庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

東電の経営失策をすべて国民負担に付け回す民主党政権。

2012-07-31 | 核エネルギー・原子力問題
政府は東京電力に1兆円を出資して、実質的に国有化を7月31日に実施した。
昨年の原発大事故後に、賠償責任はすべて東京電力に負わせる方針とし、政府は損害賠償には責任を持ちたくない、という官僚を言い分を鵜呑みにして、東電の破綻処理をしないコトにしてしまった為である。
結局は、賠償費用や原発の廃炉費用など、すべて東電の負債となって、最終的には税金で穴埋めか、電力料金の値上げによって、長期間に渡って国民に負担を付け回すコトになる。

大きな不祥事や経営の失策によって、会社が大赤字となり、債務超過になれば「会社更生法の適用」を申請して、破綻処理をするのが世の中の常識である。
金融バブル崩壊による「りそな銀行」や、経営破綻の「日本航空JAL」は、会社更生法によって、株主の権利はゼロ、貸付金は戻らない「債権放棄」を金融機関などの責任として処理し、そののちに事業を継続するために政府が出資して国有化企業として再建した。
だが、今回の東電は、株主の出資金は保護され、金融機関の貸付金は、全くの無傷で悠々と金利を稼いでいる。

世の中の常識に反する政策を、堂々と民主党政権は実行しているのである。
まさに、【国民の生活は3の次、まず銀行の資金と利益を優先し、次に株主、資本家の財産を保護するのが大事だ!】とした、国民軽視の異常な事態である。
資本主義制度の基本を蔑ろにし、民主主義の根本である国民の意思も軽んじている、おぞましき政権である。
と言っても、民主党の政治家は全く理念もモラルもなく、ただ、右往左往して財務省官僚と経済産業省の原発維持派の言いなりになっただけである。

ここまで愚かな判断をしてきて、この先で国民負担を最小にするには、どうすべきかを、徹底的に検討して実行するしか、政治家の復権はない。
それには、原発の後処理と賠償責任が終わるまでは、東電の経営に国が責任をもって、経営のぜい肉の排除を最優先する必要がある。
まず、金融機関側に、借り入れ金の金利負担をゼロにする交渉を開始し、それに応じない銀行名を公開すべきである。

非協力の銀行に対しては、『国民は預金引き揚げのボイコットを実施する運動』を起こせばよい。
その再建の間は、東電の株主への配当金は当然ゼロに固定して置くべきだろう。

地域からの改革はホンの入り口。中央政界は迷走のまま。

2012-07-30 | 国創り政治問題
日本の明治維新を起こした長州藩の動向を占う「山口県知事選挙」が、7月29日に実施された。
伝統的な保守王国で、歴代の首相を生みだし、圧倒的な自民党の支持基盤がある地域で、自民党推薦を受けた官僚出身の候補者が当選した。
しかし、中央の政権を握る民主党の推薦候補はいないで、地域の活性化に対する『具体策を掲げる民主党』の姿は、どこにも見られない。
衆議院議員を辞職して立候補した民主党の候補者は離党して、本来の民主党の公約とは全く反する政策を掲げて、惨敗している。

新人の飯田哲也氏は既成政党の中央集権政治からの離脱を訴えて、脱原発と地域発の活性化策として「自然エネルギ―維新」を選挙選でアピールした。
20代から60代の女性層からは、保守候補に匹敵する支持が得られたが、70歳代や男性層の支持を得るところまで達しなかった。
しかし、地方の保守王国では考えられなかったくらいの「改革待望の風」が吹き始めて、地域においても脱中央集権に向けて動き出している。

一方の中央集権の永田町は、いまだに国民の意向とは離れた低次元の【既得権擁護の動き】しかできないで、ほとんどの懸案が先送り状態である。
原発の再稼働において、国民の理解が得られない様な論法で、電力会社擁護の姿勢を貫いている「野田政権」に、抗議のデモは広がる一方である。
国民の意向とは離れる政策の実施に向けて、「3党合意」などの談合的政治を繰り返していては、既成政党の信頼は低下するばかりだ。
民意をくみ上げて「具体的な政策」に仕上げて行く「政治家にとって必須の能力」が、与党議員には見いだせない。

現在の国会議員は、「大きな地域の民意」をくみ上げて、具体的な政策を実現し、
一定の期間に実績を上げた経験を持つ人材は、皆無に近い。
民主党は、マンネン野党で過ごして「反対活動はできても創ることはできない」議員ばかりが寄り集まって、作りゴトの公約での集合組織である。
マンネン与党体質で過ごしてきた【自民党・公明党】の議員は、官僚の情報と政策立案のオミコシから離れているうちに、自分では何の政策を作ることも出来ずに、ただ、アラさがし能力だけが、伸びて行く。

