庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経済政策として矛盾だらけのアベノミクスの混乱ぶり。

2013-08-31 | 経済問題

超金融緩和政策は、国債の長期金利を低く維持し続けることで、経済の活性化を期待する。

しかし、日本の様な国の借金が、「膨大な量に積み上がっている国」での実験的な金融政策は、どこに抜けがあるのか、当時者でさえ判らない状態だ。

アベノミクスの第一の矢は、「超金融緩和」によって、市場に流通するお金の量を大量に増やしていけば、「市場での取引が活発化」して、物価の下落が止められる筈だ、という狙いである。

しかし、この狙いは【マトハズレ】であるが、混乱した現象を起こしている。

 

現実的には、通貨の量が増えると「物価上昇」を起こすと言う理屈は、成り立っていない。

7月までの実績で、現実の物価は上がり始めているが、これは、「為替が円安基調に変化」した影響で、化石燃料価格や輸入食料品の価格が上がってしまった影響を受けて、小売価格にまで波及した【悪い物価上昇】による。

これで、物価の下落が続く【デフレ現象】は、止まることになるが、もともとの狙いは、「デフレ経済から離脱して景気回復」を狙う筈であった。

だが、現時点での物価上昇は、「輸入価格の値上げによる消費者へのしわ寄せ的物価上昇」だけ、引き起こされている。

 

それでも、なんとなく景気が上向きの様な風潮になっているのは、何故なのか。

それは、日本円が大量に日銀から銀行まで流通量が増えれば、間違いなく円の価値が下がるので、「国際投機資金が利ザヤ稼ぎの場」として、「円安へ投機」に走ったからである。

実際に「円安の好影響」は、一部の輸出依存企業は大幅に収益を改善できた。

また、為替取引や株価に上昇機運で、もうけが出た金融関連企業では、【バブル景気の機運】で収益改善が大幅にすすんだ。

でも一時的な収入とみて、「新規の投資」や「従業員への給料アップ」はしない。

 

超金融緩和による「市場へのマネーサプライの増加」は、現実の市場取引の活発化(企業の設備投資、消費者の購買量の増加)を、引き起こしていない。

むしろ、あだ花的な、「ミニ金融バブルの一時収入」や、一部の「輸出依存企業の収益」向上だけで、そのお金の出所は、大多数の消費者の懐からである。

アベノミクスの「超金融緩和」により、市場へ大量におカネを流通させれば、「実際の消費や企業に設備投資が増える」理屈は【完全にマトハズレ】なのだ。(続)


アベノミクスの懸念の汚染水漏れはどうするつもりなのか。

2013-08-30 | 経済問題

安倍政権の閣僚は、日本経済が停滞している原因を判っていない。

日本の国民が将来の生活に不安を持っている状態を、「先行きの生活が安心出来る」環境に向けて進んでいると実感してもらうのが優先すべきことなのだ。

ところが、「デフレ経済の脱却」が、最優先だと勘違いしている。

デフレ状況は、働く人の給料が下がり続け、企業活動が縮小して雇用の不安が広がることが問題であるが、インフレに転じれば良いと言えるのではない。

物価が上がっても、収入が増えずに雇用の不安定が続く様では、逆効果なのだ。

 

アベノミクスは、「新自由主義経済」という原子炉が、炉心溶融と放射能漏れによって、汚染された排水が垂れ流されている状況に酷似している。

金融バブルが、「リーマンショック」によって、炉心溶融を起こしてしまった。

これを冷却するために、「超金融緩和」という冷却水を大量に送り込み、壊滅的な破壊は免れているが、ヒトビトの生活を脅かす【金融投機資金】という「放射能汚染された冷却水」が市場経済に拡大して溜まり続けている。

この投機資金が、経済構造の弱いところを狙って汚染水漏れを起こして、世界中の金融商品市場や資源市場、食料市場の価格乱高下の害悪を及ぼす。

 

どこで漏れ出しているかも判らないまま、「ツギハギだらけの冷却水タンク」を造り続けて、汚染水がたまるママに、タンクの増設ばかりに専念している。

この原子炉の破壊状況の後始末も全く出来ない「東京電力」の実力は、呆れかえる状況だが、【新自由主義】を過信している「安倍政権」も怪しい状況だ。

いったん、金融界の大地震や大津波に襲われたら、「超金融緩和による投機資金」という放射性物質が、拡散して経済を混乱させる。

原子炉を守り抜く「非常用電源」の備えは万全か。

非常用の安全弁の「ベント装置」は、確実に備えてあるのか。

爆発を免れる為の操作や心構えは出来ているのか。

 

