庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

異次元の超金融緩和の次は、異次元の日銀の賃上げ勧告。

2015-11-30 | 経済問題

ついに、異次元の超金融緩和を実施した日銀総裁が、経営者との懇談会で、「2%の物価上昇にふさわしい賃上げを実施するのは労使の役割」と発言した。

日銀が目標とする「デフレからの脱却と2%の物価上昇」は、労使の責任で「ふさわしい賃上げ」の実現が必要だと、企業に強く促したのである。

安倍首相の言及で『最低賃金の政府権限での上昇』を約束したが、「GDPの成長率に配慮しつつ引き上げていく」として、逃げ道を作ってしまった。

黒田総裁は、はるかに強い主張で「労使に賃上げの責任」があると、断言した。

これで、日銀が賃上げの先頭に立つ姿勢を示し、デフレ脱却を強調したのだ。

 

安倍政権が「経済成長に即した賃上げ率」との姿勢を採り続ける限り、企業の方は「名目3%成長の可能性」は限りなくゼロと見てしまう。

だから給与の増加額は、物価上昇率に追い付く程度にしか、実施しないだろう。

すると、消費購買力は給与増加額程度しか増えないから、民間企業の新規投資は物価上昇率以内に留まる。

結局、安倍政権の意思の入らない「賃上げ要請」では、実質的な需要の増加は生まれない循環構造になってしまう。

安倍首相に任せる限りでは、物価上昇率2%の実現は不可能である。

 

超金融緩和の仕掛け人である黒田日銀総裁は、おカネを市場に供給しただけでは、デフレ脱却が不可能だと悟ったのである。

日銀の役割ではないと承知の上で、「賃金引上げは労使の責任」と、他人の領域に踏み込んででも強く言及したのは、【賃金デフレの根幹】をついたのだ。

安倍首相が「お坊ちゃん政治家の本質」を露呈した弱腰姿勢では、経営者が賃上げの責任を果たす可能性は、皆無である。

異次元の言及と言われ様が、【経営者側の賃上げ消極姿勢を「デフレ経済の元凶」】と想定して、「賃金の鈍い伸びが足かせになっている」と強く促した。

 

しかし、民間経営者側は、政府や日銀に言われて【賃上げに応じるポーズ】だけはとっても、ホンネのところでは、日本国内市場の成長は期待していない。

黒田総裁は、「デフレ期に考え方で、投資や雇用判断、価格設定」をしている企業は、競争に出遅れて不利になると強調した。

それは、2%の物価上昇率が実現した場合、との但し書きつきである。

2016年度の後半には、「インフレターゲット政策」の2%実現というが、それも願望的な目標で、政府も民間企業も、他人の責任に押し付け合っている。(続)


せっかく始めた賃金引上げ政策にブレーキをかける愚策。

2015-11-29 | 経済問題

働く人たちの給料を引き上げることが、経済の活性化になることは明らかで、すでに先進諸国では実行されている。

アメリカではオバマ政権が、最低賃金を1200円以上に引上げしており、それに応じて大手の小売り事業者が、軒並み時給をアップさせている。

安倍政権は、今頃になってやっと「最低賃金の全国平均を1000円を目指す」と言い始めた。

トリクルダウンの賃金上昇には期待できないと思い始めた様である。

最低賃金の引上げは、政権の方針で決定すれば実現可能な仕事である。

 

ここまでは、欧米の先進諸国では日本よりも先行して、最低賃金の引上げが「需要不足の経済」の底上げに役立つことは実証済みの政策である。

問題は、多くの一般の働く人たちに賃金を、引上げることが実現出来るかにかかっている。

安倍政権は大企業ばかりが参加している「経団連などの経済団体」に、春闘でのベースアップを要請しているが、中小企業の大部分には関係しない。

大企業は企業イメージの維持からも、最小限のベースアップに応じたが、需要不足経済を上向かせるほどの給与増加の力はない。

 

安倍政権は、大企業の要望に沿って【法人税の減税】を実効税率で30%以下に軽減する方針を、16年度の後半に実現することを約束した。

その税収不足分を補うために、「法人の外形標準税率」を引き上げることにした。

しかし、利益がほとんど出ない「中小企業にとっては増税」になる。

さらに、企業が払う「給与額が大きい方が納税額は増える」ので、できるだけ、給与増額をしない方が、納税額を低く抑えることになる。

つまり、安倍政権は企業に対して、【できるだけ給料の増額を抑制】する方針を採用しているのである。

 

