庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

大型海上風力発電の実用化に取り組み、脱原発政策の切り札に。

2011-05-31 | 快適エネルギー社会問題
菅総理は海外における演説の機会に、自然エネルギーを20%(大規模ダム式水力を除けば13%)
に引き上げることを公表した。
従来の経済産業省の計画では2030年であった目標を、2020年代のできるだけ早い時期に前倒しを表明したが、現状においては具体策がないので、曖昧な国際公約となっている。

大きな制約は発電コストの割高な現状を打破する事を、民間の技術革新に頼るしかない状況である。
中でも太陽光発電は一番に発電コストが高いので、10年後に3分1になるとの想定に頼っている。
その上に、天候に左右される電源であるために、必要なバックアップ電源(夜間や雨天で太陽光発電がゼロの時に、不足する電力を供給するために、別の発電装置を用意する。)を確保するためのコストが余計にかかる。

そこで天候に左右されるにしても、その割合が少ない風力発電が、世界的には最先端にある。
20年来の技術革新により、大型で発電効率の良い風力発電が実用化されて、世界では自然エネルギー(再生可能エネルギーの世界標準の呼び方)の主流となっている。
日本では、設置に適する陸上の土地がほぼ網羅されて、今後は海上設置か、『浮体式風力発電』を検討する段階にきている。

日本周辺の海域を利用して、風力発電を設置した場合の利用可能な発電量は、環境省の検討チームによれば、原発50基分以上の発電量を確保できる規模にある。
問題は、技術的に未開拓の分野もあって、発電コストが不明確な点である。
これは、現状の風力発電による実績コストから推定するしかないので、仮に試算をしてみる。

現在の風力発電機は大型化が進み、発電能力が1000~2000KWクラスが標準的になっている。
これらの設備を、沿岸から1~2kmの地域の浅瀬に設置して、発電した電力を海底ケーブルで陸上の送電線まで運ぶ。
この費用が、陸上設置の風力発電よりも、コストは高くなる。
さらに、風が強い時は充分な発電量でも、弱い時に出力ダウンを補うためには、陸上に蓄電池を大量に設置しておく必要がある。

現状の陸上風力発電のコストは、[10~12円/kWh]であるが、海上風力発電は、実用化の段階では、その1.5倍程度になると想定出来る。
仮に[15~18円/kWh]として、この発電コストで送電線に送れば、端末では[20円/kWh]以下に収めることは可能である。
つまり、安全性の対策を徹底した原発を運転することで得られる電力が[20円/kWh]を超えることが想定される段階では、大型海上風力発電の方が有利になる。

経済産業省は、環境省ばかりに任せておかないで、大型海上風力発電の本格的な実現に向けた、実証プロジェクトをスタートさせるべきである。
原発建設と違って、こちらは数年の間に実証出来るだけの技術の蓄積がある。
今すぐにでも、この計画をスタートさせて、原発ショックに悩む地域に朗報を提示すべきだ。

快適な生活と健全な経済活動は「真の電源検討」後の賢い選択に。

2011-05-30 | 快適エネルギー社会問題
健全な経済活動にとって安定して安価に供給されるエネルギーは、最重要な資源である。
さらに、その供給に必要な機器の運転においては、安全でさらに重要な安心感も必須である。
日本の将来を、どのようなエネルギー源に依存して行くかは、国民の賢い選択の決断による。

原子力発電が、将来において安心感をもたらすかは、個人差があるのでひとまずおこう。

原子力発電が安価な電力源であることは、もはや決定的に過去の話になった。
原発の稼働率を高く維持して、想定外の事態には対処する事を省いて、極力割り切ることが、原子力発電のコストを下げる。
産業界の老害経営者たちの頭は、古き時代の原発廉価信仰が抜けきらない状態である。

その一方で、再生可能エネルギー、特に太陽光発電は、クリーンで身近な家庭用に適した発電であることが、浸透してきた。
ただし、設置価格が高く、もとをとるには10年以上かかるとされて、しかも家庭用の屋根の面積は限られているから、発電の総量は大した助けにならない。
という「太陽光はオタク電源神話」が別に作られてきた。

