庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

国民に嘘の情報を流し続けて恥とも思わない経産省。

2015-06-30 | 経済問題

原発の発電コストが安価である、との神話はとっくに崩れていたのだが、電力業界は自社の原発が再稼働できないと、不良資産になってしまう。

電力自由化を控えて、市場競争に晒される厳しさを感じた電力会社は、安倍政権と経産省に泣きついて、原発関連の後始末費用は政府負担にしてもらった。

政府としては、発電コストが安いと原発保持企業から言われていたのが、「梯子を外された格好]になって、後に引きづらくなってしまった。

仕方なく、原発の維持、再稼働のためには、[CO2排出]ガスの大幅な削減のために20~22%を目標にする、との大見えを切ってしまった。

 

原発の比率を大きくするためには、[CO2排出]ガスの排出係数が大きい、「石炭火力発電」を、できる限り大きめに電源構成にしたのである。

そして、国際公約の[CO2排出]ガスの削減目標は、27%程度の低めでも、ツジツマ合わせの影響で、国際的な批判を覚悟の上で、かわすつもりなのだ。

次の政権が批判をかわしきれずに、削減目標を厳しく設定し直した場合には、石炭火力の[CO2排出]ガスの排出係数の減少と、企業に義務付ける。

これはあらかじめ、石炭火力発電の企業には水面下で提示しておいて、いざとなったら、切り札として用意しておくことになっている。

 

その切り札の中身は、今のところ明らかではないが、技術開発の進展を急げば、2030年には何とか間に合うトの算段である。

技術開発は間に合ったとしても、発電コストアップは避けられない。

その費用は国民に転嫁することで、電力会社の負担にはしない様な仕組みを用意しておくのである。

いずれにしても、今現在は「石炭火力発電は最廉価な発電」とのうたい文句で、大幅に増設をしておくのが、安倍政権の延命にはもっとも適切な選択なのだ。

 

今の時点で石炭火力が「電力料金抑制に役立つ」ことで、「国民のためにはもっともよい電源]と説明しておくのが、電源構成目標を通しやすい。

しかし、5年後、10年後には、発電コストが大幅に上昇して、その説明は通用しなくなるのは目に見えている。

しかし、原子力発電デモ。10年前にはもっとも安い電源との神話を作り、あつかましくも「原発の発電コストは、4.6円/kWh」と、最安値を公表していた。

いまでは、2.2倍位徐も高い電源であって、経済産業省の嘘つきには、国民は不感症になってしまった。石炭火力発電での嘘などかわいいものだ・・・と。(続)


原子力ムラと石炭火力ムラの持ちつ持たれつの二人三脚。

2015-06-29 | 核エネルギー・原子力問題

原子力発電の表に出てこない経費は、今までは電力会社の余剰利益の中から、やりくりをして賄ってきた。

使用済み核燃料の再処理費用は、国の研究との位置づけで、電力会社の負担はほとんどなかったが、失敗続きでのやり直し経費は、今でも重くかかってくる。

そこで、電力自由化後のマエに、経費を国が肩代わりする制度に組み替えようとする動きが始まったのだ。

本来は、自分の出した廃棄物は自社の経費で最終処理まで賄うのが、自由市場経済社会のルールだが、電力事業は特別扱いだ。

 

2014年に「発電コストの見直し」をした際には、原発は10.1円/kWh以上となっていて、これから上昇することが当然の様になっている。

原発の維持、稼働のためとして、次々に経費が追加されても、経済産業省の責任にはならない様に、アイマイな表現にして逃げているのだ。

今では、原発が安い電源だと言うノーテンキな人は稀である。

原発は電力会社が負の遺産を背負うことを防ぎ、地元の経済に少しでも貢献するために、再稼働をしたいのである。

 

いや、忘れてしまうことがあったので、付け加えておきます。

石炭火力発電を大量に増設するためには、[CO2排出]ガスが最小の原発を稼働させて、2030年目標の27%削減に貢献させなければならない。

つまり、石炭火力発電で当面の利益を貪る企業のためにも、安全性が不十分な段階で、再稼働させて実績を作る必要がある。

国民の批判が和らだら、40年廃炉の原発を延長運転60年に持ち込む算段である。

そのためにも、石炭火力発電の比率をできるだけ多くしておく必要がある。

それが、2030年の石炭火力比率26%に引き上げた大きな理由でもある。

 

そして、電力自由化後の段階では、原発関連に諸経費の増加については、すべて国の責任と税金で対策する流れを作っておくのである。

今までは、原発の再稼働は、電力コストを下げて電気料金の消費者負担を抑制することが、大義名分であった。

ところが2016年4月からの一般消費者の電気料金が自由化されると、原発を抱えている電力会社ほど、発電コストが高くなる恐れが強まってしまった。

関西電力をはじめとした原発依存量の大きい電力会社は、自由化後の経営悪化が間違いなく起きて、電力業界が大揺れになるのだ。(続)


