庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

規制緩和が目標ではなく利用者サイドに立った革新だ。

2014-03-31 | 国創り政治問題

安倍政権が「成長戦略の要の政策」として打ち出している『国家戦略特区』に、6地域を指定した。

安倍首相は【特区を規制改革の突破口】と位置付けているが、発想は貧困だ。

従来の特区制度では「実現した規制緩和」が少なく、成長に寄与する事業などが少なかった、と反省している。

これを踏まえて、規制緩和の内容を政権主導で先に決めて、この緩和ができる地域を『戦略特区』として選んだ、と言う説明だ。

 

4月下旬までに正式に定めて、各特区で「区域会議」を立ち上げて、具体的な事業計画を作るとしているが、この会議の参加者は、国、自治体、民間の三者から成り立つ。

これからの2年間を「集中改革期間」として、実績を積み上げて行く方針で、この「区域会議の三者の構成陣容」の中身は、明らかでない。

どうも、地域を指定して各部署から人を集めて会議をするのが目的の様だ。

そして、会議の中身は【追加的な規制緩和の要望】を出させることにある様だが、いったい、どの様な革新的な事業目標があるのか、一向に見えない状態だ。

 

農業特区に選ばれた「兵庫県養父市」や「新潟県新潟市」では、政府が先に規制緩和策として、「【農業生産法人】の設立要件を緩和する」として、これが農業を強くする「国家戦略」のけん引役だとしている。

なにかカン違いをしている様で、全く事業を興したこともなく、「新事業のイノベーション」の苦労を知らない「官僚・政治家・学者の想定」にしか見えない。

規制を緩めて自由な活動を保証すれば、2年間で実績が出るなど、架空の幻想でしかない。

 

まだ、観光特区として選ばれた「沖縄県」の扱いの方が、戦略的な意図がうかがわれる。

基地問題で経済の足を引っ張られる沖縄県を、徹底的に「観光立県」の目標を立てて、集中的に観光投資を誘引する戦略だ。

規制緩和をすれば、「観光客の誘致」が進む等の幻想に浸っているのではなく、沖縄県と国が最大の支援をする約束をすれば、民間企業の有力な事業者が参入してくるチャンスが増える。

その民間企業の活動を邪魔する規制は、利用者の観光客の立場にたち、惰性的な規制や仕組みをすべて革新し、実行することで、活性化するのだ。


特区は規制緩和が先にあると勘違いする有識者と政治家達。

2014-03-30 | 国創り政治問題

経済評論家や有識者と言われる論者は、日本の規制ががんじがらめに固まっていることが、経済成長を阻害している、と異口同音に叫ぶ。

それは確かであるが、本当の理由は規制があるから、新技術や新事業への挑戦が出来ないのではなく、先頭を切って多くの難関を乗り越える意気込みを持った人材を育てずにきたことにある。

まれに、その様な先進的挑戦者がいても、【周囲はお手並み拝見】の姿勢で、プレイヤーとして参加せず、観客席に腰を据えて、あれこれ批判に精を出すだけの「既得権ボケ」の有識者がブレーキをかけてきたからである。

 

政治家には、何が成長戦略の課題になるかを見分ける能力も育っていない。

選挙では、マスメディア受けする「無難な総論的お題目」を唱えるだけで、時流にうまく乗れるかの「ワイドショー的人材」が、得票を得てしまうのだ。

経済成長を支えてきた官僚群は、お手本がないと動けない優等生の集団だ。

規制緩和の掛け声が出ると、各地域や民間業界に「何が規制されているから問題なのか、教えて欲しい」と、駆け回っている始末である。

この発想は逆であって、地域や民間が長期的に挑戦して、将来の産業政策のビジョン創出が先にあることが本来である。

それを実現するために邪魔になる規制は、潔く改革して行く考え方にすべきだ。

 

例えば、再生可能エネルギー産業で、将来に大きな普及が見込まれる『洋上風力発電産業』が、特定の地域での最優先戦略目標となったとする。

この事業に必要な人材と民間事業者を結集することが第一で、それを活性化するには、成功するまでの期間の資金を徹底して供給できる体制にする。

政府の命令で、中央官庁から必要な人材を出向させて、産業創出が成功するまで、地元に張り付ける制度にする。

今までは、官庁は2年毎の定期異動が常態化して、中央官僚は何時も東京の本庁の意向ばかりを見ている、観察者にすぎないから、何の役にも立たない。

 

