庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

インフレ誘導政策は働く人すべての生活水準を引き下げる。

2015-01-31 | 経済問題

安倍政権の経済政策は、円安誘導による「インフレターゲット政策」であって、

その成果は「インフレ潮流を感じた消費者の買い急ぎ、需要増加」を、生みだすことであった。

しかし、それはモクロミ違いで、結局は「インフレによる国の借金の目減り」を成果にするコトである。

その成果の負担者は、低収入で働く人たちであり、年金頼りの高齢者である。

物価上昇率以上の収入増加を保証されない層が、借金の目減り分を負担する。

 

では、もう少し、収入の多い勤労者層はどうなるのだろうか。

例えば、大企業や関連企業で働く人たちの収入アップを、安倍政権は2年越しで、産業界に要請を繰り返している。

昨年は、形だけでも「春闘の成果」として、ベースアップを果たしている。

経営陣は「最大の努力を給料アップに向けた」、と説明しているが、実質賃金の平均はマイナス3%の低水準になってしまった。

労働組合の最大手の連合は、今年の春闘では、最低でも2%のベースアップを要求する、と宣言しているが、これでも、生活水準の回復には届かない。

 

経営陣側の言い分では、消費増税分の「物価上昇への影響分」が2%に達するので、この2%は企業が負担する責務はない。

従って、1%以上の賃上げを実施して、物価上昇分の収入増加の責務は果たしている、という主張である。

つまり、勤労者は消費増税分は、生活水準低下の痛みを享受する責任がある。

これで、民間企業としての責任は、果たしているから、それ以上負えない、との「経団連首脳陣」の言い分である。

また、企業毎に収益力が違うから、ベースアップ2%に応えられない企業がいても、当然許される、との立場で主張している。

 

この説明で納得できる人はどれほどいるだろうか。

企業が社会的に存在を認められるのは、働く人の生活水準を向上させる責務があり、それが出来ない経営者は失格であって、交代の運命にあるのだ。

しかし、経営者を交代させる権限は、株主にあるから、「従業員の給料を増加させて」成果と見なす株主はいない。

出来る限り【人件費を抑制】で、短期での利益を上げた経営者を高く評価する。

この結果、大企業の社員の給料も実質賃金は減少して、生活水準は落ちる。(続)


国の借金の目減り政策だけでなく年金支給額も目減り。

2015-01-30 | 経済問題

国民の大部分は、老後の生活費を「年金収入に頼る」生涯プランを持っている。

働ける間は、国が老後の生活費を保証してくれることを信じて、税金をしっかりと納めて真面目に働く。

これが、『近代国家の安定と安心のもと』になるのだが、日本もそうであった。

しかし、自民党政権のこの20年間は、国民の信頼を裏切る行為をなし崩しに実施して、それを恥じようともしない。

安倍政権は、その最たる例で、国の借金を減らすことができないので、インフレで目減りを目論んでいる。

 

さらに、年金の原則は、「物価スライド制」であって、将来に物価が上がっても生活水準を維持するだけの年金支給は、目減りしないことが保証されていた。

しかし安倍政権は、この【年金の物価スライド制にも風穴を開け】て、目減りする様に始めてしまった。

今のところは、0.9%分の実質ダウンだが、なし崩しの得意な自民党であるから、始めた段階からしだいに規律が緩んで、物価スライド制は完全に崩れる。

そうなった段階では、国民は年金制度による生活水準の保証は、なくなったと感じるだろう。

 

実際の生活面で0.9%の目減りでは、痛みを感じるほどの収入減少ではないが、

そのうちに、「実質の年金収入減少の影響が出る」と、マスメディアが取り上げれば、大多数の国民は不安を持ち始める。

そうなると、働ける間に年金の目減り分も補える様に、老後に使える貯蓄を増やすことを考える。

貯蓄を増やすコトが出来ない3割程度の人たちは、それも出来ないが、後の6割の国民は、【消費に回すお金を少しでも節約】して、貯蓄を増やす努力をする。

こうして、今でさえも低迷している【国内の需要不足】の状態が加速する。

 

この様な潮流が広がっていけば、いくらインフレ潮流を起こしても、【需要不足のデフレ要因】は増大する一方である。

国内消費の低迷を予測した企業は、新規の投資を削減して、国内市場の縮小に耐える様に、経営資源を絞り込むことで、経費の削減に邁進する。

景気低迷を理由にして、従業員の給与アップは当然の様に、受け入れない。

こうして、デフレマインドは復活して【従来の賃金デフレに逆戻り】するのだ。

安倍政権のやることは、デフレ脱却が最優先と言いながら矛盾だらけである。


日本のためには「この道しかない」と断言する本当の狙い。

2015-01-29 | 経済問題

安倍政権の隠された目論見は、インフレ誘導によって、国の借金1100兆円を目減りさせて、財政再建は最小限に抑えることにある。

もし、「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」が、2020年に黒字化しても、インフレ誘導がうまくいかない場合には、さらに財政緊縮を強いられてしまう。

