庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

格差縮小を狙う経済政策の基本は、底辺からの押し上げ効果。

2016-07-31 | 経済問題

安倍政権は「地方創成」を旗印にして、地域経済の活性化策を講じようとしているが、成果らしき兆候は見えていない。

今回の「最低賃金の引上げ」では、全国に波及させる引上げ額の目安に、「前年比で3%引上げ」を打ち出していた。

しかし、このような全国一律の割合での目安金額では、東京都と鳥取では、最低賃金が時給1000円に達するの、鳥取では13年間もかかり、東京は4年である。

この扱いの差が「地方経済の低賃金体質」に対する問題意識が薄いと言える。

地方創成の基本に「地域社会の経済基盤の消費購買力」を早急に引上げるために、都市部に見劣りしない収入を確保する目標設定が必要である。

 

そもそも、安倍政権は2012年の政権交代選挙の時期から、「地方創成」を掲げて、地域社会の再生を重要課題に据えてきた。

衆議員選挙で大勝して安倍政権を組閣した時から、「地方創成大臣を新設して意気込みを示した」が、3年半を経過しているのに、成果らしき創成効果は見えない。

たしかに、掛け声と大臣の設置で効果ができるほど、容易な仕事ではないが、日本の将来における最重要な課題である。

大都会での人口減少が進むのは、それだけ都会での子育ての環境が悪化し続けているからである。

それを少しでも補うのは、地方経済の活力を上向きにすることで、地域社会での人口増加を促す必要がある。

 

それには、最低賃金引上げをはじめとして、働き手の賃金をできる限り引き上げることで、子育てに適した地域社会を創成するのが適切だ。

子育て世代の若者たちの流入によって、地域社会の活力がうまれ、それに影響されて地方経済の活性化と新規雇用の創出の機会が生まれる。

つまり、地方経済の活性化の入り口となる「最低賃金の引上げ」こそが、地方創成の有効な政策手段となるのだ。

それを従来の発想の延長のまま、都会に対して地方経済の方が格下の扱いでは、若い世代にとっての魅力は低いままである。

せめて、政府が実行できる賃金引上げ政策として、『最低賃金で1000円/時』を8年以内の実現を目指すべきであろう。

 

いや、8年間では遅すぎるので、人口減少社会への停滞が将来不安を起こして、消費購買力の不足を解消するにも時間がかかる。

東京都の最低賃金が1000円/時を越えるのに4年を要するならば、鳥取県でも4年で1000円/時を目指すべきであろう。

日本の将来の「一億総活躍社会」を目指すべきと、壮大なビジョンを掲げているのだから、この最低賃金引上げの革新的取り組みが起爆剤となるはずである。

「安倍政権はこの道しかない!」、と断言した。ならば、最速で実行すべきだ。(続)

 


アベノミライ政策ではまず入口の最低賃金政策から始めよ。

2016-07-30 | 経済問題

「最低賃金の引上げ額が過去最大」とのマスメディアの報道は、誤りではないが数字だけ見ているノー天気ぶりである。

【20年以上にわたるデフレ経済】の原因が、総需要不足の解消をしなかった「経済政策の誤判断」にあることは誰にも異存はない。

原因の大半が「労働賃金の抑制による賃金デフレ」であることも明確になった。

安倍政権は躍起となって、労働側と経営側の賃上げ交渉に口を挟んで、経済界に大幅な賃上げを要請した。

しかし、国際情勢の悪化を理由にして、経営側は自社の経営だけを重視する「利益の内部留保」に、積み増しするだけであった。

 

大企業の経営理念は、すでに「新自由主義化」されている世界経済の中では、弱肉強食の論理しか通用しない。

自社の正社員には、雇用を継続できるだけの最小の賃金配分にする。

交換可能な労働力の分野は、正社員は減らして「非正規雇用社員」で賄う。

さらに、最低賃金の臨時雇用社員が雇える「下請け企業」に仕事を回してしまう。

この賃金構図は、2000年代のはじめから、産業界での標準パターンになっているので、よほどの圧力か、規制でもない限り改善しない構造である。

安倍政権は、成長戦略の骨子に「岩盤規制の改革」を掲げているが、「賃金政策では賃上げ矯正規制」が必要になっていると、感じているはずである。

 

安倍政権は2020年には、名目GDPで600兆円の達成を掲げて、経済成長を加速する基本方針である。

それには、物価上昇目標2%を達成して上で、経済成長が3%程度を継続的に実現する必要がある。

つまり、総需要が毎年5%程度の名目上昇率を実現することが必須である。

それが、最低賃金が年率3%上昇を継続することができても、収入格差が拡大してしまう。

過去最大の上昇率だとして3%の最低賃金上昇を「安倍政権の功績」とするかのような論著は、将来目標をしっかりと見ていない証拠である。

 

それと、全国加重平均で見ているのは、地方創成の観点と格差是正を目標にしていない言説である。

東京都が907円、鳥取、高知、宮崎、沖縄が693円の最低賃金となっている現状が、中央集権思想であり、地方蔑視の現状維持を肯定している。

東京都が時給1000円を実現するには3%上昇で4年で達成するが、鳥取は3%では13年もかかってしまう。

格差是正と地方創成を看板政策にするには、5%以上の最低賃金引上げを実現して、8年間で全国の「最低賃金1000円/時間」を実現する目標にするのである。

これでやっと、「一億総活躍社会」の入り口に立つことができるのだ。(続)


