安倍政権の経済政策は、円安誘導による「インフレターゲット政策」であって、
その成果は「インフレ潮流を感じた消費者の買い急ぎ、需要増加」を、生みだすことであった。
しかし、それはモクロミ違いで、結局は「インフレによる国の借金の目減り」を成果にするコトである。
その成果の負担者は、低収入で働く人たちであり、年金頼りの高齢者である。
物価上昇率以上の収入増加を保証されない層が、借金の目減り分を負担する。
では、もう少し、収入の多い勤労者層はどうなるのだろうか。
例えば、大企業や関連企業で働く人たちの収入アップを、安倍政権は2年越しで、産業界に要請を繰り返している。
昨年は、形だけでも「春闘の成果」として、ベースアップを果たしている。
経営陣は「最大の努力を給料アップに向けた」、と説明しているが、実質賃金の平均はマイナス3%の低水準になってしまった。
労働組合の最大手の連合は、今年の春闘では、最低でも2%のベースアップを要求する、と宣言しているが、これでも、生活水準の回復には届かない。
経営陣側の言い分では、消費増税分の「物価上昇への影響分」が2%に達するので、この2%は企業が負担する責務はない。
従って、1%以上の賃上げを実施して、物価上昇分の収入増加の責務は果たしている、という主張である。
つまり、勤労者は消費増税分は、生活水準低下の痛みを享受する責任がある。
これで、民間企業としての責任は、果たしているから、それ以上負えない、との「経団連首脳陣」の言い分である。
また、企業毎に収益力が違うから、ベースアップ2%に応えられない企業がいても、当然許される、との立場で主張している。
この説明で納得できる人はどれほどいるだろうか。
企業が社会的に存在を認められるのは、働く人の生活水準を向上させる責務があり、それが出来ない経営者は失格であって、交代の運命にあるのだ。
しかし、経営者を交代させる権限は、株主にあるから、「従業員の給料を増加させて」成果と見なす株主はいない。
出来る限り【人件費を抑制】で、短期での利益を上げた経営者を高く評価する。
この結果、大企業の社員の給料も実質賃金は減少して、生活水準は落ちる。(続)