庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

実現性の見える事業化には、成果に賦課金支給の誘導策を。

2015-09-30 | バイオ燃料・バイオマス

日本の社会活動によって引き起こされる「負の課題」には、【下水処理】や、【食品加工廃棄物処理】、それに、【食べ残し処理】などがある。

いずれも、有機物や栄養素を多量に含んだ資源であるが、従来は「やっかいな物を処理」して、人から遠ざけることが後処理の仕事になっている。

この様に厄介者扱いから、有用な資源の原料と考えると、「負の課題」が『有価物を産みだす産業』となるのである。

 

このブログで紹介した「下水に含まれる有機物と栄養素」を分離生成すると、『従属栄養型藻類』の増殖用にエサに変身することが実験では成功している。

このエサを「大量に生成する事業」を、下水処理に義務付けて、「藻類から製造するバイオ燃料」の原料に供給する公共事業を進めるとよい。

そのエサは、廉価で供給ができる制度にしておけば、『従属栄養型藻類』を大量に増殖して、「バイオ燃料」の原料になるオイルが「廉価で生産できる」。

このオイルを、「バイオジェット燃料に精製する事業」は、従来の石油からジェット燃料を精製する事業と同等のコストで量産できる様になる。

 

この様な事業を、各自治体や下水処理事業を実施している組織で、事業化を図れば、地域へのおカネの流れが繋がり、新たな雇用の創出も期待できる。

何よりものメリットは、海外からの石油由来の燃料経費が、国内の資源で「新たな燃料資源」として生まれることで、貿易収支の改善に役立つ。

2012年から東北大学、筑波大学、仙台市の共同プロジェクト活動では、実験は成功して、量産化に向けての「事業化を目指した規模の拡大」が期待される。

『従属栄養型藻類』からの大量に燃料オイルが生成されるのも、間近である。

 

その次には、燃料オイルと改質する加工段階の改革が必要になる。

そのままでは、酸化し易い弱点もあり、水素を化学的に添加して「飽和炭化水素]に変換して、ジェット燃料のケロシンやガソリン相当の燃料に精製する。

これらの改質技術でも、生産性の優れた方式の研究開発が進められている。

社会にとって「負の課題」を、『価値のある石油代替燃料』の生成に転換するには、いくつかの重点的な技術開発を促進させるのが適切である。

特に難関がある研究開発ではないが、大量生産できる様にして行くには、研究投資を誘発する支援が欠かせない。

こうした研究開発を支援する面でも、「バイオジェット燃料への付加金支給制度」を創れば、研究開発は間違いなく加速して、実現されるであろう。(続)


バイオジェット燃料の開発促進は日本の負の課題を解決。

2015-09-29 | バイオ燃料・バイオマス

バイオジェット燃料の研究開発促進には、意欲ある民間企業の活力を引き出す政策が必要である。

その支援策の財源として、国税を使うのではなく、[航空機利用者が負担する賦課金制度]を新設するのが適切だ。

この説明は、2015年9月14日~15日のブログで、書いていますので、理解を助ける面で、再読をお願いします。

この制度は、「再生可能電力の固定価格買取り制度」をモデルにして、国政の場で真剣に検討が開始されることを期待します。

 

「バイオジェット燃料賦課金制度」によって集められたお金を、「バイオジェット燃料への付加金支給制度」によって、研究開発の促進も具体化できます。

その仕組みとメリット、効果は、読者の理解が得られたと思います。

その上で、「バイオジェット燃料の生成」に、優良な技術手段として説明をしてきた方法は、『従属栄養型藻類』の大量増殖を事業化することです。

2015年9月22日、24日にブログで、この狙いを説明しておきました。

日本の様な国土が限られた地域では、【日照率に左右される事業化】は、将来における生産効率化には適さないと見るからです。

 

『従属栄養型藻類』の増殖には、「栄誉物となるエサの適否」が大きな課題になりますが、日本の特質と【負の課題を選択の要素】に置くことです。

現在は、都市下水に含まれる有機物・資源が、無駄に廃棄されて土壌や海中に放置されています。

これを、処理段階で『従属栄養型藻類』のエサとなる成分に生成する事業を、実現するのである。

単に下水処理費用をかけて廃棄するより、ジェット燃料相当のオイルを生産する原料として利用する仕組みを作ることです。

 

また下水処理の栄養物だけでなく、日本中で大量に廃棄処分されている「食品残渣」を、適切に処理する技術で、「エサとなる栄養物」を分離生成する。

日本中で1億2千万人分の食品加工時の廃棄物は、海中に流れ込んで海水の富栄養化を起こし、漁業への弊害を引き起こしています。

土壌中への廃棄や焼却処分では、[CO2排出]を増大させています。

可能な限りの方法と技術で、{食品廃棄物を『従属栄養型藻類』のエサに利用}することは、今後の日本にとって大きな責務となっている。(続)