デフレ脱却の入り口として最低賃金の大幅引き上げは必須。

2016-07-29 | 経済問題

7月27日に「今年度の最低賃金の引き上げ目安額」を決める「厚生労働省の小委員会」で、全国加重平均24円/時間の上げ幅が決まった。

この引き上げ額は過去最大とのことで、安倍政権がデフレ脱却を狙った「景気浮揚策」として、「一億総活躍プランの目標として3%引上げ」を明記した。

この実績を引き出す原動力は、やはり中央政権の強いリーダーシップがなければ実現しないレベルである。

それでも、当面の目標である「時給1000円」に達するのは、毎年3%の引き上げペースでも、7年もかかってしまう。

働き手から見ての引き上げペースは、生活できる水準にするのが遅すぎる。

 

政権交代選挙で、最低賃金の引き上げを公約して「時給1000円をめざします。」と掲げていた目標は、2009年8月の「政権交代manifesto」にあった。

しかし、民主党政権の3年半の時代に、最低賃金の引き上げはわずかな金額しか実現せず、非正規雇用社員は増え続けていた。

民進党に脱皮したはずの民主党政治家は、この最低賃金の引き上げの意義が、全く分かっていないようである。

マスメディアの評価も、他人事のような無責任な言説に止まっている。

デフレ脱却に評論家的に批判ばかりしていて、前向きの政策の積極的な提言もしないで、この20年の間には国際的にも遅れたレベルを放置してきた。

 

経営側の反応はさらに自己防衛の域を全く出ていない、「旧時代感覚」である。

バブル崩壊後の賃金抑制の経営方針が、賃金デフレを引き起こして、【日本全体を消費購買力不足】の慢性化を招いた責任を自覚していない。

歴代政権が景気対策として、【国の借金を増やし続けてでも】、消費不足の状態を補って、不況に落ち込むのを躍起となって、防いできた。

ところが、経団連の主要企業をはじめとして、大部分の経営側では「自社の経営だけが重要課題」であって、従業員の給与アップは二の次とされてきた。

さらに、単純作業的な仕事に移行した部分から、「非正規雇用社員」に切り替えて、自社の負担となる人件費を抑制して、利益を出すことだけに専念していた。

 

その集積の結果が【20年以上にわたるデフレ経済の慢性化】である。

これは【労働力を単なる取り替え可能な商品として扱う】、新自由主義経済の、【最大の欠陥論理】である。

働く人は、労働力としての意義ではなく、生活の豊かさを求める「最大の顧客である」ことを忘れた【欠陥論理の経済学】が、この30年も広がってしまった。

経済成長が鈍化した先進国が、新自由主義経済学の横行によって、軒並みに「デフレ経済に落ち込んだ」のは、この【賃金政策の誤り】にある。

『最低保証賃金引上げ』は、底辺で働く人の収入を優先的に増加させて、総需要不足を改善するとともに、「成長の原動力となる生産性向上」を促すのである。(続)

 


アベノミクスではデフレ脱出できずアベノミライ路線に変更だ。

2016-07-28 | 経済問題

安倍政権の経済政策の行きつまりは、エンジンを再整備して全力でパワーを搾り出さなければ、「デフレ脱却」は実現できない。

安倍首相は3年以上も経ってやっと、従来の政策の延長である【超金融緩和】や、【公共事業の増額】では無理だと悟った様である。

参議院選挙の結果、国民は「野党の実行力不足よりも自民党政権のパワー」に期待して、単独過半数の議席を与えた。

従来のエンジンのままではデフレに逆戻りをするから、エンジンを全部分解点検して、現時点で最良の状態に整備しなければならない。

その整備のチェック項目のポイントは、『未来への投資』となって、将来世代の活躍のベースができるかにかかっている。

 

アベノミライ産業のベースとなるのは、「日本の国土を生かした次世代産業」であると認識すべきである。

例えば、[IT産業]のようなハイテク技術であっても、量産規模の拡大が産業としての勝敗を決めるような分野では、時間の経過とともに確実に大規模化に向かう。

日本は土地価格が高く、エネルギー費用が割高の国土であるから、価格競争になると不利な条件が多い。

すると、揺籃期の事業規模では日本で育成しても、市場が拡大する中で、「大企業の選択は海外生産」に移転するのは当然である。

[IT関連産業]は、20年間の育成期間を終えると、ほとんどは海外生産となって、日本に定着することはなかった。

 

「液晶技術は日本が最先端」であった時代は20年程度で、海外の勢力に価格競争で不利となって、その後は生産を海外に移転するか、海外の企業に事業全体を売却する事態に追い込まれる。

つまり、日本国内に生産拠点を継続的に維持できる産業を、国策として育成する事が賢い選択なのである。

アメリカで進行している産業を、今更日本に導入して追いつこうとするのは愚の骨頂である。

自動車産業の国内生産拠点が、日本にとどまっているのは、軽自動車や、環境先進技術の「ハイブリッド車」など、日本特有の市場の要求が強いからである。

 

アベノミライ戦略としては、日本の国土を活用した独自の魅力の産業でなければ、育成するに値しない。

その面で、世界に誇れる観光資源を最大限に活かし、「観光立国戦略」を立てて、20年計画で「インフラ整備」と「サービスソフト」を開発する。

地方創成の戦略と合わせて、地域社会の活力を最大に引き出す国策にするのだ。

その入り口として、地方人口を増やす方向の基本政策を立てる。

ところが「東京オリンピック」の開催は、逆方向への投資になりかねない。(続)