「日本経済牽引特区」と勇ましい言葉が飛び出す意気込みならば、この人材と資金の手当ての保証を、安倍内閣の責任で実行しなければならない。

中央官庁は、人材の流出に抵抗を示す上に、予算の執行権限を「地方の経済牽引特区」に持っていかれることに最大の抵抗をするだろう。

官庁の抵抗を突き破る実行が出来なければ、新産業の創出など覚束ない。

この様に戦略特区の勢いをつけて、特区間の競争が起きるのが期待される。


官僚の頭では規制緩和で新産業が生まれるのを待つだけ。

2014-03-29 | 国創り政治問題

国家戦略特区制度がやっと具体的な動きとなって表面に出てきた。

従来の特区制度というのは、国の規制ががんじがらめだから、規制が邪魔している状況を、特定の地域に限って主要な規制を外して、自由にやって見てもらう、という考え方であった。

規制を突破出来れば、あとは民間と自治体の自主的な活動に任せて、うまくやってくれれば、成果が出てくる、と甘い期待を持って後は国が何もしなかった。

つまり、中央官僚から言わせれば、規制が邪魔をしているから新技術や新事業が生まれないと批判する勢力に、それではお手並み拝見という姿勢だ。

 

この規制を外して行けば、「地域や民間が自由な発想に立てる」という環境は、確かに入り口ではあるが、それで、新事業が進むほど甘い挑戦課題ではない。

最初の発想が出てきても、それを実現して成果に結び付くまでには、相当の人材を投入し続けるエネルギーが必要である。

しかも、最前線に立つ「挑戦者の存在が不可欠」なだけでなく、その活動を支える支援者と企業グループの実行部隊も必要になる。

それを継続的に進めるには、相当の資金の投入も必要になるのだ。

 

今までの言い出した地域、企業に主導権を持たせるにしても、国や規制を担当する官庁にも「新事業を生みだすコトに協力の義務」を課すことが必要である。

国が責任を持って必要な人材も確保し、継続できる資金の支援を約束出来る予算枠を『特区制度の必須条件』にして、失敗のリスクを国も官庁も分担する体制にしなければ、成果を期待することはできない。

麻生副総理は、この20年間は「民間企業がリスクを採らないで自分の経営領域に閉じこもる方が儲かる」様になっていることが、経済停滞の原因だと言う。

まさに、そのとうりの事態が起きて、企業だけでなく、国も自治体もリスクを避けて、公共事業等の無難な方面ばかりにお金と人材を回していた。

 

土建工事を増やしても、新産業が起きないことは20年間の停滞で明らかである。

官僚機構は、リスクを最小にすることが最優先の仕事になっているから、規制の強化ばかりに関心が向いてしまう。

国家戦略特区制度は、官僚の長期間の出向も含めて、長期的な計画の下に、自治体、民間企業が結集出来る「雄大な構想に沿ったプロジェクト」を実行する体制にしなければならない。

お手並み拝見は、もう許される姿勢ではなく、新産業の育成が必須である。


日本の将来像を競い合うべき時期に怠慢な対抗勢力の愚。

2014-03-28 | 国創り政治問題

日本の将来に向けての革新を実行しなければならない時期なのに、自民党政権の独善を許している状況は、情けない事態である。

第一に必要なのは、国民が望む将来の安心社会を築ける「政治力の結集」である。

自民党政権は昔から、官僚に依存した政策立案で、社会の変化に柔軟に対応する特徴に徹してきた。

その特徴は、欧米社会の模範や成功事例を後追いすることで、日本社会が適合する政策の実現であった。

 

これらの政策は革新ではなく、官僚的な修正路線の継続で対応できたのである。

弊害は、日本が先進国のトップに躍り出てしまってからは、欧米諸国に続いていく成功事例の模範もなくなり、方向を見失ってから停滞したことである。

官僚機構は、革新をするにはもっとも不向きな組織である。

この官僚に依存する自民党が、旧産業や既得権構造に依存するしか、生き残るすべがなくなって、迷走ばかりを続けてしまった。

これを批判する勢力を結集して、対抗軸を掲げて「大型野党の民主党」を作り、自民党政権の失政に乗じて、政権交代を果たした。

 

この時期までは、野党の民主党には対抗軸を掲げる能力があり、政権交代可能な勢力として、国民にアピール出来た。

自民党はこの勢力との競い合いに敗れて、与党時代の奢りと怠慢姿勢の反省を3年半の間、強いられる境遇に置かれてきた。

この反省もあって、怠慢な政治姿勢は改善されたが、圧倒的多数を占めてしまったために、【国民の要望に応える姿勢を失って奢りが噴出】し出している。

これを許してしまっているのは、一向に対抗軸と打ち出せない「弱小野党の無能力」に最大の原因がある。

 

