庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

マスメディア論調が政治家の迷走を助長して不安を煽る。

2012-12-31 | 国創り政治問題
2012年は総括してみると、【迷走の年】であった。
民主党の3人目の首相は、政権公約などはそっちのけの様相で、政治生命を懸けるとして、こともあろうに【デフレ経済の真っただ中】で消費税の増税を最前面に打ち出して、政権党の迷走と分裂騒ぎを引き起こした。
更に、普天間基地問題以来の悪化した日米関係を修復しようとして、【TPP交渉参加】を前ノメリに決断しようとして、これも与党を分断させて、何も決められない迷走状態に陥らせた。

そして、将来のエネルギー政策のビジョンも策定出来ないままに、原発への依存度を『ゼロ、15%、20~25%』と世論誘導しようとして、【落とし所は原発15%】としたが、世論の動向は間違いなく「原発ゼロ」が7割に達していた。
これを見て、民主党首脳は迷走して『2030年代に原発ゼロ』と方針を転換した。
ところが、使用済み核燃料の再処理路線も曖昧で、原発ゼロにする場合の「プルトニウム管理」も何も検討していない点を、国際的には批判されてしまった。

またまた迷走した揚句、閣議決定を見送り、世論の動向を気にして国会議員定数の削減にこだわりだした。
「近いうちに解散」の約束違反を責め立てると、議員定数の削減約束を引き換えに、「明後日解散する」と逆切れ解散に打って出る迷走ぶりであった。
慌てたのは与党民主党だけではなく、第3極の新興野党勢力も、結集軸が不明瞭のママに、「消費税・原発・TPP」が総選挙の争点だと「浅薄なマスメディアの言動」に翻弄されて、総選挙の協力体制は迷走のしっぱなしであった。
【メディアの迷走ぶり】が政局を動かして、次世代の政党予備群を迷走させた。

迷走状態の中で、浮かび上がった「旧体制自民党」は、思わぬ大勝利によって、
3年間の野党生活の迷走状態にも拘らず、迷走日本の国難を引き受ける責任を負うことになる。
日本の長期の停滞と迷走状態は、大半の責任は【マスメディアの言動】にある。
これは、日本が1990年までは、欧米先進国の後追いで経済発展をした時期は、
メディアの迷走に振り回されることは少なかった。

だがバブルの崩壊以後は先進国にはお手本がなくなり、日本が先頭を切って「少子高齢化社会」「モノ余り需要不足デフレ経済」に突入した段階で、メディアの迷走状態の論調が輪を懸けて、社会不安に落とし込んでテイタラクなのだ。。
今後の社会的役割はインターネットの「マイクロメディア」が、果たすだろう。

自民党の官僚依存政治の典型である原子力政策の見直し。

2012-12-30 | 核エネルギー・原子力問題
安倍首相は就任後の訪問地として「福島に被災者避難者」と「福島原発事故処理中の現場」を訪問した。
福島県全体としては、すでに「福島県内の原発をすべて廃炉」にする様、要求を決定している。
しかし、訪問した安倍首相は、原発をゼロにする方針を曖昧にしたまま、被災者の苦労をねぎらう形を示すだけで、自民党政権が事故に関与した責任を、明確にお詫びすることもない。

原発の廃炉に要する費用は、事故前には【電力会社が積み立てて自己責任で処理する】原則になっている。
しかし、炉心溶融事故を起こした原発の廃炉費用は、どこまで膨張するかは今のところ判らないまま、東京電力は福島原発1~4号機の廃炉費用に約9000億円を用意している。
この費用は、当然、電気料金に反映して消費者にツケを回すだけでなく、溶融事故後の原発の廃炉技術を研究するために費用が追加になる。
自民党政権はこの費用は、国が補正予算案に計上して、数百億円を盛り込む。

この様に、従来の電力会社の廃炉積立では、完全に費用が不足するが、この追加費用が電気料金に上乗せされたり、税金で負担することは必須である。
原発の安全審査を、経済産業省の監督からは切り離すことが、国民の信頼を回復する最重要な事である。
それと同時に、原発の本当の発電コストを、経産省の管轄から完全に遮断した専門家の組織で、【廃炉費用】や【使用済み核燃料の処理費用】、【廃炉後の高レベル放射し廃棄物の処分と管理費用】をすべて明確にして、国民に説明する責任がある。