安倍政権の「超金融緩和経済」に対する備えは、東京電力の【原発安全過信】のお粗末さと同等か、あるいは、それ以下の能力でしかない。

「超金融緩和経済の制御」の方法も知らず、非常時の備えの装備(法制度や対応する組織)もなく、ただ、物価上昇を導く「インフレターゲット政策」の果実だけを夢想している。

金融大恐慌という「メルトダウン」に対して、汚染水漏れを続ける「ツギハギタンク」を増設するだけの能力しか、持っていない様だ。(続)


日本のモノ創りの歴史は既存の製品を独自の感性で磨く。

2013-08-29 | 国創り政治問題

日本の高度経済成長の時代には、国や民間がモノ創りを目標にして、新しい価値の創出を目指して努力してきた。

それは、欧米の先進国で成功している事例が見える形で普及している製品を、日本的な感覚で改良を重ねることであった。

また、日本人の感性に合った魅力を既存の製品に付け加えることで、「付加価値を強化する」ことも得意技で成功させてきた。

「きめ細かさ」や「小型化」など、国民の感性が製品改良を求めたのである。

 

この様な「日本人の感性に即して改良を重ねた製品」が、あらゆる分野で進化を遂げて、その一部は、海外でも圧倒的な人気を得て、輸出に貢献した。

高品質の自動車製品や小型で使いやすい電子機器など、日本で進化を遂げて世界中に広まった商品は、数多くあげられる。

ところが世界中に広まれば、現地での販売増大に応えて、価格を引き下げる方向や現地生産の要求が強まり、輸出依存度は減って行く運命になる。

この時点で、日本での生産を続ける商品としては、より一層の「日本人的感性による価値の創造」に向けて行かなければならないのだ。

 

ところが、この時期に識者と言われる評論家や経済専門家は、輸出競争力を維持するには、価格の低減と国際標準に向けての改変が必要だとした。

日本人の感性によって、新しい付加価値を追加した商品を出している企業を「ガラパゴス的進化(ダ―ウインの進化論)」として、亜流の方向だと批判した。

また、標準化、大量生産こそが「価格競争力維持」の原点だとして、コストダウンの努力をすべきと断定した。

日本的な特徴を活かす方向を、間違った経済活動だとして「付加価値を追求する路線」は、オタクの嗜好に沿う様な「マイナー指向」だとして軽視した。

 

この価格追求路線と国際標準化追従路線が、日本の製造産業を軒並み「海外生産移転の投資」に向かわせてしまった。

また、国内に留まる生産拠点も「人件費削減、臨時雇用拡大」に向かわせて、働く人への給料削減に邁進してしまったのである。

いまだに「マイナーな付加価値を追求する路線」を、日本が世界から途絶する[ガラパゴス化]と、否定的に批判する20世紀の時代のママの経済人がいる。

この様な旧時代感覚の専門家は早々に退場してもらい、新しい付加価値の創造は、モノ創りもソフトパワーも「オタク文化の追求」をベースに据えるのだ。


脱お役所感覚を育成するのもソフトパワーの柔軟思考で。

2013-08-28 | 国創り政治問題

ソフトパワーの振興を支援する制度として、国の税金を使った「クール・ジャパン・ファンド」を創設して、後押しとする試みは成功の可能性は少ない。

それ故に、官庁が推進しようとする課題は、常に「ハード(技術・モノ)パワー」にしか向けられなかった。

将来の日本の国創りにおいて、「ソフトパワーの価値を創造する」ことは、大変に重要な課題であるから、今回の様に「官製のファンドを創って支援する」試みは、今までの殻を破った施策で、それ点では評価出来るだろう。

 

しかし、その先の発想で、すべて「中央官庁の管轄下」において、責任者や委員(取締役)の人選を行い、権限を保持しようとする感覚が、もうすでに「ソフトパワー育成」には、不適格なのである。

その上、ソフトパワーは、地元の文化、人脈、気質、など、中央で統制したら魅力が薄れてしまう要素が重要なベースとなる。

支援すべき案件の審査をする委員が、地元の感性を理解できない様な人では、せっかくのソフトパワーの芽も、摘み取って潰してしまうだろう。

だから、可能な限り地元に近い感性で、育成する環境が必要なのである。

 

この様に考えれば、中央ファンドの権限から離脱して「独自の判断と支援」ができる組織を5地域に創設することが、より地元に近い感性で運営ができる。

ひとつの組織で統合するのではなく、6箇所の組織で、多様な感性の下に、柔軟な運営で育成する試みをして行くのだ。

対象とする案件を選ぶ入口が一挙に広がることで、より多くのテーマとアイデアが、支援を受けるチャンスが増える。

あるファンドで落選した場合でも、熱意と創意で、他のファンドに再チャレンジをする機会が多くなり、アイデアの発掘が活発になるだろう。

 

