庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の国創りの目標を快適な環境国を目指すとせよ。

2016-12-31 | 国創り政治問題

安倍政権の経済政策は迷走したままの、無目的な経済成長率指向に陥っている。

デフレ脱却は重要な政策であるが、そのためには「所得格差が拡大する」のは、やむを得ないとは、誰も思わない世界の常識となっている。

円安誘導による「株価上昇を目指しアベノミクス」は、富裕層ばかりが潤う、矛盾だらけの愚策であり、「インフレターゲット論」もアメリカ経済のマネである。

毎年のように物価が上昇するのが、マクロ経済の理論では良いかもしれないが、本当に追求して欲しいのは、毎年の収入が少しづつでも増加する経済である。

物価上昇率が2%になっても、収入の増加が1%以下では、生活水準が下がり続ける経済環境であり、誰もそれを望まない。

 

安倍政権は3年目になってから、給与水準の引き上げにやっと熱心になってきた。

今の段階では業績に余裕の出た企業だけであるが、2%以上のベースアップを実現する方向で、政策誘導している。

すべての企業で働く人たちに、給与水準の上昇を毎年の目標に据えることである。

もちろん、所得格差の拡大を進めたしまった「労働者派遣法」などの悪法を改定して、【非正規雇用の制度】は徹底的に改めなければならない。

働き過ぎの悪習も、労働時間のずさんな管理は当然、止めさせて、過剰な長時間労働を撲滅する。

有給休暇の取得は100%完全消化を目指し、守らない企業は、株式上場を取り下げさせるくらいに、政府側が徹底させるべきである。

 

これで働く人たちの労働環境は、毎年のように改善されるので、将来の家庭作りの目標も立てやすくなる。

非婚化、晩婚化の傾向も歯止めがかかり、個性を生かした人生設計が可能になる。

子育て環境の立ち遅れには、政府と自治体の総力を挙げて改善に取り組み、待機児童問題の解消と、保育環境と人材の確保に財源を優先的に回すのだ。

その財源の捻出には、既得権産業保護に浪費していた税収を当てるのは言うまでもないことで、「企業保護よりも育児優先」を徹底する。

これで、人口減少社会への懸念に歯止めがかかり、経済での不安が減少する。

 

輸出拡大努力をするのは当然の政策であるが、其のために、人件費を抑制したり、長時間労働を強いるなどは、もっての外の悪行である。

また、エネルギー多消費産業では、エネルギー源を徹底的に「再生可能エネルギーへの転換計画」を義務つける。

こうして、国内での「化石燃料からの離脱」が潮流となれば、「再生可能エネルギー産業の育成」が軌道に乗る経済構造となる。

このような過程を経て、初めて「経済成長が定常的に実現する社会」のなるのだ。

この方向で、快適な労働、快適な家庭作り、その基盤のエネルギーは、世界の環境に最も適合する「快適エネルギー」で、賄える社会が到来する。


次世代に負担ばかりを残す既得権産業に区切りをつけよ。

2016-12-30 | 国創り政治問題

安倍内閣の経済政策を振り返れば、従来の既得権産業を「保護して収益を増加させる」ことばかりに、重点を置いてきた。

超金融緩和で「円安に誘導して株価の上昇」を図って、企業の経営を支援することで、「景気回復の機運」を作り出している。

また、一時的に終わっているが、「円安では輸出企業の業績が改善」して、収益が増えることで、政府の税収増加が図られた。

その反面では、【円安による輸入品の価格上昇の悪影響】は、じわじわと消費者の負担が増えるばかりで、消費購買力をさらに減少させている。

 

【消費者に犠牲を強いて企業の収益改善】と株価の上昇で、景気の回復基調との気分を作り出しているだけで、実際の経済は少しも改善していない。

その最大の理由は、将来の成長が見込めない「既得権産業」にばかり、政府の恩恵を回すだけで、【次世代に負担を回す】ことだけが、着実に増えている。

エネルギー産業で言えば、「脱原発の大きな流れ」に逆らって、再稼動を推進し、【核燃料サイクルの行きつまり】には、延命策ばかりに時間と税金を浪費する。

石炭関連産業の既得権を保護する【石炭火力発電の国内外の政府支援】を、国際世論に逆らって、強引に進めるばかりである。

 

石油産業関連では、世界が次世代燃料の開発にしのぎを削っているのに、国内石油企業は、縮小する市場への生き残り策の経営統合にしか動けない。

今こそ、次世代燃料の開発にまい進すべき時期だが、新技術開発の意欲も人材もいなくなっている。

石油関連のプラスチック産業界では、次世代の「バイオプラスチックの研究開発」が、活発になっているが、日本関連企業では、後追いでしのぐだけだ。

高度経済成長時代の「日本独自の技術開発」にまい進する意欲もなくなっている。

はじめは欧米の技術導入から進めても、技術を習得した後は、「日本人特有の創意や感性で製品改良」に、最大の努力を惜しまなかった。

 

安倍内閣のやり方では、お金の大量流通だけしか能がないようである。

国費を投入する対象は、失敗のリスクの少ない「既得権産業の保護政策」ばかりに、重点的には予算配分が回る。

研究開発では、失敗のリスクが大きいので、欧米で進めてきて成功の実績が出ている開発にばかり、関心が移ってしまう。

日本の政権は「完全に後追い型の猿まね戦略」に、逃げ込んでしまったようだ。歴代の民主党政権が、「二番手根性の政治家集団」であったが、政権交代した安倍政権も、「猿まね横取り政治家」の集団と化してしまった。