働く人たちに、企業収益を可能な限り配分を増やして、『消費購買力を高める』政策が今や、もっと重視されるお金の配分政策である。

それを逆にする「外形標準課税」を採り込むなどは、愚策の最たるものである。

法人税の減税も、前年よりも給与配分を増加させて企業だけを対象にして、実効税率を引き下げる方法と検討すべきなのだ。

特に中小企業を対象にして、「給与アップの実績に応じた減税」を採りいれる「賢い減税策の具体化」が、今こそ求められているのだ。(続)


発想の順序を逆転させればデフレ脱却は実現可能になる。

2015-11-28 | 経済問題

日本がデフレ経済に落ち込んで25年にもなろうとしているのに、未だに、消費購買力不足を放置しているのは、時代錯誤も甚だしい。

先進国の経済は、『生産力の増強よりも消費購買力を高める』ことを、最優先にするべきであり、これが理解できていない政治家が多すぎるのである。

それは、メスメディアや有識者に中にも、賃金を引き上げると生産コストが上がって、価格上昇でモノが売れなくなる、と思いこんでいる人が多いからだ。

賃金を上げるには、「労働生産性」を上げてから、その分だけの賃金上昇は妥当だとしているが、これは時代遅れの発想である。

 

最低賃金をはじめとして、一般の勤労者の給料を引き上げれば、労働コストが上がるから、企業は生産性向上に努力をしなければならなくなる。

勤労者の収入が増えるのだから、購買力が上がると想定するのが「正常の民間企業」の経営判断である。

つまり、生産性向上のために設備投資を急ぎ、需要増加に対する供給力を確保するためにも、設備投資を急ぐことになる。

物価が上がりそうだから、一部の人は買い急ぐ必要を感じるかもしれない。

 

アベノミクスによる「超金融緩和」の効果によって、市場にお金があふれるから「物価上昇が引き起こされる」と想定したのは間違いである。

最低賃金をはじめとして、勤労者の給料を『経済成長率以上に引き上げる』ことが、物価上昇を招いて『デフレマインドを払しょく』することになる。

買い急ぐ人や企業が増えることで、需要不足はなくなり、人手不足の現象も引き起こされるので、将来を見て人材の引き留めに努める企業も増える。

それは、企業の利益を貯め込むのではなく、人に投資をして給料への配分を増やすことで、全体的に『労働分配率が増加』に転じるのだ。

 

これが、好循環を引き起こして、需要不足どころか供給力の増強が必要になるので、企業も「生産性向上に一層力を入れる」状況に変化する。

給料を引き上げ以上に生産性が向上すれば、企業経営が改善されるのだ。

その逆に、生産性向上ができてから「給料引き上げに回す」のでは、この20年間の実勢が示す様に、デフレ経済に落ち込むコトは実証済みである。

最低賃金の引き上げは、政府の組織(厚生労働省の所管)で可能になるのだから、その決断をすれば実行がすぐにできる。

問題は「一般民間企業の勤労者の給料」を、どの様にして引き上げるのかだ。(続)


デフレ脱却の道は賃金引上げを先に実施して消費を拡大。

2015-11-27 | 経済問題

安倍首相は、『最低賃金を年3%程度引き上げ、[全国加重平均で(時給)1000円]を目指す』と表明した。

景気の足踏みが続く中で賃金底上げによって、消費の拡大を図る政策で、安倍政権が最低賃金の具体的な目標を示すのは、初めてとのことである。

この政策目標は、民主党が政権交代を果たした時の【選挙公約】にもりこまれて、「中小企業を支援し、自給1000円(全国平均)の最低賃金を目指します。」

と掲げられていた。

しかし民主党政権では、3年半の間に実行されることはなかった。

 

民主党政権の政権公約は、大半が実行力不足でトン座して、国民からの信頼を完全に失ってしまったが、安倍政権は、やっと賃金上昇を重視し始めた。

富裕層を富ませることで、「トリクルダウン効果」を期待したが、カラぶりに終わり、大企業の賃上げ要請で取り繕ったが、中小企業への影響はゼロである。

非正規社員は増え続けて、大企業の内部留保は最大に膨れ上がっても、中小企業への恩恵はなく、働く人の実質賃金はマイナスになるばかりである。

結局、アベノミクスの第一の矢「超金融緩和」は、完全に失敗している。

 

これを認めたくない安倍政権としては、新三本の矢を打ち出し、「GDP600兆円目標」を華々しく打ち出して、国民の不満を逸らそうという作戦である。

民主党政権時代には、2020年までに全国平均1000円目標で政労使が合意しているから、野党も異論はない筈だ。

安倍政権としての取組は、遅すぎると言えるが、ここにきて、賃金の上昇圧力を利用することが、「賃金デフレからの離脱」に、役立つと判断した様だ。

反対の多い「超金融緩和」を実行したり、憲法違反の非難があっても【安保法案の強行改訂】を実行でできる力があるから・・・民主党政権よりも・・・。

 