今の時点で利益を出して、将来の損失は税金で救済だ。

2015-06-28 | 環境問題

国際世論に逆行する2030年電源構成目標をテコにして、目先だけの「発電コストが安い」石炭火力発電を新設する民間企業が群がっている。

安倍政権の経済産業大臣は、この動きを見ぬふりをして、責任感のかけらもなく、放置している状況だ。

5年も経たないうちに、石炭火力発電の[CO2排出]削減対策を義務付けられる運命にある発電設備を抱えて、政府の特別扱いを要請するつもりの様だ。

政府が電源構成目標を変更せざるを得なくなった時点で、余分の設備投資を強いられるケースだから、政府の方で後始末の費用を負担させようと言うのだ。

 

こんな場合には、自己責任として「民間企業の資金で対策する」のが、資本主義経済の原則である。

ところが、電力業界は長期の間、70年に渡って【国策民営の制度】に慣れ切ってしまった。

つまり、政府の国策方針に沿って、新規の投資や経営をしてきたのだから、国策を変更した場合に、追加の経費は政府が負うのが当然の流れである。

今でもこの様に、政府の方針に沿っていれば、いざとなった場合は政府が特別措置で、救済する仕組みになっている。

 

自由市場経済の世界では、経営赤字になっても、政府が救済することはあり得ないのが、当然のルールであった。

しかし、先の金融不祥事の危機や、リーマンショック時のアメリカの対応は、やりたい放題をしてきた金融機関を救済することになってしまった。

一部の企業を倒産させたうえで、経済的な混乱の広がりを防ぐには、大企業を救済することが、社会全体のためには必要な措置であり、税金投入は必要だと。

こうして、無責任な大企業を救済する【モラルハザード】が横行している。

 

日本での典型的な事例は、電力業界の【原子力ムラの救済措置】である。

使用済み核燃料の処分地を決めるコトが一向にできないで、政府の責任に押し付けて、国民の税金で後始末をする。

また、経済性のまったく成り立たない「使用済み核燃料の再処理利用」を、燃料の自給化の大義名分の看板で進めてきたが、まだ迷走状態を続ける様だ。

経産省は、来年4月からの電力小売りの全面自由化で、電力会社が出資している「日本原燃(青森県六ケ所村)」の負の遺産を、国で背負うことにする。

国が前面に出ざるを得なくなる事態を、国民の目から逸らす作業になる。(続)


国際的な非難の嵐が押し寄せることは目に見えている。

2015-06-27 | 環境問題

経済産業大臣は、国際公約となっている[CO2排出]ガスの削減目標に対して、将来の大きな障壁となる「石炭火力発電」の新設を、黙認している。

環境省が2030年に温室効果ガスを26%削減する目標の達成が、危ういと警告を発したが、対策を指示もせずに、電力業界にマル投げで逃げてしまった。

原発の安全性の確保では、【1000年に一度の津波は来ない】ことを理由にしていたが、今回の2030年の[CO2排出]ガスの削減目標は、確実に15年後には、日本の責任を問う国際世論が押し寄せるのだ。

 

いや、2030年を待つまでもなく、年末の気候変動枠組み交渉の場で、この問題に対する日本の責任逃れを、世界各国から集中砲火の様に批判を浴びるのだ。

日本政府は、先に2020年の削減目標を公表していたが、この目標数値は1990年比では[CO2排出]ガスは増加することになっている。

この世界の潮流に逆行する目標は論外としても、2020年に向けた中間目標の国際社会への公表は、すぐに迫られて、実行することが必須である。

安倍内閣が、正当性のない「2030年電源構成目標」を掲げて、原発と石炭火力発電の増設政策をすすめても、すぐに破綻する運命になる。

 

その時期になって、現在の段階で、石炭火力発電の新設、増設計画を進めている民間企業は、どうするつもりなのであろうか。

安倍政権が2020年まで継続していることは、ほとんどゼロと言ってよいだろう。

政権交代した次の内閣が、国際的な非難と、国内の環境重視団体からの批判を、かわし続ける保証もない。

やはり、2015年に決めた「2030年電源構成目標」は、時代の流れに沿っていないので、大幅な改定を余儀なくされるだろう。

そして、石炭火力発電の[CO2排出]ガスの削減を義務付ける制度を、実行せざるを得ないのだ。

 