真剣に日本の将来の「国創りビジョン」に向けて検討し、当面の既存産業保護が必要であることはやむを得ないし、猿まね政策でも実行するべきだ。

しかし、本来の目標を見失った「既得権保護」には、区切りをつけるべきだ。(続)


アメリカのバイオ燃料は海の微細藻が主流だが日本は。

2016-12-29 | バイオ燃料・バイオマス

21世紀の化石燃料の代替には、海の藻類を原料とする研究が盛んになっている。

これらの藻類は、太陽光を受けて「光合成を行う植物プランクトン」が、研究開発の対象である。

アメリカの南東部の沿岸部は、太陽光の日射量が強いので、これ地域の沿岸部で「海の藻類の栽培を工業規模で開発」すれば、将来の一大産業にできる。

また西海岸部の南側でも、亜熱帯の乾燥気候の地域が、工業規模での大量生産に適した候補地である。

海の微細藻類は、バイオ燃料用の油脂を抽出した後の材料は、動物の飼糧にも利用可能で、高付加価値の副産物を開発することが期待されている。

 

このような研究報告書が、アメリカの各所から公表されているので、日本でも企業の研究部門や関連の政府機関が、関心を持たざるを得なくなるであろう。

今までも、日本の各企業と大学の研究機関が、微細藻類の栽培の研究にとりくんできたが、全て「淡水の藻類」であった。

名前が知られている例を挙げると、「ユーグレナ(ミドリムシ)」が有名である。

油脂を大量に生産する種類として「ボトリココッカス」の名前も聞いたことがあるでしょう。

いずれも、あるレベルまでの試験的な生産には実績を上げているが、日本では大規模の工業生産をする計画には至らない。

 

その理由は、太陽光を受けて「光合成による炭水化物の生成」には、絶対的に大面積の土地が必要になっている。

日本では、土地代の経費が高くついて、工業規模にするとコスト高になる欠点が浮き彫りになる。

結局、実験的に成果を収めた実績をもとにしての「大面積規模の工業生産計画」立案する段階では、土地代の安価な海外に生産拠点を立地するしかない。

それでは、長期的には「国創り基本目標のエネルギー自立」には、向いていない。

ならば、海での栽培が可能な「海の微細藻類(植物プランクトン)」の研究が、本命になる必要がある。

 

ところが、植物プランクトンの栽培の改良を実施して、商業規模の生産に成功したと仮定してみよう。

植物の特性は「太陽光による光合成」が基本であるから、同じ栽培条件の海域があれば、日本の沿岸部よりも、「亜熱帯乾燥地の沿岸部」の方が、日本の2倍近い「太陽光の日射量」に恵まれているので、オーストラリア沿岸部が有利になる。

つまり、海の微細藻類でも、植物性プランクトンに依存する方法では、必ず海外生産に移行してしまう運命にある。

では、日本のバイオ燃料生産計画の、適切な選択はどうするのが良いのか。

それは、微細藻類ではなく、「海の大型海藻類の栽培」を主流にするのだ。(続)


日本は沿岸の地域振興を図るバイオ燃料の取組みを。

2016-12-28 | バイオ燃料・バイオマス

国土面積が少ない国だから、人口密度の高い国では「産業立国」が困難だと言いふらされてきた。

しかし、明治維新以来の海外からの科学技術の導入と、日本人の努力の結集によって、技術レベルは欧米に近づいてきた。

太平洋戦争によって、一時的に挫折を強いられたが。日本人の精神構造はそれを乗り越えて、1980年代には、先進国のレベルに達している。

欧米を追い越したかに勘違いをして、【バブル経済に踊ってしまった】が、その挫折から立ち直りに、多くの時間を浪費してしまった。

 

今のままの、新自由主義経済からは決別する時期にある。

そして、エネルギー産業の将来は「原子力立国」からは、完全に離脱する。

その代わりに、日本の周囲の海洋を、徹底的に研究を進めて、経済的に成立する産業を開発して、国策として振興する時期にある。

ここで、勘違いをしないように、」十分な調査と議論が必要になっている。

海洋の開発というと、すぐに【海底に眠る地下の埋蔵資源】のことだと、早とちりをする人が多くいる。

確かに長期的には、先祖から受け継いだ、海底資源を有効に利用するべきであろうが、それには、地道な技術開発を積み重ねなければ、経済的には引き合わない。

 

それよりも、海洋の開発は、まずは解除の風力を資源と見て、「洋上風力発電」の技術開発に本腰を入れる時期に来ている。

現在の段階は、陸上の風力発電は、もうすぐ「地上の火力発電」よりも安価に電力エネルギーを生産することが可能になる。

そのうちに、技術進歩と解除の送電技術が革新されることで、浮体式の洋上風力発電が、商業的に成立する「最も安価な電源」となる時期が到来する。

この洋上風力発電を、ウインドファームとして兼摂計画を実行すれば、沿岸部は関連の産業で賑わいを見せる。

日本の国土の過疎地になりかかっている「沿岸部を経済的な活況に転換」できる。

 