最初の目標はジェット燃料の技術革新で開発支援策を。

2015-09-29 | バイオ燃料・バイオマス

2020年の東京オリンピック開催に向けて、日本から飛び立つ航空機の「ジェット燃料」に、再生可能エネルギーの「バイオジェット燃料」を採用する。

それには、早期に「バイオマスから油脂成分を生成する技術革新」の研究開発を、支援しなければならない。

その支援に必要な費用は、現在の航空機利用者が負担する制度を、『ジェット燃料賦課金法』として、できるだけ短期間で法律にするのが最善の政策である。

日本の中でも収入にユトリのある人が率先して負担するので、経済の活性化にも良い影響が出るであろう。

 

この航空機利用者から賦課金として集められてお金を、【技術革新の評価が不得手な中央官僚の裁量】に委ねては、単なるバラマキ助成金に終わる。

そこで、このブログで提案している制度は、「バイオジェット燃料の生産物」に対して、一定の「促進付加金」として、生産者に支払われる仕組みである。

つまり、【研究開発や生産設備に補助金を支給】するのではなく、『成果に対して付加するお金』を、決められた期間の間、支給を保証されるわけです。

例えば、「バイオジェット燃料の生産物1リットル当たり50円」と決めておけば、事業の開発者は、開発研究や初期投資した設備の費用など、有利になる。

 

買取り保証期間を5年間として、その期間内に生産できる総量を10万KLと想定すれば、50億円の固定付加金が支給される制度です。

従来の補助金制度では、最初に研究開発や設備投資に50億円の補助金を出して、成果が出るかどうか判らない「研究開発事業」に、消費者のおカネが使われる。

つまり、成功のアテが見えない事業化プロジェクトに、賭けている様なモノだ。

それに対して、「成果物の固定価格、一定期間」の買取り付加金支給を約束しておけば、参入意欲のある『活発な企業の技術革新競争』が、誘導されるのだ。

 

この制度に応募してくる企業が少ない場合には、生産物1リットル当たり50円の付加金を引き揚げて行けば良い。

また、設備償却の負担が制約で参入企業が躊躇するならば、買取り保証期間を5年以上に引き延ばす改良と実施する。

『再生可能電力の固定価格買取り制度』の「保証期間は10年~20年」が決められているので、これを参考にして決めるのが適切だ。

この制度を数年で実現すれば、2020年には、複数の新規参入企業が、「バイオジェット燃料の量産化」に成功する成果が、実現して道が開ける。(続)


エネルギーの技術革新を藻類由来のバイオ燃料量産化で。

2015-09-27 | バイオ燃料・バイオマス

日本のエネルギー自給率は2012年の段階では、わずかに6%であり、その後の再生可能電力の普及(太陽光発電)によって、7%程度になった程度である。

今後も、国産エネルギーの「再生可能電力(風力、太陽光、地熱、バイオマス)」を最大限に拡大を図り、電力に占める割合を2030年には30%以上にする。

その一方では、石油・天然ガスに依存している、『熱利用、輸送用エネルギーを、再生可能エネルギー(バイオ燃料)に転換』することが必須である。

しかしながら、現在の政府の政策では、2030年になっても「バイオ燃料」の国産化は、ほとんど進まない状況である。

 

バイオ燃料の開発で将来に有望な手段は、【従属栄養型藻類】の増殖設備を、大量生産できる体制を構築することが有力である。

現在は実験的な段階であるが、政府の重要国策として技術革新と、事業化の拡大政策を採用すれば、15年程度《2030年の削減目標年》で拡充できる。

その技術革新の中身は、「従属栄養型藻類(オーランチオキトリウム類)」の、「増殖能力とオイル生成能力の向上」を図ることである。

現在の実験段階の既存藻類でよいから、早期に事業としての生産規模にして、事業を進める上で、品種の改良の積み重ねを繰り返すことである。

 

太陽光発電の技術は、15年前頃から量産規模での生産性を上げる努力を、民間企業が取り組んできた。

その支援が不十分であったので、量産コストの低減があまり進まないで、ドイツやアメリカ、中国に大量生産の面で抜かれてしまった。

しかし、2012年からの「固定価格買取り制度」の施行で、今や大幅な量産コストの低減が実現しつつある。

残念ながら、生産工場は海外(中国など)に拠点が広がってしまったが、国産化エネルギー(太陽光は国内)として、継続的に安心して利用できる。

 