日本の周囲は風力発電の適地が膨大に控えている。

2016-07-27 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の次世代産業の候補に、「再生可能電力産業」が話題になることはない。

旧時代産業を守る姿勢が強すぎて、原子力発電や石炭火力発電の過去の技術に依存する産業が目立っている。

原子力発電産業が、日本の経済の中心となって1980年代から急速に普及が進みだして、民主党政権の時代には、電力の50%を原発に依存する計画であった。

しかし、電力業界の自己保身の体質が災いして、日本の国土の適合した「安全対策の強化」を怠って、ついに2011年3月11日に大事故を引き起こした。

日本の国土は災害のリスクが大きく、万全の安全対策は不可能である。

 

それでも、安倍政権は、【代替策の再生可能電力産業が未熟である現状】から、原発の再稼動を目指して、2030年には2割以上を原発の電力に依存する目論見だ。

だが、この長期計画があるために、再生可能電力の画期的な普及政策に踏み切れないでいる上に、事もあろうに【石炭火力発電に回帰】しようとしている。

目先の段階では、石炭火力発電の発電コストは安いかもしれないが、[CO2]排出ガスの規制を厳しくする必要のある2020年代になれば、発電コストは上昇する。

その時期には、「世界では風力発電の発電コストが一番安価」になることが予測されて、世界中の大手企業が「風力発電産業」に力を入れている時期になる。

その時期に、石炭火力発電の新規建設を始める国はほとんどないだろう。

 

ところが、日本の歴代政権は、日本の国土には風力発電の適地がほとんどなく、設置工事費も高くなるので、不適格な発電技術だと思い込んできた。

それに影響されて、日本の大企業は風力発電技術の開発に消極的になり、現在は世界で第13位に低迷している。

言い訳としては、日本の風力発電の賦存量が少なく、世界に展開するには不利な条件がありすぎるから、事業開発に負けてしまうのは仕方がない。という。

これは、【負け犬経営者の言い分】であって、日本の政治家はこの言い訳を鵜呑みにして、風力発電産業を国策で育てようとする意思が全くなかった。

しかし、3・11以後は、そのような言い訳や甘えは通用しないのである。

 

日本の沿岸部の海域には、洋上風力発電の適地が膨大にあり、枯渇しない資源だ。

しかし、また言い訳をする専門家が幅をきかしている。

日本の沿岸部は、遠浅の海がほとんどなく、洋上風力発電の設置ができるところは限られている、と言いだした。

しかし3・11以後にやっと「浮体式風力発電の技術開発」に動き出した成果が、

実績データを生み出して、将来の可能性を提供し始めている。

安倍政権と担当官庁のエリートたちは、洋上風力発電の基本となる技術開発には、素人同然であるから、その成果すら判断材料にできない。

日本の造船技術は世界一のレベルであったことを忘れているし、風力発電の基幹技術は「世界一流のレベル」である。

政治家の頭が4流であるから・・?(続)

 


再生可能電力の本命は大型風力発電であることが判明。

2016-07-26 | 快適エネルギー社会問題

成長戦略として「次世代産業の育成」には、長期的な確固とした方針のもとに、継続的な政策支援が必須である。

日本の代表的な自動車産業は、1960年代の幼稚な産業段階から、自由貿易の圧力が弱い段階から、関税障壁を設けて「国産車の企業を保護育成」を図ってきた。

【アメリカの排ガス規制による産業の危機】を、技術革新の梃子にして発展させて、ついには本家のアメリカよりも優れた製品と生産技術を育成できたのである。

自動車企業の必死の努力もあるが、国内には小型で品質のよい自動車を購入する「質の高いユーザー層」が育っていたのも、産業化には有利であった。

国民性にあった「燃料消費率の優秀な技術開発」も、『世界一の高品質・低燃費を実現』させて、世界中での普及拡大に優位性を発揮している。

 

エネルギー産業で再生可能電力の分野では、太陽光発電の技術開発が先行していたが、【政策支援の面で大きな失敗】をしてしまった。

今から取り戻そうとしても、日本の国土に合わない「日照率が低い地域」では、価格面での不利があって、普及量に限界が見えている。

さらに、送電線網の貧弱な現状を電力会社の利益優先方針に邪魔をされて、九州地区ではすでに設置拒否の動きが【新産業分野から脱落の原因】となった。

太陽光発電の関連産業を、次世代の基幹産業する路線は、このようなチグハグな政府の処置によって、もはや将来での主力産業への道は望みを絶たれている。

中国政府や欧州の太陽光発電の関連企業が、大きな失敗でもしない限り、日本は【太陽光発電産業では脱落】の運命にある。

 

このブログで取り上げた「風力発電の産業化」では、将来性はどうであろうか。

世界で急速に普及している「陸上大型風力発電の産業化」では、広大な国土に風力発電適地を抱えた国での普及が拡大している。

中国での普及拡大が加速したのはここ5年くらいであるが、中国政府の国策で「大規模化の技術開発」が進み、奥地の風力発電適地に拡大している。

大量生産が進み、設置工事も一気に効率のよい摂津工事ができるので、「風力発電コスト」の大幅な削減が進んだ。

今では、化石燃料の発電よりも、「安価な発電コスト」が実現して、将来性のある「陸上風力発電産業」に躍り出ている。

 

では、日本では挽回が可能であろうか。

日本の国土は狭く、陸上には「風力発電適地」は、限られている。

一気に設置できる場所はない上に、設置工事に必要な道路の建設も高くつく。

「陸上大型風力発電」の普及拡大は望みが全くないので、国内での設置がない「風力発電企業」の量産設備の規模拡大は、できない運命にある。

では、もはや風力発電の産業化は諦めざるを得ないと、判断する時期なのか?

