超金融緩和政策は、国債の長期金利を低く維持し続けることで、経済の活性化を期待する。
しかし、日本の様な国の借金が、「膨大な量に積み上がっている国」での実験的な金融政策は、どこに抜けがあるのか、当時者でさえ判らない状態だ。
アベノミクスの第一の矢は、「超金融緩和」によって、市場に流通するお金の量を大量に増やしていけば、「市場での取引が活発化」して、物価の下落が止められる筈だ、という狙いである。
しかし、この狙いは【マトハズレ】であるが、混乱した現象を起こしている。
現実的には、通貨の量が増えると「物価上昇」を起こすと言う理屈は、成り立っていない。
7月までの実績で、現実の物価は上がり始めているが、これは、「為替が円安基調に変化」した影響で、化石燃料価格や輸入食料品の価格が上がってしまった影響を受けて、小売価格にまで波及した【悪い物価上昇】による。
これで、物価の下落が続く【デフレ現象】は、止まることになるが、もともとの狙いは、「デフレ経済から離脱して景気回復」を狙う筈であった。
だが、現時点での物価上昇は、「輸入価格の値上げによる消費者へのしわ寄せ的物価上昇」だけ、引き起こされている。
それでも、なんとなく景気が上向きの様な風潮になっているのは、何故なのか。
それは、日本円が大量に日銀から銀行まで流通量が増えれば、間違いなく円の価値が下がるので、「国際投機資金が利ザヤ稼ぎの場」として、「円安へ投機」に走ったからである。
実際に「円安の好影響」は、一部の輸出依存企業は大幅に収益を改善できた。
また、為替取引や株価に上昇機運で、もうけが出た金融関連企業では、【バブル景気の機運】で収益改善が大幅にすすんだ。
でも一時的な収入とみて、「新規の投資」や「従業員への給料アップ」はしない。
超金融緩和による「市場へのマネーサプライの増加」は、現実の市場取引の活発化(企業の設備投資、消費者の購買量の増加)を、引き起こしていない。
むしろ、あだ花的な、「ミニ金融バブルの一時収入」や、一部の「輸出依存企業の収益」向上だけで、そのお金の出所は、大多数の消費者の懐からである。
アベノミクスの「超金融緩和」により、市場へ大量におカネを流通させれば、「実際の消費や企業に設備投資が増える」理屈は【完全にマトハズレ】なのだ。(続)