【従属栄養型藻類】の増殖設備には、初めの段階では、下水含まれる有機物や栄養素を精製して、オーランチオキトリウム類のエサの原料とする。

そして、下水利用の量的な限界が見える前に、『大型海藻の沿岸栽培』によって、日本の近海での「大量栽培が可能になる技術革新」を継続的に実行していく。

この成果によって、2030年頃には、「バイオジェット燃料の量産価格」が、既存の石油由来の「ジェット燃料《ケロシン》」よりも、安価な燃料となるであろう。

この技術革新によって、日本の「エネルギー自給率は大幅に改善」される。(続)


安全保障の大元のエネルギー自給率を高める国策にせよ。

2015-09-26 | バイオ燃料・バイオマス

日本のエネルギー自給率の低さは論じても意味が無い、と思われる人が多い。

しかし、今年の国政もマスメヂィアの主要関心は、【集団的自衛権の行使】、つまり、自衛隊の海外派兵を是とするかで、おおもめに展開した。

最後は、ホルムズ海峡の封鎖のリスクも遠のいて、自衛隊の機雷撤去のための派兵は想定しないとなって、【大山鳴動してネズミ一匹】でウヤムヤとなった。

それと言うのも、原因のおお元は、石油、天然ガスなどのエネルギー源を、世界の不安定地域に依存している、【エネルギー自給率の低さ】が根源にある。

 

そこで本論に戻ると、電力以外の「化石燃料の代替策」が、日本政府には皆無であることが、現在の大きな問題であると再認識すべきである。

その具体的な解決策は、日本の排他的経済水域[EEZ]において、資源を開拓して、国難を乗り越えるだけの「エネルギー自給率の安全保障」である。

日本の[EEZ]の開発というと、すぐに「海底資源開発」の話となって、「メタンハイドレード」のさっ屈に成功した、などの地下資源になってしまう。

そこまで行くのは、50年以上先の話で、まず10年~50年で戦略的に思考を巡らせば、『日本沿岸における海藻栽培資源で石油代替燃料を開発』が先である。

 

5年前に「大型海藻からの油脂で石油代替燃料を・・」との趣旨で、「コンブの大量栽培」の課題を提示した。(2010年8月17日~19日)【海洋産業問題】。

しかし当時は、石油系エネルギーからの離脱は、先送り扱いで、温暖化対策として「原子力エネルギー依存の強化」が、国策に掲げられていた。

大きな選択の誤りであったが、まだ、5年程度のロスでしかないから、今からでも最重点の国策にすれば、世界で最先端の石油代替戦略にできるだろう。

アメリカもブラジルも自動車用の一部では、【穀物、サトウキビ】からのエタノール燃料で一定の成果を収めたが、それ以上に発展性は望めない状況だ。

 

日本の独自の研究で、【従属栄養型藻類】の増殖によって、「石油相当のオイルの生成」に成功していることを、ここ数日のブログで紹介した。

安保法制論争の荒波で、将来性のある基幹技術開発が、波間に翻弄されて沈まないことを祈るばかりである。

この様な研究開発を大きく採りあげて、地域社会と日本全体の経済活力を盛り上げる方が、はるかに大事な課題であるのに、マスメディアは流行ばかりだ。

実験段階で成功の実績ならば、次は小規模で良いから、「事業化に向けた「フィージビリティ・スタディ(事業性調査)」の段階に進むべきである。(続)


太陽光の恵みをフルに享受できる海での栽培に着目を。

2015-09-25 | 海洋産業問題

日本が周囲を海の幸に恵まれた海洋国家であることは、言うまでもないことであるが、政治家と中央政府の官僚には、全く頭にない有様である。

バイオ燃料の原料にする作物となると、陸上での作物ばかりに話が進む。

さらに、水中での培養が必要な藻類の課題になっても、陸上の培養池での生産しか検討課題にしない。

培養池をわざわざ作らなくてもよい「海藻類の栽培」のことは、最後の段階になっても頭に浮かんでこない位に、【海洋オンチ】ばかりである。

 

地球上の生物が利用するエネルギーの源泉は、太陽光を利用した「光合成の恵み」であることは、説明するまでもない。

この恵みを利用しているのは、今のところ「陸上の緑色の植物」が備えている『葉緑体基質(葉緑素)』の「光化学反応によって糖が作られる」。

詳しいことは省略して、太陽光によって二酸化炭素と水から炭水化物を創りだす『自然界の化学反応』が、大元のエネルギーになる仕組みである。

人類はこの基本化学反応の元によって生存できるし、繁栄も可能になる。

これからは、食糧だけでなく、エネルギー源も、この化学反応のお世話になる。

 

今までは、陸上の作物ばかりに注目し、藻類の研究でも陸上の培養にこだわる視野の狭い研究ばかりであった。

大元のエネルギー源(糖類)は、陸上植物からの物質でも廃棄されている下水類で、「浄化時に得られる物質を『従属栄養型藻類』で燃料化」が可能になる。

この研究は、「東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト」の一環として、2012年からスタートしたチーム(当方大学、筑波大学、仙台市)の成果である。