菅総理は海外における講演で、日本の1000万戸の屋根に太陽光発電を設置すると宣言し、日本の関連する行政には(担当の大臣にも)事前の検討指示もないままに、言い放った。
早速、各方面からは、その宣言の唐突さと検討不足に対する批判が噴出した。
確かに、小泉首相の「郵政民営化によって、日本を再生する。」よりは、現実的なスローガンであるから、国民受けを狙ったパフォーマンスの感を免れない。

これを少し検討してみると、現在の太陽光発電のコストは、10年間の設備償却として、約42円。
前回に書いた様に、実際の耐用年数は25年以上あるので、設備償却期間を21年に想定すれば、
発電コストは[20円/kWh]となって、安全性確保対策をした後の原発発電コストと同等になる。
しかも発展段階の技術革新によって、将来の発電コストは、10年後には3分の1程度に下げられる可能性がある。

一方の原子力発電所は、建設後に40年近くもたっている設備が多く、それ以外の原発も20年~30年は経過している。
当初の設計耐用年数は30年であったモノを、点検修理すれば40年までは使えるとし、今回の原発大事故以前には50年まで使うことを容認する措置まで講じていた。
今回の安全性見直しによって、40年を過ぎた原発は廃炉にする方向であり、今後も原発を維持するには、新規の設備を建設しなければならない。
しかも稼働は10年後くらいになり、その時点での発電コストは想定範囲では確実に高騰する。

さて、現状における技術水準と発電コストの関連は判った。
10年後はどうなっているかは、予想するしかないが、これらの想定をキチンと公開して、どちらの選択をするか、国民に問えば、日本の行くべきエネルギー源の将来が決められるであろう。
「原発の安全神話」は崩れ、「太陽光はオタク電源」から抜け出して、真の検討が必要である。

新エネルギー設備による発電コストの実力と原発の比較は。

2011-05-29 | 快適エネルギー社会問題
フランスのサルコジ大統領は、「原子力発電技術は安全性を最優先するべきで、価格を優先するのは禁物だ」と声を大にして、OECD会議で存在感を示した。
菅首相は「原子力エネルギーの安全性への挑戦」を講演で表明したが、力強さは全くなくて、その真意のほどが疑われる状況である。
安全性を強化する方向は、今までの「原発の発電コストは安い」という売込文句を封印する事を意味する。

日本の原発発電コストの欺瞞は、読者にはもう解って頂けたと思いますが、マスメディアで
キチンと公表されるには、時間がかかり、2012年の後半になってしまうのではないか。
都合の悪い情報は、できるだけ出さないし、出すにしても、時間を遅らせて小さく扱わせることに腐心をするのが、経済産業省のエネルギー関係者、そして、悪名高い電気事業連合会である。

その一方、再生可能エネルギー(経済産業省は相変わらず「新エネルギー」と呼ぶ)の発電コストは、割高であるからとして、これを普及させるには、国民負担(電気料金の値上げ)につながると、宣伝にいとまがない。
最近になって、やっと原発を無理押しする事が、自省の利益にならないと悟り、「新エネルギーを導入・推進し資源枯渇の不安がない社会へ」との表題で、キャンペーンを始め、新聞の全面広告を出している。(2011年5月26日)

「新エネルギーとは、太陽、水力、風力、バイオマス、地熱など、資源が枯渇しない再生可能エネルギーのうち、技術的に導入段階にありながら、コストが高いため普及に支援を必要とするもの」をいうと、資源エネルギー庁は説明している。
では肝心の発電コストは、どうかというと、全面広告のどこを見ても、その数値の実績も実力も書いていない。
つまり、公表できるほどの信頼性のあるデータを持ち合わせていないか、持っていても、都合が悪い数値なので出さない。という、相変わらずの国民軽視のエネルギー政策にとどまっている。