もし、ソフトパワー育成に「ひとつの独占的な官製ファンド」で進めて行った場合には、うまくいかない場合も、ファンドの運営責任があいまいになる。

全国で6箇所のファンドで「競争的に運営」すれば、ファンドの運営の良しあしが、数年のうちに日の下に晒される。

ウカウカしていれば、その責任者と取締役は、解任の憂き目にあうケースも出るので、運営に対する真剣度が違ってくるだろう。

 

ソフトパワー育成の成功率は1割程度とみられるが、これが2割にも3割にも向上する可能性が出てくる。

これこそが税金の有益な使い方になるのだ。

 


官僚が関与するソフトパワーの仕組みでは9割は失敗に。

2013-08-27 | 国創り政治問題

日本の国土と長い歴史のなかで、日本人が培ってきた『独自の文化と感性』は世界に誇れる『価値のあるソフトパワー』である。

古くは江戸時代に発展した「浮世絵の芸術性」は、西洋絵画に多くの影響を及ぼし、欧米の愛好家の評価も得て「収集の対象としての価値」が生まれている。

また、伝統的な食文化の上に、現代で一般性を確立した「和食文化」も、今や海外の富裕層には多くのファンを獲得して、世界で最も優れたソフトパワーだ。

日本で進化したアニメの発展は、今や世界中の子供達や若者の心を捉えている。

 

この優れた『ソフトパワーの力』を、経済成長に役立たせようと考えるのも、うなずけないでもない。

しかし、それを官製のファンドで後押しをして【リターンを追い求める】成果とか、「雇用創出に貢献」するなどの、短急な効果を期待するのは間違いだ。

ソフトパワーを育成する土壌は、お役所感覚とは正反対の性格が強いのである。

規則に縛られない発想や、数値に表わすことができない感性、そして、従来にない型破りなことも、積極的に追い求める「狂気の執念・沙汰」が必要になる。

 

お役所の支援となれば、必ず「補助金的な性格」を帯びることになり、その支援の適格性を「お役所的な尺度と理屈」で評価し、支援対象にするか判断する。

お役所の審査に合格する様な「ソフトパワー」は、見せかけだけの魅力で、全く普及させる価値もないものに偏ってしまうだろう。

それを、国がお金を出して、「成長する事業にしてリターンを求める」などは、それこそ、お役所の言う、「理屈に合わない案件への税金の使い方」になるのだ。

これでは90%は数年で失敗の見込みとなって、中断するのは間違いないだろう。

でも10%程度は成功する可能性も残っている、と言えるかもしれない。

 

新しい「付加価値の創造」という挑戦は、一朝一夕の努力で成功するとは限らないし、回りの環境の変化にも影響される長期的な継続は必要である。

小規模での民間チャレンジも重要だが、「官製のファンド」による国の後押しでも、「挑戦者にとってはありがたい」と言える支援にもなる。

そこで10%程度の成功率でも、複数の組織に「ファンドの運営責任」を分散させて、ソフトパワーの感性を磨く「切磋琢磨の環境」においてはどうだろうか。

「中央官庁ファンド」に対して、「西日本ファンド」「関西ファンド」「中部日本ファンド」「東日本ファンド」「北海道・東北ファンド」を設立する。

その地域特性と文化を「中央とは違った感性」で、育成を競いあう仕組みだ。(続)


新付加価値を創造するのは民間だが支援は官僚で・・?

2013-08-26 | 国創り政治問題

日本の優れた面を海外に売り込む手助けをする「アベノミクスの第3の矢」として、国が出資する「株式会社クールジャパン推進機構」が立ちあがる。

その中でも国が「500億円の財政資金」を投入する「クール・ジャパン・ファンド」は、経済産業省の「海外需要開拓支援機構」が推進する計画だという。

この仕組みの狙いと運営は、どの様なモノなのか、見てみよう。

日本の『ソフトパワー(自然に人の心をとらえる力)』を「稼ぐ力」に換えて、雇用の創出を目指す。これが狙いだとしている。

 

ではその制度と運営はどうするつもりなのだろう。

ファンドを運営するのは、株式会社で「最高責任者(CEO)と取締役」は3~7人で、民間人で「委員会を構成して投資先を決める」ことになる。

投資先となるプロジェクトは、「娯楽やファッション、食などの日本の強みを発揮できる拠点空間を構築する」目的で、民間企業連合が『プロジェクト運営会社』を設立して出資する。