宮城県仙台市の浄化センター内の試験設備で実験して、下水処理の途中での有機物をエサとして増殖する『従属栄養型藻類』で、オイルの生成に成功した。

 

まずは、下水中の有機物をエサとする方法であるが、将来に大量に生成するには、海中で栽培できる「大型藻類(コンブなど)」の成分を利用する方法がある。

この研究は、広島大学や、民間企業が研究中であり、実験的には成功している。

この方法で製造する「バイオジェット燃料」が、量産コストの面で既存の「石油系ジェット燃料《ケロシン》」と、同等以下になることを目指すのである。

なぜ、海中の大型藻類を基本のエサに利用する方式が良いか、これからも説明を積み重ねるが、最大の理由は、日本の経済水域内で栽培できるメリットだ。

10年~50年と技術開発を積み重ねると、エネルギーの自給が可能になる。(続)


日本の恵まれた資源でバイオ燃料製造の技術を確立せよ。

2015-09-24 | バイオ燃料・バイオマス

日本の「脱化石燃料」の長期目標は、どこからも提示されないで、その場しのぎ的に「バイオ燃料の研究助成金」は、官庁のポーズにしかなっていない。

1998年の京都議定書の締結を機会にして、日本のエネルギーを脱化石の方向に転じる必要があった。

しかし、2002年に策定した「バイオマス・ニッポン総合戦略」では、未利用のバイオマスへの取り組みを打ち出しただけで、将来像は全く描けなかった。

その後も、電力分野の取組では、原発依存を強めるだけで、「再生可能電力」への長期戦略は、完全の視野から外されてしまっていた。

 

2011年3月以降は、電力エネルギーの【脱原子力】の国民の声が大きくなり、「再生可能電力」への最大限の取組が国策となって拡大がはじまっている。

その一方で、電力以外の燃料分野は、議論もアイマイなままで進展は皆無だ。

このブログでは、脱石油の長期目標には、「バイオ燃料の開発促進」が、最大の長期エネルギー戦略の中核になる必要があると、説明してきた。

その主力の技術手段は、すでに説明したので、理解されたでしょうが、『従属栄養型藻類』の研究開発による「石油相当の燃料開発」にある。

 

この「光合成に依存しないで増殖する藻類」の研究情報は、日本のメディアでも殆ど話題に上がらないので、日本の人たちは、認識が薄い存在である。

バイオマス(生物資源)の中には、植物の基本である「光合成による炭水化物合成」が、成長のベースになる種類が大半である。

主食のイネやムギなど、それに根菜類や野菜類など、人のエネルギー源である。

植物でも「きのこ類」の様に、他の植物の栄養素を吸収して成長し、有益な栄養素を合成する種類が知られていて、数多くの商品が出回っている。

この「キノコの様な価値」が、『従属栄養型藻類』によって、生み出されるのだ。

 

キノコの栽培では、養分の元になる材料が必要で、樹木を使った栽培が良く知られていて、日本の林業分野の事業に貢献している。

藻類では、「オーランチオキトリウム類」が、各種の有機物を養分にとりこんで増殖して、体内に石油相当のオイル類を生成することが知られている。

現在は、都市下水の中に廃棄される有機物が大量に含まれるので、それをとりだしてエサ(養分)として供給することで、増殖させる技術が開発された。

将来的には、日本の近海で大量に栽培することができる「海藻類からの栄養素」によって、『従属栄養型藻類』の大量製造を確立することが有利である。(続)


石油代替燃料の開発戦略が検討されないで欧米の真似では。

2015-09-23 | バイオ燃料・バイオマス

バイオ燃料の原料となる植物は、20世紀末には「食糧となる穀物」たとえば、トウモロコシや大豆から製造するのが主流であった。

ところが、人口増大する地球の限界から、【未開発国の人たちの食糧となる穀物】からエネルギー源のバイオ燃料を製造するのは、人道的に問題であった。

そこで、アメリカなどの先進国では、非食用の作物や荒れ地に育つ草を原料にする研究が始まった。

もうひとつの選択肢が、『藻類を原料にする方法』である。

 

この藻類を原料とする場合でも、「光合成で増殖する藻類」と、『従属栄養型藻類』に大きく分かれる。

日本では太陽光の日照率が不利(雨天や曇天が多い気候による)であるから、『エサを与えて増殖させる藻類』を、バイオ燃料の原料にするのが得策である。

この【エサを何にするか】、日本で入手できるエサで効率よく増殖する【藻類の種類】が、今後の検討課題として、もっとも重要な主要問題である。

それを、今までに研究や助成金の対象にするのに、深く考慮をしないで、とにかく、アメリカや欧州で採りあげているテーマにばかり、目を向けてきた。

 