安倍政権の経済産業大臣は、この様な基本的なことの説明もしないで、いきなり3年以内に「原子力規制委員会」が、安全審査を急ぐように要求した。
本当の原発コストが未だに不明確のまま、とにかく電気料金の抑制には、原発の再稼働が唯一の手段であるかの様な【旧態依然たる姿勢】である。
この様な経済産業省の無反省ぶりを、露骨に打ち出す様では、原発の依存度を下げることを願望している国民の意思から、かい離して行くだけである。

突然の解散総選挙で、【原発ゼロに向けた政党が乱立】して、共倒れになった状況を、来年の参議院選挙に再現しようとのモクロミだが、果たしてそうか。

経済成長戦略を構想出来ない政党が政権与党とは・・。

2012-12-29 | 経済問題
政権交代後の安倍内閣の支持率は約60%と出ていて、前政権の野田内閣の20%ソコソコからは、ご祝儀相場もあって上々の出だしの様だ。
ところが、政策の内容の煮詰め不足は、野田内閣に匹敵するくらいに「あいまいな政策の羅列」で、早くも党内の異論が続出する「重要課題が軒並み」に控えている。
経済の再生については、【アベノミクス】とやらで、とにかく日本円を大量に市場に供給して、「物価上昇率2%」を実現するまでは、円安に誘導する「通貨引き下げ競争」の国際レースに参戦する方針である。

物価が2%上がるとどうなるかは、既にブログに一部を書いたが、ノーテンキ気味な「アベノミクス」には、専門家の間からも、警告が盛んに出始めているので、ひとつずつ採りあげて、隠された裏面を十分に吟味して行く必要がある。
国際投機資金は、儲けどころとばかりに、日本円の円安動向をキッカケに、早くも国際トバク場の【日本円サイコロを振る】行為に熱中しはじめている。
彼らは、日本経済がどうなるかは、結果は知らんふりで、とにかく為替相場が大きく動く状況だけに関心があるのだ。

民間企業の内部留保資金を、経済活動の国内回帰を呼び込めるかは、長期的な経済成長戦略が、「日本政府の確たる方針』として打ち出されて、その実効性のある法制度や規制緩和が国会で議決されるかに懸っている。
来年の1月末に開かれる通常国会の動きを見てからでないと、「アベノミクス」の本当の真価は見えてこない。
自民党は野党の3年間余りで、民主党の政権運営の欠点をあげつらうことばかりに、力を注いできた。
いざ、政権交代してみると、【公共事業の復活】くらいしか、経済活性化の政策が見当たらない。

『経済再生の目玉になるのは確実なグリーン・イノベーション産業』は、民主党の置き土産なので、力を入れるとは言いたくない様だ。
それでは、それに匹敵するくらいの「新産業戦略」を創って来たかといえば、今のところ、お題目だけである。

政権公約には、「『貿易立国』単発ではなく国内の新たな付加価値創造につなげる『産業投資立国』でもある『ハイブリッド経済立国』を目指す。としている。
なんのことやら、中身はさっぱりわからない。
民主党以下の政策立案能力か?

自民党原子力族は電力料金の値上げを国民に強いる。

2012-12-28 | 核エネルギー・原子力問題
先の総選挙で「脱原発依存社会」目指すと、公約に掲げた政党は数え切れない。
自民党だけは、「3年間は様子見をする」として、原発を維持する含みを持たせた「日和見主義」であった。
本日の朝日新聞の報道では、原子力規制委員会は、基本から見直しをした安全基準は、来年の7月以降までかかるとして、それから各原発の安全性を審査して行く手順になっている。
審査結果が出てから、地元自治体関連に向けて「地元説明と折衝」が始まる。

民主党政権は、地元との折衝は、電力会社の責任で行い、政府は関与しない方針であったが、安倍内閣の経済産業大臣は国の責任で地元への説明と了解をとる方針だと言明した。
自民党首脳の頭の中は、3・11の大事故が起きる前とほとんど変わっていない様に見えるが、国民の原発不信は、そう簡単にはぬぐえないだろう。
原発ゼロを公約した政党への「比例票は72%」であり、原発政策の目標判断を先送りした自民党への「比例票は28%」に留まっている。

来年の秋以降になれば、国民の半数以上が原発の再稼働を容認しているだろうとの観測をしている様だが、国民世論を無視した判断をすれば、その次の総選挙では【完全に野党に転落】する可能性が高い。
何しろ、公約にはなかった「消費税増税」を、国民の意向を軽視して「政治生命を懸ける」として、増税法案を強行した民主党は、国民から『壊滅的な凋落』という評価を受けた。