その時になって、石炭火力発電の関連業界は、慌てて[CO2排出]ガス削減の対策案を、早急に具体化して、設備投資を余儀なくされる。

その投資による「発電コストの上昇」は、電力料金に転嫁されるコトになる。

しかし、世論と大手の電力消費者は、先見の明のない「石炭火力発電事業者」に対して、時流を見誤った経営責任は、当時者の企業にあると抗議するだろう。

そして電力料金は、その時点では完全に自由化された市場によって、競争環境におかれるから、安易な値上げはできない。さてどうするつもりなのだ。(続)


エネルギー政策では電力業界任せで大失敗したのに・・。

2015-06-26 | 環境問題

昨日のブログで、エネルギー事業の無節操な経営計画を強引に進めている事業者を、陰で支援しているのは、安倍政権に主犯格がいると指摘した。

確たる証拠もないのに、主犯とするのは無理があると思っていたが、6月26日に経済産業大臣は、「宇部市での石炭火力発電所」の【計画段階環境配慮書】にたいして、「発電事業者として業界全体で務めること」と意見を出した。

つまり、「直接に計画事業者に対して対策を指示」することもなく、業界全体で配慮を求めた、大甘の支持しか出さない怠慢ぶりである。

既成事実を積み上げて責任逃れを画策する無頼漢を放置するに等しい。

 

これは、無頼漢達が企業の資金を勝手に使いまくり、そのツケを電力消費者に回す泥棒まがいの行為を、見ぬふりをする警備員と同じ行為である。

これは、警備員を雇用している親企業の方から、無頼漢達を摘発しない様に指示されているとしか、考えられない。

つまり、親企業のトップ、日本の首相自身が、将来の国債義務に対して、何も責任を持とうとしない意思であることの証明である。

やはり、今の時期さえ過ぎてしまえば、将来に費用がかさんでくるコトは、判らないのだから、対策のことなど考える必要はない、との態度である。

 

先のことなどは不確実で判らないのだから、無駄な費用を先に懸けて用心するのは、心配性の限られた懸念だから、対策する必要はないのだ。と言い切る。

どこかで、似た様な話を聞いたことがある。

たしか、2011年3月11日より前には、原子力発電所の安全対策は、万全であると言い切っていた電力会社の経営陣がいた。

内部では、想定を超えた津波が襲来した時には、現在の設備の状況では、非常用電源の確保が危うい、と進言した人もいたであろう。

 

だが、そんな稀にしか起きない想定に対して、災害対策を講じていては、【発電コストを安く抑える】ことができなくなる。

何も知らない国民に対して、不安をあおる様な対策案を言い出すのは、会社に対する反抗でしかない。

大事な電源のメリットを貶める行為は、非国民の態度であり、排除されるべき意見である、・・・・と。

その結果は、私は電力会社の経営者に騙されていた、として、責任を逃れるリーダーばかりである。

同じ流儀で、責任逃れをするつもりなら主犯格だ。(続)


旧産業を後生大事にして最後は逃げるだけの安倍政権。

2015-06-25 | 環境問題

安倍政権の「長期エネルギー戦略」は、無定見な現実主義によって、原発依存をだらだらと続けて「技術革新の潮流」に逆らっている。

原発に依存しても、技術革新はすでに現実性のない願望だけである。

この機会に、一気に「再生可能エネルギー立国」の方針を転換すれば、実力のある日本の民間企業は、総力を挙げて技術開発と事業拡大に進むであろう。

しかし、今回の様な妥協の産物である【2030年電源構成目標】では、経営に責任を負わされている経営責任者は、積極的な投資には決断しないであろう。

 

それは、原発依存体質だけでなく、既得権構造の化石燃料依存の体制から、一歩も抜け出そうとしない、【電力業界の抵抗が癌】であるからだ。

この日本の経済活性化を妨げている、最大の癌を取り除く決意のある政権が、先頭に立つ体制ができないと、民間企業の経営判断ができない状況なのだ。

典型的な例が、旧態依然たる石炭火力発電に大量に依存する電源目標である。

将来には、石炭火力発電が日本の成長を妨げる、第二の癌細胞になるのに、現段階での最安値発電というだけで、技術革新の方向が全く見えない。

 

石炭燃料の安定供給は続くとしても、[CO2排出]の大幅な削減を義務付けられるのは、火を見るよりも明らかである。

その排出削減手法は、まだ研究途上であり、採算性の見込める商業ベースの対策は、現状では開発されていない。

唯一の商業ベース手法は、排出される[CO2ガス]を分離して、枯渇に近づいている油田の層に、圧力をかけて送りこむ技術である。

この圧送されたガスによって、油田の採掘量が増加することで、採算がとれる。

しかし、日本には油田はないから、この手法は日本では使える技術ではない。

 

