維持路線」は、正しくないと認めているはずである。

では、日本国民の賃金を引き上げて、【少子化で縮小する消費経済】を、成長軌道に載せるには、非常に困難な障害があるから、長期間を要すると覚悟しただろう。

それは高価格でも、「世界の富裕層が価値感を認める商品とサービス」が、日本の特質を活かせる「成長分野であると腹を決めて取り組む」日本再生路線である。

もうアメリカの真似と後追いは、一切やめようと覚悟したならば、急遽、信頼できる人物として「訪米したトランプ詣で」の、貴重な成果である。(続)


安倍政権の経済成長戦略は自由貿易路線しかないのか。

2016-11-25 | 経済問題

アベノミクス一本槍できた「安倍政権の経済成長路線」では、すでに円安誘導では企業の国内投資は増えず、国民の消費購買力も増えないことが実証された。

それでも、アベノミクスの達成には、「さらにエンジンを全開にふかす」と、大声による掛け声だけは勇ましく、TPP交渉の批准に全力を注いできた。

しかし、緊急訪米による外交も空振りに終わり、TPPの発効は絶望的である。

これでは、日本は【デフレ経済に逆戻り】は避けられない事態だが、安倍政権には代替策は全くないように見える。

自由貿易協定の拡大による路線では、現在の貿易依存度17%をいくら増加させても、経済成長率への貢献はわずかなものであろう。

 

日本の経済再生には、『内需の拡大』と、「企業の設備投資、研究開発投資の増加」が不可欠である。

にもかかわらず、既存の企業の生き残り戦略に加担するだけの自由貿易依存では、

【低賃金依存を強化】するだけの、デフレ経済への逆走しかない。

日本がデフレ経済に落ち込んで「経済停滞社会」が当然のようになっているから、国民の大多数が「消費の節約志向」が、生活防衛の主軸になっている。

「インフレターゲット政策」のような、アメリカ流の消費喚起策では、消費の増加も起こらず、それを見越した企業の投資行動も、国内には回らない。

国内の需要喚起策の第一は、『恒常的な賃金上昇の流れ』を作りだすことから、始めなければならないのだ。

 

そんなことは、「できるはずが無い」と言い切る人は、初めから経済政策の検討に加わる資格はない。

安倍政権はデフレ脱却を目指して、とにかく「官製春闘を来年も継続」と言って、賃上げをリスクとして逃げたがる大企業に、迫る方針だ。

同時に今までの制度では、「中小企業への賃上げ支援策」が抜け落ちていたので、発注元の大企業に対して、「購買制度の再検討」を要請している。

つまり、中小企業に賃上げ余力が出るように、発注元の価格を上げる事を、努力義務として負わせる方針である。

現実的に実行可能かは、安倍政権の政策実行能力によるが、人手不足にならないように、「中小企業ができるだけ賃金は引上げる」経営方針とするだろう。

 

価格競争力が不利になるからといって、賃上げの実施を拒否する企業は、人手不足に陥って徐々に、縮小していかざるを得ない。

中には、人員整理でしのぐところもあるから、政府や地方自治体は、十分な公共事業費を確保して、雇用市場の悪化を防ぐ事が必須で、安全防護策を実施する。

つまり安倍政権は、計画的に「賃金上昇によるインフレ政策」に転じるしか、「デフレ脱却」の方策はないのだ。

アベノミクスは【トリクルダウン】から、「賃金押上げ政策」に転換するのだ。(続)

 


日本はアメリカの先を進んでいる保護貿易立国だ。

2016-11-24 | 経済問題

日本の安倍首相が、アベノミクスに不可欠の戦略が、[TPP交渉]の成立だとして、3年間の取り組みの成果を国会で論戦している。

その最中に、トランプ次期大統領は明確に離脱すると、第1番目の政策に掲げた。「TPPの貿易協定が発効すれば、アメリカを破滅的な状況に陥らせる懸念がある」

との、アメリカ国民にとっては、恐怖感を引き起こす選挙演説を行ってきた。

大統領に当選したら、この選挙公約を実行するのが「アメリカ国民」に対する、誠実な公約履行となる。

 