10~50人の野党ばかりが乱立しているから、総選挙も参議院選挙も、3割程度の得票しかない自民党を、過半数以上の圧勝に浮かびあがらせている。

7割の国民の批判票を、無視する様な奢りが生まれるのは、この乱立する無能力野党の責任が重大である。

日本の将来に向けての革新政策を実現するためには、この将来像とそれに向けての基本政策を競い合う「危機感を生みだす拮抗状態」が、必須なのである。

民間企業においても寡占的な状況になると、大企業病による停滞と奢りが、必ず起きて、社会からは見放される時期が起きるのだ。(続)


過去の過ちによる負の遺産を今後は増やさない仕組み。

2014-03-27 | 交通問題・自動車

日本の公共事業的な建設工事は、いったん、計画が決まると【異論をはさむ余地を排除する仕組み】が組み込まれる。

大型ダムの建設工事が、その代表的な「動き出したら止まらない工事」で、洪水防止と電力供給、水不足対策と、外面的には公共性を強調しておきながら、実際のデータを意図的に改ざんしたり、隠す風習が定着していた。

この構図が、原子力発電設置計画の【異論を排除する】姿勢が組織化して、【災害時にひ弱な原子力発電所】が、今その負の遺産の処理に困り果てている。

 

そして、この次に現れる大型建設工事では、「リニア新幹線」の計画が、【異論を排除する仕組み】の中で、進もうとしている。

東海道新幹線の輸送能力が限界に近いことは、誰にも理解ができる。

その補強輸送力とした上で災害時のおける代替輸送の役割も担える「第二東海道新幹線」の必要性は地域社会にも、説明がつく建設の根幹である。

しかし、その手段である「新幹線方式」を、在来線の規格と全く互換性のない「リニア方式」にする理由は、全く理解に苦しむ状況である。

地元への影響を説明出来る様に真摯に取りくみ、データを開示するべきである。

 

ところが、「JR東海」は沿線の各都県が設置した専門家会議が「調査が不十分だ」とする批判に、まともに応えようとしない。

いったん、経営方針を決定しているから、今さら、それに異論が出る様な事態には、無視する姿勢を決め込んでいる。

この構図は、原子力発電の拡大設置の状況に大変に酷似している。

新設、増設の方針が決まっているから、都合の悪い状況に対して軽く見る調査結果のみを採用して、活断層調査や耐震設計、津波対策等、すべてを甘い想定に収めて、工事を進めることだけを守り抜いた。

結果は、現在の様に大事故を引き起こして、世論からは完全に否認された。

 

JR東海が、批判や異論を無視して工事を進めるのにこだわるのは、自社の経営上の都合と独占体質による傲慢姿勢である。

工事に伴う環境への弊害も充分に配慮すべきであるが、その前に、当ブログで指摘してきた様に、環境に適合しないエネルギーの多消費型技術が問題である。

さらに経営面からも問題で、楽観的収支は無視出来ない悪影響がある。

リニア新幹線は赤字を多量に生み出し、肝心の東海道新幹線の料金値上げにつながる原因を生みだす。

これも無視するのも独占的企業の弊害である。


原発はいったん建設出来さえすれば地元の業者の利権。

2014-03-26 | 核エネルギー・原子力問題

原子力発電所がすべて停止していても、核燃料が原発施設内に保管されていると、「核燃料税」が電力会社に課せられて、地元自治体の税収となる。

この税収を使って地元自治体がハコモノを数多く作り、地元の土建業者の収入となり、地域の利権構造が維持されている。

電力会社に課せられた「核燃料税」の分は、電力会社管内の電気料金に上乗せされて、一般の消費者が負担することになっている。

まとめてみれば、原発立地の自治体の土建、利権事業者を、電力消費者が支えているのが、現在の構造である。

 

この利権構造が現在も根底にあるために、原発48基の存続を前提とした「利権維持の勢力」が、なんとしてでも、原発を維持して【廃炉にしない】ことを、守り抜こうとしている。

ホンネは「すべての原発を再稼働させる」ことにあるが、事故終息の見通しもたたない現状では不可能な目標であるから、せめて、廃炉にはしないのだ。

動かない原発を維持し続ける利得は、電力会社の資産にしておくことで、維持する必要経費が電力料金のコストに認められる。

電力会社は動かない原発を維持する経営の方が、利益が増える構造である。

 