とんでもない勘違いで、『風力発電の適地が日本には膨大にある』のだ。(続)


成長戦略に対して無知のまま、成長産業を潰した歴代政権。

2016-07-25 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の経済政策は、旧来型の輸出競争力を強化することばかりに力を入れている。

また、古典的な経済政策の公共事業への財政投融資に頼る。

本来の経済成長は、次世代産業の育成によって、小さく産んで大きく育てる、「長期的な育成政策」が不可欠なのだが、新産業分野に対して無知なレベルである。

特にエネルギー産業分野において、次世代の主力となる「再生可能電力の産業化」においては、将来展望もなく「原子力発電に依存」する大きな過ちを犯した。

ウラン燃料の枯渇問題に「楽観的な夢だけの高速増殖炉」に幻想を抱いたのは、完全な技術開発の展望を誤ってしまった。

 

さらに安全性確保の面でも、楽観的な予測ばかりを採用して、ついに【福島原発の大事故】に至っては、技術に対する信頼感を喪失している。

また、国土の特性をきちんと把握した上での、適切な技術手段を選択するべきだが、地震国、津波災害リスク、狭い国土、など、【原子力発電には一番適さない国土】であるのに、54基もの原子力発電所を設置してしまった。

この時期に脱原発を決断して、石炭産業のように安楽死に転換するべきである。

今後の30年間は、「原発廃炉事業を適切に戦略的に実行する」のがよい。

そして、余剰の技術者の活躍の場としては、「再生可能電力」の、革新的な技術開発と産業育成に、徹底的に重点を振り向けるべきである。

 

その技術開発力を「成長戦略として熟慮した基本方針」を策定して、内閣が交代しても一貫しての国策となる位置づけにするべきだろう。

再生可能電力のなかで、失敗事例として【太陽光発電の産業化の過ち】を上げておくべきだろう。

太陽光発電の技術開発は、1990年代の初期に産声をあげて、小規模で「技術開発に対する支援」が始まっている。

当時の太陽光パネルは、1kwhあたりの発電コストは、200円/kwh以上もしていて、とても将来の基本電力を賄う技術とは見られていなかった。

しかし、離党や僻地には適する面もあり、地道に将来の技術開発を続けていた。

 

太陽光発電の特性として、太陽光の日照率が優れた地域のは、発電量が増えて優位であるが、日本の国土のほとんどは、世界的には並以下のレベルである。

そのために、太陽光発電の発電コストは、世界的には大幅に低減できても、日本の場合には、常に「価格的には不利な条件が付きまとう」弱点がある。

それでも、技術開発力は日本が世界一で、2003年頃までは、世界一の設置量と生産量を達成していた。

ところが、経済産業省は【事業化の段階の戦略を軽視】して、政策的な補助を縮小してしまった。

この期間には中国が、徹底的な産業化を戦略的に実行して、世界一に踊りでた。(続)


新産業の育成には確固たる政府の方針と促進政策が必須だ。 

2016-07-24 | 快適エネルギー社会問題

世界では現在と将来において、確実に成長する新産業は、「再生可能エネルギー産業」である。

2000年代の初めから、京都議定書の国際条約によって、参加国の「CO2排出削減」が義務となり、化石燃料代替を図るための「新時代のエネルギー」となった。

欧州では、この機会をとらえて、国策として「産業育成の重点課題」となり、あらゆる政策を動員して、技術革新と産業化を図って現在に至っている。

今では、かなりの比率で各国の電力を賄っているが、化石燃料の輸入を抑制して、貿易収支の改善に貢献し、新規雇用の創出も達成している。

 

中国政府は、京都議定書では削減義務も負わないで、「再生可能電力」の普及には消極的とみられていたが、2003年には長期方針に風力発電を取り入れた。

さらに、日本が率先して技術開発をしてきた「太陽光発電の技術」を導入して、中国国内での生産力を増強して、国内への設置を図る方針に切り変えた。

その将来の目標設定が功を奏して、2014年には「太陽光発電の設置量」では、世界のトップに躍り出た。

これは、恵まれた「太陽光発電に適地が豊富にある国土」を利用できるので、中国が採用するには「最も適切な自給型エネルギー源」となっている。

日本では日照率が不利なために、発電コストが高い再生可能エネルギーとして、軽視する専門家が多く、せっかくの【技術開発が新産業に成長できなかった】。

 

また、中国の中央地帯には、風力発電の適地が豊富にあることに着目して、大型の陸上風力発電設備を開発して、2015年には「世界一の風力発電設置実績」を達成して、今や「再生可能電力の先進国」に躍進したのである。