それをよく理解しないで、安倍首相は「トランプ次期大統領は信頼できる人物だ」と日本国民に説明していた。

あたかも大統領に着任したら「TTP交渉」の成果を認めて承認に転じるかのように印象を振舞って、参議院での国会審議を急がせていたのである。

しかし、信頼できる人物とは「国民に対する公約を実行するひと」であると、明確に示したのだ。

それを世界の流れに逆行する誤った「保護貿易主義」だと批判を強めているが、もともと、各国は、国益を優先してあらゆる方策で貿易の保護をしているのであり、国益を損なう政策は誤りなのである。

 

アメリカの民主党政権は、製造業が国外に移転することを阻止できないので、アメリカの底辺の労働者の賃金を抑制することに重点を置いてきた。

それでも輸出競争力を低下させて、輸出依存度は12.7%に縮小してしまった。

さらに人件費を引き下げる手段として、メキシコ国境からの不法移民滞在者を、職業に就くことを黙認して「最低賃金以下の給与」で、働かせてきた。

ついに、1000万人以上の不法移民労働者に依存する製造業が、かろうじて生き延びているのが現状である。

そもそも、自由貿易の理念では、産業は各国の特徴に応じた住分けが目標で、賃金を不当なレベルまで引下げて対抗するのは、貿易の保護政策である。

トランプ次期大統領は、低賃金で働く不法移民労働者を締め出し、関税を引上げて製造業を守る保護貿易の方針を打ち出した、合理主義者であろう。

 

同じように、日本で働く人に賃金を抑制する手段として、経済界は「非正規雇用社員」の適用拡大を図ってきた。

最近では働くひとの4割が非正規雇用であり、賃金は正社員に比べて3割上も低い実態で、消費不足によるデフレ経済の原因となっている。

つまり、人件費ダウンによる不当なダンピング政策を行い、保護貿易主義で製造業を延命させているのが実態である。

安倍政権は、自由貿易協定の推進こそが経済成長の要だとして、[TPP交渉]を進めてきた建前上、非正規雇用社員の削減と、不当な賃金差別を廃止すべきだ。

現在の貿易依存度は17.4%にすぎないのに、輸出強化で経済成長できるのか。(続)

 


ビジネス感覚で軍事優先や人道主義の混迷を脱出できるか。

2016-11-23 | 経済問題

トランプ次期大統領によれば、政策転換の骨子は「アメリカ第一主義」であり、アメリカ国籍の人とアメリカの雇用に貢献する企業を優先する政策転換である。

非常にシンプルでわかりやすい方針だと、明確に言い切る。

今までのやり方では、お金の移動が自由な世界経済にして、生産物の移動は自由にすることで、適地生産となっていく。

これによって、輸入品の価格が安くなっていくので、国民生活は低価格商品の恩恵で、生活にゆとりが出て豊かになる。

【これが全て嘘である】ことが、1980年代の生活に比較して、【アメリカ国民の大半が貧困化】している事実を見れば分かる。

 

トランプ氏の主張が現実的になっていくにつれて、株式市場は活況を呈して、アメリカはドル高を引き起こしている。

ドル高は世界中からお金を呼び込んで、金利上昇を招くことで、金融商品の魅力を増す効果がある。

もちろん、輸入品の価格が低下するので、一般国民も恩恵にあずかる。

「物価上昇目標」を掲げて、中央銀行がお金の流通量を増やせば、投資の意欲が増えるのとは反対の政策になる。

日本は未だに【物価上昇目標を達成する政策】に邁進しているが、アメリカは別の方向に転換する。

 

トランプ氏の政権公約は、財源問題に無頓着に見えるので、批判勢力が「無謀な素人政治家」と蔑んできたが、以前より経済効果ではトランプ氏の勝ちだ。

自由貿易路線を転換して「保護貿易路線」に各国が走ると、世界経済が縮小して「世界的な不況が起きる」と警告していた経済専門家は、どう説明するのだろう。

少なくとも「アメリカ経済にとっては保護貿易路線」が、貧困化しているアメリカの現状を好転させる特効薬のように見える。

ビジネス感覚でのアメリカ経済の立て直しは、しばらくは「トランプ氏の凄腕に期待する」ことになりそうである。

安倍首相は、トランプ次期大統領に早々に面会し、教えを請う形となったが、ウマが合うようならば、何度でもアメリカ詣でをして、もらいたいところだ。

 