自民党安倍政権は、7割以上の国民が原発を止めて行きたい、と明らかに表明している意思を軽視して、「原発立地自治体だけが要望する再稼働」を、強行することに「政治生命を懸ける」つもりがあるのだろうか。

原発の再稼働は来年中はゼロであることは間違いない。
その間には火力発電に頼ることしか方策はないが、アベノミクスでは円安に誘導して「物価上昇率を2%目標」にすると言明している。
輸入している化石燃料価格は、2%どころか、円安で10%以上も値上がりするのか確実だ。
そして、電力料金のアップに反映するのは、現行の仕組みでは確実である。

安倍政権は、国民、民間企業に【電力料金の値上げ攻め】で、原発の再稼働に必要性を見せつけようという魂胆に思える。
それで、どうするつもりか。

アベノミクスはデフレ対策ノミで生活者の負担増は後で。

2012-12-27 | 経済問題
安倍第2次内閣が最大の眼目は『経済再生・デフレ脱却』である、とした。
この政策の優先度が重要であることは異論がないが、問題はそれを実行する政策手段の中身である。
20年来のデフレ経済が国民、企業にもたらした被害は甚大であり、どの内閣も【デフレ経済からの離脱】を掲げていたが、実績はゼロに等しい有様である。
民主党政権では、「マニフェストの中身」には『デフレ脱却』にデの字もなかったくらいに、問題の深刻さを認識していなかった。

安倍政権では、このデフレ対策のイの一番に『日銀の金融政策の転換』を迫り、市場に円通貨を大量に供給して、物価上昇が2%になるまで継続する『インフレターゲット目標』を設定すべきだとした。
この狙いは既にブログに書いたので省略するが、日本の貯蓄額「1400兆円」を、目減りする方向に誘導すれば、おカネを引き出して消費したり、企業が設備投資する方向に転じて行く事を誘発する狙いである。
使い道はともかく、貯め込んでいる日本円を経済停滞の原因である「需要不足」の解消に使わせる、有効な「経済理論上は正しい政策」である。

「使い道はとにかく考えてくれ!」と自己責任にまかせ、政府は従来どうりに国債を増発して「国土強靭化と称する公共事業」に、おカネを潤沢に回す。

これで、首尾よくデフレ脱却ができたとして、その悪影響については「マスメディア」も良く解っていない様だ。

まず物価上昇により、貯蓄の価値は間違いなく目減りする。
円通貨が潤沢に出回れば、お札の価値が下がり「円安傾向に転じる」ことで、輸入品の価格が大幅に上昇する。
円安が10%になれば、輸入している燃料費が上がり電気料金も大幅に上がる。
ガソリン代、軽油代が上がるので輸送費が大幅に上がり、物価上昇に上乗せ。
食料の輸入依存は55%で、この分の輸入費用アップも物価にかぶさってくる。

「アベノミクス」の中身は、物価上昇の弊害を後回しにして、とにかく【物価下落=デフレ】状態から抜け出ることを、最優先するべきだとしている。
物価上昇率2%が実現した時に、食料費、エネルギー費など、標準的生活者に、どの程度の負担増になるかは、今のところ何も説明されていない。

円安になってデフレ経済からインフレ2%になれば、「輸出重点産業」にとっては、おお助かりであろうが、働く人たちへの給与で還元される保証も全くない。

複雑な政策目標が錯綜する政治では経験と度量が必要。

2012-12-26 | 経済問題
自民党・公明党の連立政権が発足するにあたって、連立合意文書の協議を重ねて合意した。
「脱原発依存社会」に向けての公約は、両党では明らかに違っているが、合意文書では「可能な限り原発依存度を減らす」として、玉虫色の表現にしている。
自民党はもともと「3年間は様子見」を公約として、再稼働についてどうするかは、アイマイのママにしている。
原発の数基を再稼働するかどうかは、国家の重大決断ではない、としている。

安倍総裁が言いだした「日本国憲法の改正」は、従来からの安倍氏の持論だが、自民党内部でも議論が進んでいたわけではないから、公明党の懸念に対してあっさりと「憲法改正に向けた国民的議論を深める」と表現を大幅に弱めた。
経験の多い政治家がいることで、今後の4年間で「政権維持」をするために必要な優先度の高い政策目標は、『大胆な金融緩和を断行してデフレ経済からの脱却』の一本に絞る連立合意である。
つけ足しに、当面の景気対策に効果のある「防災・減災の公共投資」を実施して、消費税増税判断に重要な指標となる2013年4月~6月の景気指標をかさ上げすることに重点をおく。