やはり、道州制の様な大きな地域を『責任を持って政策を実行』した実績を積ませる政治家のレベルアップが、絶対に必要である。

将来のエネルギー政策は除染された後で慎重な議論を。

2012-07-29 | 国創り政治問題
野田政権は2030年の原発の割合を定める新たなエネルギー政策の策定を、先送りする方針とし、慎重に議論する必要があると判断した。
原子力の「安全神話」が崩れ、「安定供給」は全くの虚構であり、「原発は安価」の従来のデータも、信頼性がなくなっている。
こんな状況のままに、18年も先の目標を、現世代の知識不足の政権関係者で決めてしまおう、という目論見が、国民の納得を得られるわけがない。
原発維持と増設方針に染められた「旧経済界の反発」も飛び出して、8月末にかけ込みで決めても、何の効力もないのは明らかである。

原子力発電を「もっとも詳しく知っている」と自ぼれしていた「原子力ムラ」の住民たちが如何に無知であったか、実態が明らかになった。
原発大事故をきっかけにして、想定する安全対策が大甘であったことは歴然で、
今後の稼働に対しては、国民は想定される災害と事故リスクに対して、完全な対策を実施する前提条件を政府と電力会社に突きつけている。
今年中に安全基準の見直しが出来るはずもないし、とりあえずの暫定安全基準で、再稼働を増やしていくことが、地域住民の納得を得られる筈がない。

原子力の安全性を一から見直すことと、新規に発足する原子力規制委員会で、慎重に透明性を持って、決めることから始まる。
その上で、安全性を万全にした原発にかかる経費と発電コストを、再提示しなければならない。
この仕事は電力会社と「原子力産業関係者」を除いた、第3者が進めるべきだ。
原子力産業の利害関係から離れた『本当の専門家』が、厳重に審査して、国民負担と電力料金の両面から、きちんとデータを示すべきである。

旧産業界の原発神話に染められて来た経営者達は、原発を稼働し続けることが、産業にとって必須であると、思い込んでいる。
今までのデータや情報は、すべて原子力ムラによって意図的に操作されて、「マスメディア」自体もそのことに無頓着で、世の中に間違い情報を広めていた。
この3年間くらいは、将来目標を語るベースが出来る様に、着実に技術の信頼を回復する事に重点をおくべきである。
それが出来て初めて、原子力への依存度を、どのレベルにするのが適切か、本来の議論が始められる状況になる。

原子力ムラの泥に汚染された政治家と官僚が、除染されることが優先である。

過去の栄光に囚われていては次世代の育成は無理なのだ。

2012-07-28 | 国創り政治問題
今日からロンドンオリンピックが開催され、世界中の関係者が集結した。
開会式の演出では、聖火の最終ランナーが、一人の過去の英雄から次世代を担う10代の若手のアスリート7人に引き継がれ、聖火台ではなくて、小さな聖火灯にともされて、それが、順番に輪を造りながら次々に200以上に点火されて大きな何重にもなる輪を造る。
最後に、その小さな聖火灯が起き上がって中央に集まって、巨大な聖火の塊となって、会場の中央から全会場に光が届く。
この演出は、今までのオリンピックとの違いを見せる優れた出来栄えであろう。

同じ日の新聞情報によれば、日本の将来のエネルギー政策を審議中の政府案に対して、「経団連」と「日本商工会議所」が、提示された「政府の3択案」に対して、どれも経済への影響において、問題が多いと批判している。
経団連や日商の重鎮たちは、過去の経済成長社会において、メダリストと言える実績を持つ大企業のOBたちである。
自分たちが成功して来た企業経営のやり方で、この先もずっと日本は経済成長するためには、エネルギーの供給が必須で、それには原発の増設によるエネルギー政策シカ、日本は成長出来なくなる、と言う批判である。

いつまでも過去の栄光に浸って、これからの社会の展望も出来ないOB世代が、意欲と素質のある『これからの現役世代』の若手に実権を譲り渡して、将来を託すことを拒否している様で、見苦しい限りである。
経済成長にはエネルギー消費の伸びは必須だとの固定観念にかたまって、経済成長を2%目標では【原発増設による電力増加必須】、としている。
再生可能エネルギーへの転換にも、実現性に乏しいとして、3・11以後の今でも反対姿勢を止めようとしない。
1998年以来、原発重視の一辺倒、再生可能エネルギー蔑視の姿勢で、日本が経済停滞した責任をとろうともしない【経団連】は、もはや老害でしかない。

イギリスは過去の栄光に浸っていては、国の将来もなく、若い世代の活躍の場も狭められるとして、積極的に2000年代初頭から、再生可能エネルギーの開発と普及促進に、国を上げて取組んできた。
今や、偏西風に恵まれた国土を活かして、風力発電の新技術開発に積極的で、2020年には一大産業に育てる国家戦略としている。

過去のエリートは、次世代の若手に、堂々と役割を譲り渡す時代になっている。

関西地区の傲慢盟主と泥の中の官僚代弁首相では・・?