問題は、アメリカ経済の立て直しだけではない。

むしろ、安全保障問題や「対イスラム勢力」との安定的な世界秩序を構築できるかという、最大の問題が残されている。

ブッシュ大統領のアメリカでは、【産軍複合体の利益優先主義】で、世界各地で扮装を勃発させて利益を上げてきた。

オバマ大統領の時代には、人道的な民主化主義の干渉外交によって、【安定した政治情勢を粉砕する政治勢力が台頭】して、混迷した治安が慢性化した。

トランプ氏は、習近平とプーチンを相手に、ビジネス感覚で取組む様相だ。(続)


アメリカは自国民と政府の利益を最優先する政策に転換する

2016-11-22 | 国創り政治問題

トランプ次期大統領は、来年の就任早々の政策を発表して、従来の民主党政権が優先してきた「グローバル化と貿易の自由化」を転換する。

一番のやり玉に挙げたのは、[TPP]はアメリカ国民の利益を損なう可能性があるから、離脱する方針に変える、と明言した。

これは新自由主義の経済理論で、30年以上も経済政策の主流を【アメリカ流の推しつけ的】な貿易交渉での、基本政策を転換する決意と受け取れる。

大統領候補の論戦を通じて、トランプ氏が主張してきたことを実行に移す、と公言したのであるから、「驚くには当たらない」発表である。

 

しかし、グローバル化が当然の流れとしてきた「マスメディアの報道」に洗脳されたエリート層には、革命でも起きたかのような驚きとなった。

トランプ氏が共和党の大統領候補に決定して、一番目の驚きが起きた。

本命であったヒラリークリントン氏を、予想通り当選と報じていた事前調査を覆して、次期大統領に当選して、二度目の驚きだ。

そして大統領に当選後では、本気でグローバル化に抵抗することはあるまいと予想した、「各国の政治家たち」の期待を裏切って、自由貿易を否定した。

貿易を二国間交渉に変更して、アメリカの利益を優先するとの言明に驚いた。

 

多国間の貿易協定を、二国間ごとの貿易協定に転換すると、どのような事態が予想されるのか、想像してみよう。

まずメキシコとの間では、国境線の警備問題で、【不法越境者の厳重な取り締まり】が、二国間の問題となっている。

メキシコ政府は【不法越境者の増加】を、内心では歓迎しているが、アメリカ側から要求されることで、防止策に協力しなければならなくなる。

ムゲに断ったり、怠慢な姿勢に終始すれば、対抗処置として【輸入品に懲罰的な関税をかけるか、輸入禁止する措置】を取ることが可能になる。

国境線に万里の長城を建設する「最終手段」をうちだす前に成果が出るだろう。

 

不法に越境して滞在している「メキシコ国籍の滞留者」を、本国に送り返す政策が実行可能になり、1000万人が送り返される可能性が起きる。

すると、どういう事態が起きるのか、トランプ大統領流のやり方で、低所得労働者を人手不足に持ち込むのであろう。

需要と供給の原則に従えば、底辺の低収入労働者賃金は上昇に転じて、トリクルダウンではない「押し上げ効果」で、低賃金の底上げが実現する。

大統領の支持率は大いに上昇するだろう。

低賃金のメリットを求めて、「メキシコに移転した製造業・自動車工場」などは、メキシコに製造拠点を構えたまま、高い関税を支払ってアメリカに輸出する。

それとも工場の改築をして、「製造拠点をアメリカ国内に戻す」経営判断をする。

どちらにしても、アメリカ国内にお金が戻ってくるので、政府は潤うのだ。(続)

 


アメリカは移民の国としての責務は。

2016-11-21 | 国創り政治問題

北アメリカ大陸の最も気候が緩やかな地域に、多くの移民が流入して建国された「アメリカ合衆国」は、これからも世界最大の移民受け入れ国家であろう。

土地は鉱物資源に恵まれて、石油エネルギー時代には、自国の消費を十分に賄えるほどの産出国であった。

しかし、石油中毒と言われるほどの、エネルギーの浪費生活に落ちいり、ついには自国の石油では賄えないので、【中東からの大量に輸入依存】に陥った。

しかし、石油に代わる天然ガス、シェールガス、シェール石油の採掘革新技術によって、エネルギー資源の自給を果たし、中東依存からは離脱できた。

しかしその間には、貿易赤字に悩まされて、国力を大きく落ち込ませた。

 