そうしないために、借金の返済に国の税金を充てるよりも、インフレで借金が目減りし続ければ、配分する予算の枠が増えるので、政権担当の利権が増える。

だから、【成長戦略のため】と称しながら、インフレ誘導の【超金融緩和】を続けて、微妙なバランスの上に「物価上昇」と「長期金利の抑制」をするのだ。

 

自民党政権は、1990年代から「低成長経済の壁に翻弄されて」、国債の増発を繰り返しながら経済成長の促進を図ってきた。

しかし、グローバル化の世界の潮流のマエには、製造業の海外流出が続き、円高の進展によって、国内経済は停滞を強いられてしまった。

ここで「借金による成長戦略」は、失敗の成果で、もはやインフレ誘導による経済成長と「借金の目減り狙い」しか残されていないと、判断した様である。

そこで表向きは、「インフレターゲット政策」の名目で、物価上昇2%を目指し、その間に、何とか「長期金利を1%以下に抑制」すれば、ツジツマはあう。

 

増大する「福利厚生関連の予算枠」も、インフレ状態にしておけば、膨張する予算も目減りさせることができる。

年金も物価上昇にスライドさせる制度から、将来世代の負担を減らす為に、支給額を減らして行く制度に移行する。

この様な狙いで、国家予算の大半を占めている「固定経費的な出費」を抑えることが必須と考えている。

2020年には「プライマリーバランスが黒字化」することを前提にすれば、この「インフレ誘導、長期金利抑制」は、妥当性のある長期戦略である。

 

安倍政権が、「この道しかない」と宣言して、国民の信を確保しようとした、「2014年末総選挙」は、こうした狙いがあったのである。

この政策は、2020年以降の日本を自立的に維持するには、必須の課題を乗り越えることができる想定だ。

しかし、その負担を強いられるのは、国民の大多数の働く人たちである。

また、すでに勇退して年金生活で暮らす、高齢者たちである。

それでも痛みを分かちあいながら、国の再生を図るには「この道しかない。」?


政権交代が可能な野党勢力に成長しているかが問題だ。

2015-01-28 | 経済問題

超金融緩和によって、脱デフレを目指したが、成長戦略が成果を出す様になるには、少なくとも10年はかかるであろう。

その間は、円安による損害を受ける大多数の国民は、痛みをこらえるしかない。

1割程度の富裕層は、痛みはほとんど受けずに、恩恵だけを受けてマスマス富んでいき、資産を海外に積み上げる。

これが、安倍政権の6年間の成果だとしたら、国民は自民党政権を継続することを承認するだろうか。

それは、4年後の野党勢力が、まともな政権構想を練り上げて、自民党に代わりうる政党に成長しているか、にかかっている。

 

野党第一党の「民主党の政権公約」では、経済面の政権目標は、作文としても落第のレベルで、これでは、選挙民が民主党を信頼するわけがない。

成長戦略に至っては、項目を並べるだけで、主要となる政策案の提案はなく、その上に、自分たちで実施した「再生可能エネルギー電力」の促進策もない。

法律を一回つくったら、それで、成長産業になると思ったら大間違いである。

実施した法制度は、現実に即していない面や、新たな改革の課題が目白押しに出てくるから、それを迅速に対策する適切な制度改革が必須である。

しかし、「分散型エネルギー推進基本法を制定します。」の様な、お題目を唱える程度の気力しか、残っていない様だ。

 

他の野党も、経済政策、成長産業の促進政策には、目ぼしい、「新機軸の政策提案」が、見あたらない。

これでは4年後の総選挙になっても、野党を支持する国民は、過半数を超えることはないであろう。

その時に、成長戦略の萌芽が出ていれば、「自民党政権の成果」として宣伝作戦を講じて、「やはり自民党に任せるしかない。」との機運を作りあげるであろう。

その点では、自民党は老舗であるだけに、中身は大したことはしなくても、「老舗の商品、ブランド」だから、他よりも安心だとして、選択させるのだ。

 