安倍政権は、「原発への依存度をできるだけ減らして行く」、と衆議院選挙の公約に掲げ、さらに参議院選挙でも、原発は減らして行くとしている。

その上で再稼働の可能性がある原発は動かして行く、としているが、世論の反発を恐れて前面には出ない曖昧路線を維持する。

こうして、動く可能性もない原発が30基以上もあるのに、維持するだけに経費を使い、地元の税収に回る。

そして、このお金は、地元の土建業者と電力会社に巣喰った「原発関連産業」の旧態依然たるハコモノ維持に使われる。

 

この様に、将来の経済成長には全く貢献しない、「地域、地元の利権維持」のおカネが電力料金を押し上げて【経済成長への活動の足を引っ張る】。

政府や民間が将来に向けての成長産業を育成しようとしているのに、旧来の利権を守る勢力がブレーキをかけている様では、経済成長はおぼつかない。

アベノミクス第三の矢を用意するのに、膨大な時間がかかるのだから、ブレーキになる負の産業は、潔く、退場させる路線を敷くべきである。

それも出来ない能力の政権では、経済成長路線に向かえる資格もない。


我田引エネよりも国家の将来を見据えた適確な政治を。

2014-03-25 | 快適エネルギー社会問題

自民党の政治家達が、今の安倍政権の煮え切らなさに発破をかける意味合いで、再生可能エネルギー族を主張し始めている。

「国の長期エネルギー基本計画」の再生可能エネルギーへの取り組み方針が、「最大限に力を入れる」との意気込みだけの空疎な内容に異論を唱えて、普及促進の数値目標を盛り込む様に要求を突き付けている。

自民党の資源・エネルギー調査会などで、木質バイオマス発電を促進する「バイオ族」、水素による燃料電池事業の普及を目指す「水素族」と、多彩な支援団ができつつある。

 

原子力族の巻き返しも強い中で、再生可能エネルギー分野は、確実の将来の主流になる技術革新が起きて、新産業としてのすそ野を広げる可能性は高い。

今のうちから、十分の産業構造を勉強して、その予算措置や制度の研究をしておくのは大変に有益な政治活動である。

ただし、従来の【族議員の再来】では、【選挙区への我田引エネ】の都合ばかりが優先して、『国家100年の大計』をナイガシロにする様では困る。

日本の長期的な国創りの観点に沿って、「再生可能エネルギー」の技術革新を事業の普及拡大によって、「再生可能エネルギー産業」を振興させるのだ。

 

このブログで何度も書いてきた様に、日本は海洋に囲まれた国であり、将来的に確実に自給できる再生可能エネルギーは、『洋上風力発電』に依存する。

今回の「再生可能電力固定価格買取り制度」の改訂において、「洋上風力発電」の買い取り価格が、陸上風力とは別に、特別の優遇対象とされたのも、その観点に立った適切な政策処置である。

日本の陸地の7割を占める森林資源を有効活用でいる「バイオマス発電」も、これからの技術革新を引き起こして、地域の電力エネルギーと熱エネルギーの分野を、石油消費の代替として新興すべきなのである。

 

その様な日本の自然資源を考慮した上で、輸入依存度を飛躍的に下げる方針に沿って、どの様な技術を育成して行く方針とするのか、政策目標を定めて予算の配分を重点的に実施することに専念すべきである。

目先の経済効果や利権構造に振り回される様では、原子力政策の様な矛盾だらけの失敗の道を突き進むことになる。

日本の様に地震多発の地盤の上に、大津波の被害も軽視した様な立地をして、利権構造に胡坐をかいてきた電力行政の、大失敗を繰り返さない様にすべきだ。


国家戦略特区を指定して何が経済の牽引役のなるのか? 

2014-03-24 | 国創り政治問題

アベノミクスの第3の矢は、成長戦略と言うことになっているが、その戦略とは一体なにがあるのか、マスメディアで報道された様子は一向に見えない。

国家戦略特区構想は、政権発足後の1年を経過してやっと、諮問会議の第一回が1月7日の開かれた程度である。

甘利担当大臣は、国家戦略特区は「日本経済牽引特区」であり、国の主導で【日本中の経営資源を全部投入】して、世界に冠たる集積を作る、と構想している。

では、その後の進展では特区で何が始まっているのか、見てみると・・・・。

 

3月19日に「国家戦略特区」で実施する規制緩和についての政令案を自民党に提示した、と報道されている。

その中身はなにかと言うと、「マンションの空き室を宿泊施設として利用できる旅館業法の特例を設ける」ことが、政令で実施出来る様にする。

何だそれは!今の法制度では、空き室を短期で貸すと「旅館業法の対象になってフロントを設置するなどの旅館並みの設備が必要になる。

特区内では、短期の7日~10日以上の空き室を課す場合に、旅館業法の規制の対象外にする、という特例を政令で出来る様にした。

 

なに、それ!これが、国家戦略特区の中身の一例と言うのか!・・!・!!