2012-07-27 | 核エネルギー・原子力問題
国の原子力政策を統括して、最終的な責任を負っているのは内閣であり、野田首相と枝野経済産業大臣である。
ところが、関西地区の電力供給に対して責任を負っていると自負する関西電力は、国がグズグズしているから、社長が次に稼働する予定は、「高浜原発3号機、4号機」が良いとして、社内的には再稼働の姿勢である。
経産大臣が、安全確保が最優先だとして、関西電力の姿勢に不快感を表明した。
ところが、殿さま体質の関西電力会長は、意に介さずとの傲慢ぶりである。

「安全が確認されたら高浜3・4号基を運転したいのは当たり前に話だ!」と強調し、「国が定めた安全確認のルールを踏むのは当然だ」とも説明した。
つまり、国の原子力規制委員会の判断が重要で、原発事故の事故原因究明を含めて、電力会社の安全性管理体制など、「多くの改革をすべて実施して上で、「安全確認が出来たら再稼働の準備に入る。」
これが国民も納得する筋道であり、ルール化されるだろうが、それには従うのは当然である、との言い分に聞こえる。

だが、津波対策を含めて設備面の改善も不足のままに、【大飯原発3・4号機の再稼働】を実施した関西電力にとっては、このレベルの安全対策で十分だ!との甘い想定が、衣の下の鎧の様に見えすぎている。
関西地域では電力不足の懸念を煽りたてられて、なし崩し的に「大飯原発再稼働」実施したことは、「苦汁の選択」でやむを得ずに容認したにすぎない。
つい先日にも、大飯原発内の活断層の危険性が指摘され、再調査を至急に実施する様に国から命令された。
その結果が出るのは来年の初めになり、それまでの運転は疑念をもったままだ。

原発の安全基準の再構築によって国民の納得を得られ、それを完全に対策実施をした原発が実現して、はじめて再稼働をできる資格を持つ。
その上で、電力会社管内での供給電力の必要性を透明性のあるデータで、電力消費者に説明し、原発から100km圏内の自治体の同意を得なければならない。

野田首相は、「ドジョウに様に泥の中(永田町と霞が関)にばかりいるので」、この様な当たり前の国民意識を受け止める感覚が、完全に鈍ってしまった。
『脱原発依存社会』へ向けての意思は全く薄弱で、自分の政権の延命と次期総選挙、参議院選挙のことが目の前に迫って、日本の将来を見る姿勢はない。

この様な人物に、長期エネルギー政策を決めることを、任せる国民はいない。

電力会社は東電並みの経営改善努力を今から始めるべき。

2012-07-26 | 核エネルギー・原子力問題
東京電力の電気料金の値上げ申請に対し、経産省の電気料金審査専門委員会は、電力会社は市場での競争をしないのだから、社員の給与を世間並みの水準の抑えるべきだ、との意見が出ていた。
東電は、事故の責任企業であるから社員の給与2割削減、さらに管理職は3割以上削減するのは当然の措置として、値上げ認可の前提条件となった。
東電以外の電力会社の給与水準は、平均年収667万円で、民間の大企業の平均よりも2割も高い。
現段階では。電気料金を払う消費者の立場では、これだけ高い給与が認められる状況には全くない。

その様な状況で、電力会社は原発を停止したままでは、火力発電の燃料費の増加で、軒並みの赤字になっている。
電力会社は「原価変動調整積立金」を取り崩して赤字額を埋め合わせて来た。
積立金が底をついた段階からは、電気料金値上げの申請を検討せざるを得ないので、原発を早く稼働させたい一心で、安全性は脇に置かれている。
しかしながら、値上げの申請をすれば、政府としては東電並みの必要経費の見直しを電力会社に要求して、値上げ幅を最小に抑えるのは当然である。

野田内閣は、原発の再稼働に当たっては、安全性の確認が第一としているから、新規に発足する「原子力規制委員会」の原発の安全基準の検討が進んだ段階以後に、再稼働の容認が可能になる。
それまでの間は、電気料金の値上げ申請の判断をするならば、東電並みの経費削減を徹底してからでないと、政府は認可しないと明言すべきであろう。
だが、電力会社は今までの地域独占制度に胡坐をかいて、経費の合理的な使い方をする経営姿勢としては、お粗末な状況である。