この方策以外に、各種の対策手法は研究されているが、何年先になったら、判断ができる状態になるか、見当もついていない。

それなのに、新規の石炭火力発電の設備投資が、進もうとしているのだ。

対策が必要になる時期には、現在の石炭火力事業推進の責任者は、当の昔にいなくなっているから、あとは後輩に任せて逃げるだけである。

この様に、エネルギー事業の経営者達は無責任であり、使命感のカケラもない事業者のゴロツキたちである。

この様な無頼漢達には環境規制を今すぐに実現して、目の前に突きつけてやらなければ、逃げ得になるばかりで、安倍政権がその主犯格であろう。(続)


今が安ければ良いとした経営が日本の未来を暗くした。

2015-06-24 | 環境問題

石炭火力発電の発電事業者に対して、将来の[CO2排出]の削減のために、今から必要経費を積み立てておく制度を設ける。

これを拒否する事業者は、日本の将来のことなど、お構いなしに利益を求めるだけの経営者であり、次の様な言い分を巻くしたてるだろう。

そんなことをしたら、現時点での発電コストが[10.1円/kWh]から、高くなってしまうではないか。

[CO2排出]の削減が必要になるのは、早くても5年先、国際公約でいえば、2030年までに実現すればいいのだから、その時に設備投資をすればよい。

と言いたいのであろう。

 

この様な論争を国会の場で、国民が見ている前で、堂々とすべきである。

今年の国会は安倍政権の傲慢によって、戦後で最長の延長を決めたのだから、論戦を実施する時間は充分に確保された。

環境省は、将来の[CO2排出]の削減目標に対して、石炭火力発電の事業は足を引っ張る原因になるとして、電力業界に「是認しがたい」と注文を付けた。

経済産業省は、「事業について否定されたのではない」として、「電力業界全体での[CO2排出]の削減目標の枠組みを構築する」と述べている。

経産省は、【石炭火力は発電コストが安い】としているが、将来の対策費用を考慮すると、かえって高い発電になる。

 

特に、小型の石炭火力発電所は、発電効率も悪く、将来における[CO2排出]の削減のための追加コストが、大幅な割高になるであろう。

国民は、この様な事業の実態や技術の可能性の説明も受けていないママに、「2030年の電源構成案で石炭火力は26%」もの、高比率をおしつけられた。

国会では、論戦の意欲を全く失っている野党の怠慢で、国民には何も問題点が明らかにされずに、「安倍政権」は、電力業界の言いなりになっている。

目先のことにしか、活動しない国会議員は、国税のムダ使いをしているのだ。

 

環境省と経産省の官僚だけが、自省の省益に立って論争している場合ではない。

2030年、2050年に向けた、「将来展望の視点に立った国家目標」を実現するために、今、何を制度として構築するか、この成果を競うのが国会論戦である。

エネルギーの自給率の向上も必須であり、[CO2排出]の削減目標の達成への道筋をつけるのも、国際的な信用を高めるために重要な課題である。

何よりも、この機会を活用して、積極的な新規投資を喚起するべきであろう。(続)


自由化による新規参入企業に対して環境改善の責務を。

2015-06-23 | 経済問題

経済再生の手段として「電力事業自由化」を進める政策は正しい方向である。

その自由化を進めると、必然的に電力料金の値下げ競争に突き進むであろう。

自由化された当初は、新規参入企業の積極的なサービス競争が盛んに行われて、消費者は恩恵を受けるであろうが、値下げ競争になると恩恵ばかりではない。

それはいつかは、関連企業の収益悪化をもたらし、給与の抑制や削減に向かう。

これを防止する方策を、政治の責任で実行することが、成熟資本主義の必須の課題になっている。

 

初期の段階から値下げ競争に進む企業に、歯止めをかける制度を創設するのだ。

現状で一番「発電コストが安い」とされている石炭火力発電の事業者に対して、次世代の負担となるのが確実な[CO2排出]削減に、今の段階から、必要となる経費を積み立てさせる仕組みである。

2030年時点での削減目標は、現段階では2005年比で27%以上の削減を、政府は国際公約として公表している。

この削減目標に対して、石炭火力発電に必要となる[CO2排出]削減の設備への追加投資分となる経費を、政府が預かる制度を創設するのである。

 

石炭火力発電では、大量の[CO2排出]が増加する状況になる。

この排出量を削減する技術は、各方面で研究開発されているが、電力会社からの研究支援は少ない状況である。

それ故に、研究段階があまり進んでいないので、技術の完成までには、まだかなりの期間が必要である。

今すぐに急がせて、[CO2排出]削減の設備を追加で設置させるには、未完成の技術を押し付けることになるので、得策ではない。

そこで、必要な資金を積み立てさせておいて、技術が完成した時点で、設置を義務付ける制度にする。

 