対照的なのは、民主党政権の3内閣であった。
党内の意見を十分な議論を経ないで、総理が唐突的にぶち上げて内紛状態を繰り返しては、主流派を構成して【最重要でない政策決定の迷走状態】を国民に見せつけては、しりすぼみで何も決められない。
政権交代で民主党に託した国民は、「裏切られた印象」を深く記憶に焼きつけた。
極め付きは、【公約には書いていない消費税アップ、原則関税ゼロのTPP参加】を、各方面の反対激化と党内異論を無視した、主流派意識の暴走である。
400以上の国会議員がいたが、今やわずか54議員に留まる凋落状態だ。

今回の総選挙で『脱中央官僚依存』を主要公約に掲げていた「維新・みんな・未来」の3党は、「脱原発政策」でゼロ目標に期間の違いがあるだけであった。
消費税の地方税化や、TPP交渉参加などの政策の違いがあるが、【自民・公明】の違いレベルとほとんど同等である。
比例区での投票率は、「自民(28)・公明(12)」で40%に対し、「維新(20)・みんな(9)・未来(6)」で35%を得票して拮抗している。

国民の期待を集約・合意出来ない【未熟政党】しか持てない国民の不幸だ。

最重要な地域社会の再活性化に消極的な政党が第一党。

2012-12-25 | 国創り政治問題
自民党の政権公約の中身は、無難な表現に終始して『日本の国創りの将来像』は、何もイメージが出来ない。
民主党が政権交代選挙において、実行したい政策を盛りだくさんに並べていたのと対照的である。
実力不足が露呈した民主党政権の二の舞にならない様にしたのだろうが、選挙民に対する消極的な姿勢に終始している政党が、過半数を制する第一党になっているのが不思議である。

自民党は『地方分権』の政策を実行する気があるとは思えない後ろ向き姿勢で、
政権公約には、「道州制基本法を早期に制定し、その後の5年以内に道州制の導入を目指す」と、申し訳程度に書いているだけである。
つまり、4年間の衆議院の任期中に『道州制基本法』を作ると言っているだけで、中身の方は「2008年7月にまとめた第3次中間報告」から、どの様にするのか、4年以上も経っているのに、さらに4年間もダラダラと「基本法の議論を続ける」と言うのが公約である。
その後の「5年以内に道州制の導入を目指す」と、実行期限は曖昧にしている。

過半数を占めた第一党が、4+4+5=13年間も懸けて、急務である『地域社会の再活性化』を進めるとしか公約が出来ない【実行力のなさ】を露呈しているのが、日本の停滞原因の第一であろう。
「地域主権」を政権公約にしておきながら、3年あまりを無策に過ごした民主党は、当面は真剣に反省期間とすべきである。
総選挙で、『地域の再活性化は急務』だとして公約に掲げた政党は、「日本維新の会」「みんなの党」「日本未来の党」がある。

自民党は過半数を占めた第一党と言っても、比例区(全180議席)では、わずか57議席(31.7%)にすぎず、国民の信任を得ている状況にはない。
これに対して、『維新(40議席)+みんな(14)+未来(7)』の議席は、61議席(33.9%)で、中央集権官僚支配政治から早急に脱却する「国創りの改革」を訴えている。
実力不足の民主党の比例区30議席を加えれば、国民の過半数の意思は、「脱中央集権政治」『脱官僚依存』で一致しているのだ。

「逆切れ解散」のあおりで、本当の『日本の将来像の論点』を集約出来ない期間での総選挙で、国民は何を選択するのか見えないママ、低投票率となった。

中央官僚の権限肥大化に歯止めを架ける地方分権は。

2012-12-24 | 国創り政治問題
自民党が支持を得て「既得権構造の打破」に進みだした小泉内閣では、中央集権制度の弊害に着目して、地域社会が活力を取り戻す政策を検討していた。
その中でも「道州制導入の検討」は、2003年には政権公約に示されている。
小泉内閣でのスローガンは「民間で出来ることは民間に」であった。
官僚が天下り先を作るために、中央官庁の支配する【公益法人】を、理由をひねり出して作り続けていた【官の肥大化】に歯止めを架けることを実行した。
その最大の成果は【郵政省につながる莫大な郵貯資金】を、官僚支配から断ち切ったことである。

同時に中央集権官僚の支配権限をできる限り地方自治体に移管して、少しでも「地域の自立能力」を強化する方向であった。
『地方政府で出来ることは地方に』を狙って、「地方分権の更なる推進に向けて将来の道州制の導入に関する検討を本格化させる」と、政府の基本方針に明記したのだ。
2006年には、地方制度調査会が「道州制の具体的な制度設計を検討すべき」と言う答申を出した。
後を引き継いだ安倍政権は、『道州制のビジョンを策定する』と述べ、道州制担当大臣のポストを新設して、「道州制ビジョン懇談会」を設立している。