自民党と中央行政官庁は、財政破綻の事故さえ起こさなければ、国民生活が困窮に向かっていても、他に選択出来る政党がバラバラならば、安泰なのだ。

相変わらず、富裕層を富ませて、おこぼれを「地方や中間層に浸み渡るのには時間がかかる」から、と言い訳の説明を繰り返すだけだ。

そして、底辺の国民は物価高に見合う収入増加も得られないママ貧困化する。


超金融緩和による残された可能性にしがみつく安倍政権。

2015-01-27 | 経済問題

安倍首相はデフレ脱却の手段として、「超金融緩和によるインフレ目標」を設定して、「デフレマインドの払しょく」を狙った。

円安、株高の演出は成功したが、富裕層がさらに裕福になるばかりで、国民の大多数が円安に苦しみ、さらに消費税アップによって痛みが広がった。

結局、消費税の10%増税は先送りせざるを得ない状況に追い込まれて、デフレ脱却も怪しくなってしまった。

それでも、超金融緩和を継続せざるを得ないので、「この道しかない」と強調した、強がり路線を装っている。

 

デフレ脱却ができなくても、今さら金融緩和を止めると、国債の金利が上昇してしまい、借金1100兆円の金利負担増加は、すべて安倍政権の責任になる。

【歴史に悪名を残す首相】として、後世からも大きな批判を浴びるのは必須だ。

そこで、円安が続いてもやむを得ないと割り切って、国債の金利を抑えることに最重点を置くコトにした。

しかも、その狙いは「脱デフレ政策」だと言い張り、ホンネは隠している。

「この道しかない」と言うスローガンは、安倍首相の汚名隠しの手段なのだ。

 

わずかに残された望みは、経済成長戦略の成果が見える兆しが出てくれば、安倍政権の成果として、強弁できる状態になる。

経済成長の新産業として、最有力な再生可能エネルギー分野は、民主党政権時代に成立した「固定価格買取り制度[FIT]の施行」によって、日本中にブームの様に投資機運がひろまった。

それも、制度の根幹がアヤフヤなまま、「太陽光発電」だけが突出して優遇されたために、地方での設置計画が乱立し、電力会社が受け入れを拒否する事態に陥ってしまった。

 

慌てた経済産業省は送電線網に接続する条件を厳しくして、何とか当面を繕うことにしたが、この様な失敗を各方面で重ねることで、投資に水をさしている。

この様に最有力な成長産業ですら、政治家、行政官庁の無知と怠慢による【成長阻害行政】によって、日本の成長力は常にブレーキがかけられる。

欧州諸国の「再生可能エネルギー産業も、平坦な道を進んできたわけではない。

失敗を重ねながらも、行政制度や電力事業の将来課題を、ひとつずつ改革して乗り越えてきたおかげで、新産業としての成果が出ているのである。

その様な努力もしないで、金融緩和だけにしがみつく政権は哀れなものだ。(続)


脱デフレ経済の決め手を振りかざしている安倍政権の嘘。

2015-01-26 | 経済問題

安倍政権は先の総選挙で「脱デフレ経済」を最優先の課題として、その解決策として「超金融緩和政策」の成功を誇示して、今後の4年間の信任を問うた。

デフレ脱却には「この道しかない」と断言し、その成果を津々浦うらまで広げていく方向で、その間は、【円安に苦しむ国民には痛みを我慢せよ】という。

しかし、日銀の物価上昇率目標は、2%には当分の間、達成できそうもなく、幸いなことに金融緩和の影響で、「長期金利は最低レベルに漂って」いる。

これならば、国債発行を続けても、国の利払い負担がふえる懸念は遠のく。

 

金融緩和で経済が活性化して、「インフレ潮流」になることで、需要が増える目論見は、すでに実現性がなくなっている。

末端の需要は増えない状況で、円安が進んで【貿易収支の赤字は最高】に達し、国富の流出は増え続けたママである。

一部の輸出企業が収益を増やしても、国内へのお金の還流は、ゼロのままだ。

それでも超金融緩和を続けてインフレ目標を掲げ続けるのは、「国債残高の膨張」を抑えることができない対策として、「インフレで目減りさせる狙い」である。

 

デフレ脱却ではじめたが、景気の上昇もなく、需要増加も果たせないのに、未だに「脱デフレの決め手」は、この道しかないと主張してやまない。

今の段階になっては、金融緩和を縮小できないので、嘘を言い続けるしかない。

原油価格の大幅下落によって、物価上昇率2%目標の達成が4年後でも無理な状況にあるが、1%でも上昇して、長期金利を上回ればよいとしている。

しかしホンネを国民に説明するわけにいかないから、この4年間を任せてくれた成果は、「第三の矢の成長戦略」を軌道に乗せることができた、と言いたい。

だから、この道しかない「経済成長による脱デフレ」を言い続けるのだ。

 