このプロジェクトの内容を、「クールジャパンファンドの委員会」が評価し、出資の可否を判断して、呼び水としての資金供給をする。

 

このファンドの運営会社は、資金の出し手に留まらず、民間の資金を引き出す力や「異業種間を取り持つ調整力」を必要とする。

投資である以上は、確実に回収して見返りを得ることが求められる。

言ってみれば、国の資金を使って「ベンチャー企業」へ投資をして、成功の暁にはリターンを得られる「投資エンジェルの役割」を、官製のファンドで進め様という考えだ。

プロジェクト案件は「アパレルのモール」や、「アニメや音楽のチャンネル運営」とか、「各地のご当地グルメのフードコート」など、が候補に挙げられている。

 

この様なベンチャー企業支援は、本来は「リスクが大きいがリターンを期待」する、民間企業に仕事である。

これに、官製のファンドを創って「リスクを国、官僚がとる」というのだ。

もともと「ソフトパワーの領域」は、ヒトに感性に訴える商品やサービスの分野で、規則と論理で動くお役所の世界とは、もっともかけ離れた分野である。

運営会社の委員は、民間人を起用すると言うが、お役所に受けのよい民間人の登用しか実現しないだろう。

このファンドを運営する「お役人の天下り先」になる効果くらいは期待出来る。


高付加価値のモノ創りは地味な下支え役に徹する。

2013-08-25 | 交通問題・自動車

日本の新技術による「高付加価値」の商品は、農産物関連には人知れない「地域の特産品」が、まだまだ、数多く埋もれている。

これらの「地域社会と地元事業者」が、粘り強く品質を追求して改良を重ねてきた「他国の真似の出来ない高付加価値」が、日本の地域経済を支えて行く事は間違いない。

中央政府は、この様な「地域の自立的な努力」を縁の下で支える仕事をすべきで、派手な成長戦略などに取り込んで、下手な先導をすることは止めるべきだ。

下支えの役割に徹するのが、行政と政治家が心しておくべきことだ。

 

『縁の下の力持ち』。目立たない存在だが、なくてはならない重要な役割を担うモノやシステムは、日本の中で探せば各分野に存在する。

朝日新聞8月22日付6面経済欄に、小さな扱いであったが、鉄道用の車輪の話題が掲載されていたので、紹介して参考にしてみよう。

鉄道の技術と言えば「新幹線技術」がすぐに思い浮かぶが、この技術を支える「縁の下の力持ち」は、鉄道車輪の優れた材料と加工技術によるものだ。

国内の生産は「新日鉄住金」が唯一の車輪工場を稼働して供給される。

 

車輪の生産は国内向け10万枚、海外向け7万枚で、今後の課題は輸出向けの開拓である。

新しい製品として『鉱山向け鉄道向け』の頑丈な車輪を開発し、オーストラリアやブラジルなど資源国への拡大をはかる。

新技術によって、従来の2.5倍の貨物を載せて運べる「頑丈で摩耗しにくい」製品を創りだした。

鋼材の成分や加工法の改良で、海外の製品とは格段に違いがある高品質製品だ。

これにより、価格競争力などには一切の影響を受けない事業となっている。

 

新日鉄住金は2011年にアメリカ大手の車輪メーカー、スタンダードスチール社を買収して、日本の大阪市の工場と合わせて、世界の鉄道車輪の年間販売量の1割を生産している。

海外の工場でも、日本で新開発した高品質の車輪を製造出来る様に準備を進めて、「高付加価値商品」によって事業の拡大を図る計画だ。

安倍政権の掲げる「円安誘導」や、「成長戦略」などとは無関係に、「民間企業の英知と努力」で、高付加価値を生み出すことに専念している。

円高対策や法人税の減税を「懇願する経団連の旧感覚」とは全く違っている。


高付加価値を生み出す日本社会は、これからが本番の時代。

2013-08-24 | 経済問題

日本の経済成長のモトになる「高付加価値を生み出す新技術」は、1980年代の「不動産バブル経済」の時代に始まっている。

その時期には、日本の技術開発は、アメリカやヨーロッパの技術水準に追いついて「商品化が具体化」した時代であった

新技術と言うと、「具体的なモノ」とか「工業製品」のことしか頭に浮かばないかもしれないが、このでは、「農産品の高品質栽培技術」も含むし、消費者が便利と思う『新しいシステムを創りだす技術』も、当然含むのである。

 