中国では共産党政権の独裁の効率があるので、国策として決めれば、あらゆる障壁を度外視して、設置計画と工事が驚異的なスピードで進む実態がある。

日本では、風力発電の適地であっても、環境適合の調査や審査に、膨大な時間と人手を要するので、トータル的には化石燃料の発電コストよりも高くなる。

だが、中国では計画のスピードと、設置工事の大規模化が可能で、日本より大幅に安い発電コストで「風力発電の実績」が実現できるのである。

 

こうして、中国の電力は石炭火力発電が主力であったのを、再生可能電力の技術開発と大量生産の設備を導入して、今や世界一の規模に達した。

2003年頃には、日本は太陽光発電産業では、世界一の生産量と、技術水準であったのが、国策としての地域は低く、経済産業省は冷遇していたのである。

世界一の生産量であった「シャープの太陽光発電」の生産部門は、昨年には、赤字経営の埋め合わせのために、台湾の企業に買収されて、日本から流出した。

このような事例が、日本ではあらゆる方面に死屍累々として残り、成長の芽を潰してしまったのである。

アベノミクスの第3の矢は、潰れていて、新たに育てるには時間がかかる。(続)


安倍政権はデフレ対策に窮してなりふり構わずにカラふかし。

2016-07-23 | 経済問題

安倍政権は、デフレ脱却に向けて全ての手段を再度持ち出して、アベノミクスのエンジンを全開にする様相である。

超金融緩和の追加も検討した上で、マイナス金利を続けてとにかく市場のお金をだぶつかせるしかない。

さらに、公共事業の追加策を総動員して、20兆円規模の景気刺激対策を打ち出す覚悟である。

財源は国債の発行による借金であるが、マイナス金利の時代だから「国債の利子は最低で発行」できるので、借金の負担が増えることはない。

財政規律の目標を後ろ倒しすれば、プライマリーバランスは取れる筋書きだ。

 

政府が実際に「予算を組んで負担する金額」は、真水と呼ばれるが、3兆円程度であるから、財政規律は守っているとの言い訳はできる範囲である。

政府が低金利で集めた資金を、促進させたい事業に貸し付けて、事業を前倒しさせる「財政投融資」を拡大する。

代表的な事業は、「JR東海」が進めている「リニア中央新幹線」の名古屋・大阪間の開業を早めさせる案件だ。

JR東海の計画では、東京・名古屋間だけを先に開業して、途中の名古屋での従来の新幹線に乗り換える必要がある。

それを早めることで、大阪までの直行ができる時期が早まる、との効果が期待される。

 

この財政投融資の活用で、経済の活性化にどれほど貢献できるかは、未知数であり、今でさえ土木建設業界の仕事が集中している。

効果は「建設業界の人手が不足して、人件費が上昇するのは確実だ。

安倍政権は、アベノミクスで、働く人の給与増加の政策が欠落していてので、富裕層ばかりにお金が潤沢に集中して、需要の角田に結びつかなかった。

それで、大急ぎで、「同一労働同一賃金」を言い出してみたり、最低保障賃金の引き上げを、毎年3%以上を目標にして、時給1000円の実現を公約した。

公共事業の前倒しで、人手不足を招来して「賃金上昇」を狙うつもりか?

とにかく、なんでも良いから投資を促進して、給料を上げるしかないのだ。

 

この時期になっても、経済成長に貢献できる新産業の芽は、見えないテーマばかりである。

仕方がなく、バブル経済期のやり残し的な、「リニア新幹線」や、地方創生のインフラの名目で「整備新幹線」に望みを託す。

「大型クルーズ船」が寄港できる港の整備では、バブル時期を連想させる。

何故、世界の潮流となっている『再生可能エネルギー』の産業化が、最前線に浮上しないのかといえば、2000年代の始めの時期に、原子力を優先したためだ。

政府の確たる姿勢がないために、研究開発が冷蔵庫にしまわれたのである。(続)

 


アメリカも欧州もグローバル化に疑問が増加中で日本は。

2016-07-22 | 経済問題

ヨーロッパの将来目標であった「国境をなくす欧州連合」は、もはや崩壊する段階に入り、イギリスの離脱交渉は「2年間の期限を守るつもりのないイギリス」の老獪な交渉戦術で、迷走を続ける段階に入った。

アメリカの大統領候補者選びの段階で、共和党の従来の路線は、大きく疑問が出されて「トランプ支持派が半数以上」となって分裂様相である。

民主党路線も、多くの若者層や低所得者層を引きつけて「サンダース旋風」が広まったので、新自由主義路線への疑問で、分裂気味になる。

アメリカの路線の変更は、イギリスの離脱交渉にどのように影響するかは読めないが、従来の経済政策である「新自由主義」、「グローバル化」は転換に移る。

 

日本も「アベノミクス路線」による円安誘導段階は、一時的に成果を生んだが、輸出競争力の回復による経済成長路線は、幻想にしかならないと気がついた。

長年のデフレ脱却には、国内の需要回復が最優先課題で、そのためには、低所得者層の賃金の引き上げが必須である。

経済界に要求をいくらしても、グローバル化した市場経済では、効果はわずかしかなく、「トリクルダウン現象」は、淡い期待にすぎないと思い知らされた。

野党の看板であった「同一労働同一賃金」を打ち出して、従来の企業寄りの低賃金化で輸出競争力を維持する路線は放棄した。

 