政権を失う前の2008年7月には、道州制ビジョン懇談会の中間報告を基に『第3次中間報告』を自民党道州制推進本部が取りまとめている。
それから既に4年以上も経っているのだから、さぞや立派な「具体的な制度設計が確立」しているモノと思われる。

今回の返り咲き安倍政権では、「この地方政府で出来ることはできるだけ地方に」のスローガンは一向に聞こえてこない。
久しぶりに政権に就いたから、権限を振るいまくるには地方になど任せてはおけないとばかりに、景気対策を含めて15カ月予算の大判ぶるまいの勢いである。

「民主党の政権公約」には、『地域主権』の文字が誇らしげに掲げられていた。
ところが、いざ政権に就いたら、「具体的な制度設計」などの実行策は、全くと言ってよいほどお粗末な段階であった。
3年の民主党政権の間で、地方政府が元気になった成果は少しも見えない。

自民党の『道州制導入の政権公約』はどこへ行ってしまったのか。
民主党と同じ様に、張り子の虎の「地域の活性化策」の掛け声だけの中身か?

復古趣味の世襲制自民党では国民の期待はすぐに離反。

2012-12-23 | 経済問題
自民党政権の伝統は、欧米の先進国の後追いをする【中央官僚の作る政策】を、進めることが主流であった。
同時に国全体の遅れたインフラ整備を、中央での利権を確保しながら、各地域のバランスをとって配分していく。
この調整能力によって選挙の地盤を固めて、地域に根付いた政党活動が浸透して来たのである。
つまり、経済成長は「官僚依存の後追い」であり、得られた税収を【配分する能力】の発揮で権限を維持して来た。

1990年代以降は、「欧米先進国」の後追いでは「経済成長が停滞したまま」になり、日本独自の成長戦略を立てて地道に実行しなければ、新産業が育成できなくなっていた。
それにも拘わらず、中央集権の官僚に依存していた為に、成長戦略は各省庁の省益に沿った政策を【ホチキスで止めた経済成長策】の総花的な羅列に終始して、成果を出せるには程遠い状況に留まっていた。

特に「エネルギー分野」の革新においては、『再生可能エネルギー革命』の動きに乗り遅れ、電力事業の近代化には地域独占に固執して旧態依然のままだった。

『硬直化した既得権構造の打破』が、経済の再活性化には不可欠である。
再生した筈の自民党が、この最重要な問題に立ち向かっていけるか、閣僚候補の顔ぶれを見ている限り、ほとんど期待が出来ない。

少なくとも、「民主党政権の手がけた再生可能電力の普及促進」政策は継続して、欧米及び振興国(中国、ブラジル、インドなど)に対する後れを取り戻してもらいたい。
そのためには、「電力の地域独占体制の打破」が急務だが、『発電送電の分離制度』の検討には、早くも【電力族議員】のブレーキがかかっている。

小泉内閣以後の自民党政権が、急速に国民の支持を失って、総選挙の大敗によって政権の座から追放されたのは、この様な既得権構造に安住した「安易な世襲政治」に堕落したことにある。
日本の活性化の要である『成長戦略』を自前の頭脳で産みだして、緊張感を持った取り組みを開始して、国民への説明ができる様でなければ、4年後には確実に野党に転落するだろう。

その前に金融政策の混乱によって、政権が迷走する方が先にやってくる。

成長戦略を大企業の優遇でしか理解できない世襲政治家。

2012-12-22 | 経済問題
日本の再活性化に向けての最重要政策は、『国富を生みだす成長戦略』であることは間違いない。
ところが、安倍総裁は【3本の矢】のたとえを持ち出して、『成長戦略』を【金融政策】【財政政策】と同列に論じ、いや、三番目につけ足しの様に「中身が無い従来の路線」をあげているだけに留まる。

民主党の成長戦略も、中身は曖昧なままに3年以上も経過したが、最後は、成長させるべき新産業分野をあげて、重点的に予算配分をするとした。
遅きに失した感があるが、自民党の【土建国家戦略】よりもずっとマシである。

