原発の発電コストが安価である、との神話はとっくに崩れていたのだが、電力業界は自社の原発が再稼働できないと、不良資産になってしまう。
電力自由化を控えて、市場競争に晒される厳しさを感じた電力会社は、安倍政権と経産省に泣きついて、原発関連の後始末費用は政府負担にしてもらった。
政府としては、発電コストが安いと原発保持企業から言われていたのが、「梯子を外された格好]になって、後に引きづらくなってしまった。
仕方なく、原発の維持、再稼働のためには、[CO2排出]ガスの大幅な削減のために20~22%を目標にする、との大見えを切ってしまった。
原発の比率を大きくするためには、[CO2排出]ガスの排出係数が大きい、「石炭火力発電」を、できる限り大きめに電源構成にしたのである。
そして、国際公約の[CO2排出]ガスの削減目標は、27%程度の低めでも、ツジツマ合わせの影響で、国際的な批判を覚悟の上で、かわすつもりなのだ。
次の政権が批判をかわしきれずに、削減目標を厳しく設定し直した場合には、石炭火力の[CO2排出]ガスの排出係数の減少と、企業に義務付ける。
これはあらかじめ、石炭火力発電の企業には水面下で提示しておいて、いざとなったら、切り札として用意しておくことになっている。
その切り札の中身は、今のところ明らかではないが、技術開発の進展を急げば、2030年には何とか間に合うトの算段である。
技術開発は間に合ったとしても、発電コストアップは避けられない。
その費用は国民に転嫁することで、電力会社の負担にはしない様な仕組みを用意しておくのである。
いずれにしても、今現在は「石炭火力発電は最廉価な発電」とのうたい文句で、大幅に増設をしておくのが、安倍政権の延命にはもっとも適切な選択なのだ。
今の時点で石炭火力が「電力料金抑制に役立つ」ことで、「国民のためにはもっともよい電源]と説明しておくのが、電源構成目標を通しやすい。
しかし、5年後、10年後には、発電コストが大幅に上昇して、その説明は通用しなくなるのは目に見えている。
しかし、原子力発電デモ。10年前にはもっとも安い電源との神話を作り、あつかましくも「原発の発電コストは、4.6円/kWh」と、最安値を公表していた。
いまでは、2.2倍位徐も高い電源であって、経済産業省の嘘つきには、国民は不感症になってしまった。石炭火力発電での嘘などかわいいものだ・・・と。(続)