さらに、風力発電の基地にとどまらないで、「海上の藻類を栽培する基地」として「技術開発を国策で実施」していけば、沿岸部の経済が活況になる。

バイオ燃料としての製造価格が、商業的に競争力を実現するには、まだ革新技術の開発が数多く控えているが、日本の高度経済成長期には、それを実行できた。

この21世紀の半ばには、日本の沿岸部がバイオ燃料産業で成立できる時期が、到来するであろう。

ただ、欧米の研究が進むのを待ってから、成功した部分だけを後追いで真似しようとするならば、有能な人材は海外に出て活躍してしまう。

最も優れた人材を確保し、育成する気概が日本になければ、従属的な下請け産業として、おこぼれをもらうだけに終わってしまうだろう。(続)


日本は世界第6位の海洋国家であることを思い出すべきだ。」

2016-12-27 | バイオ燃料・バイオマス

アメリカは世界一の資源国であり、国土面積も広大である。

また、海洋への沿岸部分藻、大西洋側、太平洋側、メキシコ湾岸と、広大な海洋面積に恵まれている。

そのような、資源国家、大陸国家、海洋国家と、3分野での有利な条件もあって、「食糧自給率100%以上」、「エネルギー自給率100%以上」と、国としての基盤は磐石である。

それでも、長期的な産業戦略を描けば、エネルギー資源の枯渇に備えて、再生可能エネルギー分野での、先端的な研究には投資を惜しまない。

その顕著な事例が、バイオ燃料分野への研究開発支援の戦略的な展開である。

 

日本は、国土面積も狭くて、地下資源の埋蔵量は、ゼロに等しい。

だからエネルギー自給率の割合が、水力発電の一桁台に比率に甘んじている。

だからと言って、原子力エネルギーに依存しようとした【原子力立国戦略】は、もはや破綻同然である。

日本でのエネルギー自給率の向上は不可能で、現状を直視するしかない。

と諦める人が多いが、日本が周囲を豊かな海に囲まれた「海洋立国」であることを忘れている。

再生可能エネルギー電力の分野では、このブログで何度も書いているように、『浮体式洋上風力発電』の技術革新を、国家戦略として実施すべきなのである。

 

代替燃料の分野では、「バイオ燃料の技術革新」を目標にして、国策として「粘り強い戦略的な研究開発支援」を実施すべき段階にきている。

特に近年のアメリカが、「海洋の微細藻類」の「統合バイオ精製所の最適化」に取組みを参考にして、日本独自の戦略的な研究をすべきである。

アメリカの成果を見てから、日本は後追いをすれば良いとの、2番手手法では、世界の市場競争の舞台では、初めから敗退の運命にある。

【二番手ではダメなんです!】

この【後追い根性が高い志を奪う】他力本願のみすぼらしい精神構造に陥るのだ。

 

日本は小さいながらも、精神的には高い志を持つ意気込みで、独自の文化を育み、限られた環境下での最大限の努力を重ねてきた国民的資質を持っている。

豊かな資源がないかわりに、勤勉で努力を惜しまない、技術力を磨いてきた。

今の日本人に求められるのは、日本的な国土を生かして産業を、高度に熟成する段階に来ている。

その源泉となる、エネルギー源を自給する気概を持つべきなのであるが。初めから資源がないと諦めるのは、自立心を失っている。

日本は人口あたりでは、最大の「排他的経済水域を保有」する、海洋立国は可能な国土条件にある。

後は、その先祖からの資源を、自立できるエネルギー産業に育てることである。(続)

 


日本は全量を石油輸入依存してバイオ燃料の研究がオザナリ。

2016-12-26 | バイオ燃料・バイオマス

安倍政権は、電力の構成比率の将来目標を2030年に向けて定めているが、燃料における「再生可能エネルギー」の割合を具体的な目標を定めていない。

航空機用の燃料については、EUが2020年には一定の割合の「バイオ燃料」を利用するように目標を義務付けているが、日本の航空企業は輸入だよりの姿勢だ。

石油企業では、研究開発には取り組んでいるが、様子見のポーズだけである。

先にあげたアメリカ政府は、1990年代から積極的に、農産物のトウモロコシから作るエタノール燃料を自動車用ガソリンに混合することを義務つけてきた。

食料を自動車用燃料にするのは、食料危機を誘発するからやめるべきとの批判を浴びて、陸上の草木類のセルロース系を燃料にする研究にも力を入れてきた。

 

近年になってからは、陸上の作物よりもはるかに生産効率が高く見込める「海洋の微細藻類」を将来の主要な作物に取り上げる動きとなっている。

アメリカのエネルギー省では、これからの「バイオ燃料」「バイオ化学物質」「バイオ電力」のコストを、化石燃料由来の製品よりも安くする取り組みを強化する。

この研究開発の目標に沿った、あらゆる方面の関心のある研究者に、資金援助する研究公募を実施する。

この研究支援は、「統合バイオ精製所の最適化」と称して、特に「藻類ベース燃料」に重点的に研究助成する方針を打ち出している。

アメリカのエネルギー戦略の将来に対する研究開発投資には、日本も少しは見習うべきであろう。

 

アメリカの食料自給率は100%を優に超えている。

エネルギー自給率は、一時期には国内需要が「モータリゼーション」の進展によって急増したために、中東からの石油輸入に依存する体質になってしまった。

1970年代のオイルショックによって、中東石油に依存する体質の脆弱さに、国家としての危機を覚えて、国内のオイルシェールの掘削技術開発が急務となった。

粘り強い研究開発の成果によって、2000年代から「オイルシェールからの石油生産コスト」」が低下し、原油が100ドルに達する時代には、有利となった。

また、シェールガスの生産では技術開発が進化したので、アメリカ国内での「天然ガス生産」は、コスト競争力を強化することに成功した。

 