電力の発電事業における自由化は必須の状況で、今から無駄な経費を削減する努力を徹底しなければ、先々でもっと苦しい経営状態に追い込まれる。
各電力会社は、将来の発電事業の自由市場においても生き残れる筋肉質の経営体質に改善する道を走り始めるべきだろう。

それには、安易に原発再稼働を認めないで、2~3年は赤字経営の危機に晒して、ぜい肉を削ぐコトに専念させるべきだ。

その間に、原発設備は電力会社の経営権を、安全最優先の管理体制に移管する事を、真剣に検討して行くべきである。

関西電力は、関西地域の盟主のつもり。霞が関も唖然。

2012-07-25 | 核エネルギー・原子力問題
関西地域は、この夏場をしのぐために、安全性は未確認のままに暫定基準に適合すれば良いとして、大飯原発3号機、4号機を再稼働させた。
原発の過去の安全基準は、不十分であることは日本中の国民が知っている。
国会の事故調査委員会を始め、政府、民間など、福島原発の事故の要因を詳細に調べて報告を出したばかりである。
それでも、福島原発の内部を調べることは現状では不可能だから、結論を出すには十分な報告とは言えない段階で、安全確保は曖昧のままである。

誰も安全性に責任を負えないままに、暫定的に再稼働を「関西地区の自治体」が、経済活動への悪影響を最小にするために、容認したのが実態である。
この様なギリギリの状況判断をして、原発2基分の電力を供給する事を、関西地域の自治体は、電力会社に依頼をしたのが現状である。
それを、今度は関西電力の経営陣の独断によって、追加の2基を稼働させることを宣言し、国民の不安感をさらに増大させる横暴ぶりを発揮した。
先に東電が、電力料金の【値上げは権利だ!】と言って、日本中からヒンシュクを買ったが、それを上回る、独善ぶりである。

この原発の再稼働は、国の大多数の国民が、【現時点ではノー!】と言っている。
東京永田町を毎週金曜日には、60年安保騒動以来の国民が、官邸を取り巻いて、原発の再稼働の拙速ぶりを批判しているのだ。
そんなことは、他国の話で関西地区は、「関西経済連合会」を率いている「関西電力会長の威光」を持って、再稼働は必然である、独善的に決めている。
道州制に移行して『関西地区のことは関西州で決める』となって、地域主権の意思決定制度が出来れば、永田町の方にいちいち指示を仰がなくてもよい。
しかし、まだ「エネルギー政策」を決める権限は、永田町にあり、実質的には霞ヶ関官庁にあるのは歴然としている。

この様な法治国家の規則などは、電力を供給している「関西電力の責任感」からは、グズグズしていられないという、現場感覚から発信である。
日中紛争において、本土の指示など待っている必要はない、とした「関東軍」並みの独善的な感覚がにじみ出ている。
この様な事態に、さすがの霞ヶ関の電力族官僚も唖然とせざるを得ない。

この夏場をしのいだ段階で、暫定的な安全基準で稼働させた「大飯原発2基」を、完全な安全基準に合致するまでは、ただちに稼働停止とすべきだ。

根本の選択は官僚主導国家か民意で選ばれた政治主導か。

2012-07-24 | 国創り政治問題
大多数の国民から信頼を失ってしまった「官僚主導政治」は、1990年代で日本の主権者である資格を失った。
自民党の異端児である小泉純一郎氏は、本流でないにも拘わらず、惰性で官僚主導に依存していた自民党の馴れ合い政治をぶち壊す為に、自民党総裁に立候補して、予想に反して選ばれた。
そのチャンスを活かして、長年の主張であった官僚支配の牙城である「郵政族、既得権益の破壊」に挑戦して、官僚支配の流れにくさびを打ち込んでいった。
国土交通省に巣くっていた「土建族の既得権益」にも、公共事業の削減と道路公団の分割民営化で、部分的な権益破壊に成功した。

だが、その後の二世政治家達は、国創りに対する何の気概もなく、従来の官僚依存政治に戻り、国民はそのテイタラクさを見て、政権から追放したのだ。
政権交代だけで結集してきた『民主寄合い政党』は、国創りの机上論段階で政権に就いてしまった為に、各論の実行段階では迷走ぶりが目立ってしまった。
特に日本の長期エネルギー政策においては、【政官財のトライアングル】構造の弊害を知りながら、安易に原子力ムラの論理を鵜呑みにして【原発依存率50%】の無謀な構想を、政権のエネルギー政策の根幹にしてしまった。