経済産業省や農水省は、日本のエネルギーの長期目標も検討しないままに、その場しのぎの選定基準で、助成金の支給を続けてきている。

これでは、国民の税金を【お役所のマネごと行脚】のポーズ作りに、無駄使いのし放題になっている状況だ。

責任者不在のままに、「長期戦略の検討もおざなり」では、縦割り行政の弊害体質の官庁では、将来の方向性すらも国民には提示できないお粗末さである。

電力の脱化石燃料化の方向では、「再生可能エネルギー電力」の長期目標が提出されたが、「脱石油の再生可能燃料」の分野は、戦略目標が不在のままである。

 

その最大の責任は、国民の生命を守り、生活の豊かさ実現に向かう「国創り目標」を示せない政治家集団にあるのは、言うまでもない。

しかし、政治家はエネルギーの専門のことは不勉強で、政党での組織的な【石油、天然ガス、石炭】の長期的な代替技術開発戦略を研究すべきなのだ。

マスメディアの論調も、電力エネルギーばかりの情報に偏っている上に、たまたま石油の価格が低下傾向にあると、関心がおざなりになってしまう。

そして、日本の官庁や公的な組織では、欧米の技術開発の後追いの情報を追いかけるだけで、研究助成金は無駄使いに終始するが、反省すらしないのだ。(続)


日本の適したバイオ燃料は光合成しないで増殖する藻類で。

2015-09-22 | バイオ燃料・バイオマス

ユーグレナ社は、2005年に設立されたベンチャー事業家の着想と熱意で、大量培養に成功し、食品添加物事業では収益を得て、事業拡大を図っている。

しかし、本来の大型事業への発展には、「バイオ燃料」の量産化が必要であるが、大量生産に向けては、国内の立地では将来性が期待できない。

そこで、アメリカ企業の出資を受けて、広大な敷地のあるアメリカ大陸での、事業拡大戦略に突き進んでいる。

これでは、揺籃期にベンチャー立ち上げの支援をしてきても、最終的にはアメリカの事業に移転する「海外依存のエネルギー産業」となる、

 

エネルギーの自給率向上に対する【長期的戦略もない日本政府】に頼るのは、起業家にとっては、リスクが大きすぎるとの判断である。

ベンチャー企業ではない「IHI社」の取組技術は、「ボトリオコッカス」と言う藻類を、大量培養することを目標にしている。

この藻類は、日本で発見された【油脂を効率的に体内に製造する藻類】であり、生成効率を高める研究を積み重ねている。

実験室段階をクリアーして、今は小規模の量産試験の段階で、国の支援も受けてデータの蓄積を重ねている。

 

この藻類は、太陽光を利用して光合成で藻類の体内にオイル成分を生成する。

他の雑菌の増殖を防ぐために、強度の酸性水での培養が必須であり、太陽光の日射率が好条件の地域での培養が有利である。

この藻類の培養事業には、大量の土地が必要になり、日照率が良い地域となると、やはり[アメリカ大陸]や[オーストリア大陸]の方が有利となる。

結局、行きつく先は、「大陸国家での安価で日照率の良い地域」が、量産コストの面で圧倒的に有利な事業にならざるを得ない。

 

そこで、着目すべきポイントは、藻類には太陽光で光合成に依存するタイプと、『有機物のエサをとりこんで増殖するタイプ』があることに留意する。

日本の様に土地代が高く、日照率もあまり有利でない国では、後者の【従属栄養型藻類】の量産が有利になる、と予想される。

2010年から、筑波大学の研究グループが取組を開始し、2012年から東北大学と仙台市の協力を得て、下水処理の有機物を浄化する設備で、藻類の培養を実験中である。

目標の油脂が効率よく生成できる条件を探って、試験設備での研究が進む。(続)


長期的な国創りの方向に沿う手段でバイオ燃料の開発を!

2015-09-21 | バイオ燃料・バイオマス

エネルギーの自給率を高める目的で、「再生可能エネルギー電力」を、最大限に導入する政策は、国民合意の国策として大きな支持を得ている。

その一方で、石油の代替になりうる「バイオ燃料の国産化」は、未だに技術も未開拓で、普及拡大の政策は五里霧中という状況で、何も決まっていない。

その中で、2020年までに[航空機の燃料をバイオ燃料]にする方針は、一応の支持を得ているが、現状は説明した様にお寒い限りである。

それでも日本の政府は、締切を決めないと動かない体質なので、「オリンピックまでに!」の合言葉は、ひとつのキッカケにする目標になっている。

 