厚生労働省のつくる「労使の審議会」で、毎年の引き上げ額を決めているが、これに政権の意思を反映できるかが問われている。

ただし、安倍首相は経済財政諮問会議で、「GDPの成長率に配慮しつつ引き上げていく」と言及しているので、早くも逃げ道をつくっている。

GDPの名目成長率3%以上が、達成できなければ、引上げ額も下がるのでは、

賃金デフレの経済構造が理解できていない様である。

まず働く人の賃金を「GDP成長率よりも高く引上げる」ことで、実質の消費購買力を引き上げるから、消費の増大が見込める様になる。

これが先手だ。(続)


先送りばかりの安倍政権が珍しくも前向きの潔い決断。

2015-11-26 | 環境問題

日本の温室効果ガス排出量は、2013年度は14億800万トンであったが、2014年度の速報値では、13億6500万トンで、前年比-3.0%であった。

これは、省エネルギーの進展や再生可能エネルギー導入拡大により、「エネルギー起源のCO2排出量が減少したことによる。

安倍政権は、この実績に気をよくしたかのように、省エネルギーの推進に、より一層の力を入れる方針にした様である。

今月末にパリで開かれる「国連気候変動枠組み条約締約国会議(CO21)」に向けて、取組姿勢のアピールをする狙いの様である。

 

具体的には、エネルギー消費量が比較的多い分野の照明器具について、「トップランナー制度」での規制を強めて、白熱灯や蛍光灯のエネルギー消費を「LED照明」並みの省エネ性能に政令を改訂する。

技術的には、LED並にすることは白熱灯では不可能で、蛍光灯も効率アップは困難だから、事実上は、製造と販売を禁止することになる。

実施は2020年をメドにするので、それ以降には照明器具は原則としてLEDに置き換えていくしかない。

この政令の改訂で、2030年には9割以上の照明器具が、LEDに置き換わるので、CO2排出量の削減に大きく貢献するだろう。

 

何事にも優柔不断の「安倍政権」であるが、この決断は評価されるだろう。

地球環境対策に後ろ向きと、国際社会から批判されている日本では、イメージ向上の助けになる上に、何よりも「GDP増加」に貢献する。

旧時代の象徴の白熱灯を禁止し、主流の蛍光灯も置き換えを強要することで、照明器具の刷新で大きく消費が伸びる。

関連企業はそれに向けて、設備投資を前倒ししたり、より一層の性能を上げる研究や新商品に向けての新規投資も実行するだろう。

 

消費者にとっては、強制的に「LED照明器具」の買い替えさせられるのに、不満も持つ人もいるだろう。

しかし、電力消費の多い「白熱灯」を使い続けるよりも、買換えの一次費用を負担するだけで、電気料金を節約できるので、損失よりも得が多い筈である。

ホンの一部の低所得者には、「買換えのお金もない」との不満も生まれるから、その人たちには、「LED照明器具」に買換える費用を援助すればよい。

一律にお金を配るよりも確実に消費されるお金となって、「GDP増加」になる。


賢く考えれば15年先に負債となる設備には投資しない。

2015-11-25 | 経済問題

安倍政権の方針は、日本再生のためには「強い経済の実現」が最優先との認識で、その強い経済の指標は、「GDP「(国内総生産)」だけを考えている。

【GDPの中身】には、国民に貢献する使い方もあるが、大半は無関係か、国民の豊かさを奪う【負の遺産になる投資】も多く含まれてしまう。

原発関連への追加投資は、その大半は次世代の負担になる【使用済み核燃料】の様に、始末に困るものも多く含まれてしまう。

 

石炭火力発電所などは、いったん建設してしまうと、その後の40~60年に渡って、大量の[CO2排出]を増加させる元凶になることは明白である。

それでも、建設を止められないのは、「安倍政権」の中枢政治家が、自分が生きている間だけのことしか、考えられない頭になって、老朽化しているからだ。

原子力発電を始めた初期のころには、30年後には老朽化して「廃炉にする計画」であったが、その後の技術進歩で「耐久性の向上技術」を、部分的に新品の設備に改修することで、その後に20年も稼働することができる。

それで石炭火力発電所も、当初の設置設備では、[CO2排出]ガスが、火力発電の中で最悪レベルであっても、30年後には改修できるつもりなのであろう。

 