【安全神話】を信じ込み、【原発電力は安価】の虚構にも、本気で取り組んで国民の理解を得ようとする政治家は少数派であった。
3・11の大震災、大津波、原発大事故は、この様な曖昧さと未熟さを引きずった政権にとっては、リーダーシップも発揮できず、政治家達の未熟ぶりをさらけ出す迷走状態に陥った。
どうにも腰が定まらない政権に対し、官僚群達は巻き返しのチャンスとして、官僚の言うこともよく聞く「自民党的体質の野田氏」を、リリーフ役として担ぎあげて政権を獲ることに成功した。

そして、従来の手法である『国民は無知だから、説明はほどほどにして、既成事実を飲ませる』、官僚統治の原則で日本を動かし始めたのである。
原発の大事故の原因に対する調査委員会は、政府、国会、東電、民間と、4組織での報告が出されたが、根本的には安全性を経済よりも低く位置づけたことが原因としている。

野田内閣は事故原因も明確でない段階で、官僚の経済界優先により、暫定の安全性は確保されたとゴマかして、大飯原発二基の再稼働をさせてしまった。

官僚支配の政治は信頼を失って政治主導は未熟段階なのだ。

2012-07-23 | 国創り政治問題
政権にとって都合の悪いことは、国民には知らせないで切羽詰ってから、なし崩し的に強行して、一時的な反対があってもお金の力で懐柔して済ます。
これが歴代政府の常套手段で、官僚の作りあげたシナリオに沿って、担当大臣が決められたトウリの説明をして、その場をしのぐ。
自民党政権時代は、この官僚支配政治のパターンで、住民が反対しそうな事態は、国民には隠して説明をしない。
そのうち、何かの緊急な問題が発生した時期に、マスメディアの関心が薄い時を狙って、既成事実であるかの様に見せかけて、もめごとの種を最小にする。

これが、長年続いた官僚支配政治の基本で、一般国民には、国の問題を知らせる必要はなく、決まったことを従順に守らせることが、国の安泰を招くのだ。
原子力依存のエネルギー政策の路線は、この原則に従って、出来るだけ不都合なことは曖昧にして、説明する義務は最小限に留めてきた。
それが、今では有名になった「原子力ムラ」の増殖と傲慢を生みだしたことは、いまや公然の常識となった。
だから、今回の大事故後の段階で、いくら説明をキチンとしようとも、信頼を失っているから、まともな話も疑われて国民には、理解されない。

同じ様に、日本の国防に関しても、アメリカの海兵隊が沖縄に常駐して、いざという時には「即時に前線に派遣出来る様な体制」が必要だ、との問題がでた。
アメリカにとっては、日本は占領地の一部と思っているので、自国の都合で戦闘用の機材を配備したり訓練するのは、防衛上の必要性で議論の余地はない。
16年も前に、輸送用ヘリコプターを新規開発の垂直離着陸機に置き換えることを、日本政府に知らせていて、あとは日本政府の責任だ。
今の段階になって、急に輸送の陸揚げに反対されたり、訓練のやり方に苦情を言い出すのは、なんと【だらしのない政府なのだ!】、との感覚である。

新型機「オスプレイ」の事故に対しては、原因究明は済んで対策を講じているから、「軍用機としての安全性レベルは問題ない」と言う説明にたいし、日本の民主党政権は、対処の仕方を完全に甘く見過ぎていた。

原発も国防も、日本にとっては重要な政策選択であって、その政策に対する基本路線は、選挙において国民の信任を受けておかなければならない。
それが、選挙の洗礼も受けないで、独占的に実権を握っている「官僚群」に、重要な政策判断を牛耳られている段階では「政治主導」からはほど遠いのだ。

リーダーシップを国民意思に反する路線に発揮するノダ。

2012-07-22 | 国創り政治問題
野田内閣の主要閣僚である外務大臣は、地元の福島県で講演して「2040年に原発ゼロ」にして行く構想を話した。
原発事故の最大被害地元で、政権が進める「原発依存の3択案」には、こだわらなくていいとの説明で、地元の福島県全体が、第一第二原発の廃炉を求めている流れに、寄り添う姿勢である。
『大事なのはエネルギー分野で産業革命を起こす』ことであると語っている。
主張の趣旨は正しい認識だが、内閣の主要閣僚として、なぜ主張しないのか?