日本は石油ショック時代に「代替エネルギーの開発」に力を入れ始めたが、国土に資源があるわけでもないので、途中で諦める状況になった。

太陽光発電の技術開発には、研究支援を継続して、1990年代には、世界での最も技術が進化して、生産量も設置容量藻世界一になった。

ところが2000年代の初頭には、【技術開発は民間ベースで良い】との判断で力の抜いたために、中国政府の国策に破れて、今では、後追いの状況に転落した。

バイオ燃料の分野では、初めから「世界の研究開発から置いていかれて、いまでは、欧米の研究成果を見ているだけの、情けない状態に置かれている。(続)

 


バイオ燃料の先進国では藻類をベースとした燃料開発が。

2016-12-25 | バイオ燃料・バイオマス

日本では大量の自動車、船舶、そして、航空機の輸送機関で「石油系の燃料」を、消費しているが、すべての燃料が海外からの石油輸入に依存している。

また、暖房や熱利用の機器にも。天然ガスと石油、石炭を消費しているが、化石燃料は、世界的な消費削減の時代になっていく。

アメリカは国内での天然ガスの生産も活発で、石油の生産も、「近年の技術革新によって「シェールガス、シェールオイルの生産」が、軌道に乗り始めた。

今では、100%の量が自給可能になっているので、国際価格が上昇すれば、国内の生産量を増やし外貨を節約し、国際価格が下がれば輸入量を増やしている。

このように、国益を重視した受給と生産のバランスをとる構造になっている。

 

それほどに石油や天然ガスの資源に恵まれているアメリカだが、「エネルギー省のバイオエネルギー局」では、「藻をベースとしたバイオ燃料技術の開発支援」に、力を注ぎだしている。

アメリカのバイオ燃料といえば、食料となる「トウモロコシをエタノール燃料」の生産に回すことで、ブッシュ政権が国家プロジェクトとして支援していた。

それで、ガソリンには「エタノール混合を義務付け」たりしたので、「食料を犠牲にして自動車に回すのはけしからん」との批判が世界中から起きていた。

バイオ燃料を利用することが、食料危機を増加させるとして、「環境問題の解決にはならないと非難されて、アメリカも、一定の範囲で補助制度を止めている。

 

だが石油に依存することを、早期に離脱することが「国益に沿うとして、植物のセルロース系からのバイオ燃料製造」にも、こだわりも見せて支援してきた。

しかし、この近年になって、「藻をベースとしたバイオ燃料」が、最も将来性のある「研究開発課題」として、注目するようになっている。

近年の研究によって、海の微細藻類には「一般的な地上植物よりも一桁以上多くネネルギーが保存」されていることがわかった。

例えばアメリカ全土の4%の面積に相当する39万平方km(テキサス州の半分)の面積で藻を栽培すれば、アメリカの液体燃料の需要をまかなえる。

また、藻類が世界の食料需要を保証することが、可能な量を栽培できる。

 

このように「海洋の微細藻」(植物性プランクトン)の工業的な規模で開発することで、食料不足対策にも活用できる可能性が大きい。

世界の人口が96億人まで増加した21世紀の半ばには、人間のための栄養成分を多量に含み、動物の飼料にも大量利用が出来るので、救世主になり得る。

現在は、食料とエネルギー作物を地上の農地で栽培しているが、その1割以下の面積で「食料用と燃料用の藻類を栽培」することができるようになる。

海の植物プランクトンは、すべての海中生物の生命を支えている「基礎的な食料」であり、「環境的にも炭酸ガスの吸収」の効果が、他のどの方法よりも効果的だ。

アメリカ政府は着々と、この藻類の研究に大きな国費を投じ始めている。(続)

 


再生可能エネルギーの燃料代対策のついては無策の安倍政権。

2016-12-24 | バイオ燃料・バイオマス

日本での「原子力立国」が、幻想に翻弄されて国費を無駄に投じる結果に終わることは明白である。

しかし日本の識者たちは、大半が「化石燃料依存時代」の発想から抜け出ることができずに、いまだに、石炭や石油に依存し続けるエネルギー構造に囚われる。

原発が稼働しない分を、石炭火力発電の依存度を高く維持したまま、2050年を迎えようとしている。

2050年には、先進国の責務として、「温室効果ガスを80%削減」の目標が、国作りの基本的な資格として、試される時代が到来するのは確実である。

このままいけば、日本は先進国としては失格の評価は間違いない。

 

日本は2000年代の初頭までは、世界での環境先進国として、海外諸国からも見習うべき国との評価が高かった。

しかし、その後の政権の迷走によって、「再生可能電力の技術革新」にブレーキがかかる事態となって、革新的技術は停滞状態に陥っている。

原子力発電への依存の夢が破綻した後も、「再生可能電力」の普及促進策は、「電力固定価格買取制度」の法制度には、なんとか成立させたが、後が続かない。

安倍首相はことあるごとに、「再生可能エネルギーの普及促進」には、最大限の努力を払う」と声高に言明しているが、実際には何も実行しない。

【原子力発電の負の遺産】を、国民の目から誤魔化すことしか眼中にない。

 