つまり、新自由主義経済の理論に沿って、企業活動の規制を極力無くして、市場での競争原理に任せては、デフレ経済が長引くだけと、やっと気が付いたのだ。

世界経済の停滞現象の原因は、消費購買力の根幹となる「働く人の賃金上昇」を後回しにしたことである。

グローバル化の流れは、移民労働者を増やす方向になって、各国での最低賃金を引き下げるばかりであった。

それでも、新興国の過剰な労働力を利用する方が「コストダウンの効果」があれば、製造部門の海外移転が当然の流れになる。

製造業の海外流出は、雇用の空洞化を招き、慢性的な失業率の増大に落ち込む。

 

新自由主義経済と産業のグローバル化によって利益を得るのは、世界中に移動が自由になった「マネーゲーム参加の国際的な資本家」の集団だけである。

この集団が、あらゆる手段を使って「アメリカ政府の政策」を牛耳っていた。

ヨーロッパでは、イギリスのシティイに集結する金融業界が支配している。

「EU圏内の首脳」も、国際的な金融業界の支配下にあって、グローバル化の路線にしがみついているが、高い失業率の改善には手の打ちようがなくなっている。

日本だけは、移民の自由化もなく、グローバル化に抵抗しての規制が残っているので、低賃金化の流れに歯止めがかかる。

失業率の見かけ上の改善は、財政規律を後回しにした、国債発行にたよる借金体質での、公共事業と政府の無駄使いがなんとか役に立っている有様である。(続)


アメリカのの経済問題から世界は自由貿易の転換に入る。

2016-07-21 | 経済問題

アメリカの社会が、2000年代になってからおかしくなっているのは、誰の目にも明らかであろう。

史上最悪と言われたブッシュ大統領のイラク戦争以後に、収入格差の拡大が進み出し、中間層が減り始めていた。

さらに、不法移民の増加もあって「低所得者層の給与ダウンも進行」して、富裕層と低賃金労働者の経済格差は、許容レベルをはるかに超えていた。

民主党政権のオバマ大統領が誕生して、「チェンジ」を期待していたアメリカ国民は8年間の共和党の抵抗で改革が進まない現実にさらされた。

共和党は、小さな政府の基本があり、移民の自由、貿易自由化、金融規制の撤廃であり、民間企業の支援を基盤としている。

 

しかし、ブッシュ大統領以後の8年とオバマの7年間の15年間で、生活環境が低下している現実の不満が鬱積している。

その現象は「共和党の大統領候補者」に、自由貿易を否定してアメリカ国内の製造業を守る方針を掲げた「トランプ支持の流れ」が本格的になっている。

自分達の職場を脅かして生活を圧迫する原因は、「不法移民の流入だ」と感じていたアメリカ国民は、「メキシコとの国境に障壁を作る」とのスローガンに大いに賛同して、「アメリカの移民国家」の将来を転換しようとの動きである。

ついに、アメリカ国民も「イギリス国民と同様に自主義路線を転換せよ」との意見が多数派になっているのだろう。

 

民主党政権の方針も、自由貿易がアメリカ経済にとって良いことばかりではない、との流れに変わってきている。

民主党の大統領候補の「ヒラリー・クリントン」も、自由貿易がアメリカの労働者の利益にならない場合は、【TPP交渉を再検討】と言い出している。

この[TPPの目標の基本]は、移民の自由化は含んでいないが、アメリカ経済に活況をもたらす制度改革は、企業活動の国境の障壁を限りなくゼロにすることにある。

グローバル化した企業活動の自由化を狙っているので、「弱肉強食の経済活動」の障害になる国別の制度を、アメリカンスタンダード似合わせる狙いだ。

ところが、民主党支持層の大多数の働く人たちからすれば、海外の【賃金の安い国との競争を激化させる弊害】が、増加するだけに見える。

 

クリントン氏は【アメリカに不利な条項】は、再交渉で改革すると公約した。

共和党の半数以上の「トランプ支持」の動きによって、「アメリカンスタンダード」の国益を押し付ける潮流が主流になるだろう。

しかし、アメリカの国益になる根幹が、新自由主義の否定や移民の制限、製造業の保護となって、【TPP交渉のやり直し】は、来年の課題に持ち越すだろう。

アメリカの要求に押されて、国内の規制緩和を進める安倍政権は、「外圧利用の新自由主義路線」は、大きく転換する必要が生まれる。

再検討の必要性は必須だ。(続)

 


グローバル化によって先進国の消費者を冷遇し続けた成果は。

2016-07-20 | 経済問題

日本の経済は長期のデフレに停滞して、財政赤字を増やしてでも「景気浮揚政策」と称して、その都度のテコ入れをしてきたが、成果は出なかった。

その原因は、1990年代から推し進められてきた「グローバリゼーション」の進展が、企業の競争環境をムリヤリに、【勝ち残り競争に晒した】からである。

国境の障壁を限りなく無くしていくと、世界のどの国の企業とも競争をせざるを得なくなる。

企業は全世界の市場での競争で、少しでも優位に立っていないと、地位を脅かされるので「生産コストを削減する」ことを強いられる。

それまでは、人件費の削減は「生産性の向上」によってのみ、コストの削減であったのが、単純に【給与削減に向かって】行ったのだ。

 