外務大臣として、もっと毅然とした立場を発揮出来なくては、外交政策などの責任者として、信頼されないであろう。

一方、直接のエネルギー政策責任閣僚の経済産業大臣は、「明日にでも原発を全部止めたい」と栃木県での講演で語った。
しかし、大飯原発を稼働させなければ、電力不足の懸念が大きくて、実際には稼働ゼロには出来ない、との腰が定まらない姿勢である。
再生可能エネルギーや天然ガスへの転換には時間がかかるし、省エネには国民の協力が不可欠で、耐えてもらえるか教えて欲しい。との弱気な発言である。

これから、『エネルギー産業革命を起こし』て、日本の経済成長路線に進んで行くには、リーダーとしての気概が出ていない。

その点では、やはり野田首相はリーダーシップを発揮している。
消費税増税を『財政再建に不可欠』として取り掛かり、途中で『社会保障の充実』が目的と説明を乗り換えた。
社会保障一体改革はその後に、消費税増税一本やりの路線に切り替えている。
おまけに、財政の余裕が出来る?と称して、【災害に備えてのインフラ・コンクリート事業】に予算を大量に回す路線の自民党と公明党に同調している。

本心のところは、日本の将来は、専門家の財務省官僚と各省の優秀な官僚たちの提案する、「官僚主導」の路線に沿う方向で、政治生命をささげている。

今の日本国民の最も要望しているのは、『不安の最小な安心国創り』である。
既得権構造の癒着した中央集権体制を、地域の活力を活かせる「エネルギー政策や国土保全政策」において、思い切った地域主権への大転換である。
原発の依存率や再稼働の是非は、地域主権によって合意に至るプロセス進める。
防災やインフラ整備の優先度は、一定の予算を地域に移管して、合意を経て順次に強化していく。
真っ先に中央官僚の権限を移管する事が最優先である。

再稼働しない原発の維持で電気料金は現世代の負担増。

2012-07-21 | 核エネルギー・原子力問題
原子力規制委員会の発足に向けて、新しい委員長と委員の人事案が決まった。
国会の同意を得て委員会の活動が9月1日から始められ、現在停止中の原発に対する安全性の判断をする。
国民全体から批判を浴びた「原子力ムラ」と縁の少ない人選をしたと言う。
厳正な安全判断を実施出来るかは、新規発足する原子力規制庁に移る、官僚の心構えも重要なベースとなる。

現在停止中の原発48基(大飯原発3・4号機は例外化)の再稼働の是非を決める段階での、必須の安全性に対する国民の信用は取り戻せるのか。

一方の「日本の2030年の原発依存度」を、国民の意見を聞く公聴会が実施され、8月末までに決定する野田内閣の駆け込み戦略に対し、納得が得られるか。
内閣の意図が見え見えで【依存度15%】が適正と決定しても、国民の半数以上は合意したとは言えない。
次回の総選挙後の政権で、再度、審議をやり直す事態になるのは当然であろう。
いずれにしても、原発の再稼働を容認するのは、立地自治体と100km圏内にある地域への説明によって、理解が得られる必要がある。
次の政権が誠実に「再稼働の必要性と安全性」を説明した場合でも、原発の稼働は、数基~10基に留まることは確実だ。

再稼働しない原発は40基以上になり、維持・管理費と設備償却費は、電力会社の経費として、電気料金の値上げによって賄う。
電気を作りださなくても、原発の経費だけは、電力消費者の負担に押し付け、電力会社には少しも責任を負うことはない。
政府の指示に従って原発を造り、政府の言うとうりの安全基準であれば、運転出来なくても経費は、当然の様に電力の原価に入る。
地元が稼働に反対していても【廃炉に決定すれば、その段階から負債】になる。
電力会社の資産が一気に減少して、株価が急落し配当はゼロになる懸念がある。

電力会社は、原発の改訂された安全基準に従って、地震対策、津波対応など、追加の設備を造るために膨大な経費をこれから投入する。
その費用は、原発発電がゼロでも、電力料金に反映して値上げの要因となる。
原発は「原則40年で廃炉にする」としていても、稼働しない期間は、そこから除くべきだ、として、さらに延長して原発を維持管理する。

国民は2030年まで、電気を生みださない原発の為に電気料金を払い続ける。

国民の声より電力会社維持と大企業の存続が第一なのだ。

2012-07-20 | 核エネルギー・原子力問題
経済産業省が国民の為に最大の努力をした成果として、電気料金の値上げ幅を東電の申請した「10.28%から8.47%に圧縮した」と報じられている。
野田内閣は、本当に国民の生活を第一に思って、この様に努力して調整した、と受け取る国民はどれほどいるのだろうか。
福島の廃炉にすべき原発を維持する経費を電気料金に含めることが妥当である、としての調整結果であるが、国民はだれも納得していない。
なぜ廃炉にしないのか?
福島県全体が反対している原発を、これからも維持し、あわよくば再稼働しようと言うのではあるまい。