その時期には、経済回復のためには「新自由主義経済」の路線が良いとの信奉者が増えて、ほとんどの大企業が【国際金融資本の傘下】に収められていた。

アメリカの国益よりも、国際金融資本家の利益になることが優先されて、世界の新興国への投資が活発になる。

同時に人件費の安い国へ製造拠点を移転する、「産業の国際分業化」が広がって、アメリカ国内の製造業は大きく疲弊した。

その過程で、低賃金労働者の必要性から、不法に越境した移民を受け入れて、【低賃金化に拍車】ををかけた。

アメリカの国力を損なうのは、不法越境者移民を優遇したことにあるのだ。

 

正当な手続きによる移民の受け入れは、国力を維持し、将来に発展する可能性を広げることで、国の活力増加の最善の策なのである。

しかし、トランプ氏の発言が暴論扱いされることで、移民問題の本質が捻じ曲げられている。不法越境移民を黙認して滞在を許せば、本来のルールに従って、アメリカに移民を申請している人たちを、のけ者にしていることになる。移民の適切な素質や適格性を審査して、正式の移民としてアメリカ国籍に認める。

これは主権国家としての当然に責務であり、移民排斥ではないのだ。

それを、審査の順番待ちもしないで、行列視の不法者を、生活に困窮して逃れてきた人道主義での救済と混同した【お粗末な行政の結果が混迷】のもとだ。

 

トランプ氏が、不法滞在移民を厳格に取り締まり、不適格者は本国に送り返すのは、主権国家の当然の責務である。

同時に地球上での優良な土地を占める国家であるから、人種差別せずに「アメリカ合衆国」の建国の理念に沿って、最良の移民受け入れ国家となるべきだ。

中途半端な国境管理で、不法者、不適格者を、野放図に受け入れた結果が、国益を損ない、国力を衰えさせて、【適正な移民の受入れを遅延】させた。

この混乱と移民希望者への不利益は、オバマ大統領民主党政権の失政と言える。

トランプ氏は、まず無法者の締め出しによって、経済を立て直して、世界最大の移民受入れ国家となり、「移民で成立発展した国のモデル」とするだろう。


国の活力を取り戻すインフラ整備と産業の育成を第一に。

2016-11-20 | 国創り政治問題

アメリカの次期大統領のトランプ氏は、積極的に経済の再生を図る「大胆な政策」を打ち上げて、アメリカを再び世界を牽引できる経済立国にするとしている。

その具体的な政策はこれから徐々に明らかになるが、今の時点では、大幅な「公共事業の増加」による、建設業関連の活性化である。

これは、老朽化したインフラの再建と修理であり、財政難を理由に先送りをされてきた「重要課題の第一」である。

財源をどうするかは、一切、説明もないので、その是非はさておいて、国が成り立つ根底には、「国民が信頼するインフラ」を充実することが先決である。

財源がないから、国民に我慢を強いるようでは、政権を担う資格が無い。

 

不動産王と言われるトランプ氏のイメージでは、アメリカ全体をインフラの充実によって不動産価値を最大にする方向が見えているようだ。

それには不法者たちを、厳しく取り締まることで、地域の治安を向上させる。

メキシコから不法に越境してきた【犯罪の逃亡者】を野放しにすることなどは、とんでもない【政府の怠慢】であると断言する。

国境の警備を厳しくするには、万里の長城の壁を作ることによって、アメリカという国の価値を高めるためには、いの一番に実施すべき公共事業なのである。

何度も言うように、国境を守れないような文明国はありえない。

特にメキシコ政府は、犯罪者たちが越境してアメリカに逃亡していくことを、歓迎している節がある。

 