今までの歴代内閣は、必ず成長戦略と称して、「中央集権国家体制のママの大型新産業のアドバルーン」を浮かび上がらせていた。

それがうまくいかない場合は、既得権を持った抵抗勢力が、【規制をタテにして新規参入を阻んできた】、と言い訳に終始してきた。

また、「地方経済を活性化」させると称して、「中央官庁が作成した机上の政策」を、地方自治体に交付金を出し続けた。

うまくいかない場合は、地方行政にやる気も乏しいから、と言い訳を始める。

中央官庁が地元の特質も知らずに、空想して机上で作った成長事業政策は、紙屑になるしかない代物である、ことには目をつむるばかりだ。(続)


超金融緩和によるインフレ目標の狙いは隠された本音が。

2015-01-25 | 経済問題

インフレターゲット政策の狙いは、デフレ経済で停滞している消費を増加させるため、本来の購買力のある層に、買い急ぐ風潮を作りだすことにある。

先進国経済が成熟すると、物価の上昇は止まり、消費者は必要が生じた時にした、自分の貯蓄を取り崩そうとしなくなる。

何も急いで買う必要もないから、自由度の高い「おカネという数字の財産」として、いつでも選択ができる様に保有したいのが心理である。

お金で保有しておくのが、もっとも有利と考える消費者が増えると、デフレ経済に落ち込み、長引くのが当然の流れなのである。

 

物価上昇率が2%程度になり、定常的になると、貯蓄の価値も目減りする上に、将来に購入したいと思っていたモノは値上がりしてしまう。

「今のうちに買う方が有利」と消費者の心理を引き出すことで、消費に回るお金を意図的に増やそうとするのが、「インフレ目標」の本来の意義である。

しかし、安倍政権はこの消費を増やす心理を引き出す対象が、【長年の賃金デフレの影響】で、消費する予備のお金もなくなっているコトに気がつかない。

将来に値上がりしそうだとしても、買いたくてもお金がない層には無理なのだ。

 

所得に余裕があって、貯蓄も十分にある富裕層は、インフレになろうが全く関係なく、消費をする傾向は変化しない。

むしろ、円安になってしまうから、貯蓄は海外への資産に逃避させて、財産の目減りを防ぐことに気を回すのだ。

大企業の収益が増えても、内部留保を増やし、それも日本円でなくて、海外資産の積み増すだけで、日本国内への投資を増やすことはない。

結局、「インフレターゲット政策」は、消費を増やす効果はわずかしかないのだ。

 

それでも、日銀と政府の財務部門は、インフレ誘導に熱心なのは、隠された狙いがあるからである。

日本の国と地方の借金は、すでに1000兆円を超えてしまい、さらに増える勢いであるが、基礎的財政収支を黒字化するのが、先決である。

これは、2020年までに実行するのが必須で、その時に借金は1200兆円を超えてしまうだろう。

これを、まともに財政を黒字化して返済することは、もはや不可能である。

だから、インフレを継続的に定着させることで、借金の実質目減りを狙うのだ。

隠そうとしても、すでに見え見えであるから、財政を見る目があれば明確だ。


脱デフレ経済の決め手は、末端消費者の給料アップが確実。

2015-01-24 | 経済問題

アベノミクス政策の狙いは、「脱デフレ経済」に転換するために、インフレを政策的に起こして、物価上昇率が2%に程度になる様に金融緩和を実施する。

これを、【インフレターゲット政策】と呼んで、デフレ経済に陥った先進国では、政府に実行を迫る経済界の経営者や経済評論家が多い。

インフレ風潮をつくり、消費者や企業が消費や設備投資を、値上がりする前に前倒ししようという意識を盛り上げる政策を「リフレ派経済論」という。

 

しかし、インフレを引き起こすには、金融緩和以外の政策の方が効果が大きい。

それは、賃金の引き上げを、物価上昇率以上に上げることで、人件費の増大を物価に反映することである。

それを日本中で実施することで、物価上昇の機運が広がり、各企業が人件費増加に見合う様に、価格上昇を実施していく。

これが、日本の物価上昇率を2%に押し上げるのは、確実に実施できる。

賃金上昇の流れが物価水準を押し上げても、消費者の立場の人の収入アップが保証されているから、確実に消費におカネがまわり、需要増加になる。

この需要増加の機運を読み取った企業は、先行して設備投資や新商品の挿入を急ぐので、在庫増加にもお金が回って行く。

企業の資金需要が増えるから、銀行からの借り入れも増える流れになる。

 