しかし、現在の段階で研究中の技術は、[CO2排出]ガスを分離回収して、地下の安定地層に押し込んで封じ込める方法である。

それは、大陸国家に様に地層が賢くて安定していれば、適切な地域を選定して[CO2排出]ガスを処置することができる。

しかし、日本の様な火山列島の島国では、それは甘い幻想にすぎない。

原子力発電を開始した時期には、使用済核燃料の地層への埋設処分地は、10年もすれば選定できると想定していた。

しかし50年以上も経つのに、日本国内には『安定地層が見つかる可能性』は、ゼロに近く、未だに最終処分地の候補すら見つからない。

 

日本国内での石炭火力発電所では、[CO2排出ガス]を分離回収して、別の用途に利用する方法を選択しなければならない。

そのための追加の処理コストは、高額になる見込みだから、石炭火力発電が【最も安い火力発電】という思い込みは、間違いである。

2023年に発電をはいじめても、2030年には赤字を生み出す発電設備となり、将来世代に【負の遺産】となるのは明白だ。

【15年後のことは考える必要が無い】との認識は、救いがたいボケぶりである。


経済成長の指標はGDPしか理解できない政権は。

2015-11-24 | 経済問題

安倍政権の新成長戦略の中身は、いまだに迷走中の様であるが、大枠の「2020年に国内総生産(GDP)600兆円を目指す」との看板だけは発進した。

それには、名目成長率3%以上を続ける目標になるが、経済成長だけを追い求めた「新自由主義経済」は、弱者を犠牲にして成長を追い求める諸悪の根源だ。

GDP追求だけが、「国民の豊かさ」を実現するわけではないことは、もう、解り切っているのに、未だに、GDPだけしか頭の中にないのだろう。

特に、将来の国創りにとって有益な事業への投資を活発にする方向に、誘導政策が不足しているのが、大きな欠陥であろう。

 

将来の国創りで重要な根幹は、日本のエネルギー自給率を高めて、国際協調を図る「気候変動対策」の責務と完全に果たせる国となることである。

ところが、安倍政権は目先の4年間の経済成長率ばかりを「短期的目標GDP600兆円」を掲げるだけが先行してしまう。

これでは、エネルギー産業の将来像などは、後回しにされるのが当然である。

既存の電力会社と新規参入の新電力企業は、自由化後の【電力価格競争】ばかりに目を奪われて、現段階で最も「発電コストが安い」とされている【石炭火力発電所】の建設計画にうつつを抜かしている。

 

現在把握されている「石炭火力発電所」の建設計画は、48基(2350万kW)に達している。

これらが、「GDP目標600兆円」の達成に貢献できるとして、政府が後押しして建設を強行しようモノならば、どうなるかは想像がつくでしょう。

日本政府は、2030年の温室効果ガスの削減目標を26%減(2005年比)として、世界に公約している。

しかし、この目標値では、「気候変動対策に不十分」であるとされ、5年後の2020年には削減目標を上積みさせることが、先進国の責務として想定されている。

 

現在の段階で計画中の石炭火力発電所を全部建設したならば、2020年以降には、[CO2排出]の大幅な増加が上乗せされる。

世界からは、削減することを要求されるのが目に見えているのに、逆行する政策を【GDP目標達成のため】だけに、強行することが良いと言えるのか。

その時になって、[CO2排出]削減のために追加の設備で繕うとしても、非効率な発電所となって、経済の足を引っ張ることになる。

今の段階で、地球環境と経済の両立を図る政策が、必須になっているのだ。(続)


将来のエネルギー電源構成の目標が泥縄式で改定が必須。

2015-11-23 | 快適エネルギー社会問題

日本の将来の電力エネルギーを担う役割となる『浮体式洋上風力発電』について、もう少し説明を続けてみよう。

2015年2月20日のブログにも書いておいたが、「浮体式洋上風力発電」の潜在能力は、613GW(6億1300万kW。俗に言う原発613基分)である。

設備利用率は、原発では6割くらい、洋上風力発電は3割前後であるから、発電量での目安は、原発300基相当に達する。

発電コストの2030年予測では、洋上風力発電コストは、8.6~23.1円/kWh.とされて、石油火力発電よりも安く、石炭火力発電を下回ることも可能だ。

 

この数値は、「三井物産戦略研究所」が2015年2月4日に公表したデータだ。

これに対して、経済産業省は今までの後向き姿勢で、「洋上風力発電の風況マップ」を全く作成していなかった。

風力発電の事業化には不可欠のデータを、急いで作成する必要に迫られて、5月16日に「洋上風況観測システム実証研究(風況マップ)」の事業として、事業者を公募し、「産業技術総合研究所、他」の実施者を採択した。

8月18日に公表された計画では、2016年度末に完成版が公開される。

事業予算は2.5億円で、原発関連の事業に比べれば、圧倒的に少ない。

 