それでも「世界中が再生可能電力」の普及促進に流れているので、後追いながらも少しずつ普及が始まっている。

2030年までには、22%程度に電力比率を増やす目標を立てているが、この実行作は、全く不十分な政府の取り組みに終始している。

それでも電力比率の分野では、マスメヂィアが時々、批判的に取り上げるので、政府も取り組みに気をぬくわけにはいかない。

今後も、温室効果ガスの排出量が最大の「石炭火力発電」の増設には、メディアも監視の目を向けて、批判する議論が活発になるであろう。

 

それに加えて問題なのは、電力以外の輸送用燃料の分野と、暖房や熱利用の燃料分野では、石油や天然ガスの代替となる「再生可能燃料」」には、関心がない。

自動車用燃料のガソリンには、エタノールの混合を5%程度に義務付けた法制度があるだけで、実態把握すらできない状態である。

安倍政権は、欧米先進国では「実施済みの炭素税」(温暖化対策税)すらも、検討もしないので、再生可能燃料に対する「技術開発の誘導政策」が、ない状態だ。

日本の自立にとっての「エネルギー自給率」の改善目標は、電力以外については「輸入依存のままに放置する」方針で、国産の自立した燃料政策はない。

アメリカでは、石油の代替になる「バイオ燃料の革新技術」には、国費を投じて「国内で大量生産するバイオ燃料」の研究開発に熱心な取組みを続けている。(続)

 


原子力立国の悪夢から離脱することが日本の再生に向かう。

2016-12-23 | 核エネルギー・原子力問題

「高速増殖炉もんじゅ」の研究開発を断念して、廃炉作業に入ることを決定した。

これが、日本政府の国策として進めてきた「原子力立国」の終焉の始まりである。

未だに行き場の無い「使用済み核燃料」の後始末が、迷走している段階では、【実現性の無い高速炉の研究】を新たに計画することで、時間稼ぎをする方針だ。

もんじゅの建設と研究費では1兆円以上を税金から投入し、さらに廃炉費用として3750億円以上と見積もられている。

今までの実績から、この費用は2倍には膨らむだろうし、「幻想の高速炉開発」には、机上の検討とはいえ多額の費用が掛かる。

合わせて2兆円近くの税金が投入されて、原子力立国の夢は幻想であることが実証される。

 

だが、原子力立国の幻想の負の遺産が、これからも膨大に明らかになって、現世代の過ちを早急に償う必要がある。

福島原発大事故の影響では、すでに21.5兆円の賠償費用と廃炉費用が明らかになっていて、この費用は「電力消費者の負担で賄う」と、方針が提示された。

来年の通常国会で、この負の遺産処理の方針で是非が審議される。

しかし、これだけでは無い。

原発再稼働に同意が得られずに設備償却費が大量に残る原発が廃炉になれば、電力会社は当然のように、電気料金値上げを政府に申請して、消費者にツケを回す。

また、使用済み核燃料が、再利用できなくなる段階では、資産価値がマイナスになるので、電力会社は負の遺産で赤字となり、これも電気料金値上げで賄う。

 

こうして最終的には、すべての負の遺産を電気料金で返済するとしたら、「安価な電源」どころか、【最も高価な電源】としての実績になる。

現代の消費者が負債を返済しなければ、次世代に対して申し訳が立たない。

いや、まだ未解決で最も困難な課題が残されている。

使用済み核燃料の安全な保管方策が、迷走したままに、処理費用の積み立て不足は必須の情勢になる。

そして、50基の原発を廃炉にした後に出る「高レベル放射性廃棄物」の、処理施設がどこにも、行き場が無い。

 

筆者の意見では、可能性が残されているのが、北方四島の返還交渉と合わせて、ロシア側に、この処分地の開発の共同事業の提案を進めることであろう。

このように現世代に多大な損失と負担を強いる上に、次世代には、想定もできない負の遺産を残してしまう「原子力立国」は、無残な悪夢と終わるしかない。

それでも、「原子力エネルギー」は、日本の将来のためには、「実用化しなければならない」と主張し続ける、【頑迷固陋の老人たち】が日本には残っている。

このブログでは、なんども説明してきたように、21世紀の前半には「再生可能エネルギー」の技術開発の進化が著しく、この方向の選択が最良である。(続)


歴代内閣の原子力政策の矛盾を露呈してプルトニウムの虜に。

2016-12-22 | 核エネルギー・原子力問題

安倍政権は、原子力立国の要の技術である「高速増殖炉の開発」を断念することになった。

すでに20年以上の年月と1兆円以上の研究開発費を投じてきたが、今後の稼働の再開の費用だけでも5000億円以上も要する。

それだけの費用をかけても、得られる研究成果は、研究投資に見合わない。

1990年代の後半には、先行していたアメリカ、イギリスが【経済性が見合う可能性】がないとして、途中で研究を断念して撤退していた。

それでも、日本では2030年頃には実用化にこぎつけられるとして、研究投資に突き進んでいた。

 

転機は福島原発の大事故によって、将来のエネルギー源を核エネルギーに頼る基本方針が崩壊して、国民の『大多数が将来は脱原子力を支持』したことである。

この時の政権は民主党の野田政権であったが、脱原子力の方針を閣議決定にこぎつけるのに多くの時間がかかり、その要になる高速増殖炉の扱いが迷走した。

ついに時間切れとなって、研究炉として位置づけて、毎年の維持費が200億円以上もかかるのに、無駄と知りながら継続する中途半端な結論とした。

政権交代した安倍内閣では、【原発の再稼働の方針に転換】して、将来とも原発の電力依存度を20%以上も見込む、現実味の無い計画に迷い込んで行った。

 