自民党は野党に転落した後の3年間を、選挙対策に力を入れてきたが、政権を奪還した後の、『日本の国創り・成長戦略』は、議論もしないで過ごしてきた。
いざ政権奪還が出来て、初めて「成長戦略」を作る必要に迫られている。
日本のインフラの老朽化と災害対策を強化する「土建国家路線」に、10年間で200兆円を投じる「景気対策」はブチ上げている。
しかし、これらの国家投資は『新産業を生み出す』分野に回ることはない。

新産業を生み出す新技術とベンチャー事業は、多くの優れた人材を投入し、長年に渡る継続的な取り組みが必要である。
新産業を育成するには、研究開発投資を増大する必要があることは間違いない。

そこで自民党は、企業の研究開発に投下した金額分を、企業減税することで検討を開始した。
法人税が各国に比べて割高であるコトの対策を兼ねているが、これでは『本当の新技術、ベンチャー事業』には、おカネが回ることはほとんどない。
大企業自体は、ベンチャー事業などには手を出さないで、既存の事業の延長上の改善対策に、取り組むことが優先されるからである。

新技術や常識を越えた「ベンチャー事業」は、本流の事業からは産まれない。
既存の技術の枠を超えたり、新規事業の発想は、現在の本流を否定することから始まるのは、よく知られた事実である。
だが、これでは失敗する事例が多いので、中央官僚が理解できる範囲の技術にしか、政府のおカネが回らないのだ。
まして、収益性を常に評価される大企業経営者が、たとえ減税の対象となるにしても、リスクの多い事業には、手を出さない分野なのだ。

「お膳立てができた政策に乗る」しか出来ない世襲政治家の理解の限界である。

3本の矢の一番重要な成長戦略の中身は貧困な発想だ。

2012-12-21 | 経済問題
安倍総裁は経済の活性化策には「3本の矢」の強化が必要だと宣言した。
3本の矢のひとつが【金融政策の転換】で、物価上昇率の目標を2%に定めて、日銀に責任を負わせて「お金の供給量」を大幅に増大させる。
これには、日銀も政府の意向に沿った「国会での日銀法の改訂」を武器に迫られると譲歩せざるを得ない。
『インフレターゲット2%』の効果は、市場におカネが出てゆくコトは確実に実現するが、必要としている民間企業に回るかは定かではない。
むしろ、金利が上がったりしたら、経済を冷え込ませる可能性もある。

二つ目の矢は【財政政策】であり、借金大国の日本が国債の金利負担で財政悪化で身動きが取れなくなることを対策する。
物価上昇率2%が実現すれば、政府の借金700兆円の2%分の14兆円が減る効果があることは説明した。
しかし、このお金は、民間の貯蓄から「知らない合間に政府におカネを移した」コトで、財政を改善したことになる。
消費税の増税5%分よりも大きいおカネを、政府と日銀での決定で、国民から徴収したことと変わりはない。

3本目の矢は『成長戦略』であるが、安倍宣言では、中身は全く乏しい。
唯一の具体策は、【補正予算で10兆円】の景気刺激政策をとることだけである。
この財源には、建設国債などを追加で発行して、市場から調達することになる。
民間での総需要が不足している時は、政府が積極的に借金をしてでも、その不足分の需要を喚起する。
これは、80年以上も前から言われている、ケインズ政策のおさらいで、間違い政策ではないが、【安易な当面の景気対策】である。

安倍総裁の訴える「3本の矢」の中身は、結局のところ、民間の貯蓄から14兆円を調達して、政府が決める景気対策に10兆円のお金をつぎ込むのだ。
この民間のお金10兆円が、将来の新技術や新産業の育成に役立つ使い方ならば、供出する国民も、おカネの出し甲斐があるのだが、どうやら「土建国家」の再来になりそうな雲行きである。

老朽化したコンクリートインフラの建て替えや、地震・津波・自然災害への備えを強化する【公共事業】への投下が大部分になるであろう。
これでは、新産業が起きるキッカケにもならないので、波及効果はほぼゼロだ。

インフレターゲット政策は政府にとっては救いの神。

2012-12-20 | 経済問題
安倍総裁が総選挙の前から期間中に懸けて「インフラターゲット2%」を、声高にぶち上げて、金融市場におカネの流通量を更に増やそうとして、日銀の国債買い入れ枠の上限を大幅にあげる様にせまった。
金融市場はすぐに、空気を読んで円安に振れ、輸出企業は株高傾向になった。

これを持って、経済は好転するかの様なカン違いを、各方面で採りあげている。
物価が上がることが、そんなに景気対策になるのか、念のためにおさらいをして、その影響もみておこう。