こうしておけば、無責任に[CO2排出]削減を逃れようとする企業には、将来の責任を負わせる資金を、政府にプールしておくことで、責任逃れを防止する。

石炭火力発電を選択する民間企業に、将来に必要となる資金を出させれば、【石炭火力発電が最も安い電源】ではなくなり、見直しをする必要が出てくる。

こうして、電力自由化の流れに沿って、石炭火力発電の将来技術への研究投資が必須となるので、【現在の投資不足経済停滞】に対する一助となるだろう。

電力自由化の機会を、投資促進への入口として利用出来るチャンスなのだ。(続)


今からでも実現できる経済再生の[投資促進政策]は。

2015-06-22 | 快適エネルギー社会問題

国の産業を支える基幹エネルギーのコストを下げることは、経済の活性化にとって重要な課題であることは確かである。

しかし、コストを下げるために、「一番大事な働く人の給料」を、引き下げる様な愚かなことが、1990年代後半から2014年までの20年間も続いてしまった。

遅まきながらも、「安倍政権が官製主導の賃金引き上げ」に取り組んだのは、せめてもの罪滅ぼしとして、評価されるべきである。

成熟した資本主義経済で重要なのは、『働く人への分配を増やす』ことである。

「21世紀の資本」の著者のピケティ氏も、格差是正の分配が最重要としている。

 

それ故に、経済再生に貢献する様な「電力事業の転換政策」は、電力コストの抑制も必要であるが、新規投資を喚起し、分配政策を盛り込む必要がある。

その観点で「電力構成(エネルギーミックス)目標」は、全くの愚策である。

原子力発電の様な老朽化したインフラを、わずかな安全対策投資で延命させることは、目先の発電コストの抑制には良いかもしれないが、投資効果はない。

石炭火力発電に比率を26%もの高い比率に設定したために、「再生可能電力の送電線への接続量」を低めに抑えてしまった。

これでは、地域社会に芽生えていた「新規投資の潮流」が止まってしまう。

 

この様な「地域社会での地産地消型の投資」が、重要な課題になっている時期に、何故に、従来の様な大企業優先、輸入化石燃料の事業を支援するのか。

【安倍政権の先見性の欠如】を露呈する愚策を、経済産業省は進め様とする。

その方針は、「円安誘導の反省」から、化石燃料の輸入金額をとにかく抑えるためには、「価格が低水準で安定」している石炭に依存する、短期思考である。

しかし、同時に進行していた「G7会議での温室効果ガス削減目標」では、2050円までに先進国は大幅な削減目標(日本は80%が国際公約)が合意された。

安倍政権はチグハグぶりを発揮して、矛盾した長期目標を抱えてしまった。

 

ここで、日本の将来のためには、先行した研究開発投資が必要である。

再生可能電力の飛躍的な拡大には、まだ多くの課題が控えていて、安易な取組では実現は不可能である。

その研究投資を大きく支援するために、「石炭火力発電」への「特別な課金制度」を、政治の力で実現させるのだ。

石炭火力発電には、[CO2排出]量に応じた課徴金を載せて、積み立てる。

その積立資金を、「再生可能電力の普及支援」の財源に回す制度である。(続)


資本主義経済での自由化路線は収益と給与の減少になる。

2015-06-21 | 経済問題

資本主義経済のもとでは、自由な競争市場の効果によって、『無駄な経営を合理化できる企業』が選択されて生き残る。

『技術革新の成果をいち早く実現した企業』が、消費者の支持を得ることで、高収益を得て事業を拡大してきた。

効率的な経営や技術革新の恩恵は、価格競争力の面で他社より有利な立場になって、勝ち残る資格を得る。

しかし、それに劣る企業も生き残りをかけて「コストダウンの努力」に、全力をかけることになる。

 

価格競争力に依存する事業で生き残ろうとする企業は、収益を削ってでも低価格路線に固執する。

収益を削るだけでなく、働く人の給与削減を「あらゆる方策を講じて」実現させる様に奔走する。

その成果が、いつでも人員削減が可能な【臨時雇用者や派遣社員】の比率を最大限にまで増やそうとして、成功してきた。

歴代政権は、企業が赤字だらけでは「経済成長の路線に反する」として、企業の言い分を聞いて、【非正社員の比率を増やす】ことばかりを実行してきたのだ。

 