安倍政権が「安全性神話」、「安価な電源神話」が崩れた「原子力発電」にしがみつこうとするのか、不可解であるが、電力会社救済の狙いは明らかである。

原発の再稼働を20%以上も目論むのは、原子力発電所の建設費用が莫大であり、設備の償却費用が大量に残っている原発を救済するためである。

もしこれらの原発が再稼働できずに「廃炉に決定」した場合には、5000億円以上も掛けた建設費用の償却残額が、電力会社の損失となって赤字に転落する。

その分を電力料金の値上げによって賄おうとすると、産業界が反対する。

結局の所、電力業界になし崩しに再稼働をさせて、設備の償却を図っているのだ。

 

さらに、原発が20%も再稼働したら、使用済の核燃料が次々に廃出される。

現在でも、発電所の敷地内に行き場がなくて保管しているのに、あと10年以内に「使用済み核燃料の置き場」がなくなって、原発の稼働は不可能になる。

それを避けるためには、使用済み核燃料を「青森県六ヶ所村の再処理工場」に持ち込まなければならない。

そこで製造された「プルトニウム燃料」を、発電に利用できる「高速炉」が、実用化されなければならない。

しかし【もんじゅ高速増殖炉】は、研究開発を断念せざるを得なくなってしまったので、後継となる「高速炉」を、体裁上だけでも「開発計画」を浮上させた。

今後の10年くらいは、机上の検討だけでも進めていれば、そのうち、「【原発再稼働】の目標が変更に追い込まれるだろう」との甘い期待を心に秘めている。(続)


安倍政権の経済政策は戦略なき既得権との経済共同政策。

2016-12-21 | 核エネルギー・原子力問題

アメリカとは[TPP交渉の行き詰まり]が、当面の懸案になっているのに対し、国民にはなんらかの説明が必要になっている。

しかし、経済政策の中心に据えていた「貿易自由化の一層の推進」では、アメリカの国益優先に転換されるのは確実で、輸出依存型の経済回復はなくなる。

アベノミクスの成長戦略は、中身が形骸化して「国の将来を託す新産業」の育成は、未だに成長の芽が見えてこない。

旧来の既得権産業を守ることだけが、安倍政権の命脈を保つ経済政策に停滞したままである。

 

その中でも、将来性が全く期待できない「電力業界に依存する体質」は、安倍政権のアキレス腱と成り果てて、常に経済成長の足を引っ張る「お荷物産業」だ。

原子力発電への依存度を高くしすぎたツケが、今回の原発大事故によって、「経済政策の基本戦略」を瓦解させてしまったのである。

それは、【原発の安全神話の崩壊】が大きく影響しているが、それに加えて【原発の最安価神話】が崩れていることにある。

かっては、原発の発電コストは、水力発電と比較できるくらいに最安価であった。

しかし、それが完全な嘘の論理で固められた「作為的な発電コスト」であった。

原発大事故後に、安全基準の再構築によって「適合させる追加コスト」を加えると、火力発電並みの平均的な発電コストになり、後始末費用が増加する。

 

安倍政権は、嘘の上塗りに加担して、それでも、原発を稼働させた方が「発電コスト全体は下げられる」と国民に説明をしてきた。

しかし、東京電力の救済の為には、国民の共有財産に相当する「電力会社の配電送電網」の利用料金に、原発事故の【賠償費用と廃炉費用の増加分】をかける。

つまり、東京電力が企業責任で賄うべき「汚染者負担の自己責任」を廃止して、電力利用者に負担を負わせる【例外的な電力会社救済】を決定したのだ。

しかも、その金額の算定では、当初に1兆円を投入して「東京電力を国有化」して、あとは一時的な建て替え5兆円で救済するとしていた。

これが、賠償費用と事故源発の廃炉費用が膨れ上がり、総額21.5兆円と膨大に増加している。

 

アメリカのリーマンショック時に、金融企業を破綻させたが、あまりに経済情勢に悪影響が及ぶとして、【大きすぎて潰せない金融企業】を、税金で救済せざるを得なくなった。

その経営責任者たちは、有限責任だからうまく逃れて、今では大半が大金持ちに復活している。

安倍政権は、このような「電力会社は大きすぎて潰せない」との論理で、不始末の後処理には、電力消費者に負担に回す、【不正義を実施】している。

このような【その場しのぎ既得権擁護】が、政権の無責任体質を表している。(続)

 


まずは経済的なメリットの論議を先行することで活路を開く。

2016-12-20 | 国創り政治問題

今回の日ロ首脳会談の評価は、「北方領土問題の交渉」については、【全く進まなかった、ほとんど進まなかった】と、国民の70%が考えている。

日本として「北方領土問題」をどのように交渉していくかについては、「歯舞、色丹の2島を返還させ、残りは引く続き協議」が51%、「4島一括返還」が18%となっていて、『69%の国民が北方領土の返還を強く期待』している。

しかし、今回の日ロ首脳会談でも、期待が先行しすぎていて、ロシア側の情勢の把握が不十分で、プーチン大統領が、いくら「日本との平和条約の締結の必要性」を最重視していても、そうはやすやすとは、譲歩できないことがわかった。