この時に、金利が物価上昇率以上にならない様に、金融緩和の数量をコントロールするのが、日銀の重要な役割である。

資金需要もない状態にしておいて、上からおカネを大量にばらまく「超金融緩和」を実施しても、企業の方が借入する意欲がなければ、円安になるだけだ。

円安による「株価の上昇」はバブルを引き起こすだけで、いつかは破裂する。

石頭の経済界経営者は、人件費の増加を最優先に抑えようとしてきた。

その結果は、長期の需要減退によるデフレ経済で、新規の投資も出来ない状態に追い込まれて、じり貧状態の経営に陥ったのは自業自得である。

 

唯一の海外への事業拡大が、残された道となって、国内生産からの生産拠点移転を実施して、海外事業に大半の資金を投入し続けた。

事業が成果を上げても、日本に戻ってくるおカネは、投資した資本に対して、わずかのリターンしか期待できない。

この企業所得は、働く人に回らない上に、地方の雇用を減らすだけのものだ。

自民党政権の経済運営は、確実に【破綻への道】を進んできたのである。(続)


地方創生には時間が必要だが即効性の政策を打ち出せ。

2015-01-23 | 経済問題

地方の活性化には、地域の自立的な活動に焦点をあてて、小さな芽の段階から、新事業となる様に意思を入れた支援と育成策が必要である。

中央政府からのお仕着せの事業を提示して、選択の形だけを地元発の様にしても、数年のうちに熱意をなくして、事業の芽は枯れてしまう。

中央政府はお金を出しても、口は出さないのが原則で、しかも、【成果を焦る様な形で評価する成果主義】では、間違いなく失敗する。

自民党政権は、これで失敗を繰り返して、地方を疲弊させてしまった。

 

民主党政権は、口を出さない交付金を支給したが、3年余では、小さな芽を出したばかりの新事業では、自民党政権の官僚主導のマエには、押しつぶされる。

安倍政権の4年間を過ぎた段階で、どの程度の事業の芽が生き残っているか、【地方創生】の制度が邪魔をしないか、疑問だらけである。

新事業の芽が大きくなるまで、地方の活性化は時間の経過を待つばかりかと言えば、そうではなく、すぐに打ち出す政策手段は、数多く考えられる。

しかし、中央官庁の成果にはならないので、握りつぶされてしまうのだ。

 

ひとつの例として、地方で働く人の賃金を、物価上昇率の2倍以上の比率で、引き上げることである。

手段はいくつもあるが、「最低賃金の引き上げ」が、もっとも判り易いだろう。

収入の少ない人ほど、消費におカネが回るので、地域での消費力は一気に向上して、他の業種への『賃金押上効果』が確実に早く浸透する。

「デフレマインドの一掃」にも効果を発揮し、資産と収入の多い層にも、消費への自粛がなくなり、価値の高い商品、サービスへの支出が増加する。

その消費動向の風によって、地域発の新事業の芽が勢いよく育ち始める。

 

物価上昇率以上に、収入が上がれば、多くの人の消費意欲を増加させて、「個人消費が伸びる」のは、明らかである。

給料の増加は、中小企業の経営を圧迫するから、問題だと言い張る旧時代感覚層が多数いて、抵抗勢力となって最低賃金の引き上げを潰そうとする。

そこで、中小企業への『生産性向上投資』を促す、税制や補助制度を厚くする。

この資金の財源は、当然、中央政府からの交付金によって、賄うことにする。

中央官庁の考えた、お仕着せの政策メニューに交付金をつけるよりも、はるかに即効性のある地方経済の活性化である。

それでも、企業の輸出競争力を削ぐから、反対だという石頭経済界がいる。(続)


日本の中央集権制度の硬直体質から地方創生を切り離せ。

2015-01-22 | 国創り政治問題

地方創生の国家的目標は、21世紀のこれからの日本にとって、もっとも重要な政策であることは、今や国民的な合意である。

ところが、具体的な実施政策や制度については、議論が迷走ばかりして、何も成果を生まれないママに、この30年近くを浪費している。

土地バブル崩壊の原因となってしまった、地方の観光資源開発のリゾート法の、惨憺たる悪影響を語るまでもない。

中央官庁の旗振りと、一攫千金の民間不動産業者の目先主義で、地方は荒野の様に荒らされてしまった。

 

日本では、「ベンチャー事業」の創出が、貧弱であると指摘されて久しいが、いまだに「新事業を育成する制度」が、弱体である状況は変わらない。

不動産バブルの崩壊に始まり、その後の「IT産業」の国家戦略では、起業家の乱立が始まった途端に、ITバブルの勃発と崩壊につながった。

流行に走った「安易な事業計画」の未熟な段階に投資して損失を被った投資家が、ベンチャーに対する警戒感が広がり、投資リスクの懸念ばかりが広まった。

経済産業省をはじめとした、経済育成関係機関は、損失のリスクが高いベンチャー事業を、避けるのが習性となっている。

 