洋上風力発電に関連するデータが、まったく不足している段階で、2015年4月に公表された【2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)】では、原子力発電の比率が突出していた。

その一方で、再生可能電力は22~24%(水力8.8~9.2%含)で、風力発電の比率はわずか1.7%となっている。

これは、陸上風力の発電量しか考慮していないので、2030年時点では『洋上風力発電』の分は、一切、含まれないと見れる。

 

電源構成の公表時点では、基本データの「洋上風況マップ」が全くないから、「ゼロ想定」は妥当かもしれないが、経済産業省に実力はその程度なのである。

「洋上風況マップ」が2017年4月に公表されれば、民間事業者が積極的に『洋上風力発電ウインドファーム』の建設計画に着手できる段階になる。

その頃には、長崎県、福島県沖での「浮体式洋上風力発電の実証実験」の成果も、より一層の精度の高いデータが得られるだろう。

それらを、総合的に検討すれば、『洋上風力発電ファーム』の事業化構想が現実的に可能になる。

2030年の電源構成目標は、改訂すべき段階になるだろう。


エネルギー技術の大転換期にさしかかった日本の将来。

2015-11-22 | 快適エネルギー社会問題

日本の太陽光発電の潜在的な発電量は、従来は設置場所を工場や住宅の屋根に限定した様な「石頭のエセ専門家」の評論が横行していた。

2012年の[FIT](再生可能電力固定価格買取り制度)の施行後は、空地に1000KW以上の太陽光パネルを敷き詰める、「メガソーラー」が普及しだした。

これから、農地の上に、「ソーラーシェアリング技術」で、太陽光に強さを適切に管理して、農産物とエネルギーの生産をする[農エネ]の普及時代だ。

頭が硬直的なお役人に口出しをさせない様に、適切に育成して『強い農業』を創りだす時代に入っている。

 

一方では、「風力発電の設置」が、日本では遅々として進まないのも、役所の過剰な規制が問題になっているからだ。

このブログでも伝えた様に、イギリスでは、風力発電の普及が進み、今は沿岸部に大きな風力発電基を設置する「着床式風力発電」が盛んに建設されている。

今年の11月には、スコットランド政府が北東部の沖合25kmの洋上に、『浮体式洋上風力発電』5基が設置される予定と伝えられた。

1基の発電力が6000kWで、来年から建設工事が開始されて、世界最大の「浮体式洋上風力発電ファーム」になる。

 

日本では、2011年3月の原発大事故以後に、急遽、官民共同の試験設備の開発に取り掛かり、現在は、福島県沖と長崎県沖で実証試験中である。

『浮体式洋上風力発電』は、陸上風力発電の設置に対して人家への影響がなく、大型ウインドファームの建設に適した海域も多い。

建設には、大半の製造を港湾設備のある工場で組立建設して、海上を曳航して設置場所まで移動できる。

将来は大量生産が可能にできる段階になれば、発電コストの大幅な低減が期待出来るので、化石燃料による火力発電よりも安い電力になりうる。

 

以上の様に「再生可能エネルギー分野」において、次々に新技術の開発によって、「日本国内でエネルギーを生みだす産業」が、従来よりも実現可能になる。

日本の技術開発力と、普及させる「量産コストの低減」に向けての産業技術は、やる気になれば世界一流のレベルを実現出来る力がある。

それを邪魔している【縦割りの行政権限】の過剰規制や非効率が、エネルギー転換の潮流にブレーキをかけてしまうのだ。

政治家やマスメヂィアの認識が変われば、これを加速することができる。(続)


農業経営の刷新に意識転換ができない旧時代の行政。

2015-11-21 | 快適エネルギー社会問題

農水省が「ソーラーシェアリング」の新技術に対して、【農地の一次転用の扱い】としたのは、農業生産物が減少する責任を問われない様にするためである。

確かに「農地を国として管理する目的」は、食糧自給率を確保して、価値の高い農産物の生産を支援し、農業事業者の収入を確保する役割である。

しかし、余計なことまで「中央集権的行政」によって、農業事業者の自立経営意識を阻害して、日本の農業全体と大きく遅らせてしまった。

過剰な行政の介入と管理、保護が、健全な経営を邪魔してきたからである。

 

この様な行政の失敗を助長してきたのが、農業族と言われる「既得権益保護」の団体と政治家である。

それに便乗して、不要な管理をしようとする【地方行政の過剰規制】が、農業事業者の経営を邪魔するだけであった。

中央集権的な農業政策と補助金バラマキが、日本の農業を旧時代的な経営に押し込めて、技術刷新や経営改革の必要性をなくしてしまった。

さすがに、中央集権の弊害には改善の兆しが出ているが、今度は、地方の農業行政が権限を振るいたがって、農業事業者の邪魔をし始めている。

 