その結果が【賃金デフレの慢性化】であり、消費購買力の減退である。

消費が回復する見込みのない市場に、民間企業の新規投資が増えることはない。

こうして、市場の自由化を進めるだけでは、収益ダウン、給与ダウン、【総需要不足】の悪循環に陥ることは明確になった。

明確な事例が20年の長期にわたって示されてきたのに、安倍自民党政権は、まだ、企業収益を増やすのに加担する【派遣社員制度の拡大】を図っている。

派遣社員制度の改革は、『給与水準が確実にあがる効果』を生みだす制度に絞って、改革して行くべきであるが、その検討はほとんど考慮されていない。

 

電力事業の地域独占体制を廃して、発電事業の参入自由化を促進し、電力小売り事業の拡大を進めるのは、電力料金の抑制に効果がある。

しかし、価格競争を促進する様では、いつかは電力事業に参入した企業の[体力勝負]に突入して、収益ダウンと給与ダウンを招く状況に突き進む。

この自明の悪循環に陥らない方策を、今のうちに講じておくべきだろう。

発電コストの削減の成果を、電力料金の値下げ競争に進まない様にする方策を、知恵を絞って制度化するのが、政治の責任であり、出番でもある。(続)


電力供給と小売り事業の自由化が経済活性化の起爆材に。

2015-06-20 | 経済問題

電力コストを抑制することが、景気回復、経済再生にとって有利であると、経財産業省は想定している様である。

2016年度からは、一般消費者の電力供給も自由化がされて、今までの地域独占の発電事業、電力小売事業の市場競争が始まる。

地域での電力小売事業を独占的に占めていた大電力企業も、今までの様な殿様経営では消費者から見放される事態が生まれる。

消費者の視点で電力供給事業を展開したところが、市場競争では生き残る。

 

戦後の70年間も、地域独占に特権的な地位におかれて、消費者の立場を軽視する社風が染みついてしまった「旧体質の電力企業」は、転換を迫られる。

今までの様に【殿様体質のコスト意識】で、かかった経費の無駄使いには無頓着で済ませられた経営では、電力コストは水ぶくれをしている。

その一方では、政府との癒着体質が、消費者には無縁の事業に関与して、役人の天下り先を拡大する事業を優先したりしてきた。

この様な消費者にとって必要のないお金の使い方を削減して行けば、電力コストの削減は、濡れた雑巾を絞る様にコストダウンが実現する。

 

その削減コストで、電力料金の値下げ競争では、経済効果は充分に生まれない。

むしろ、無駄使いの削減で生みだされた資金は、将来への投資に回すべきだ。

特に、国産エネルギーの拡充によって、中東への輸入依存度を減らして行く方向で、国が主導してのエネルギー資源構成を改革して行く必要がある。

自由化は、コスト削減に効果があるが、それを価格ダウンにまわさないで、電力事業の将来への転換政策に向けるのが、賢い経済政策である。

この20年間のデフレ経済での低迷は、将来に必要な施策に十分な投資を回さなかったツケが負担になって、経済成長を妨げている。

 

その代表的な事例が、電力事業の偏った方向であり、『再生可能電力』の普及を妨げる政策ばかりで、20年間を浪費してしまったのである。

将来性のない「原発の使用済み核燃料の再処理」への投資が、典型であった。

今、電力政策で最も重要なのは、『再生可能電力の設置量の拡大』である。

しかし、自由化だけに委ねていては、九州電力管内で発生した様な「送電線容量の不足」で、太陽光発電の設置機運が削がれてしまった。

この様な「太陽光発電への投資を抑制する」障害を除いていくのが、国の政策面での関与が不可欠で、経済成長への入り口の課題になっている。(続)


長期デフレ脱却を優先する政策は国内での投資の喚起だ。

2015-06-19 | 経済問題

安倍政権の国民への公約は、「景気回復、この道しかない」がうたい文句である。

暮らしの豊かさと将来の安心を求める国民にとって、もっとも切実なのは、日本の経済が復活して将来に向けての前進が見えることであろう。

20年間のデフレ経済は、この期待の沿える政策が効果を発揮しないで、慢性的に賃金の下落と【国内への投資の減少】が続いてしまったことにある。

それを安倍政権は、荒療治方法で、「超金融緩和によるお金のジャブツケ」で、デフレマインドを放逐しようとした。

しかし、円安による「一部の企業メリット」と【株価上昇の見かけの景気回復】だけで、賃金上昇は物価と増税に追い付かず、国内投資も増えない。

 