日本が貿易黒字を続けて「市場開放」をアメリカが強く迫った時代があった。

アメリカは、農産物のリンゴやサクランボを「日本が関税障害を設けて輸入制限している」のは、不公正だと迫り、強引に関税引き下げを迫った。

日本の「果樹栽培の農家」は、アメリカの安い果樹に、市場を奪われるとなって、日本独自の風土を活かして「品質の高い栽培技術」を生み出した。

30年経ったいまでは、「リンゴの高級品」は、日本の特産品となった。

[サクランボ]は山形産の高級ブランドが生まれ、海外の富裕層に輸出される。

ミカン類は、アメリカオレンジに対抗して、品質の良い品種を生み出している。

独自の栽培技術を磨きあげて、日本の果樹は「高付加価値商品」となった。

 

日本の「コンビニエンス・ストア」は、アメリカ流の店造りの後追いであった。

しかし、日本の経営者は、日本独自のサービスの向上とコンビニ商品の開拓によって、今や『世界の最先端を行く流通業システム』を創りだしたのである。

超大型店舗による「スーパーマーケット」システムは、アメリカ流の郊外型の大量販売システムとして、世界中に広まっている。

しかし、日本は大型スーパーの欠点を補う、都会型、市街地型の流通システムとして、「コンビニシステム」の技術を開発して、今や世界各地に「日本流の便利で消費者ニーズを捉える販売技術」を広めている。

 

「高品質果樹類」や、「コンビニ・システム」は、日本の技術で発展した『新しい付加価値商品・サービス』である。

ところが、この分野の輸出額は、今のところ「日本の貿易収支」には、目に見えるほどの貢献をしていないので、メマスメディアは軽視している。

しかし、間違いなく「日本のGDP(国内総生産)」には成果をうみだし、雇用の創出においては、抜群の貢献度である。

日本人の感性と創造する力が生み出す「高付加価値」は、これからが本番だ。


グローバル化した世界の経済構造では内需重視に向けよ。

2013-08-23 | 経済問題

日本の政権がとって来た経済政策は、1980年代までの発想である「輸出による経済成長」の方針にこだわってきた。

国内経済の停滞が1990年代から始まっていてが、経済成長には【輸出競争力】が強い産業を後押しして、とにかく、国内需要の頭打ちを輸出でカバーした。

貿易収支が『大幅な黒字』を続けた結果、日本円は高値を更新し続けて、一時は80円/ドルを記録する円高に進んでしまった。

海外からは、「内需の強化」をすべきと、日本政府に要求をしてきたが、【不動産バブルの後遺症】に引きずられて、経済不況のママで需要不足に停滞した。

 

2000年代に入ってからは、小泉政権の構造改革路線の影響で、円安に進みだした影響で「輸出競争力の回復」によって、また以前の経済成長策である「輸出依存の経済」に戻ってしまった。

それも、【価格競争力の回復】に依存したために、国内の労働分配率を下げ続けて、働く人たちへのお金を縮小したので、国内消費は冷え込んだママだ。

さらに、国内の需要が増えないのを見越して、民間企業は設備投資も控えて、儲けのほとんどを内部留保の資金として、貯め込むことになる。

これで一層、国内経済は【デフレ経済】に落ち込んだままの悪循環になった。

 

世界の経済構造が変化して新興国の生活水準が向上し出した段階から、先進国では「輸出依存の経済」にしがみついていては、国内の需要不足に陥る。

それを、政府の公共事業を増加させて補う「ケインズ経済」で一時しのぎをする政策は、国と自治体の借金を膨らませることで、行きづまっていく。

そうなる前に、『国内需要を喚起する付加価値商品の創造』が必要であるが、日本では、付加価値を創りだす産業は、ホンの一部に留まってしまった。

自動車産業での『ハイブリッド車』の新分野の創出は、少ない成功事例である。

 

日本は【価格競争力に頼る】モノ作りから、『新時代の要求に応える高付加価値』の「モノ創り・サービス創り」に転換しなければならないのだ。

今までにない「購買意欲を引き出す高付加価値」を、民間企業が競って生み出せば、国内で貯蓄に回されたお金が、消費に向かって動き出す。

それに応えて民間企業の内部留保資金が「新たな設備投資」に回り、国内での「総需要を大幅に増加」させる。

国民も民間企業も、新たな「高付加価値の商品」を軸にして、経済活動が活性化する『生活の質のレベルアップ社会』に転換出来るのである。


日本政府の打ち出してきた政策は消費意欲の減少を招く。

2013-08-22 | 経済問題

グローバル化が進んだ先進国では、国内の需要が頭打ちになるのは必然である。

それを補う方策として、先進国の技術優位で新興国の市場に向けて「生産量を拡大するメリット」を活かして、「輸出で稼ぐ」流れが出来てきた。

新興国の経済水準が低いうちは、まだこの輸出で稼ぐ構図が成り立っていたが、新興国の経済は発展して、輸出よりも生産移転による方が、企業にとってのメリットが多くなる。

新興国に工場を移転して技術支援を進めて行けば、現地メーカーの力もついて、

輸出ができるレベルの品質の商品が生産可能になる。

 