 

つまり、日本の安全保障体制の基本が、対米一辺倒に見える「日米安保条約」の従来の姿勢にしがみついている段階では、ロシアの側では領土問題は存在しない。

領土の問題を無しとした上での「日ロ平和条約の締結」を、目論んでいるのは確実だが、北方領土の返還交渉を進展させないのでは、日本側は絶対無理である。

この基本方針の違いが明確にされたのだが、日本のメディアは「経済協力活動」の方ばかりに、報道の重点が偏ってしまう。

経済活動の支援をしていけば、ロシアの世論が日本よりになって、「北方領土の返還に譲歩」するだろう、との希望的な期待感が先行している。

何度も繰り返して強調することは、「日米安保体制」が、今のように【対米追従一辺倒】で、日本の主体性が見えないようでは、ロシア側では日本を信用しない。

 

今回の首脳会談の最中にも、沖縄基地での「オスプレイの不時着事故」が発生している。

この事故発生の原因を明らかにするまでは、日本国内のオスプレイの飛行を中止することを米軍に要求して、一時的に飛行を中止していた。

しかし、首脳会談が終了したら、すぐに【飛行再開の申し入れを了承】してしまったので、やはり、御主人様のアメリカとその実力者の米軍には、逆らえない実態をさらけ出している。

「北方領土の四島返還交渉」を始める覚悟を決めたならば、まず現状の対米追従路線を真剣に見直して、日本が主体性を持った国であると示すべきである。

 

安倍首相は、日米安保を堅持するとしているので、米軍のいいなりになる姿勢を変更する意思は無い。

それだから、領土返還交渉を自分の責任で進める姿勢を示すためにも、「共同経済活動の協議」」について、合意したことを首脳会談の成果としている。

しかし、ロシア側では主権を持っている「ロシアの法律にもとづいて行われる」ことが前提だと主張している。

日本側では、「ロシアの主権の元での共同経済活動はあり得ない」としている。

このように「四島の経済活動」には、大きな隔たりがあるままに、とにかく、玉虫色の【特別な制度の元での共同経済活動】の具体化が議論される。(続)


アメリカの対ロ政策次第で経済協力活動の意義が問われる。

2016-12-19 | 国創り政治問題

ロシアは日本の政府が、アメリカの意向に背いて信義を守るとは想定していない。

それは、米軍の基地を日本の各地に配置している「日米安保条約」が、いざという時には、最優先の権限を行使するからである。

ロシア側がいくら要求を出しても、日米安保条約の枠組みに拘束されて、日本はロシアの要求を拒絶すると、想定している。

だから、アメリカの政策が「対ロシアで締め付け方針」である限りは、日本側が経済協力活動でロシア側に有利になるように約束していても、信用されない。

最後の判断基準は、日米安保条約のアメリカ側の意向次第なのである。

 

ロシア側が日本との平和条約を締結したいとしても、日本は四島の領土の帰属のケジメを付けない限り、実現しない。

その四島には、アメリカ側の意向が一切影響を受けないようにする方策は、今のところか革新的な方策が浮かばない限り、日本に返還することは絶対にしない。

つまり、日本側が要求する四島の領有権は、ロシアにとっての国益と安全保障上に大きな損失をもたらすことになる。

プーチン大統領が、いくら80%の高支持率であっても、ロシアの安全を損なう譲歩は不可能なのである。

これは経済メリットの問題ではなく、安全保障の問題であると認識すべきだ。

 

ところが、日本側の流れでは、経済協力活動を活発にしていけば、ロシアのほうでは日本との経済の結びつきが経済メリットの恩恵を受けるはずだ。

その実績を作り出せば、日本との交渉の環境も変わるから、四島の領土返還の話を進めやすくなる、との甘い想定がはびこっている。

ロシアにとっての北方領土は、太平洋側でのロシア海軍の活動の確保のために死守しなければならない、重要地点なのであろう。

日本側の論理では、北方四島の帰属をロシアに固定してしまっては、日本の存立の基本を放棄するくらいに不名誉な状況に陥ることになる。

ロシアとの平和条約の締結の前提としては、四島の返還交渉の解決が必須なのだ。

 

このように安全保障上の問題と、日本側の名誉回復交渉の決着という、経済上のメリット論議を超える問題認識を共有することが先決であろう。

しかし、日本側のメディアの論調では、ロシア側が経済停滞を離脱する手段として、日本側の極東開発への全面的な支援を求めてきた機会を、活かせという。

つまり、経済的な有利不利の損得感情が先行してしまったようだ。

ロシアと日本の、安全保障上の交渉では、アメリカの意向に背いての議論はあり得ないから、今度のトランプ政権の真意を分析することから始める必要がある。

それまでは、表向きは「経済メリットの追求」をするとして、四島の経済協力活動の特別の条件を、交渉を開始すると宣言するのが、始まりの合図だ。(続)


北方領土の返還を前提とした平和条約の締結は長い道のり。

2016-12-18 | 国創り政治問題

今回のロシアの要求は、平和条約の締結が最大の目的だとして、その前提となる信頼関係を構築することが入り口になる、ということになる。

それには、極東地域の経済開発に日本の民間企業の力を誘いだして、苦境にあるロシア経済の立て直しに力を注いでほしいとのことに尽きる。

安倍首相は、ロシアの経済苦境をチャンスと捉えて、「ロシア側からの経済協力活動」に、前向きに対応することで、プーチン大統領の訪日を実現した。

しかし、ロシア国内の大勢は、「経済協力活動」の見返りとして、「領土の返還」を条件とするのを良しとしない。

経済的な苦境で、自国の領土を返還するのはとんでもない、との意識である。

 