確かに『働く人への利益の配分増』は、国内での政策で実現するのは、【至難のワザで実現できた政府はいない。】

だから、金持ち層や大企業を潤わして、トリクルダウンを狙いたい心理になる。

株価上昇や大企業利益の増加は、いつかは、庶民に回るだろうと期待したいが、グローバル化進んでしまった世界経済では、望みは全くない。

賃金上昇が実現しない限り、「デフレ経済からの離脱」は、不可能と言ってよい。

インフレターゲット政策に固執している日銀も、今以上の【円安誘導】になる超金融緩和政策は、慎重にならざるを得なくなっている。

 

「この道しかない」と言っていた「安倍政権の政策」の中身は、種切れである。

地方に本社を移したら税制優遇するとか、地産地消の機運を後押しするなど、間接的な「投資促進の宣伝」程度しか、できないのが実力である。

民間の大手企業や新進気鋭の中堅企業が、地方に積極的に投資をしようとする「熱意とインセンティブを誘引」しなければ、デフレ対策は実現できない。

電力コストを抑制すれば、国内への投資意欲が増進するかといえば、「そんな愚かな経営判断する企業」は、もはや存在しないのだ。

 

電力コストを抑える名目で、原発の温存を図り、石炭火力発電の増設を目論む様では、既得権企業のメリットだけで、地方経済は潤わない。

大企業へのお金の流れが増加する上に、利益の大半は海外への投資に、それも「資本収益率(r)の高い国や地域」に向かってしまうのは、常識である。

大企業、大都市を重視した政策は、【高度経済成長時代の遺物】である。

投資効率ではなく、着実に国内への投資が増加して、地方に住む人たちが豊かさを感じる、地域社会創りが、もっとも優先される政策を実行するのだ。(続)


20年来の固定観念による過ちを反省せずに繰り返すのか。

2015-06-18 | 経済問題

1990年代から2000年代前半にかけて、日本の経済減速の状態の本質を理解しない専門家やマスメディアは、物価が下がることを大歓迎していた。

国民負担が減ることで、経済活動は上向きになるとばかりカン違いをしていた。

2013年からは、日本の経済回復には、「物価の上昇が必須」であると宣言して、日銀を筆頭にして、超金融緩和と円安誘導に躍起となっている。

しかし、未だに消費購買力不足で経済は冷え込んだままで、物価上昇目標には届かずに、「インフレターゲット政策」も、全く効果が期待できそうもない。

 

安倍政権の無定見ぶりは、はなはだしい迷走ぶりで、「物価上昇目標」の経済政策を実行中に、「消費増税」を実行して冷や水を浴びせてしまった。

今回の[2030年の電源構成目標]の設定では、国民負担を最小にするとの謳い文句で、電力料金の低減を目的として、旧時代の電源温存を優先している。

20年間も物価を下げる政策で、景気減速の状態を長引かせた失策を反省せずに、今度は、電力料金の低減だ、と言いだしている矛盾した言い分である。

物価を下げるために、【肝心の人件費、給与水準を下げ続けた】ことが、デフレの原因であったことを、すでに忘れているかの様である。

 

電気料金が下がることは、「経済活動にとって良いことである」との思い込みは、今の様な【需要不足による景気低迷】には、当てはまらないのである。

むしろ、多少とも電気料金の上昇を招いたとしても、新規の投資が活性化して「需要不足のネックを解消する」政策の方が、経済活動は上昇するのである。

具体的な事例としては、[FIT](再生可能電力の固定価格買取り)制度の施行によって、電力消費者の負担は電気料金の5%程度が上乗せされている。

この制度によって、太陽光発電の設置による新規投資は、大幅に上乗せされた。

 

電気料金の上昇が景気減速を招いているか、明確には判らないが、需要不足の経済にとって「太陽光発電関連の設備投資」は、景気上昇の効果が確実だ。

つまり、物価上昇を抑える政策よりも、投資の増加を引き起こす政策の方が、現在の経済環境には適切な政策なのである。

物価の上昇は消費者には負担増であるが、それよりも景気回復(需要不足解消)による人件費の上昇の方が、はるかに経済活性化に向かうのだ。

電力関連の業界にあてはめると、石炭火力発電の様に新規投資の効果が少ない領域よりも、『再生可能電力関連の新規設備投資』促進の方が効果は大きい。

だが、既得権のある電力業界は、新規の参入者が入り込むチャンスを妨害する。


デフレマインドを断ち切る政策に転換したが、逆戻りか。

2015-06-17 | 経済問題

日本経済の停滞の原因は、長期のデフレ経済からの離脱ができないで、「デフレマインド」が、浸みこんでしまった心理的な面が大きい。

この不景気が消費者の心理を、「価格下落を要求するのが当然」と思い込む空気を作り、それで働く人の賃金を引き下げる「賃金デフレ」を招いてしまった。

当時は、賃金の引下げが長期化するとは、経済専門家は予測ができなかった。

表面的な現象しか見ない「軽薄なマスメディア」は、物価が下がることが朗報であると思い込み、【価格破壊】と称して、革命的な進歩の様に報じた。

 