現代版の万里の長城が、越境対策の決め手になるかは分からないが、やらないでおくことは【国家の存立を危うくする】原因となる。

「壁の建設費用をメキシコに払わせる」との政権公約は、短期間では実現しないだろうが、国境線の内側にはアメリカの経費で建設すれば短期間で建設可能だ。

政府の借金で、大規模に工事を開始すれば、「現代版のケインズ政策」になる。

これらの、国境整備とインフラの更新事業で、関連業界は活況を呈するだろう。

その折に、「不法移民滞在者」を仕事からしめ出す政策が、実行できるかが「トランプ政権の試金石」になるだろう。

【底辺の労働者賃金を積極的に引上げ】るか、【不法移民滞在者を救う】のか。

 

トランプ氏は、海外に移転してしまった「往年の製造業」を、アメリカ国内に取り戻すと公約している。

そのためには、北米自由貿易協定の弊害を最小にする「外交交渉に取り組む」姿勢であろう。

世界のほとんどが、今から関税を引き上げる「保護貿易の経済」に大反対をしているが、その批判をクリアーする政策手段は、全く見えない。

しかし、批判する経済専門家でも、往年の製造業を取り戻す方策を提示できる人は、見当たらない。それでも自由貿易協定を推進する政治家いるのか。(続)

 


経済の根幹は成長の希望こそが投資の根拠になる。

2016-11-19 | 経済問題

安倍首相が早々にトランプ氏のもとに教えを請いに出かけて、日本の景気回復の風を呼び込もうとしている。

大統領就任前にもかかわらず、暴言を少し控えただけで「経済成長の兆しが改善する効果」を発揮する事態で、マスメディアの予想外れも驚くこともない。

メディア関係者の情勢を認識して予想する力は、現在では地に落ちている。

アメリカでは大統領候補の論戦の時期から、トランプ氏の主張を全く評価もしないで、暴言を吐く素人政治家扱いで「泡沫候補」と決めつけていた。

日本のメディアと経済関係者は、そのような偏った情報ばかりを信じていた。

 

大統領選に勝利した段階からは、日本では経済活動の低下が起きるとして、株式市場は暴落したが、翌日のアメリカの経済情勢の見方では、暴騰している。

つまり、アメリカ国内の経済は、民主党政権のもとでは行きつまりであったのが、トランプ次期大統領の積極的な経済刺激策を期待しての上向き予測が多数派だ。

つまり、民主党政権のような自由貿易を進めておきながら、「所得格差の拡大」を、社会福祉政策で【救済する分配政策を主張】する政策は支持されなくなった。

「セーフティネットの充実」と言いながら、実際には財源不足で、穴だらけのネットであったのだ。

表面的には「弱者の味方」であるはずが、高額所得者を優遇して「国際金融投資家のための代理人」に成り下がっていたのである。

 

トランプ氏の主張は、ワシントンとニューヨークの既得権勢力が、アメリカ経済の活力を奪っていると、【想定する抵抗勢力】としてやり玉に挙げて批判した。

彼らがアメリカの国益を損なって、私益の追求に走っているから、アメリカは活力を失ってアメリカ国民の威信を失っていると攻撃したのである。

敵を排除すれば「アメリカ国民の威信を取り戻し」、経済は成長に転じる、と希望を打ち上げて敗者復活戦のチャンスを高々と打ち上げて、支持を集めたのだろう。

実現性の可否は、誰にもわからないが、挑戦することで「復活の希望が生まれる」スローガンこそが、活力のもとになるのだ。

 

エリート層がまず裕福になって、その恩恵を、徐々に周辺層に浸透させて「中産階級を潤して」、その結果で、底辺の働く人たちも豊かになる。

20世紀の後半を通じて、成長を遂げた国は、この「トリクルダウン理論」による経済成長をモデルにしてきた。

しかし、金融のグローバル化、自由貿易の進展によって、【トリクルダウン起こらない経済構造】に変質してしまったのである。

超富裕層が儲ける政策だけが優先して、その利益は、「最も投資効率の良い地域」に向かってしまう。

トランプ氏は「ビジネスマンの世界のツワモノ」であり、経済学者の空論を鼻から信じない。まずは、底辺の働く人を豊かにすることから始める挑戦だ。(続)

 