それでも、新事業育成や新技術の開発への掛け声は「お題目だけは高い」傾向が続いているが、金融関係も、大企業も、リスクの少ない既存事業の海外展開ばかりに、人材と資金を回すばかりである。

それでは、いつまで経っても、新事業の成長が覚束ないので、「経済産業省」は、【ベンチャーキャピタルの認定制度】をつくり、そのファンドを通じた「企業の新事業投資」は、8割を損金算入できる様にした。

つまり、投資のリスクを80%軽減して、企業がベンチャー事業に資金を回すことを優遇したのである。

 

この制度は2014年1月に施行された「産業競争力強化法」で、やっと、実現したくらいに、やることが遅すぎるのが中央官庁である。

この様な制度を実施する権限を地方に早く移管していれば、今頃は、地方独特の新事業やベンチャー起業家が続出して、成長期に差し掛かっていたであろう。

今から実施しても、成長の可能性のある事業が芽を出すまでに3~5年はかかり、その芽を抽出して、重点的に育成する期間が5~10年はかかるだろう。

その間も、育成側の粘り強い、熱意と資金供給の継続が必要なのである。(続)


新事業の創出や技術革新はメニュー提示で出来る?  

2015-01-22 | 経済問題

安倍政権の中枢の政治家達は、経済成長の基本である技術革新や、新規事業の創出を自ら経験してきた人たちではない。

また、中央官庁の官僚も、法律とか管理、企画などの机上の仕事では優秀だが、技術開発や現場の経営は、やったこともない人たちばかりである。

それが経済成長戦略と称して、各方面からの資料をもとに、「もっともらしい分析の評論」を寄せ集めて作る「戦略案」では、中身があやしいのは当然である。

つまり、成長の根源の部分が解っていない表面的な作文になってしまうのだ。

 

だからと言って、地方の行政に任せれば、実効性のある成長戦略、地域創生戦略ができると思ったら、それは安易な期待にすぎない。

民主党政権では、地方に使い方を任せた「一括交付金制度」を実施したが、さしたる効果も生まれずに、【無駄使いのバラマキ】との批判を受けてしまった。

だから、安倍自民党政権は、中央官庁が使い方のお手本を作って、その中から「地方が自主的に選択できる使い方」を、政策メニューとして提示した。

つまり、自分で料理する能力が覚束ないから、定食のメニューをいくつか作って、そのレシピを守れば、最低限の効果は保証できると言うわけだ。

 

中央の官僚達が考えたメニューで、地方の産業が活性化するなら、トウの昔に各地で中央官庁発信の新産業が目に見える形で、育っている筈である。

しかし、お仕着せの政策は、立案した官僚が定期的な人事移動によって、当初の熱意が薄らいでしまい、成り行きまかせの仕事になってしまう。

この様なチャレンジが成功しないのは明らかだが、中央の官僚が移動して行くたびに、新しいお仕着せの発想が、地方の行政に発信される。

そして、また、交付金が支給される間だけの、地方活性化の政策が実行されて、表面だけは、成果があった様に報告されて終わる。

 

もういい加減に、中央官庁発信の「地方経済の活性化政策」は、成果に結び付かないと観念して、地方創生の根本理念を入れ替える段階である。

まず、地方創生の課題を中央官庁からの発信を一切止めることだ。

地方行政が、中央の指示や課題の提示がないと何もできないレベルならば、交付金も一切出さないコトにして、提案ができるレベルになるのを待つのが良い。

何も提案しない自治体は、交付金を支給しても、実現する意欲もないから、お金を表面的にうまく使うだけに終わる。

本当に意欲のある提案であるか、どの様な方法で選別するか、それが肝心だ。(続)


地方頼みの経済成長策は中央主導の空文に終わる懸念が。

2015-01-20 | 経済問題

第二次安倍政権の目玉政策は、「地方創生」と経済成長戦略である。

しかし、この地方の活性化を目指す政策は、どの内閣も実行目標に掲げていたが、具体的な政策としての実効性は、ほとんど失敗の成果であった。

安倍政権の三度目2015年度予算案が提出されたが、どの具体策を見ても、従来の政策からの進化は見られない。

相変わらずの、中央官庁の役人が霞が関の役所の中で、考えている「机上論の甘い想定」で、地方自治体の自立心や創意工夫の入る余地は、ほとんどない。

 