「ソーラーシェアリング」は、農業に詳しい経営者が、太陽光の恵みを『農産物とエネルギー創出』の両面に活かす様にする、「農エネ経営」の始まりである。

それを、農地の確保ばかりを役目と思い込んでいる「小役人の権限」で、【農地転用の扱い】が、自分の権限として、技術革新と経営の邪魔をし始めた。

「太陽光パネルの支柱の作り方」などを、指導する必要性はないし、作物の栽培成績に制限を加えるなど、余計な規制にすぎない。

農業経営の刷新は、今や「日本の農業の再生」には、不可欠の課題である。

それをタテにとって、経営の実務も知らない役人が、太陽光発電の設備に口出ししたりすること自体が、【農業の近代化の障害】である。

 

そうは言っても、中には【農業の収益性不足】などはお構いなしに、見せかけだけの農業をして、太陽光発電だけの収益を狙う、不埒な輩もいるだろう。

それならば、その様な不埒モノだけを取り締まる法規制にしておけば、善良で経営努力に励んでいる農業事業者の邪魔をするコトはない。

農業関係の政治家や組織は、農業経営者の事業の健全な発展を支援するのが役目で、役人の権限を冗長する様な、【過剰規制の癌】の除去に励むべきである。

自民党農政の近代化は、この様な事例が成功するかどうかにかかっている。


江戸時代並のお役所権限を振り回す農業委員会の旧体質。

2015-11-20 | 快適エネルギー社会問題

「ソーラーシェアリング」は、2003年に特許を出願した長島彬氏の発明である。

この特許は、「農地の上に支柱を立て組んだ架台の上に、間隔を開けて太陽光パネルを設置する技術」で、誰でも無償で使えるように公開されている。

強すぎる太陽光は植物に有効に働かないで、光合成は増加しなくなる「光飽和点」があることで、太陽光を適度に遮る方法は農業にとっても良い。

だから、この技術を採用するかどうかは、農業経営者の的確な判断に任せるのが、行政的、事業的には適切な扱いであろう。

しかし、現在の硬直化している農業界では、「ソーラーシェアリング」は【農地転用許可】の対象になるかの判断に、農水省が権限を使って乗り出した。

 

農地の関連は当然のごとく、「農水省の管轄」との判断が優先した様だが、日本の農業を衰退させて「お荷物産業化」させたのは、農水省であるのは歴然だ。

農水省は技術の発明者である長島氏を顧問に迎えて、一般社団法人ソーラーシェアリング協会を千葉県千葉市に設立している。

正しい「ソーラーシェアリング」の技術を普及させる目的で、協会が設立されているとしても、農水省の意図が、自省の権益確保にある様では困る。

農業経営者の自立的な事業経営を助けるのが趣旨で、その次に農業生産物の品質と供給量の確保が、農水省の役目であろう。

 

ところが、農地転用許可に対象とする姿勢であるために、各市町村の農業員会が、余計な指図をするようになってしまった。

農業事業者に、設置する太陽光パネルの細かいところまで届けさせて、しかも、農地に栽培する品種、その栽培成績の報告、何かと口出しをして命令する。

農作物の栽培成績の良し悪しを、お役所にいちいち届け出る必要があるのか。

発電設備の選択での収入は、事業者の責任だから、指図は一切不要の筈である。

この様な体質の農業委員会が、各市町村に癌細胞の様にはびこっている。

 

農水省が2013年3月に、「農地の一時転用の扱いにするとして、その指針を公表して指導に乗り出していることが、大元の原因である。

指針には、「支柱の基礎部分を一時転用許可」の対象とし、支柱は簡易な構造で

撤去できる様にして、農地の適切な農業が継続できること、とした。

農地における単収が、他の農地に比較して2割以上の減収がないこと、年1回の報告を義務付けている。

この指針を採りあげて、「昔の代官様」の様に、「ソーラーシェアリング」に認可に、余計な権限を振り回しているのである。(続)


農業経営の合理化を阻害している明治維新からの旧制度。

2015-11-19 | 快適エネルギー社会問題

日本の農業は行政の硬直的な姿勢によって、非合理的な経営を強いられることが多い事業となっている。

それと、縦割り行政の非能率が、農業経営者の合理的な経営の障害となる。

農業経営の基本は、土地を利用した収益を上げる事業であって、農産物の限定しているだけでは、収益が不十分な場合が多いのだ。

その解決策として有望な事業が、農地を利用した太陽光発電である。

この事例が最近では「ソーラーシェアリング事業」として、注目を浴びているので、その現状を説明して問題点を指摘しよう。

 