これは、原発の立地している自治体が、廃炉にすることも求めた場合でも、電力会社は原発を停止したままで維持する事を、政府が保証したことに等しい。
つまり、稼働しなくても廃炉にさえしなければ、得になるからである。
原発の設備が廃炉に決まった段階で、その設備は負債になるので、電力会社の資産内容は一気に悪化する。
当然の様に株価は大幅に低下して、原発を持つ電力会社の株主や大金を融資している銀行に不利な状況になる。

2030年における原発への依存比率を「3択の選択案」として、政府が提示して「国民の意見を聞く」体裁をとっている。
これに対し、守旧派産業界は、「業界として意見を言うのははばかれる」ので、黙っているがホンネは、2030年に原発依存は35%以上を要求していたのだ。
つまり、現在に残っている原発50基をすべて稼働させて、40年を超えた原発も特例措置として60年までの運転継続をすべきだ、と言うのである。
今回の福島原発は、未曽有の天災と津波に対する備えが不足しただけで、それを必要以上に心配して、再稼働を認めない国民の方が過敏すぎるのだ。
と言いたいのが本心であろう。

産業界と癒着構造にある官僚と政治家は、とにかく、今の過敏症時期を乗り越えて収まれば、原発の再稼働によって電力料金を抑制出来て、電力会社の経営も回復する、と腹の中で思っている。
原発再稼働ができない電力管内では、電気料金の値上げは容認して、大企業が存続できるのが生き残り策だとしている。

だから、日本の原発依存を【20~25%】に決めるコトに奔走し、余計な発言でヒンシュクを買う様なお粗末な事態をひき起こしている。

電気料金の値上げで一番得をするのは銀行業界なのだ。

2012-07-19 | 核エネルギー・原子力問題
東京電力の家庭向け電気料金の値上げ幅が、8.47%に決定して9月1日から実施され、32年ぶりのことになる。
「料金の値上げは電力会社の権利だ!」と、殿さま体質の傲慢さを現わしていた東電は、実質的には破綻企業であり、国有化された電力会社となったのだ。
政府が1兆円を東電に出資し、公的資金を受けた「リそな銀行」などの企業並みに、人件費を抑制することになったが、遅すぎる判断である。
だが、破綻企業であるにも拘わらず、東電に融資した銀行や株主の利益を、未だに守るやり方は、今後とも批判がやまないであろう。

今回の処置で最も中途半端なことは、福島第一第二の原発を将来は再稼働する方針を、ウヤムヤにしたまま、電気料金の算出コストに入れていることである。
廃炉にするしか行き場のない原発を維持管理し、設備の償却費を従来どうりの基準で参入して料金値上げの根拠にしてしまった。
この措置で、誰が一番得をしているのか。
原発の建設時に資金を融資した銀行業界であり、原発が稼働しなくても、貸し出した資金の金利が確実に儲けにつながる。
そのおカネは、電気利用者の余分な電気料金の負担で賄われるのだ。

東電の値上げ決定に従って、日本中の電力会社(沖縄電力を除く)からは、当然に様に、電力料金に値上げ申請が続々と始まる。
原発が止まっている分の火力発電に燃料費増加を、消費者に転嫁する事が、電力会社の権利となったからだ。
東電は原発事故を起こした当事者だから、政府が強制的に人件費を下げる条件を押し付けることが出来たが、他の電力会社には通じない。
他の電力会社は不祥事を起こしたわけでもない、として原発が運転出来ない間の燃料費増加により、電気料金を上げるのは、当然の権利の行使だとなる。

関西電力管内では、この夏場の電力不足が16%も起こるから、原発は絶対に稼働させる必要がある、として、大飯原発3・4号基を再稼働させた。
昨日の京都の気温は36.2℃で、電力の使用率は88%が最大であった。
仮に大飯原発の稼働がなかったとしても92%の使用率で、停電の恐れは全くなく、関西電力管内での節電意識は、かなり浸透している。

それでも足りないから、原発再稼働をしなければ停電の恐れが大きい?・?・!
野田内閣にとって最重要なのは、銀行業界でありバックの財務省なのである。

日本のエネルギー戦略の策定は納得の得られるプロセスで。

2012-07-18 | 核エネルギー・原子力問題
将来の日本のエネルギー政策の目標を大改訂するために、2030年の原発の比率を決める専門家会議が、菅内閣の時から進められてきた。
当初は、原発比率を35%以上にすべきだと言う委員が多くて、選択案の中に2012年の3月までは有力案として存在していたのだ。
だが、この場合には、原発の新規増設をかなりの規模で実行する必要がある。
あまりに、国民の意思とずれ過ぎていたために、野田内閣の国民の声軽視、旧時代産業保護の姿勢が見えすぎてしまう。
世間の声を聞き取る能力のない野田首相も、さすがに、ここは躊躇した。