この段階に達した商品の分野では、日本国内での生産において、新規の設備投資はおきなくなる。

かっての二輪車生産や軽家電製造が、新興国の生産に移転し、その後には大型家電や自動車生産が続々と現地生産を拡大する様になった。

それに伴って、部品製造メーカーも現地生産が主力になり、素材生産の「大規模設備を要する企業」は、設備過剰に陥って、老朽化とともに国内生産の拠点を集約して縮小の一途になっている。

 

国内生産で成り立つ産業は、「日本独自の付加価値を創造した商品」を生み出していかなければ、国内生産を継続することは出来ない。

しかも、新興国の技術水準も日進月歩で、10年も同じ技術の商品を日本で生産している様では、必ず追いつかれて、価格競争を仕掛けられる。

やむなくコストダウン競争に突入すれば、利益は薄くなってさらに「新技術にかける人材と開発費」は、縮小せざるを得なくなる。

10年も価値が同じの商品では、国内の消費者は「新たな購買意欲」を起こさないので、消費支出は伸びない。

特に高齢者は自分の収入と財産が限られているので、余計な消費はしないのだ。

 

国内経済のGDPは、6割以上が家計支出から成り立っている。

これが縮小しているのに、生産企業は新たに設備投資を増やす筈はない。

その国内の需要不足を補うために、政府や自治体の公共事業を増やして、やっとのことで、GDP水準を維持してきた。

その結果、国と自治体の借金は膨れ上がり、1000兆円を超える膨大な負の遺産となり、国民の気持ちをマスマス貯蓄に向けさせる。

一時的に輸出が増えた程度で、国内消費意欲は上向く理由は全くないのだ。


輸出競争力を重視する路線は経済停滞へ。

2013-08-21 | 経済問題

アベノミクスの狙いはデフレ脱却の政策として、「円安への誘導」を、超金融緩和の手段で始めている。

これは、世界の投機資金を【為替投機】に誘導して、一気に円安になった。

円安によって「輸出競争力」が一時的に有利になった産業では、輸出量が増えて業績の回復に貢献している。

しかし、これは輸出依存事業の暫定的な国内生産の引き留めにすぎない。

海外市場の動向をみれば、遠からず【海外への生産移転】を経営的観点から実施するであろう。

 

一方で、「円安誘導」によって、輸入品の価格が上がり、販売価格への転嫁によって、消費者への負担じわじわと押し寄せて、生活を圧迫する。

また、価格転嫁が難しい業界では、一層のコスト削減に拍車がかかり、人件費の削減をせざるを得ない。

これは、働く人への給料が減ることで、消費削減の圧力になるのは明らかだ。

一部の恩恵を受ける輸出事業を重視することで、多くの輸入関連事業者と働く人にしわ寄せする「円安誘導」は、多数の犠牲のもとに「輸出依存企業」にお金を移転する政策にほかならない。

 

輸出依存企業が「利益は増えた分を国内に再投資」をするならば、まだ、国内経済への効果はあるが、その様な動きはほとんど起きない。

世界の潮流は新興国の経済発展に向かっていて、今から、「日本国内の生産設備への投資をする判断」は、まともな普通の経営者ならば選択しない。

つまり、デフレの原因である「国内総需要の不足」を改善する方策としては、「円安誘導」は、明らかな誤りである。

デフレの原因である「国内の需要不足」を、大きく改善する政策として、「輸出競争力」を向上させるのは、「価格依存の製品」ではなく、「高付加価値商品」の開発と育成でなければならない。

 

安倍政権は、「円安誘導」の政策を正当化するために、「輸出依存企業」が、「円安で利益が増えた分を従業員の給料アップに回してくれ」と、お願いのポーズをとっている。

一部の「ブラック企業のイメージを払しょく」したい企業は、ホンの少し、給料アップの約束をしたが、全体の消費者の収入は増えないママになる。

可処分所得が増えない状態で、諸物価が上がれば、経済停滞に落ち込むのだ。


成長戦略の重点分野は先行した失敗事例に学ぶことが必須。

2013-08-20 | 経済問題

日本の経済成長を牽引してきた時代の主力産業は、輸出によって外貨を稼げる産業が優先されてきた。

例えば、自動車産業や家電産業は、当時の円レートの有利さによって、輸出競争力が優れた商品として、日本の経済成長に貢献をしてきた。

その後の成熟期になると、自動車産業の大半は海外生産に移転して、国内産業として貢献出来る分野は、日本独自の要求に沿った『ハイブリッド車』や「軽自動車」の商品は国内生産に留まり、一定の社会的な役割を担えている。