グローバル化の進展がわずかの段階では、企業活動の原点は「国内需要の創出」が基本で、その中に『従業員の給与待遇の改善』も含まれていた。

お互いの企業が競争関係ではなく、『共創関係』にあるとの意識で、会社は従業員の生活向上が目的の一部にもなっていた。

それが、グローバル化した資本主義では、そんな悠長な甘い共創関係は消失して、過酷な市場競争だけの【弱肉強食の世界】に転換していく。

従業員の給与待遇は、退職を防ぐ範囲のギリギリのレベルに削減するのが、経営者の腕の見せ所となった。

さらに、仕事の内容を単純化して、低賃金労働者でも出来るように改善?した。

 

グローバル化経済が、国益になると勘違いをした【盲目的政治家】は、企業の要求を聞き入れて、「非正規雇用社員」の適用範囲を拡大し続けた。

これが、人件費の削減に効果を発揮したのは言うまでもない。

民間企業の価格競争力には、働く人の給料ダウンが必要で、個別の企業にとっては業績の改善に役立ち、政府、自治体にとっては、「企業の生産拠点の海外流出を防ぐことに成功」している、と幻想を持ってしまった。

しかし、新興国への生産拠点の流出は、止めることはできなかった。

新興国での消費購買力が増加して。需要が増えれば現地生産が有利になり、生産拠点の海外展開と販売流通も、現地での新規投資に向かうのは必然である。

 

グローバル化経済社会では、個別の企業が海外企業との競争にさらされるには当然の成り行きで、人件費は「削減対象のコスト要因」になる。

先進国の労働者の賃金が引き下げの圧力にさらされ、収入減少で「消費購買力の低下」は、慢性的な現象であるから、政府は需要創出に努力するしかない。

ところが、先進国の政治指導者たちは、需要の創出に、「公共事業への財政出動」くらいしか頭に浮かばないので、財政赤字の流れに落ち込んでいく。

それが限界に達して、【デフレ経済に停滞】し、経済成長率はマイナスになる。

収入格差の拡大は、社会的な不安定の大きな要因となって不満が爆発する。(続)


新自由主義の流れを転換する時期を逃しているのに先延ばし。

2016-07-19 | 国創り政治問題

イギリスのEU圏離脱の動きの原因は、移民の急増による社会不安の増大が「政府に対する不信任決議」を実現させたのである。

移民の増大を管理できない「EUの基本理念」は、【人の移動の自由化】をすすめる節度を無視して、実行したのが誤りであった。

「EU中央政府の首脳たち」は、この段階でも、道を引き返す事を拒み続けて「イギリスとの不毛の交渉」を続けるであろう。

EU首脳陣には、【基本方針の転換に対しての権限はないも同然】であるから、規則に従って手続きを進めるだけに、時間を浪費する事になる。

その期間に、次の離脱候補国が、その様子を伺いながら不安定な状態が続く。

 

イギリスの場合は、通貨の統合を疑問視して、「共通通貨ユーロ」には参加しなかったので、[EU圏からの離脱]は影響が少ないであろう。

国民投票の結果を受けて、イギリスの「通貨ポンドは大幅な下落」を起こしたために、イギリスの経済的な力は「平価切下げによって強化」されたのである。

「日本のソフトバンク」が、この時期を逃さずに「ARMの買収」を決断したのは、ユーロ不参加でポンド維持をしていたので、為替レート調整の効果が生きたのだ。

しかし、イタリアやスペインなどの、ユーロ通貨に参加している国では、「EU

圏からの離脱」には、大きな障壁になる。

 

EU構築の基本は、将来的には国境を廃止にして、「中央政府が政治権限を掌握して一つの大国」になるのが目的であった。

その過程において、「人に移動の自由化、移民の奨励」は当然のこととして、弊害に対する真剣な検討は、おろそかになっていたのだ。

言語も違い、文化的にも融合するのは不可能な国の低所得者層が、大量に移住して異国の地域に、集団居住地を作るのは。弊害になることを予想できなかった。

イギリスの場合は、共通通貨の障壁がないために、国民投票で国論が割れても、この機会に、「EU圏からの離脱」を決めた上で、その後の経済的なメリットを追求する条件交渉を継続するであろう。

2年間で決着しなくても、イギリスにとっては有利な条件を引き出すまでは、結論を急がない方針だ。

 

しかし、移民問題はイギリスが抜けでた分だけ、他の経済水準が高い国に東欧からの移民が増えるのは確実だ。

当然のこととして、イタリアやスペインは低所得者層の賃金がさらに引き下げられる流れとなって、移民抑制がなければ離脱要求が強化される。

それでも、「EUの中央政府」は、大量移民の適正な管理は、無為無策の状態が続くしかない。

さらに、中東難民の受け入れ義務人数の割り当てでは、全く不毛の議論が繰り返されて、EUの中央政府の無能ぶりをさらして先送りするだけになる。(続)

 


国民の幸せを支援する国の責任は自由化ではなく節度ある規制。

2016-07-18 | 国創り政治問題

新自由主義経済の潮流によって、国境の壁を取り除いていくことが、絶対的な善の方向であると、思い込みが浸透してしまった。

物の移動の自由化は、貿易障壁を取り除くことが、近代化の流れとなった。

お金の自由化は、「金融ビッグバン」に始まって、世界中を自由に移動できる仕組みが出来上がらり、「マネーゲームが日常」になっている。

さらに、EUの将来像は、人の移動を自由にして活力を最大に活かす、「一つの国を作る事」を目標として、[EU圏内の国民]は移民が自由にされている。

これが、【机上の幻想にすぎない誤った制度】であることが、明らかになった。

 