自由貿易協定の抜本的な改定が必要だが、まずは景気回復。

2016-11-18 | 経済問題

自由貿易論者のイデオロギーに疑問を唱えて、「アメリカ人の利益代表を自認」するトランプ次期大統領が誕生した。

アメリカは「新自由主義経済論」が、主流に躍進して経済成長を維持する事が最大の目標の国の成ってしまったことで、貧富の格差が拡大してしまった。

経済成長していると言っても、全部のアメリカの総生産で平均値の話であり、勤労者層は物価上昇率を考慮に入れると、実質の収入は減少している。

アメリカ国民の10%程度しか、収入増加の恩恵にはあやかれない。

わずか1%の超富裕層だけが、一人が勝ちの経済的な成功者として、自由主義経済、貿易の自由化のメリットを実感している。

 

それでも自由化推進論者は、収入格差の拡大や、負け組の脱落者には、政府が再配分の役割を果たして、「セーフティネット」を充実するのが適切だ、と主張する。

だがアメリカの現実では、脱落者は膨大に増加して、政府の財政赤字の壁で救いきれないアメリカ国民が増え続けている。

犯罪者の増加も社会的な不安を増大して、正常な社会がなり立っていない。

いまやエリート層と、一般の勤労者層の間には、信頼も失われて敵対するように分断されてしまった。

ヒラリークリントン候補は、この深刻な分断状態を直視しないで、従来の延長である「福祉政策の充実」によって、生活不安を除く路線で支持を得ようとした。

 

新自由主義経済の弊害と限界が見えて、自由貿易経済による「勤労者の生活不安」を取り除く「社会福祉の充実」は、財政負担の壁でもはや、実行不可能になった。

8年間のオバマ大統領の政策では、国際金融資本の強欲の前には、中途半端なおざなり政策しか実現できなかった。

民主党政権の政治家は、自由貿易協定の悪影響も放置し、活路を[TPP交渉]の批准に託したのだが、民主党内部の議論すらも、深めることができていない。

対抗する「共和党の政治家」には自由貿易を信奉するが、負け組に対する救済策は「小さな政府を信条とする」共和党には、支持されない。

民主党も、共和党もメタメタの状態で、大統領候補の論戦に入ったのだ。

 

しかし、トランプ氏のように真っ向から「自由貿易の勝ち組」を批判して、白人の低所得者層の支持を獲得していく「素人の政治論法」には、翻弄されただけだ。

トランプ氏の訴える「画期的に国益を取り戻す政策」」には、膨大な財源を必要とするだろう。

しかし財源を、アメリカ人が納得できる捻出政策の論戦はできないままである。

自由貿易協定をかいていして、国境関税を復活する、と宣言しても、すぐに妥結できる訳ではない。

海外の軍事基地の維持費用を、同盟国に負担を要求しても、交渉に入る長い時間がかかる。まずは謝金頼りで、公共事業の増加による景気回復からだろう。(続)


11・9は、自由貿易経済の転換期の始まりだ。

2016-11-17 | 経済問題

世界経済は「自由貿易主義」の時代から、モノの移動の自由化を「管理できる移動の自由」に移行する段階に入っている。

【北米自由貿易協定】は、アメリカ人にとっての経済的なメリットは、安い商品が自由に買える時代が到来したことであったが、いまは失業しか生まない。

19世紀の経済学者リカードの「世界経済の分業が進む」理論は、理想的に見えたが、先進国のアメリカにとっては、一部の富裕層のメリットでしかない。

産業の世界分業論は、国際的な金融資本家にとっては、最も生産効率が高くて資本投下に対する利益率が有利な国に、生産拠点を移転する自由ができる根拠だ。

 

そこで得られた莫大な利益は、お金の移動が自由化されているから、課税が低くて利率の高い国に移動するだけで、最も有利な金融利益が得られる。

儲けた利益の配分を、生産拠点のある国に還元しようとする姿勢は皆無である。

生産拠点を誘致したい国や地域は、競って低賃金のメリットと、課税の優遇で企業誘致をすることで、労働者の収入によるささやかな配分を受け取る。

それでも、大量に失業者が救済できるので、製造企業に有利な条件で誘致を競う。

理論的な【国際分業のメリットは机上の空論】となって、ただ、先進国の労働者の賃金引き下げだけは、確実に進行して行くのだ。

 