 

これから、日本の経済を支える産業として、重点的に成長を支援する産業は、次の条件を備える分野でなければならないだろう。

まず「高付加価値の新需要」を開拓出来る魅力を備えていることである。

そして、その製品は海外での生産に移転することが、当面はないと想定出来る技術領域であることだ。

日本での液晶テレビの生産は、当初は日本が先端を走っていたが、製造設備の輸出ができる段階になると、圧倒的に、海外の新興国が有利になってしまった。

これは後発メーカーの方が、製造設備が進化した状態で導入できるので、先発の日本企業が不利な競争を強いられる「典型的な失敗例」である。

 

2000年代の初頭からの「再生可能エネルギー産業」の進展に乗り遅れた責任が、「自民党政権の既存発電方式を優先する姿勢」に起因すると認めていない。

特に原子力発電を最優先にして【電源開発促進税の用途】の大部分をつぎ込んでしまった【政策判断の誤り】を国民にお詫びもしていない。

その様に、責任はなかったかの様に無反省のママ、成長戦略の中に「再生可能エネルギー促進政策」を組み込んでいる。

真剣に反省をしないで、民主党時代の「官僚が製作した法制度」を、単純に踏襲しているだけである。 

安倍政権は、家電産業が液晶テレビの投資戦略での失敗事例を学ぶべきである。

「太陽光発電」のパネル製造設備は、液晶テレビの製造の仕組みと酷似しているが、後発の企業ほど、進化した製造設備を導入出来る立場にある。

その上、製造には大量の電力を消費し、パネルの組み立てには多くの人手が必要な製造工程である。

つまり電力費が安く、人件費も割安の後発の新興国に設備を作り、大量生産体制をとった方が、価格競争力で勝ち残る産業であることを認識すべきなのだ。


日本の経済停滞を招いた原因は既得権勢力の温存にある。

2013-08-19 | 国創り政治問題

未来の日本のエネルギーを供給する「再生可能エネルギー」を、世界の先進国に遅れる事態に陥ったのは、どこに原因があったのか。

前回に採りあげた『洋上風力発電産業』の将来性については、現段階においては国も「実証実験を支援」する体制になっている。

しかし、10年前には、「新エネルギー促進特別措置法」によって、導入する電力は、その段階で最も発電コストが安い電力が有利になる「見せかけだけの導入制度」にとどめられてしまった。

 

これは、政府の方針が、【原子力発電の拡大が国策の主軸】で、将来性が不確実な「再生可能エネルギー電力」などは、つけ足し程度に手掛けて置けばよい、と考えていたからである。

当時は、新自由主義経済が社会に主流になり、企業経営の戦略にも、「選択と集中」が、重要視されていた。

電力事業では、「原子力発電に集中」が国の政策として正しいと、国民は思い込まされて、異論は封じ込まれてしまった。

 

他の産業においても、その時点で最も勢力のある事業に集中することで、「世界的な競争市場で勝ち抜く」ことが、最優先であった。

家電業界では、「テレビ事業に集中」して、薄型化、高画質化の競争に明け暮れて、「プラズマテレビと液晶テレビ」の生産拡大に走ったのである。

しかし、その競争においては、新興国の価格攻勢に晒されてあえなく敗退してしまった。

「選択と集中」の経営方針は、大事な「選択の段階」で誤っていたのである。

この選択する判断基準は、当時は「現時点で最も勢力を持っている陣営の判断」が、強くなってしまうのである。

 

どの分野でも「現状で最も勢力のある既得権陣営」が、力を持っているので、現状の延長上の生き残り方を、考え方の中心に置いてしまう間違いを犯す。

これを大きく転換することが、日本の『国創りの将来像』を描く上で、まずとりかからねばならない。

それは、日本は世界の1%の人口(110億人の中での1.2億人)で、安全と安心を確保出来る国にすることが最優先である。

既得権を持った現在の勢力を維持して伸ばすことが、本当に役立つのかを熟考して、国の基盤となる経済構造を再構築しなければならない段階にあるのだ。


日本の政権が迷走している間に世界の先端から遅れる。

2013-08-18 | 快適エネルギー社会問題

日本のエネルギー供給の将来を展望すれば、「再生可能エネルギーの技術革新による自給化」が、目指すべき『国の存続の基本』である。

この中でも、日本は周囲を海洋に囲まれた「海洋国家」であり、風力発電の技術開発においても、世界に伍していける実力を持っている。

今までは陸上にばかり目を向けて、日本の陸地は限られている上、人口密度も高いので、「風力発電の設置量」の上限は、将来性は低いと見られていた。

しかし、「洋上風力発電」の分野においては、これらの欠点は制約でもなくなる。

 