ところが安倍政権の経済成長のための規制改革の目玉は、「農協の改革」であって、【全中が各農協に対して持つ指導・監督権】の廃止である。

農業の国際競争力の強化を狙って、各地域の農協が自主的にコスト削減や新たなブランド開発に取り組めるよう、全中の中央からの指導を弱める狙いである。

つまり、農業の様な地域特性と多様性を持つ産業を、一律に中央組織の感覚で指導し、監督すると、農業の衰退の原因となる。

だから、「中央の組織、【全国農業協同組合中央会】は脇役に徹して頂きたい。」との狙いを、安倍首相は記者団に説明している。

 

政府は全中の権限を弱めて、それぞれの地域の農協が『より自由に経営できる様にする』ことで、独自の農業の活性化をめざしている。

全中が執り仕切る【ピラミッド組織】では、活性化ができないと見ているのだ。

これに対して、全中は【農業の自由な経営を縛ってはいない】と反論する。

この構図は、「地方創生の経済活性化」にも当てはまり、【中央の官庁群が、地方に対して持つ指導・監督権】は、各地方の自主的な行政判断を縛り、自立心や創意工夫の入る余地を縮小している。

全中の権限を弱める動きをしても、中央官庁の指導・監督権は確保したままだ。

 

この様な構図のままで、「地方創生」の政策を、中央官庁の権限で主導して予算をバラまいても、農協の衰退、硬直化に制約された様な成果しか生まれない。

農業の活性化には、『地域農協に経営を分権化』して行くのに、産業の育成、活性化には、地方に政策立案の自主権限を与えないのは、全く矛盾している。

地方自治体の中央依存体質は、もはや硬直化と停滞を招くだけの癌である。

全中の改革という小手術には着手しても、中央官庁支配の大改革には、手が出せないママの【地方創生の政策案の押し付け】は、安倍政権の基本的な戦略思考の迷走を露呈している。

これでは本命政策の【地方創生】は到底無理だろう。


中央政府と官庁が主導している経済政策は行き詰まりに。

2015-01-19 | 経済問題

安倍政権の「円安誘導」という政策は、資本主義が成熟した段階で、【デフレ経済に陥った行き詰まりの産業界】に、刺激を与える政策である。

輸出に依存した企業が、収益向上の恩恵を受けることだけでなく、輸入品の価格が上昇してコストアップ要因となって、末端の価格上昇を引き起こす。

これは、停滞していた物価水準を確実に押し上げる効果を生みだし、一部の便乗値上げも含んで、経済活動に活力を与える。

円安が継続すると見た企業の一部では、生産拠点の日本での再開を実施する企業も出てくる。

 

しかし、円安の影響は良いことよりも、悪影響の方が無視できない。

アベノミクスで明確になった様に、輸入依存の企業では、赤字転落で淘汰されるケースも増加し、賃上げが難しい企業で働く人たちの実質収入は悪化する。

最大の損失は、ドル換算での経済活動指標で、世界経済のレベルでの価値評価は明らかに低下することで、国力の縮小につながるのだ。

その上に、日本の場合は【基礎的財政収支が赤字】の状態での、「超金融緩和による円安」であるから、国債の金利水準を低く抑え続けなければならない。

これは、日本の蓄積した資産の運用で、低い利回りを強いられると同時に、海外での運用益も減少することになる。

 

安倍政権と黒田日銀の「デフレ脱却政策」は、この様に大きな損失と、【一般国民へのしわ寄せに弊害】を生みだすが、それを承知で強行しているのである。

しかし、2年を経過した実績は、想定よりも「大企業の利益増加が賃金へ波及する効果」は大幅に少なく、さらにその外注企業、下請け企業への恩恵はない。

その結果は、2014年の経済成長率はGDPマイナス0.5%に転落したのだ。

安倍政権は、この実績に大きなショックを受け、デフレ経済に逆戻りを防ぐために、「消費増税を延期」することで、当面を取り繕ったのである。

 

超金融緩和による【円安誘導による活性化】と【インフレターゲット政策】は、明らかに失敗している。

あとは、何が何でも「物価上昇率を2%に近づけるコト」と、「物価上昇率以下に国債の金利を抑える」コトだけが、日銀の責務となってしまった。

この状態で、「安倍政権が基礎的財政収支の黒字化に本気で取り組む」姿勢を海外諸国に示すことが、日本の「経済破綻を免れる最優先の課題」となっている。

緊縮財政を強いられる政権は、地方頼みの経済成長に望みを託すだけか。(続)