現実的には、取組中の技術手段では、オリンピックに間に合わせるだけしか出来ないであろう。

目標の量産コストの低減は、2020年の段階では、大幅なコストオーバーで、どこかがその差額を負担しなければ、利用できない高価格になるであろう。

その差額を税金で補助するしか、官庁の知恵はないと覚悟せざるを得ない。

税金を投入するだけの理由と、それによって得られる国益はなんであろうか。

バイオ燃料に切り替える目的には、[CO2排出]の削減効果であるが、それだけでは貴重な国民の税金を投入するには、多くの不満が残る。

 

日本は石油が産出しないのだから、輸入依存であることを当然としてきた。

しかし長期的には、日本の国内、領海内で生産できる資源に切りかえる【自給率の向上】が国としての大きな目標になるべきであろう。

その国益に沿う様な方針で、『バイオ燃料の国産化』を、目標に据えるべきだ。

その目標に対して、現在の取組中の「バイオジェット燃料の量産化」に一番近い技術手段は、何になるであろうか。

国産化の方向に向けての指針は、経済産業省の公表資料では、示されていない。

 

例えば、食品添加物の分野で先行している[ミドリムシ《ユーグレナ》」から生産する技術は、国産化に適しているかどうかを、チェックして見よう。

9月4日、5日のブログに書いた様に、「大量に培養するには、[CO2]濃度を大幅に上げる」環境が必要になる。

日本政府が、この培養に必要な[CO2]ガスを、培養池に供給する便宜を払うならば、国産化に向けて成り立つ可能性がある。

しかし、現在の段階では、この様な優遇措置を検討する姿勢もない様である。

ユーグレナ社は国産化をあきらめ、量産事業はアメリカにすると決定した。(続)


バイオジェット燃料の製造は、まだ実験段階の迷走状態。

2015-09-20 | バイオ燃料・バイオマス

欧州では2020年までに、「年間200万トンのバイオジェット燃料」を製造することを目標にしている。

日本の研究目標では、微細藻類を培養して油脂を絞りだし、それを「バイオジェット燃料」に精製する方法を選択している。

2010年から開始し、2013年~2016年の期間に、[NEDO](新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主幹で、量産可能な技術研究を継続中である。

だが、この方法での量産コストは、見通しが付くまで段階には進んでいないので、2020年にどのくらいの数量とコストが実現できるか、不明である。

 

欧州での量産実績は、「オランダKLM航空」と「英国トムソン航空」が、廃食油を回収して精製した油から、製造した燃料で運航した実績がある。

「ドイツルフトハンザ航空」では、ジャトロファ(南洋アブラギリ)由来の燃料を従来の石油由来燃料と混合して運航した。

「エールフランス航空」では、サトウキビから作ったエタノールを合成した「バイオジェット燃料」を製造して試験飛行を実施している。

この様に、航空会社は、試験飛行や一部の運航を実験的に実施しているが、どの方法で製造した燃料が、本命になるかは、まったく判らない段階である。

 

日本政府には、石油の代替燃料を2020年までに「自動車用50万KL」の目標があるが、全く見通しがたっていない。

そこで、今度は、【東京オリンピック】の時期に、「バイオジェット燃料」の量産を間に合わせて、一部の運航で試験的に商業飛行を実現しようとしている。

しかし、どのくらいに数量を目標にするか、どのくらいの量産コストならば、許容するのか、決めるための基礎データがほとんどない状態だ。

 

日本企業の【ユーグレナ社】は、「ミドリムシの培養」を事業目的にして、将来はバイオジェット燃料を供給する研究開発を行っている。

日本政府も有力な候補企業としているが、現在は、ユーグレナは「食品の添加物」や「化粧品の成分」を販売して、経営を成り立たせている。

現段階の培養方法では、「バイオジェット燃料」として、販売する価格(灯油相当で100円/L.)には、到達していないからである。

「JX日鉱日石エネルギー」と「日立製作所」が参加、共同研究を進めている。

しかし、以前のブログ(2015年9月4日)に書いた様に、現在の培養方法では、水中に炭酸ガスを送り込む必要があって、量産コストを下げるのが困難だ。(続)


成果物に対する報酬制度が研究促進の実効性がある。

2015-09-19 | バイオ燃料・バイオマス

ジェット燃料を石油依存から離脱するためには、「バイオジェット燃料」を研究開発して、現在のジェット燃料と同程度の価格にまで引き下げる必要がある。

ジェット燃料の成分は、ほとんど灯油と同じで「ケロシン」であるが、灯油よりも精製度が高く、添加物が追加されている。

価格は灯油よりも高めになる筈だが、小売の経費や輸送経費がへるので、ざっと「灯油の価格」と同じと見て議論を進めて良いだろう。

ただし、バイオジェット燃料の中身は、国際的に決められていて、「ドロップイン燃料」と呼ばれる基準をクリアーしなければならない。

 