経済学の理論では、次の様な仮説を立てて、デフレ経済のもとでは、人々におカネをより一層多く、使わせることが有効である、としている。
つまり、先々に物価が上がると予測されれば、貯めているおカネを早めに必要なモノに使う気になる。
値段が上がることが確実ならば、数年先に買う予定のモノがあったら、今年に買っておこうという心理を起こさせることが、この政策の狙いである。
そして物価を押し上げるには、モノ、サービスの適正量よりも多めにお金を市場に供給すれば、お金の価値が下がるから物価は上がる。と言う理屈である。

どれくらいのお金を余分に市場に流せば、2%の物価上昇率になるかは、経済学者にもわからない。
だから、2%の物価上昇率になるまで、上限を設けずに日銀が国債を買い入れる責任を負わせる。
日銀に責任を負わせることは、国会で日銀法を改定すれば出来るが、問題は民間企業が、政府の思惑どうりに、国内への新規投資を増やしたり、従業員の給料を上げてくれるか、全く保証の限りではない。
今の時代では、お金が潤沢になっても、海外へ出て行く方がほとんどであろう。

狙いどうりに物価が2%上がったとしても、給料がそのままでは、購買力は下がるので、景気回復にはならない。
更に、庶民のささやかな貯蓄は2%分の目減りになり、生活は苦しくなるばかりであろう。

インフレで確実に得をするのは、【莫大な借金を抱えた中央政府】である。
2%物価上昇率で、700兆円以上の政府借金は、毎年14兆円分が減ってゆく。
『インフレターゲット政策』は、政府の借金を減らすには有効な手段なのだ。

その負担は、民間の貯蓄を目減りさせることで賄っていることを忘れずに!

自分で稼ぐことを知らない政治家に生き残りを託す不幸。

2012-12-19 | 経済問題
世襲の政治家は自分で稼ぎを生み出したことが無いので、親の代に稼いだモノを使う習性が、生まれつき染み込んでいる。
経済を成長させて国民生活が豊かになるには、新しい産業や技術を育成して、一層の付加価値を生みださなければ、本当の成長ではない。

ところが、今の経済は従来に生み出された産業が成熟時期を過ぎて、衰退の時期に入っているのに、その産業を後生大事に守ることばかりになっている。
老朽化した技術、耐用年数を超えたインフラ設備に、いつまでも頼っていると、「笹子トンネル事故」の様な、悲惨な状況を引き起こすのだ。

その様にあらゆる分野で疲弊した産業が多い状況で、経済にカンフル剤を打ち、一時的に活性化させるには、『インフレターゲット政策』が有効とされてきた。
自民党の安倍総裁は、この理屈に飛びついて、今のデフレ経済を抜け出すには、日銀の金融政策を変えさせて「物価上昇2%」を達成まで、金融市場にお札を配り続ける「日銀の国債引き受け」を実行させる「政策協定」を結んだ。
これに期待が膨らんだ為替取引市場は、「円安傾向が続く」とみて、空気を読んでの円安市場となり、それに引きずられて輸出産業界に株価が一気に上昇した。

証券会社と株主は喜んでいるが、一般の国民には【実際に物価が2%上昇】すると、どの様な影響がでてくるのか、低レベルの「マスメディア」は、何も説明をしていないで、あたかも景気回復に朗報である様に伝えている。
「インフレターゲット2%」は、確かにデフレ経済へのカンフル剤であるが、実質の経済には、長続きする政策ではない。
新規の事業や技術開発が促進されれば、経済状況は好転するが、おカネを潤沢に市場に流せば、新産業への投資が増えるとは限らない。
大企業はリスクを避ける様になって「新産業への投資」よりも、「既存事業への当面の手当て」におカネを回すことで、短期の儲けを重視する。

本当の成長に役立つ「新規産業」は、5年や10年で投資回収が出来るほど、簡単な課題ではない。
しかし、自分で新産業の育成にかかわった親の世代の政治家に対して、世襲で政府の要職に就くことが当たり前の様に、頭に染み込んだ世襲政治家は、「おカネをつぎ込めば新産業が生まれる」とカン違いをしている。

この様な「カン違い政治家の主導する政権」に、日本の経済再活性化を託すしか、選択の余地がない日本の現世代は、不幸とシカ言い様がない。(続)