プーチン大統領としては、80%の支持率があっても「領土の返還」を条件に交渉を始めることが、いかに困難かを安倍首相に説明を繰り返したはずである。

つまり、それまでの言動が「ロシア国内の世論を日本への信頼関係を増大する」ことに、無頓着であったツケが、大きく溜まっていることに気がつかなかった。

日米安保条約を金科玉条のように扱っている現状では、アメリカの要求が理不尽であっても、日本政府は言いなりになりかねない。

ロシア側からすれば、「クリミア半島問題で米欧に追従した日本」の姿勢に、大きな不信感を持っているのだろう。

【沖縄の米軍基地の理不尽とも言える特権】に対する、盲従ぶり不信感を招く。

 

このようなアメリカの対ロシア姿勢に、無批判に追従する日本との条約で、北方四島を期限付きの条件交渉をしたら、それこそ、大きな国益を失いかねない。

プーチン大統領は、あらゆる方便を使って、現状の日本に対する苦言を呈したはずである。

安倍首相は、どこまでのこの苦情とも言えるロシア側の不満を理解したのか、共同声明とその後のメディアでの説明では、曖昧な言説に終始していて分からない。

「両国の信頼感を深める」との大義名分によって、とにかく「経済協力活動の条件の協議を開始する」との声明は、入り口として必要な関門であろう。

 

しかし、経済活動に貢献をするだけでは、ロシア側の不満と不信感が、改善されることは限定的であろう。

それこそ、プーチン大統領にとっては、日本側の対米追従路線に改善の兆候が出てこなければ、それを理由にして【領土交渉に入る条件がない】、と言い張る。

つまり、経済的な恩恵だけを受けても、見返りは断る理由はいくらでもある。

日本側からすれば、ロシア側がいいとこ取りだけをして、食い逃げの様相をするように見えるが、それでは両国関係はさらに不信感の増加だけが残される。

プーチン大統領が要請したか、苦言を言ったか、とにかく安倍首相は、日本政府の対米追従一辺倒の外交姿勢を改めない限り、信頼感を増加できない。

両国の信頼関係を醸成することは、まず、己のなりふりを改めることからだ。(続)

 


現代の領土交渉は武力を除外した事例は想定できるのか。

2016-12-17 | 国創り政治問題

ロシアとの経済協力のプロジェクトが検討開始されることになったが、その成果を生み出した上で、ロシアの人々に信頼感が生まれることを目標にするという。

確かに、一旦は自国の領土になった地域を、政府の指導者が「お国の全体のメリットのために」と言って、他国に譲り渡す決定は困難な状況である。

経済協力活動を地道に積み重ねれば、日本に対する信頼感が向上するから、その時期まで待って「北方領土返還に交渉に取りかかれる」という暗黙の合意だ。

だから両国の国民の信頼感が蓄積されるまでの期間に、経済活動を積み重ねてメリットになることが実感できるように図っていくという狙いのようである。

 

確かに敵対したり競争関係にある間は、領土の返還交渉が進展することは考えられないから、経済協力を積み重ねて交流を深める必要がある。

それが有効な信頼感を生み出すことになれば良いが、経済協力をすれば「北方領土の返還交渉の推進力」になるかは、一概には言えない。

北方領土の経済協力活動によって、ロシアにとって「手放したくない発展地域」となった場合には、返還することは損失になるとの機運が起きることもある。

北方四島での共同経済活動の実現に向けては、今までには実現したことの無い「武力を行使しない領土の返還」という、歴史上になかった交渉を始める環境作りだ。

 

二国間の経済協力活動の交渉ならば、お互いがウインウインの関係になるように、「共通の認識と目標」を共有できる。

信頼関係も、この目標の共有ができている前提で、誠意を持って取り組めば、多少の問題があっても調整する事で、目標に向けての協力ができるだろう。

だが今回の、「共同経済活動を始めるにあたって、協議を開始する事」に合意しただけであり、その目標が「経済的なメリット」だけにしか、焦点が当てられていない。

つまり、経済協力活動が利益を生んでいる間だけならば、両国の思惑は一致しているが、その成果がロシア国民に「北方四島を日本に返還するのが妥当」との意識に転換することは、成り行き次第に任せるというだけである。

 

現状のままのロシア住民の意識では、日本が経済活動の参加してくれて、地域が活性化するのは大いに歓迎だが、【島を返還することはあり得ない】としている。

たとえ20年間の期間をかけて、経済発展を目標にして四島のインフラ整備や産業振興を図って成果を上げたとしても、その成果を日本に返還することは無い。

ロシアは、極東地域の経済開発を国益として力を入れようとしているが、そのために日本の経済協力活動は、願ってもない強力な手段である。

しかし、その前提が「四島の返還を条件とした日ロ平和条約の締結」にあるならば、ロシア国内での合意が得られない可能性が大きい。

四島の領土の帰属問題が、経済共同活動の条件交渉になることは、日本側にとっての譲れない前提条件であろうが、共同声明では一切その文字はない。(続)