安倍政権は「地方創成」を旗印にして、地域経済の活性化策を講じようとしているが、成果らしき兆候は見えていない。
今回の「最低賃金の引上げ」では、全国に波及させる引上げ額の目安に、「前年比で3%引上げ」を打ち出していた。
しかし、このような全国一律の割合での目安金額では、東京都と鳥取では、最低賃金が時給1000円に達するの、鳥取では13年間もかかり、東京は4年である。
この扱いの差が「地方経済の低賃金体質」に対する問題意識が薄いと言える。
地方創成の基本に「地域社会の経済基盤の消費購買力」を早急に引上げるために、都市部に見劣りしない収入を確保する目標設定が必要である。
そもそも、安倍政権は2012年の政権交代選挙の時期から、「地方創成」を掲げて、地域社会の再生を重要課題に据えてきた。
衆議員選挙で大勝して安倍政権を組閣した時から、「地方創成大臣を新設して意気込みを示した」が、3年半を経過しているのに、成果らしき創成効果は見えない。
たしかに、掛け声と大臣の設置で効果ができるほど、容易な仕事ではないが、日本の将来における最重要な課題である。
大都会での人口減少が進むのは、それだけ都会での子育ての環境が悪化し続けているからである。
それを少しでも補うのは、地方経済の活力を上向きにすることで、地域社会での人口増加を促す必要がある。
それには、最低賃金引上げをはじめとして、働き手の賃金をできる限り引き上げることで、子育てに適した地域社会を創成するのが適切だ。
子育て世代の若者たちの流入によって、地域社会の活力がうまれ、それに影響されて地方経済の活性化と新規雇用の創出の機会が生まれる。
つまり、地方経済の活性化の入り口となる「最低賃金の引上げ」こそが、地方創成の有効な政策手段となるのだ。
それを従来の発想の延長のまま、都会に対して地方経済の方が格下の扱いでは、若い世代にとっての魅力は低いままである。
せめて、政府が実行できる賃金引上げ政策として、『最低賃金で1000円/時』を8年以内の実現を目指すべきであろう。
いや、8年間では遅すぎるので、人口減少社会への停滞が将来不安を起こして、消費購買力の不足を解消するにも時間がかかる。
東京都の最低賃金が1000円/時を越えるのに4年を要するならば、鳥取県でも4年で1000円/時を目指すべきであろう。
日本の将来の「一億総活躍社会」を目指すべきと、壮大なビジョンを掲げているのだから、この最低賃金引上げの革新的取り組みが起爆剤となるはずである。
「安倍政権はこの道しかない!」、と断言した。ならば、最速で実行すべきだ。(続)