太陽光発電のパネルを地面全体に敷き詰めた「メガソーラー発電」は、今では日本の各地見られる様になった。

これには、遊休の敷地がまとまっていることが有利であり、日本で適地はどんどん少なくなってきている。

そこで、農地の跡地で「ソーラー発電」を実施して、売電収入を得る事業が、これからは事業化の対象になる。

ところが、農地の転用の認可は、各都道府県に属する【農業委員会】の管轄になり、市町村単位に選ばれている。

 

農業委員は「特別職の地方公務員」であり、「農地等の利用関係の調整、農地野交換分合その他のうちに関する事務を執行する」とされている。

「ソーラーシェアリング事業」の認可には、この委員会が絶対的な権限を持っているので、農業委員の資質や見識で、大きく左右される状況である。

農業を続けながら、敷地の何割かの面積に「ソーラーパネル」を設置して、太陽光の恵みを、作物栽培と電力エネルギーの生産」を同時に行うのだ。

それを認可する権限が、なんで農業委員会にあるのか、理解ができない。

 

農地の責務は、国民の食糧と確実に供給できるために、事業者が勝手に他の用途に利用しては公益に反するから、明治維新以来お役所の管理が必要だった。

現在でも、食糧自給率は40%程度だから、農地が減少しては国が成り立たなくなる、との理屈で「農地の転用許可」は、制限される。

しかし、「ソーラーシェアリング事業」は、農業による作物生産は、従来どうりに続けているから「農地を守る」コトは、問題ない。

ただし、太陽光が照射する時間が減るから、「作物によっては収穫量が減る」とか、品質が低下する」から、事業的な検討が必要である。(続)


既得権構造で腐敗した組織を破壊して活力ある改革を。

2015-11-18 | 経済問題

日本は過去にも、既得権構造の弊害によって経済活動の活力を失いかけて、財政赤字と景気後退に遭遇してきた。

その時の政権は、既得権を打破する突破力を考えだして、行政改革や公営企業の民営化を実現して、既存の経済硬直化に風穴を開けて改革してきた。

かっての国鉄改革は、100年以上も続いてきた腐敗した国営企業を、分割民営化の大改革を実行して、今では、鉄道事業の活力を取り戻して、日本の基本インフラとしての役割と、経済活性化に貢献している。

 

日本の【原子力関連の利権構造】は、国鉄改革に匹敵するくらいに、組織的な腐敗が進み、構造改革と刷新は大困難な重要課題である。

原子力に関する技術を維持する国策が「安全保障政策」を関係するので、「民営化による内部改革で進む業務」ではないであろう。

現実の原発事業は、民間事業的な採算性は、全く成り立たない状況である。

【原発の発電コスト】は、不明朗の状態のままだから、国の税金を投入し続ける「安全保障経費」として、国民に信任を得る必要がある。

 

【高速増殖炉の開発】はもはや不可能と決断して、「もんじゅの廃炉」を決定すれば、【放射性廃棄物の再処理工場】の「建設中断」を決定するしかない。

この不良債権の処理をまず優先して実行すれば、既存の原発を48基も維持する必要は全くない。

早急に、「安全保障経費」との観点から、維持する原発を国の責任で選定して、

地元住民の承諾がある原発だけは、安全確保の確立を図る必要がある。

その基本的な検討の経緯を、国民の審判に仰ぐことにすべきである。

今は、既得権に染まった国営組織や、「9電力会社」が地域独占体制にアグラをかいて、経営感覚も老朽化して自己保身が優先した判断になっている。

 

今までの政府の判断は、この基本方針が「国民への説明なしに、見せかけの理由で存続」させる、ゴマカシの国策になっていた。

この様な腐敗したままの癌細胞の手術を先送りしたままでは【一億総活躍社会】の看板政策は、すぐにはげ落ちてしまうだろう。

『2020年GDP600兆円』の掛け声では、消費も設備投資も上向くことはない。

かっての国鉄改革、電電公社分割民営化など、思いきった大手術を実行したことで、鉄道事業の再構築と近代化が実現し、それが経済活性化につながった。

なし崩し的な原発政策では、経済再生にブレーキをかけ続ける障害になる。


企業の利益の9割は海外と内部留保で国民はカヤの外。

2015-11-17 | 経済問題

日本の主要産業では、安倍政権の発足後の「円安誘導、超金融緩和」により、企業収益が大幅に増加して、内部留保が2014年度までに50兆円増加した。

しかし、国内への設備投資には、このうちの5兆円しか回さずに、後は、内部留保と海外への投資に振り向けている。

このデータは麻生財務大臣が、経済三団体のトップらとの「官民対話」で示したうえで、企業の国内投資を増やす様に迫った。

甘利経済再生大臣は、経営者のマインドがデフレから脱していないとして、設備投資への消極姿勢を批判している。

 