出てきた三択案は、「原発ゼロ」「15%」「20~25%」であり、これは、当初から、真ん中の「15%」に誘導する意図的なものである。
国民の意見を聞くイベントは、わずか1カ月程度で、専門家と称する【出来レース審議会】には6カ月も懸けた鷹揚さに比較して、国民軽視ぶりは甚だしい。
民主党の代表選の前に決着させて、対立候補よりも有利に立とうとする、自己保身都合が優先している日程である。
しかも、国民の意見を聞くと称しながら、わずか9名しか意見が言えない。

その意見を言える人の人選が、杜撰と言うか、愚かな選定基準には呆れかえる。
国民の意思が7割以上は、将来は原発依存から離脱と言う現状を反映してか、会場での発言希望者の割合は、「原発ゼロ」6割、「15%」2割、「20~25%」2割の状況が平均的である。
当然、発言者は、6人、2人、2人の割合で、抽選するべきだが、公平に聞くためと称して、3人ずつにしたという、小学生並みの公平論議だ。
しかも、電力事業所属社員も、一般国民扱いという「公然ヤラセ」である。

この完全に【ヤラセ審議会案の見せかけ意見聴取】の実態が明るみにでて、さすがに信用ゼロになる段階で、慌てて、電力関係者は発言者に入れないとし、発言者も12人に増やす、とやり方を変えた。
この『長期エネルギー戦略』を国民的な合意を得て行く責任官庁の国家戦略室は、こんな短期の仕事ですら、世間の常識的なやり方で進める能力がなかった。
『国の根幹の長期エネルギー戦略』を、策定する能力があるとは思えない。

野田内閣での策定は、国民の納得は得られないとして、民主党の代表交代後に、新たに民主党案を決め、自民党など野党案との対比をして、総選挙後に決めるのが、もっとも納得性のある「長期エネルギー戦略」の決め方であろう。

国民の意見を意図的に誘導する見せかけの公聴会。

2012-07-17 | 核エネルギー・原子力問題
野田内閣の無定見ぶりと官僚依存が、ますます明確になっている。
全国に広がる「原発再稼働反対」の国民的運動に対して、一部の感情的な活動で、一時的な現象程度にしか受け止めていない。
首相には、「大きな音=騒音」とシカ、受け取れないほど、国民の声を聞き取る能力が劣っているのだ。

その一方で、2030年のエネルギー政策に対する国民の意見聴取は、大手の広告代理店に丸投げの様にして実行を委任し、無作為抽出により意見を述べる人を選んだ「新ヤラセ方式」が、全国各地で実行されている。

あたかも、三通りの選択肢が公正に定められた様に見せかけて、「原発ゼロ」、「15%」、「20~25%」の原発電力を2030年の目標にして、国民の意思によって決める、と説明している。
この3択方式で、真ん中の「原発依存率15%」に誘導して、現在の定期検査中の原発を再稼働するのが、【国民の選んだ妥当な方策】であるかの様に見せかけて、正当化しようというのだ。
広告代理店ならば、当たり前の手法で、「依頼主が期待する結果」が出る様に、意見調査の報告が作られる仕組みである。

その様なことを公然と実施すれば、政府の信用はマスマス失墜していく。
電力会社の一部の関係者は、国民の意見を公平に言える機会を、勘違いして「電力会社の都合を自分の意見」として述べて、「社員の傲慢さ、自分勝手」を世間に広める貢献をした。
その効果は、8月末の期日に政府の方針を「2030年に15%」と決定したとしても、その方針を信用する国民は少数にとどまり、数年もしないうちに「反故同然のエネルギー目標」になりさがるのだ。

現時点で最も重要なことは、「原発事故原因の究明をして、国民が納得できる安全対策を確実に見える」段階にすること、である。
これが納得される様にするには、「実際に実行する対策の中身と期日、かかる経費を明確に示す」こと、が同時に提示されなければならない。
そして、その費用負担は、電気料金に上乗せするのか、国の責任に引き受けることで、全国の国民に公平に税金で賄うのか、方針を提示すべきである。

現在の中枢にいる政治家や官僚達は2030年には確実にいなくなっている。
2030年の目標設定は、今の18歳から50歳までの『納得が最重要』なのである。