日本と同じ島国のイギリスでは、「エネルギー・気候変動省」が、戦略的な発想により、大規模な『洋上風力発電』の建設が進められている。

イギリスの「洋上風力発電量」は、2010年に比べて2012年は倍増している。

その発電能力は300万KWに達し世界一であり、2位デンマーク92万KW、ベルギー38万KW、ドイツ28万KWである。

今年の8月には、イギリス東部の沿岸の26km沖合、「洋上風力発電エリア」に104基の発電機が設置された。

この海域は167km2に、総計140基の風力発電機が設置されて、建設費用の総計は約2000億円になり、50万KWの最大発電量を供給できる様になる。

 

イギリスの洋上風力発電事業は毎年約1兆円の事業効果を生み出す。

また、現在の雇用数は4000人だが、2020年には30000人の雇用を創出する。

他のヨーロッパ諸国も、今後は「洋上風力発電産業」に力を注ぎ、再生可能エネルギーの設置量を大幅に拡大することになる。

経済停滞に悩む「欧州先進国」においては、貴重な成長産業となって、雇用拡大には貢献出来る「有益な経済活性化政策」となっている。

日本では、風力発電の設置は陸上に限られて、頭打ちの状態になってしまった。

 

民主党政権に交代してからは、「再生可能エネルギーの促進」を政権公約にしていたので、陸上風力に変わる「洋上風力発電」の将来性に向けて、やっと国の支援策が具体化した。

それまでの自民党政権時代は、1995年~2009年までは、電力会社の抵抗もあって「風力発電の設置量」を、極力、増やさない様な政策に固執していた。

日本の持つ技術力は世界一流のレベルであったが、この間の自民党政権の迷走によって、世界第13位の地位に停滞して遅れてしまったのである。

日本はやっと、小規模の「洋上風力発電」の実証実験を始めたばかりである。


新分野の高付加価値商品は技術者と経営者の両輪が必要。

2013-08-17 | 経済問題

新たな付加価値を生む「新産業の基本」は、新技術育成がベースになる。

その新技術は産声を上げた時に育てる仕組みがないと、揺籃期の段階で留まり、そのうちに誰も支援をしなくなり、埋もれてしまうのが通常である。

前回に採りあげている『ハイブリッド車』や『電動アシスト自転車』も、民間企業が将来の新分野商品として、技術者が研究を重ねて創りだした技術を、経営トップの判断で、自社の次世代型商品として育てる意思を入れて継続して開発を進めた結果、10年以上かかってホンモノの技術に進化している。

 

この事例の様に、革新的な技術による新商品が、「利益を生み出すまでには研究投資と開発経費、製造設備への投資」が、10年以上に渡って必要になる。

経営トップの意思が、よほどの信念に支えられていなければ、この様な長期間の資金投入の継続は出来ない。

ところが中央官庁は、長期間の国税の投入は、「国策で推進する意思が合意された分野」の戦略的な計画をベースにしないと、予算が認められないので、机上検討で研究・開発期間を短期間に設定してしまう。

その結果、期間内に研究が進展していないと、見せかけだけの成果を報告して、途中でやめてしまう事例が、後を絶たない。

 

中央の官庁では、2年で部署を交代するのがならわしで、腰を据えた「新技術の育成」や、「商品開発の投資支援」は、不向きな組織である。

それ故に、国が推進する「長期の成長戦略」に盛り込む分野は、「海洋産業国家」や、「再生可能エネルギー立国」の様な、国の存続の根幹にかかわる「重要技術の長期戦略支援計画」が必須である。

その様な大型の案件は国が責任を持って取り組み、それ以外の『地域に密着した産業の革新』は、予算を地方政府に委ねて責任を移譲する方が、地域社会の活性化と人材育成にも効果的である。

 

大手の民間企業の経営陣が意思を入れて推進する「『技術革新商品」を、成長戦略の要』に据える様にすべきだ。

民間企業の負担では、支えきれない位の長期間の投資が必要な「基礎研究・全国的な調査・大型システムの実現」などは、中央官庁の責任で進める。

そして、地方自治体には自立意識を最優先して、中央政府頼みではなく、独自の特性を持った地場産業の革新と成長路線を支援する役割を担う。

経済成長路線のレールを国頼みはもう止めにして、役割を分担するのだ。