大企業を儲けさせれば、その分を国内への投資増加に回すものと【期待だけして何も手を打たない政治家】が、大甘であることが露呈している。

安倍首相をはじめとして、高度経済成長時代の様に民間投資が、政治の主導が無くても増えると想定するのは、そもそも、時代遅れも甚だしい。

成熟した経済社会で、世界がグローバル化されて資本の移動が自由であれば、民間企業の資金は、もっとも「投資効率の良い地域・国」に向かうのは当然だ。

「政府が要請したから投資を増やします」と言う経営者は、協力するポーズを採る必要のある「お友達経営者の範囲」でしかない。

 

企業利益は過去最高水準なのに、投資や賃上げを十分にしていない、ことが景気足踏みの要因だと、政権幹部の見解だが、それは評論家のいうことだ。

政治家は、実効性のある政策や法制度を施行することで、民間企業の利益の大半が、次期産業への投資に回ることを誘導しなければ、経済は好転しない。

賃上げは、企業経営者にお願いすることだけで、実現すると考えるのも、経営の実態の厳しさを知らない、「二世政治家的御曹司の甘ちゃん」である。

賃上げは、政治的に介入ができる「最低賃金の政策的上乗せ」を果敢に実行することから始めるべきである。

 

低所得層に『十分に厚い賃上げ』が「強制的に実施」されれば、必然的にその上の働く人たちの賃金水準を押し上げる。

大企業に働く人たちの賃金も、「人材確保の必達」の経営的判断が迫られる様にすれば、春闘相場に「口先介入」などの、下手な政治的ポーズは必要ない。

学識経験者やマスメヂィアの論調は、「賃金相場は労使交渉に委ねて政府は介入すべきではない」、とキレイごとを並べる無責任な態度は、害悪にすぎない。

政治の役割は、働く人たちの収入増加で、安心を提供することにあるのだ。(続)


非を率直に認めて負の遺産の処理の先延ばしを止めよ。

2015-11-16 | 経済問題

自民党政権は国の基本インフラとなるエネルギー政策の策定を、経済産業省の一部の「原子力推進派」の意思に従ってきた。

官僚の言うとうりのことを信じない性格の「元首相の小泉純一郎氏」も、原子力発電の推進は、官僚の言うことを信じて政策判断を誤ったと明言している。

いまでは、この様に誤った情報を信じた自分の非を詫びて、国民に向けて「脱原子力エネルギー」を宣言して、一日も早く、原発の負の遺産を処理する様に、政策転換を呼びかけている。

小泉氏は、政権が決断すれば、原発依存を止めることはできる、と明言する。

 

しかし、その小泉氏の決断する政治をまじかで見てきた安倍信三氏は、何をするにも決断できないで、問題の対策をズルズルと先のばしばかりする。

デフレ脱却の対策として、「異次元の超金融緩和」を実行させるため、日銀総裁を送りこんだのは、唯一の決断であった。

この政策が功を奏するかは、まだ途上であるので、成果を判断する時期ではないが、少なくとも、富裕層と大企業だけには恩恵があった。

一般庶民には恩恵どころか、物価上昇による被害の方が大きいし、大企業以外の勤労者の給料は、実質的に目減りするばかりだ。

 

ついに、物価上昇を除いた実質経済成長率は、2期連続のマイナス成長になり、「デフレ脱却」は遠のいた状況だ。

そもそも、物価上昇を意図的に2%にして、「インフレターゲット政策」によって、「消費者の買い急ぎと、企業の投資促進を図る」、というのが怪しい。

消費者は、物価上昇が激しくなれば、買い急ぎどころか、将来の生活苦に備えて、蓄えを増やそうと倹約に努める。

民間企業は消費者の購買意欲が落ちると見れば、投資を控えるのは当然である。

 

それよりも、現在の負の遺産となっている【しがらみに縛られて処理を先送り】している「不良資産」を、思いきった決断で、撤収処理に踏み切るべきである。

この撤退作戦によって、実質的に撤収業務が短期間に行われることで、「GDP増加」と、雇用の確保が活発になり、デフレ脱却にも効果がでる。

同時に、原発の場合には代替電源となるべき分野に、新規投資が必須になる状況で、これに応じた「民間企業の新規参入意欲」を活発化させる。

再生可能電力はもちろん、天然ガス発電の新設や送電線強化など、代替策としての業務を、先送りどころか、前倒しの計画に切り替える効果が生まれるのだ。