グローバル化した社会の資本移動には逆らうことは空疎だ。

2015-01-18 | 経済問題

資本主義の先進国が、グローバル化社会に晒されると、大多数の先進国はデフレ経済への転落を強いられる。

資本主義とは、市場取引を自由化することで、「資本の効率的な運用と移動」が自由な経済体制をめざしているからだ。

先進国での経済が成熟してくると、市場競争の中で得られる資本の効率的な運用が、低下するのは避けられない。

従って、資本の移動が「もっと効率的に利用出来る新興国に向けられる」コトは必然の流れである。

 

同時に、先進国での生産効率の進化も鈍くなるので、給料は上がらなくなるから、需要の増加も頭打ちになる。

その一方で、新興国経済の発展に伴って、経済水準の向上に沿って需要増加が活発化されるから、新規投資による収益の見返りは、圧倒的に有利になる。

資本は新興国に向けて移動し、生産拠点の新設は新興国で活発化される。

さらに、成熟した先進国では、新規の投資も少なく、既存の生産設備の更新もなくなる。

民間企業の経営者に対して、政策的に国内への投資を促す制度をいくら講じても、大きな流れに逆らっているだけで、効果は微々たるものだ。

 

日本は、上記の様な資本の論理に抵抗して、グローバル化の流れの中で、国内生産拠点の維持を国策として実施してきた。

産業界や地方自治体の要請に沿って、地元の製造拠点の移転を引き留めようとして、あらゆる方策を駆使してきたのである。

しかし、この努力とお金は、【企業の経営判断を数年間だけ先送りする効果】を生んだだけで、結局は【生産拠点の海外移転の流れ】は止めるコトは出来ない。

1990年代のバブル崩壊以後の、日本経済の政策は「グローバル化経済下での資本主義の原理」に逆らうコトだけに終始して、時間とお金を浪費したのだ。

 

では、どの様な経済政策を日本は選択すべきであったか、この最重要な国創りの課題を、中央官庁も真剣に検討をしていない。

政権担当した、自民党歴代政権も民主党も、確固として将来像をもっていない。

日本を主導してきた産業界や、製造業の大手企業も、資本の論理には逆らえずに、海外への事業拡大と生産拠点の移転を実行するばかりである。

安倍政権は、円安誘導という奇策にでたが、長続きする政策ではない。(続)


労働ダンピングの過酷な生産に支えられる低価格競争。

2015-01-17 | 経済問題

安倍政権の最優先課題は「デフレ経済からの脱却」である。

昨年末に総選挙を実施して、消費税増税の先送りに国民の支持を得たとの大義名分を掲げているが、デフレ脱却があやしくなったことが原因である。

産業界には賃金の引き上げを要請したが、2014年4月の賃上げでは、物価上昇率には追い付かずに、実質賃金はマイナス3%となってしまった。

それに消費増税が追い打ちをかけたので、経済成長率はGDPマイナス0.5%で、このママでは確実にデフレ経済に逆戻りする。

 

このデフレ経済を長引かせている原因には、価格破壊を実施して「マスメディアが称賛した企業」の、人件費削減が大きく影響している。

低賃金で長時間労働を課して、数年で半数以上の従業員が退職してしまう「ブラック企業」が、増殖してしまった。

その大半は、非正社員待遇のママの、使い捨ての労働力扱いであった。

ブラック企業の代表とされて批判を浴びた[ユニクロ(ファーストリテイリング)]は、非正社員の大半を正社員にすると発表して、批判をかわす動きだ。

 

しかし、国内の低賃金、過酷労働だけが問題ではなかった。

海外の生産工場では、日本以上に過酷で低賃金労働が蔓延していて、低価格での生産を競争させることで、利益を生みだしているのである。

1月16日朝日新聞(朝刊3面)によれば、中国の下請け工場で月あたり約300時間の違法な長時間労働が行われていたことが分かった。

時間外労働は法定の上限36時間をはるかに超える100時間以上を課していた。

さらに高温の機械のそばで、失神するくらいの過酷な作業も行われていた。

ユニクロの役員は、「問題点を早急に是正する様、下請け会社に強く要請する。」とのコメントを発表した。

 

この様な問題は、中国人の労働者の待遇改善の話ではなく、労働条件をダンピングした下請け会社が、受注競争に勝ってはびこることを助長している。

その結果、日本国内からの生産移転を加速する圧力となって、【日本の働く人達の給料を引き下げる悪影響】を及ぼすコトになる。

この様に、大手の国際企業が「生産コスト削減優先」の経営で、労働ダンピングを強いる調達政策を採ってきたために、日本国内での【賃金デフレを加速】させてきた。

価格破壊の先導社、ブラック企業の社会的責任が大きく問われる段階である。