アメリカのトランプ氏は、この先進国の労働者の不満を汲み取って、アメリカに基盤を置きながら、アメリカの国益を損なう「国際金融資本側」に反抗したのだ。

民主党政権と大統領候補のヒラリー・クリントン氏は、この国際資本家側からの莫大な献金があるから、【自由貿易協定による負け組】には、味方をしない。

表向きだけは、働く人への社会福祉の配分を増やすとして、労働者側の利益代表であるポーズをとるが、「不法な移民滞在者」を優遇して安い労働力を確保する。

これがまた、底辺労働者層の給与を引き下げる効果を発揮して、アメリカ国内では企業側の利益増加に貢献している。

この事実は、トランプ氏が共和党大統領候補合戦の論戦で、あらゆる機会をとらえて主張し続けてきた。

 

アメリカのマスメディアの大半は、【国際資本家側の支配の傘下】にあるから、トランプ氏をとんでもない暴言を吐く「素人の泡沫候補」として報道した。

その話題性を利用したのが、マスメディア作戦に長けていた「トランプ陣営の戦術」であった。

その報道の表面的な風潮を眺めているだけの、日本のマスメディアは「トランプ氏の主張は一切報道しないで、暴言報道を鵜呑みにして、混迷ぶりを誇張した。

ついに次期大統領に決定してから、その背景や勝因分析の報道に忙しい。

この大統領の当選日11・9が、自由貿易論者と「マスメディアア報道偏向」を、転換させる入口となったのだ。

安倍首相が自由貿易論者に引きずられて、国益を損なわない事を祈るのみだ。(続)

 


アメリカに説得できるほど安倍首相はわかっているのか。

2016-11-16 | 経済問題

トランプ氏が当選したことで、戸惑っている安倍首相が、11月17日に訪米して説得を試みることになっている。

ニューヨークで会談する予定で、どうやら、アベノミクスの目玉政策として取り組んできた[TPP交渉]の成立が危うくなったことで、慌てふためいているようだ。

[TPPの構想]は、もともとはアメリカは関心がなかったが、オバマ大統領が政権の成果にしようとして、二期目の主眼の経済政策にしていた。

安倍首相が、アベノミクスの経済成長戦略に取り入れて、米日の経済政策の要に据えようとしていたのである。

 

トランプ氏が次期大統領に当選した大きな要因に、自由貿易経済の進展によって、製造業の市場展開で競争力がなくなり、製造業の海外流出が問題となったからだ。

北米自由貿易協定が発効した当時は、画期的な経済政策の進展で、これによって、メキシコとカナダとアメリカにとっての理想的な市場ができるとのことだった。

それが、アメリカにとっては悪夢のような【失業率が増え続ける経済】となり、自由貿易協定が、アメリカ人の雇用を奪っている、との不満が増大した。

自由貿易の理念は、19世紀の経済学者リカードが唱えた「比較優位論」である。

「各国での最も優位な産業の生産性が高まり国際的な分業が進む」との理想論は、

この現象によって【淘汰される産業、職を失う人々】が、大量に生まれることを、想定していない。

 

19世紀では、次々に新産業が生み出される環境にあったから、後のことまで、経済学者が心配する必要はなかった。

それが、20世紀を通じて世界中に経済成長を拡大させて、世界の貧困国を豊かにしていったことは、事実であり成果である。

しかし、20世紀の後半から先進国の製造業が次々に海外に移転する時代になってからは、先進国の労働者の賃金は低く抑えられる時代になった。

給与が横ばいか、減少に転じれば「消費性向が落ち込む」ことは明白である。

そのことがわかっていない安倍首相が、トランプ氏に説得を試みるとは、お笑い劇場にもならない。

 

トランプ氏は、ビジネスの世界において、4回も破産を経験した「歴戦のツワモノ」であり、底辺層の労働者の悲惨な生活も知り尽くしているだろう。

それでも、金持ち層を相手にした「ホテル業、カジノ経営」などの事業で、お金がどのように回転して行くかも、安倍首相よりも理解している。

そのビジネス経験にもとずいて、政治家に転身する人に、「経済学者の机上論」に沿った「自由貿易協定」」の構想を、効果が大きいと説得すると言うのか。

自由貿易のデメリットを、とことん、議論し尽くしたうえで、「TPP構想」を、根底から見直した方が良い。

成果が出ない経済成長戦略も、根底からの議論をやり直すべきだろう。(続)