中央集権制度の大改革に挑む第3極の敗退は分裂騒動。

2012-12-18 | 国創り政治問題
今回の総選挙で選挙民を困惑させた大きな要因に「マスメディアの低俗性」が災いしている。
欧米の先進国が21世紀においては、軒並みに経済政策的な失政があって、低成長、高失業率、財政の悪化に直面して、国の将来を危まれてもめている。
日本はいち早く低成長経済に落ち込み、それを【高度経済成長時代の成功体験】に乗った、中央集権官僚制度に上に、【中央から公共事業政策による景気対策】を繰り返してきた。
しかし、効果は一時的で地域へのカンフル剤の役目にしかならなかった。

民主党の政権交代の主眼は、「疲弊した地域社会」を、再活性化することが最重要方針であった筈である。
ところが、『地域主権』の公約は全く実行されないで、すべての政策を「中央政府からの指令」の形で、財源の裏付けもないままにバラマキ的な「安易な政策」の実行だけに終わっていた。
民主党は、本当は【中央集権体制を維持したい政治家】の集まりであった様だ。

これに対峙しようとして、「大阪維新の会」を率いる橋本徹大阪府知事(当時)が誕生し、東京一極集中では、日本の再生はあり得ないとして、強力な推進力と持った地方政府が必要だと、国創りの形を変える制度の大改革を打ち出した。
具体的にはまず大阪市と大阪府の二重行政の弊害をなくす「大阪都構想」を打ち出し、自ら大阪市長に転じて改革を実行中である。
これに呼応して、東京都知事の石原氏は、中央官僚支配の国政をぶち壊したいとして、地方政府の首長経験者を中心にした、『地方主導政治』に国の形を変える方向で、合流してきた。
また、滋賀県知事の嘉田氏も、地方政府の権限を強化する制度を目指して「中央集権制度」の硬直化を改革する「日本未来の党」をかけ込みで設立した。

「みんなの党」は、従来から地方分権、道州制導入を目指す政党として結成していたので、「中央集権体制の打破」では、大義は一致していた筈であった。

しかし、ここに「原発問題」「通商交渉(TPP)」「財政再建(消費税、税制度)」
の論点で、国の将来を左右する大改革の論争点をそらしてしまう方向になった。
この責任の大半は、【マスメディアの低俗性】にあることは、何度も書いてきた。

第3極の勢力は、この1段低レベルの「論争点にこだわって分裂して」、中央集権の神輿に乗る自民党を利する様な【分裂と論争、選挙の惨敗】を招いたのだ。

中央官僚の担ぐ神輿に乗る習性の自民党議員。

2012-12-17 | 国創り政治問題
自民党の復活は安定政権を望む国民の意思の表れであろう。
今回の総選挙では、民主党の野田首相の「逆切れ解散」によって、自民党以外は総選挙に備えての準備も不足で、その上に、第3極勢力が政策の中身の熟成も出来ないままに、スローガンだけの違いを競ってしまった。
その影響で、国の形を基本から作り直して行こうとする「日本維新の会」や「みんなの党」「日本未来の党」など、基本的な方向は同じであるのに、「経済政策」「税制改革」など、当面の課題での違いで表面的に対立している構図になった。

結局は、改革を望む国民の選択はバラけてしまい、混乱した論戦にシラケテ、最低の投票率に終わった。
民主党に対する「大きな怒りと失望」。
第3極の「不安を引き起こすバラバラな政治力」への戸惑い。
消去法による国民の選択が、「改革力に不足はあっても安定感」を求めて、自民党を地すべり的な圧勝に押しあげた結果である。
しかし、自民党への比例投票では、全体の2~3割程度であるから、「失政があればすぐに支持率の急降下」が起きることは必定である。

こうなると、自民党の世襲議員や1年生議員は、「中央官僚の作る優等生政策」に乗っかることが、一番の拠り所になるだろう。
民主党みたいに実力もないのに、「政治主導」の旗印だけで、お題目だけの政策を実現しようとしても、あらゆるところが抜けだらけで、【掛け声だけの政治主導】による迷走と挫折を繰り返したくない。
10年、20年の経験のある「中央官僚の実力」の上の乗っかった、堅実な『政策案』の中から、ホンの少し、政治家主導のイロをつけた【自民党政権の政策】を打ち出す体裁になる。

これで、政治的には安定になるだろうが、それで、日本の将来は大丈夫と言えるとは限らない。

何度も指摘されている様に、日本は一極集中のメリットだけで「経済成長してきた」おこぼれが地域に回っていたが、既に、この「トリクルダウン効果」は、ほとんどの分野でなくなっている。
計画経済的な中央集権制度は、すでに、現代の先進国においては、「停滞経済」を引き起こすことは自明のことである。

国債を発行してジャブジャブのおカネをばらまいても、効果は限定される。(続)