こんなことを実行して行って、日本経済の牽引役に特区が貢献するというのか。

全く、あいた口がふさがらないくらいに、冗談にもほどがある。

国家戦略と言うには、少なくとも長期目標に基づいた【中期の展望】を描いて、その実現にむけて「短期の具体的な革新技術・革新的事業」の挑戦課題を、時間的なスケールと、達成目標の数値は上げるべきであろう。

その達成の邪魔になる規制は、特区制度を利用して弊害が少ない様に実行する。

 

ところが、「構造改革」とか、「規制緩和」の掛け声ばかりで、具体的な目標も革新的な発想もないままに、とにかく既存の規制を突破すれば、新事業がモノになると思うのは、大甘に夢想家の言うことである。

国家戦略特区諮問会議の委員には、政治家ばかりが6人(首相、副首相、官房長官、特命担当大臣3)で、新技術の開発や、新事業の創出、育成に関与して人物はゼロである。

有識者と称する専門家を集めているが、実業の経験のない学者が3人、あとは民間大手の相談役、外資系コンサル企業の役員。

このメンバーには成長戦略のけん引役になる事業を育成する能力はない。


安定志向の上に立った中央集権制度は新産業育成には?

2014-03-23 | 国創り政治問題

安倍政権は、事あるごとに「スピード感と実行力」を持って、改革を進めて日本経済を活性化させる、と声高にアピールしている。

しかし、今回の「国家戦略特別区域」の指定政策は、昨年の4月の産業競争力会議で提案され、8カ月かかって法律が成立した。

その後の1カ月で、「第一回国家戦略特別区域諮問会議」が開催されて、昨日までのブログに紹介した様な、内容のない会議が発足したのである。

これで「スピード感と実行力のある進展」と言えるのか、読者の評価はいかが。

 

民間企業の認識でいえば、こんなにも時間を賭けて、やっと評価する方針と総論が確認されただけに留まり、これでは、確実に競争から脱落するであろう。

政権発足後に、これだけに時間がかかっても、総論の確認しか出来ない様な政策決定のプロセスは、完全に非効率の典型に陥っているのである。

日本の官僚機構と政策に基本となる立法機構は、拙速を排して国の方向を誤らない為に、慎重に積み上げて行く【安定型の確実性】を最大限に要求している。

だから、諮問会議ひとつを立ち上げるにも、膨大な時間と経費がかかるのだ。

岩盤規制を打ち破るといいながら、その仕組み自体が岩盤の様な官僚制度の上になり立つしか道が開けない、のが日本の立法機構である。

 

「規制を突破すればそのあとはうまくいく」と考えている様では、【新事業・新技術の育成は出来るわけがない】のが、民間企業では常識である。

その成果と生み出すには、『トップの意思を入れた目標に向けてのゆるぎない挑戦が必要』なのである。

学者の頭では、「総理大臣をはじめとして、特区大臣、関係大臣はプロジェクトの中に入って一緒になって特区を進める」という姿勢が出来れば成果に結びつく、と甘い夢想的な話をし始める始末である。

こんな机上論的な特区構想でいるうちは、成果が出る可能性はほぼゼロである。

 

成長戦略担当大臣の甘利氏は、従来の特区は地域振興特区だが、この「国家戦略特区」は、【日本経済牽引の特区】だと、宣言している。

産業の集積を図って世界の強豪に匹敵する地域を作りたい、と夢想している。

つまり、「IT産業」の集積によって、多くのベンチャー企業が新興事業を引き起こしたシリコンバレーの様な産業集積地域を「甘い想定で利得を追う」のだ。

その様な素地のある地域が、日本のどこに存在していると言うのか。

まず、足元にある『再生可能エネルギー戦略』すら、迷走しているのに。(続)


成長戦略を検討し始める制度を今から始める。それで・? 

2014-03-22 | 国創り政治問題

安倍政権の成長戦略の中身はどうなっているのか、「マスメディア」は何も伝えていない状況で、つまり、まだ何も戦略らしき構想は決まっていないのだ。

唯一の「再生可能エネルギー新産業」の育成戦略も、原発依存を捨てきれない中途半端な「長期エネルギー基本計画」の経済産業省案に引きずられて、普及目標の数値もなく、実効性のある新規の普及促進策もない。

その一方で、「国家戦略特区制度」と称する成長戦略らしき方針を決めて、諮問会議を発足させている。

 