自動車用の代替燃料として、よく話題に上がるのは、「エタノール燃料」であるが、この成分は発熱量が低くて水分を吸収し易いので、代替燃料に不向きだ。

それでも、ブラジル政府とアメリカ政府が国策として進めてきた影響で、自動車の方で仕様を変えて、エタノールの混合率に合わせて適合させている。

ジェット機の方は、各国を飛び回るので【各国毎の燃料の仕様】が違っていては、エンジンや燃料タンク、各種の機器が適合出来なくなる。

そこで、早目に各国で話し合いが進み、一定の基準の燃料成分でなければ、「バイオジェット燃料」としては、認めない協定ができている。

 

この様に、燃料の仕様が明確に決められ、後は商業ベースにのせられる「量産コストの低減」が、必要な段階にきている。

ここまで技術開発が進んでいる状況では、政府が主導する【研究開発助成金】では、量産コストの削減が効果的に進められるかは、おおいに疑問である。

それよりも、再生可能電力の[FIT]制度の様に、生産された「バイオジェット燃料」に「固定価格の付加金」を決めて助成するのが優れた政策である。

民間企業に広く挑戦の機会を提供して、既得権やしがらみに左右されないで、『公平で合理性のある技術開発競争』を引き出せるからだ。

 

その財源は、国税を充てることもありうるが、「ジェット燃料消費者」に、公平に負担してもらう様に、「ジェット燃料賦課金制度」を法制化すれば良い。

最初は1%程度の賦課金でも、十分に「開発競争のインセンティブ」になる。

トップランナーの量産技術を開発したところが、応募できる様にすれば良い。

1社も応募しない様では、「固定価格の付加金」の金額が低すぎると判断し、応募が数社に増えるレベルまで、付加金の額を引き上げれば良いのである。(続)


利権のしがらみが無い制度が成果を生みだす実効性がある。

2015-09-18 | バイオ燃料・バイオマス

[FIT]制度の様に、普及促進を図りたい生産物(エネルギー)などでは、研究開発の助成金を支給する制度よりも、『成果に報酬を支給』するのが良い。

この理屈は誰にでも理解できる様に、成果を生み出すことにインセンティブがあるので、研究開発の作文などに、時間と労力を割く必要がないからだ。

「再生可能電力」の成果は、生み出された電力量[kWh]で評価されるので、利害関係や役所のお気に入りなど、まったく関係なしに公平性が保証される。

それにも拘わらず、政策的に活用されることは、ほとんどなかった。

お役所の関与する権益が、除外されるために、官庁は採用したがらないからだ。

 

だれが「成果物に対する報酬制度」を考え、法制化を図る努力をするのだろう。

欧州などの先進国では、お役所の官僚が法律を立案するよりも、政治家や政策の研究者が、より一層の実効性のある法制度研究を進めて提言をしている。

その中で、議会の多数派の承認を得られる制度が、法律に成分化される。

官庁の専門家が法律を作るだけの【日本の様な官僚主導の国】では、役人の関与が減る制度は、棚上げにされるのが通常の扱いである。

官僚が動かないからといって、法律を提案できない様では政治家とは言えない。

 

日本の再生可能電力の固定価格買取り制度[FIT]は、民主党の政権交代時の公約であったが、原発の大事故が起きるまでは、牛歩の様な進み方であった。

原発大事故によって、代わりうる電力として、欧州などで成果と上げている制度[FIT]を、とにかく、超党派の議員立法で成立させた経緯がある。

その後は、官僚任せになってしまい、電力以外の「再生可能エネルギーの開発促進策」は、以前の様に官庁の管轄部門の仕事に丸投げしてしまった。

その様な状況で、「石油代替のバイオ燃料の開発」は、従来どうりの、「研究助成金制度」によって、どうにか体裁だけは進めている姿勢になっている。

 

もうこの辺で、官庁任せの研究助成ではなく、「バイオ燃料の生産量」に応じた「賦課金支給制度」(燃料買取り賦課金)を、進めるべきである。

政党の主導で「政策研究による立案」を実施して、法律案を創ればできるのだ。

バイオ燃料の製造方策は、民間企業では細々と研究がつづけられているが、事業採算性の見通しがつかないために、研究投資も限られたままである。

例えば、バイオジェット燃料の製造分に、《ジェット燃料賦課金が財源》で[100円/L]を支給する法律を打ち出せば、急速に研究が進みだすであろう。

その状況をみて、トップランナーが実現した量産コストが目標になる。(続)


研究開発の助成金制度は公的資金を無駄に終わる恐れ。

2015-09-17 | バイオ燃料・バイオマス

日本の行政では[FIT]の制度の様に、産みだされる成果に対して助成金を出す仕組みは、なじみがほとんどない状況であった。

促進させたい課題があると、研究課題を公表して「応募してくる提案」に対して、研究助成金を出すのが通例である。

また、環境適合の製品を普及させる場合でも、製品の購入者に「半額補助」などの制度で、補助金を出すコトで普及促進を促す制度が広く行われている。

この場合には、製品の性能が公表されているので、無駄が少ない様である。

 