イギリスは、近年の東欧諸国からの移民の急増で、地域社会が東欧諸国の人たちの集団によって、コミュニティの崩壊が始まってしまった。

地域の伝統文化に溶け込まずに、移住してきても「母国語だけ話す住民」が、地域の一画を閉めてしまうのは、我慢する事は出来ない。

イギリス政府の主権が制限されて、移民の抑制もできない事態は、もはや国の機能を持っていない、[EUの中央政府]の下請け政府組織に、甘んじてしまう。

キャメロン首相が、移民の増加を10万人以下に抑制すると政権公約をしたにもかかわらず、33万人以上に急増している。

それでも、経済成長の政策のためには、【EU圏内に残留】をかけて、国民投票を実施したことによって、無為無策の政府の実態が浮き彫りになったのだ。

 

後継の女性首相メイ氏は、EU中央政府に「離脱交渉通知」をできるだけ引き伸ばして、離脱の原因となっている「東欧移民の上限抑制」を打ち出すだろう。

そうはいっても、「EUの基本理念の人の移動の自由化」に反発して、制限する方向であるから、1年どころか2年間でもまとまらない。

その間には、同様に移民問題に悩まされている「イタリア」や「フランス」も、国内世論の動向によっては、移民制限を言い出さざるを得なくなる。

それに輪をかけて、中東からの大量の難民の発生が止まる兆候もないので、難民の受け入れ義務の分担でも、各国の事情がぶつかり合うであろう。

 

東欧諸国のように経済水準が未成熟の段階の国を、同一の自由化目標の「EU圏」に加盟させた段階から、【大きな誤りの路線を進んで】しまったのだ。

ギリシャのように脱落する国があっても、小国で経済規模の小さな地域であれば、裕福な国(現時点ではドイツ)の経済力で、経済再生の支援も可能であろう。

しかし東欧圏のポーランドでは、経済で雇用水準が悪い地域の住民が、少しでも暮らしが楽になる国に移住する決意をするのは、当然の成り行きである。

ポーランドからイギリスに移住した住民の累計人数は、すでに200万人を超えた。

これでは、イギリス政府が国民の「幸せを支援」する政策を打ち続けても、低賃金労働者を求める企業の利益追求路線には、対応するのは不可能である。

政府がやるべき事は、節度を持たせて自国民の生活水準を守るのが最優先だ。(続)


EUの失敗を教訓にして成長産業が育つ機会を潰さないこと。

2016-07-17 | 国創り政治問題

欧州経済の先行きは[EU圏の基本理念の人の移動の自由]を、制限する方向に転換しなければ、崩壊は避けられないであろう。

欧州共同体(EC)を設立した、フランスやイタリアですら、「EU圏」に止まることに反対する国民が増えているのは、各国での経済不況と高い失業率が原因だ。

フランスでは不景気と13%以上の失業率が続き、特に若い世代の生活不安が慢性的に増加している。

そこに東欧諸国からの移民が加わって上に、中東の内戦による「難民の大量発生を受け入れる義務が生まれる」ことに、反感が大きくなっている。

人道的な見地からの救済が必要だと言っても、まず自分の生活すらおぼつかない。

 

日本では、幸いなことに「移民の急増問題には無縁」で過ごしてきた。

東南アジアや中東からの難民の受け入れも、難民認定の審査を厳重にして、受け入れる人数は、わずかであるから【日本人には移民の急増の弊害】は実感が無い。

今後も、一部の企業から人手不足だから「外国人労働者を移民として受け入れ」を緩和して増やすべき、との身勝手な要求が出される。

募集しても人が来ないのではない。

職種の技能レベルと、労働のきつさに応じた「納得のいく給与」が支払われれば、他の業種から転じてくる求職者は十分にいるのだ。

 

最低保障賃金が時給800円以下で、人を募集しても応募者がいなくなるのは、好景気の証拠にもなる。

早急に時給1000円以上に引きあげれば、日本での働き手は供給されるのだ。

それでも不足する時代が到来するのに備えて、省力化の設備や技術開発、システム開発を積極的に奨励して、新技術を導入するのに、誘導的な減税措置をする。

こうして技術開発が進むと、成功事例を見た他社が、新設備の投資を活発化する。

政府が躍起となって設備投資を要請しても、消費購買力が落地混んでいる段階では、おいそれと新設備の投資をしないが、人手不足が明確ならば迷わず投資する。

 

もし、経団連の守旧派企業などが、【外国人労働者の条件緩和】を要請して、安倍政権が経済対策として採用したならば、この省力化の流れが一気に止まる。

持続的な経済成長を目指して、次世代産業の育成に躍起となっているのに、安易な外国人労働者に依存するようでは、成長戦略を壊すシグナルになるのだ。

政府が将来とも外国人労働者の人数を厳重に制限して、日本人の働き手の育成と、省力化の方向を堅持する姿勢を示せば、新進気鋭の企業が参入してくる。

このようにして、将来世代の成長産業が育成される条件が整うのである。

エネルギー産業でも、旧時代の原始力発電や石炭火力発電にしがみついて、再稼働や新設の動きを続ければ、再生可能エネルギー発電や代替燃料への、研究投資が抑制される。

新産業育成の機会を自から潰すようでは、政権担当の見識も能力もない。(続)