この会議では、2002年に実施した小泉内閣の「構造改革特区」制度を、さらに効果的に実施して行く方針を打ち出している。

確かに、「新技術の育成」や「新事業の立ち上げ」において、日本の官僚機構によるガンジガラメの規制が、邪魔をしている構造的障害があった。

小泉内閣は、この官僚主導による安定志向を打ち破ることで、従来の概念にとらわれない新しい発想の技術や事業が育つことを目指したのである。

それが、まだ十分に規制緩和が実施されていないから、日本は新産業が育たないのだ、という認識がベースにあるのだ。

 

この国家戦略特区構想も、「手段として規制緩和、それも岩盤規制を突破させる」ことを狙って、入口として規制の枠を取り払っていくべきだとの基本に立つ。

これは間違いではないが、それは単に入口を入れるだけで、突破した先に何が開けるかは、全く未知の世界が広がるだけである。

ここで、何を実現するのか、それは、「やる気と能力」のある地域を評価すること、にあると、有識者の学者が主張している。

つまり、評価に値する様なテーマが出てくれば、それに国のお金を回しますよ、という、提案待ちの姿勢しか、学者頭の認識にはない様である。

 

そして、麻生副総理は、問題の大元は、【民間が20年間デフレ状況だから、リスクを負って新事業をするよりも、何もしない方が儲かる(従来の仕事を続ける方が良い)】という傾向になってしまったことだ、と指摘する。

では、「構造改革特区」をもっと自由に出来る様にしたら、民間がリスクをとって新事業に挑戦する様になるのか、というと、全くあやふやである。

安倍首相は、「地域毎に、国・地方自治体・民間事業者」が三位一体となって、事業計画を作成して初めて、目に見える形で実現する。と総論的に言うだけだ。

どれだけ、スピード感と実行力で進めて行けるか、問われる。それで・・・?


日本の経済活性化の要になる成長戦略は完全に出遅れ。

2014-03-21 | 経済問題

消費増税に向けて、昨年の暮れころから駆け込み需要の急増で、2014年1月~3月期の実質経済成長率が、一時的に急騰するだろう。

昨年の10月~12月期には、年率で0.7%に落ち込んでいることから、安倍政権の経済運営が怪しくなっているのが、一息はつける数値に増加する。

しかし4月~6月期には、日本の経済の失速状態は、誰の目にも明らかになる。

その時になってから手を打つ様なヘマはしないと、安倍政権は5.5兆円モノ公共事業のバラマキを準備してきた。

 

しかし、大震災の被害地の復興事業も大幅に遅れている状況で、さらに全国での公共事業の発注を連発し始めたら、お互いの足を引っ張る「コンクリート資材と機械・人員」の奪い合いが起きるばかりで、景気の下支えにもならない。

資材価格の高騰は、日銀の物価上昇率の2%目標に近ずける助けにはなる。

さらに、工事関係者の要員奪い合いは、一部ではあるが、労働賃金の押し上げには効果を発揮して、「賃金デフレ」の悪影響を緩和する。

消費税増税の弊害を緩和するためには、借金してでも、お金を大量に供給するしかないのである。

 

だが、本当になすべき政策は、「経済成長戦略」のスピード感のある実行である。

自民党が野党時代の3年間は、官僚の助けがなくなってしまったので、『日本の将来の国創り、と経済政策の基本』を、しっかりと政策研究をしてこなかった。

民主党政権のだらしなさに助けられて、政権復帰した時点では、アベノミクスの超金融緩和と公共事業のバラマキには、すぐに着手できた。

しかし、最大の懸案となる『次世代の新産業育成』の壮大なビジョンは、一切、手がつけられなかったので、いまだに、官僚依存の小手先の政策しか、実現出来ないだらしなさである。

 

唯一の明確な新産業である『再生可能エネルギー産業』に向けての動きは、全く呆れるほどに、遅い展開である。

民主党政権の置き土産である「再生可能電力固定価格買取り制度」[FIT]は、太陽光発電産業は拡大し始めたが、他の分野では普及が加速し始めない。

小泉元首相が、業を煮やして、首相がリーダーシップをとって決断すれば、日本は再生可能エネルギーの新技術で、世界に先端に立てると煽ったのだが、安倍首相は「魂胆が座っていない自信不足」で、原発依存を捨てきれない。

これでは、成長戦略の旗振り役としては、足元からも失速状態に陥るばかりだ。


労働条件の向上を率先して競う状況を政治的に作り出せ。

2014-03-20 | 経済問題

この20年において、日本の大手企業が非正社員を増やしてきたことが、労働条件の不安定化を招き、消費購買力の低下につながって来た。

正社員の給与を引き上げるだけでなく、この不安定な雇用条件に脅かされる非正社員の待遇改善が必須になっている。

ここにきて、やっと大手の企業でも、非正社員の割合を減らして行く方向になって来た。

本日の新聞報道では、ファーストリテイリング(ユニクロ)が、パート、アルバイト社員を『地域限定の正社員』に切り替える方針を発表している。

 