バイオジェット燃料の開発を促進する目的に政策にたいして、研究助成金を出す公募方式は、どの様な基準で技術開発の可能性を審査できるか疑問である。

自動車用燃料の代替策として、「エタノール製造」を促進する場合に、個別の研究開発には、役所の官僚が専門家でもないから、成果を可能性は評価できない。

すると、利害関係者の方を優先したり、社会的な流行の謳い文句に影響されたりして、研究開発の合理性からは関係ない基準で選定してしまう。

お米の余剰問題を優先したり、耕作放棄地の再利用を目論んだりして、技術の革新の方がおろそかにされてしまった。

 

こうして日本では、多くの新技術の開発促進を、「専門外の官僚」に委ねる仕組みが慣例化して、お役所の体裁を繕うために、無駄に税金投入がされてきた。

目的の研究成果に対して成功報酬を約束する制度は、日本ではなじみが無いために、2000年初頭に[FIT]制度が提案されても、理解されなかった。

同じ時期にドイツでは、『再生可能電力』の促進制度として導入して、瞬くうちに成果が生まれて、「再生可能電力の普及先進国」に躍進したのである。

この制度は、ドイツ以外にも、多くの国の参考となって導入された。

日本の経産省が、やっと導入したのは、2011年8月に、民主党政権のもとで、国会の前回一致で法制化されてからである。

 

この様に、『目的の成果に対して成功報酬を出す』制度の方が、【官僚が選択して、個別の研究に助成金を出す】制度よりも、成果を生みだす可能性は高い。

外国での実績が明確になってからは、お役所も認めざるを得ない状況になった。

しかし相変わらずに、【研究助成金や補助金】の制度が、通常の政策の手段として大半を占めた状態で、『成果に報酬を出す』のは、全く進まない。

ここで、「バイオジェット燃料の供給促進」の制度に、取組むべきである。

この様な「官庁の関与を減らす制度」には、政府が率先することはない。(続)


政府の助成金制度は無駄を生む源泉。成果に報酬を与えよ。

2015-09-16 | バイオ燃料・バイオマス

バイオジェット燃料の開発促進に対して、電力の「再生可能電力固定価格買取制度」[FIT]に倣った「賦課金の制度化」を提案している。

その理由とメリットについて、さらに、詳しく説明を書いていきます。

バイオ燃料の研究開発は、2006年頃から政府の課題に取り上げられて、当時は自動車用の代替燃料として、「バイオエタノール」の開発が目標にされていた。

このエタノール燃料を国産の作物から作る目的で、各種の研究課題が提唱されて、政府の補助金を使って開発促進をするコトになっていた。

その中に、お米からエタノールと生産する「イネイネプロジェクト」があった。

 

2007年5月頃から発足した研究プロジェクトは、大学と地域と企業の連携した「産官学民」の連携プロジェクトとして、成果が注目されていた。

政府からもかなりの助成金がつぎ込まれていたが、2015年の実用化を目指していたが、現在までにまともな成果は一切公表されていない。

このプロジェクトでは、日本の稲作を守ることや、余剰米の処理方策やら、遊休耕作地の利用など、目的と手段をごちゃまぜにした計画になっていた。

結局のところ、9年間も研究開発に税金を投入していても、成果はゼロである。

 

何故、この様なテイタラクに終わるのか、分析して行く必要もあるが、政府の助成金をつけると、そのお金を使うことが目的になってしまう様だ。

目的の成果を出す為の手段を、いちいち、お役所に届けて、連携した組織間の意見調整ばかりに時間と労力をかけて、消耗してしまうのである。

これが民間企業であれば、途中のチェックが働き、研究停止の判断がでる。

お役所は一度助成金をつけると、失敗の結果では言いわけができないので、次々と新しい口実と手段を考えだして、プロジェクト活動を継続させてしまう。

そして最後には、何も成果の出ないままに、責任者不在のままに終結させる。

 

政府のお金は、入り口の段階の助成金にすると、成果を出す為の事業性検討がおろそかになって、助成金の審査に合格し易い計画を、作文で作ってしまう。

首尾よく、政府の審査に合格して動き出すと、毎年の政府への報告が最優先になって、目的の成果を出す事業化に勢力をかけることが後回しになるのだ。

この点で、[FIT]制度の様に、実際に再生可能電力が生み出された成果に対して、上乗せの賦課金が支給されるので、実効性が高い仕組みになっている。

現在はバランスの取れた促進策とは言えない弱みはあるが、従来の様に役所が助成金の対象を選定して、無駄に終わる取組ばかりになるのは防止できる。(続)