賃金ダウンを手段としない価格低減は、『生産性の向上によるコストダウンば進化』であるが、むしろ、【賃金カットによる価格競争】の方が主流になっている。

2000年代の初頭には、既存企業の既得権を破壊する「構造改革路線」「規制緩和路線」が、最善の政策と思い込まれて、市場競争をさらに激化させた。

遂に人件費削減、賃金カット路線こそが、【市場競争を生き残る最善の手段】となって、【賃金デフレ】の全国的な蔓延を招いて、デフレの長期化となった。

本来ならば、価格ダウンは消費者のメリットだが、勤労者には最悪である。

自民党政権は、20年の長期にわたって大きな政策ミスを連発したのだ。

 

安倍政権が、何はともあれ、「デフレマインド」の払しょくを掲げて、「円安誘導政策」を打ち出したのは、株価の上昇を狙ったのである。

日銀は「インフレターゲット政策」と言うが、物価上昇は未だに流動的で、消費者マインドは冷えたままでいる。

一部の株価上昇と輸出関連企業の好景気で、「デフレマインド」の半分くらいは払拭したが、消費購買力が復活しないのでは、道半ばであろう。

物価の上昇がそれに水を差すか、賃金上昇の時期が早まるのが先か、経済は迷走状態のまま、安倍政権は、次の政策が打ち出せないでウロウロしている。

 

その時期に打ち出された「2030年電源構成目標」は、明らかに【デフレマインドの復活】につながる道である。

国民負担の最小化を狙うとして、表面的には国民思いの様な説明をしているが、実は既得権益の原子力産業、石炭関連産業の温存を図る政策意図が見える。

これによって、電力コストが抑えられると思っても、それはホンの数年の効果しかない上に、電力料金上昇の時期を先送りしているだけである。

むしろ、熱意のない電源構成目標で、『新産業の再生可能電力』への投資意欲を削いで、デフレへの逆戻りを促進しかねない、愚かな選択をしているのだ。(続)


曖昧な方針のママに電力構成案を押し切る安倍政権。

2015-06-16 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の「2030年時点の電源構成」の目標を立てるに当たって、基本方針としての優先課題は、安全性はいうまでもなく、一番目である。

しかし、原子力規制委員会の見解は、あくまでも、現在の規制基準に対して、審査の上で客観的に適合していることを認めるにすぎない。

安全性を保証しているとは言えない状況である、と委員長は念押ししている。

ところが、安倍首相は、「規制委員会が適合と認めた原発については、地元の同意を得て再稼働する様に後押しする」と明言している。

 

現在の原子力規制委員会の基準は、世界一厳しい内容になっている、とも言う。

安全性の確保は、技術面の保証だけでなく、ヒトの問題に属する意識レベルや制度、運用面などの多くのソフト分野の対策を完備する、基準が必須である。

ハード面での完全保証できる安全性はなく、ソフト面を検討するプロ組織のないままに、世界一の安全性を保証するとは、【トップの認識が甘すぎる】のだ。

このどちらも、不完全な理解のママに、安倍首相は押し切るつもりなのだ。

 

その次には、世界の共通の目標となっている、「温室効果ガスの削減目標」では、「2050年には40~70%を世界全体で削減」することが、『G7で合意』された。

この合意形成にあたって、日本はもっとも抵抗した国として、非難されている。

実現可能性の低い原発再稼働の割合を、20%以上も目論んでいるが、それが低水準になった場合の責任は、現政権のメンバーは一切負わない算段である。

しかも、化石燃料依存からの離脱を、今世紀中に実現する「長期の合意目標」では、最後まで抵抗して文面を曖昧にする様に逃げてしまった。

安全性が不十分で、世界での共通目標から逃げ回って、日本の信頼性を失墜したままの電源構成を、閣議決定して押し切ろうとしている。

 

その第三の基本方針は、「国民への負担を最小にする」には、電力コストを最大限に抑制することである、と説明をしている。

総論的にはもっともらしいが、実は、原発の発電コストは、現時点での「10.1~円/kWh」は、これから先にコストが上がる要因は数知れずにある。

この一番低い現在の数値を持ち出して、電力コストを抑えた電源だと説明するのは、国民を愚弄する詐欺的説明になっているのだ。

火力発電の構成では、石炭火力発電を増やす構成だが、この発電コストも[CO2排出]の削減対策を、まったく講じない場合で、算出した数値である。

環境省は対策を講じる様に警鐘を鳴らし、大幅なコストアップは必然だ。(続)