現在は3万人いる非正社員のうち、1万6千人を地域限定での正社員に登用して、雇用条件を安定させることで、事業に貢献してもらう方向に転じた。

これからは、優秀な人材が定着して働いてもらうために、転勤をしないで生活を安定させて、地域に密着出来る様にする。

今までの様に、企業の都合ばかりを優先して、従業員の生活の安定感を損なう様な働かせ方では、企業にとっても不安定の要因になるからである。

しかし、地域限定正社員の給与は、正社員の8割程度の低さで、これからはこの格差を縮小して行くべきである。

 

今までは、政府が企業の国際競争力を重要視して、企業が人件費の抑制を図り易い制度を広げてきてしまった。

その最たる例は、非正社員の割合の大幅増加であり、ユニクロでは企業の規模拡大とともに、社員数は33400人に増えた時点での非正社員割合は、90%にも達していた。

これが、今回の地域限定正社員化によって、非正社員の割合は42%に下がる。

大企業の社会的責任として、労働分配率を一定以上に向上させると同時に、正社員の割合を6割以上にする義務付け制度も必要になるだろう。

 

その上で、まずは一部上場企業には、この社会的に重要な労働条件を、常に国民の目に触れる様に公表することで、大企業の経営責任を競わせるのだ。

20世紀の企業活動では、売上高、利益率、株価、などの経営上の数値を競うことで、経営者の評価がされていたが、21世紀は、それよりも働く人への利益の配分を高く維持する企業経営が、望まれる時代である。

一企業の利益を優先するのではなく、日本全体、地域経済を活性化するための経営責任を最前面に出して、企業経営者の手腕を競わせる時代にするのだ。


経済停滞の空白の20年は老朽化した3悪指導層の責任。

2014-03-19 | 経済問題

日本の20年以上に渡る【経済停滞の主要原因】は、【賃金デフレ】による総需要の減退であることは明確である。

その上に、経済成長のけん引役となる『次世代の新産業の育成』に1980年の後半から、失敗の連続であったことにある。

この主要な原因の対策を講じないで、「現状維持の守旧産業を後生大事に守る」ことばかりを優先して、【産業界の言いなり】に労働分配率の低下を放置してきた【マスメディアの怠慢】と、【政治家の無知】にある。

それに輪を賭けて、【労働界の老朽化した指導者】も同罪である。

 

安倍政権が【賃金デフレ】の真の原因に目が向いて、大企業が儲けたお金を海外投資や内部留保に向けることが、デフレ経済の原因だと認識し始めた。

2014年の春闘では、政府が率先して「ベースアップで働く人への配分を!」と言い始めたが、この動きをマスメディアは、異例のことだと批判的だ。

ところが、肝心の大手民間企業の労働組合は、ベースアップ要求のレベルを1%程度の低水準のアップ率に抑えてしまった。

そのお陰で、儲け増大の大企業でも、ベースアップ水準は、0.6~1%の回答に横並びで決着の方向である。

 

怠慢なマスメディアは、リーマンショック以後、初めてのベースアップが実現したと、企業の回答をおおハシャギの論調で評価している。

その一方で、2014年の4月からは、消費増税、物価上昇などで、すべての給与所得者が負担増加を強いられる。

年収300万円では1.7%増加、500万円では1.4%、800万円でも1.3%

の支出増加であり、ベースアップ1%以下では、すべての勤労者の【賃金デフレが継続】する環境に置かれる。

これでは、如何に積極的な民間企業でも、消費購買力の増加が見込める状況にないために、国内への新規投資は控える経営判断をせざるを得ないのだ。

 

民間企業は、与えられた経済環境の中で、自社の株主、融資依存先の意向に沿って、最大の利益をあげることが最優先される「市場のプレイヤー」である。

その企業に賃金の引上げの責務を課し、働く人が安心して消費購買に向かう様に仕向けるには、政治の力でルールを変えて行くしかない。

経済産業省が「一部上場企業1800社」の『賃上げ状況を公表する』制度に取り組みだしたのは、そのホンの手始めの仕事で、もっと知恵を絞るべきである。


先進国においては期待される企業の成果は労働分配率だ。

2014-03-18 | 経済問題

民主主義の国では、国民の生活水準を高く維持するのが、最優先の目標である。

それには、民間企業の活発な事業活動を誘導して、利益をあげるコトを競わせて、経済の発展を税収への貢献を促す。

これまでは、その成果を企業業績として、株価水準が売上高、利益率などの「経営成果」だけを見る指標であった。

しかし、これからの先進国での重要な成果は、働く人への成果の配分が充分に実行されているかが問われる時代になっているのだ。

 

「経済専門のマスメディア」が、資本出資側の利益ばかりを追い求める指標を重視してきた弊害が、現代社会での問題を生みだしている。

先進諸国は軒並みに総需要不足、失業率の増加、収入格差の拡大によって、社会不安が増加してしまった。

働く人への配分を極力少なくして行けば、企業の利益が増えて見かけ上の経営成果は出ることで、経済成長指向での企業の優劣を比較できる。

その結果が、労働分配率に恒常的な減少傾向であり、全体としてみれば、総需要の減少を加速する方向になる。

 

しかし、総需要の頭打ちと減少によって、市場の購買力のない国では、新規投資の魅力もなくなり、企業活動にとっては活動のメリットは減少して行く。

労働分配率を引き下げて、購買力を小さくする企業ばかりがはびこる様になると、その国の経済成長は確実に止まって衰退傾向になっていく。

つまり、この様な企業はできるだけ退場してもらう方が、先進の資本主義諸国にとっては好ましいのである。

日本社会は高度経済成長時代には、経済成長によって得られた富を確実に、働く人への配分を重視してきたから、高成長が維持できたのである。

 

バブル経済に突入して富裕層がマネーゲーム、不動産投資による不労所得の味を占めてからは、企業経営はリスクをとって新事業、新技術、新ジャンルへの挑戦を避ける様に変身してしまった。

景気変動に備えて内部留保を厚くして、その資金で着実に稼げる「海外市場開拓への投資」に振り向けていった方が、企業業績を向上出来たからである。

これが一般的な大企業の行動パターンであるから、先進国での問題は助長されるばかりである。

解決策は、政府が責任感と使命をもって、労働分配率を上げる政策しかない。


民間企業もマスメディアも賃金デフレに対して逃げ腰だ。

2014-03-17 | 経済問題

経済の活性化には【超金融緩和による円安誘導】ではなくて、円安による物価高を上回る『賃金の引上げ・ベースアップ』である。

安倍政権も政権発足時には、企業の利益を増やせば、自然と国民の給料増加に波及するものとみて、いわゆる「トリクルダウン効果」に期待をしていた。

しかし、昨年の前半は、金持ち層が臨時に儲けた(株価上昇のよる資産増加)お金の一部が、ぜいたく品の購入に流れて景気が良くなった様な話が、マスメディアに流されて、気分だけは景気回復に期待が寄せられた。

 

しかし経済活動は、その様な気分だけでは持続できないので、昨年後半の経済成長率は年率で0.7%に落ち込み、企業の投資意欲は停滞したままである。

慌てた安倍政権は、やっとデフレ経済の最大要因は、【賃金デフレ】にあることに気がついて、経団連に対して賃金の引上げを、政府の立場から要請した。

これを、軽薄なマスメディアは「官製春闘」なる呼び名を冠して、異例の要請であるかの様に、批判的に皮肉を込めて報道した。

長年に渡って職務怠慢に浸っていた「大手企業の労組幹部」も、やっと賃金のベースアップ(基本給料の増加)要求に動かざるを得なくなった様である。

 

そして統一要求水準は、最低レベルの0.6~1%程度の要求額で、横並び方式で、責任をできるだけとらないで済む、護送船団方式である。

最大の業績をあげている「トヨタ自動車」も、他社の経営に悪影響が出ない様に低い賃上げ額の回答をしている。

これに引きずられて、民間各社の回答は、2013年度の物価上昇率にも達しない様な、低水準のベースアップ回答に留まってしまった。

これでは、【賃金デフレの解消】には、ならないのは明らかである。

 

その一方で、経済産業省の動きは、着実に「賃金デフレの解消に一歩でも」との狙いで、東証一部上場企業1800社へのアンケートを始めている。

3月末までの各社の『賃金引上げ実施状況を公表』するのが狙いで、ベースアップや一時金の妥結額を一覧表にして、国民全体に広く認識してもらう。

その際には、各社の収益状況も併せて、そのまますべてを公表する意向である。

つまり、大手の民間各社の成果を、業績に連動して「従業員の給料アップ」に、配慮(労働者への分配)が適切に実行されているか、が一目で判る様にする。

政府が経団連各社に「賃上げの要求」を要請する「官製春闘」は一時的な効果もあるが、業績公表に匹敵させて「給料引上げの成果」を見える化する。(続)