そこで、とりあえずは、「再生可能エネルギー電力固定価格買取り制度」の閣議決定案の数値を引用する。
太陽光発電:40円/kWh。(家庭用の小規模は42円/kWh。)
風力、小規模水力、バイオマス、地熱:20円/kWh。
この価格で買取りを保証すれば、各地で設備の導入が促進されると想定していることになる。
発電コストが現時点で、この価格以下の実現が出来ているとみなしている。

太陽光発電については、少し、立ち入って評価すると、この発電コストを算出する場合に、多くの事例では、10年間の発電量で設備費用を償却する事になっている。
しかし、設備の耐用年数の実力は、すでに20年以上もたっているソーラーセル(太陽電池)でも、初期の8割上の発電量が確保されている。
最近の技術では、25年間の発電性能を保証するメ―カ―も表れている。
その場合、太陽光発電の発電コストは、どのように算出するのが妥当なのか。(以下、次回)

発電技術の選択には発電コストの事実を把握して評価すべき。 

2011-05-28 | 快適エネルギー社会問題
日本の政府がエネルギー政策を白紙から見直して、本当に国民の為になる安定した供給と、安心出来る電力を、経済性をベースに検討し直すことが必要になった。
その時に、各技術における進化を盛り込んだ、実現出来る経済性、発電コストをキチンと把握して取り掛かるべきである。

今までに、発電コストの実績は経済産業省と電気事業連合会による実績値として公表されてきた。
しかし、この数値は大変に恣意的な要素が隠されていて、ほとんど【偽に近い情報】と言わなければならない。
例えば、原子力発電の発電コストの実績は、2002年の実績では、[8.3円/kWh]と公表されている。
この数値は、原発の稼働率の平均が78%の実績値による、発電コストである。

稼働率が落ちれば、発電コストが上がることは必然である。
しかし、その数値は公表されていないし、国民には何の説明もされていない。
2009年度では、平均稼働率は60%程度に落ちているから、それによる発電コストは[10.8円/kWh]程度になる筈である。
さらに、2011年度は3・11による大事故で、さらに平均稼働率はさがり、現時点では54基の原発のうち28基は破損および、定期点検中で停止している。

福島第一原発は、確実に廃炉となり、点検中の原発も安全性の見直しが完了した時点でないと、運転再開の地元了解は得られない見通しである。
従って、2011年度は原発の稼働率は、半分以下になることが確実と思われる。
仮に稼働率50%の場合を想定した発電コストを概算してみると、[13.0円/kWh]に高騰する。
さらに、東電の原発事故の賠償額は、電力コストに振り替えて返済しなければならない。

これから発生する「安全対策の強化規制」に対応するための設備の増強や、老朽化による不安のある部分の改修を加える費用は膨大に上がる。
何度も指摘している【使用済み核燃料】の最終処分費用が、当初の想定よりも格段に費用がかかることが判明し、現在のレベルでも総額19兆円の経費が必要となる。
これらの経費をすべて原子力発電のコストにいれると、[13円/kWh]どころの数値ではなく、[20円/kWh]以上に跳ね上がることは確実であろう。

電気事業連合会は、これらの事実にもとづいた、【原子力発電の真のコスト】を、国民、電力利用者に公開して説明する責任がある。
今までの様に、経済産業省の原子力族官僚の指示によって、歪められた【見せかけの発電コスト】を公表している様では、原発推進の下心を疑われるままになる。
企業にとって電力料金は、生産活動に不可欠のコストであり、最終的には消費者の負担になる。
この重要な発電コストを闇のママにしたり、恣意的な偽の発電コストを鵜呑みにしている様では、
経営者としての責務を放棄していて失格である。

発電コストの事実を把握して評価すべき。
これは企業活動、社会活動の基本である。(以下、次回)

次世代のエネルギー政策をしっかりした論理で実効ある取組を。

2011-05-27 | 快適エネルギー社会問題
菅首相が発表した「4つの挑戦」は、一歩前進と言いたいところだが、伝えられる中身を分析すると、月並みでしかも曖昧な宣言となっていて、落第点に近いシロモノである。
原子力エネルギーの安全性への言及は、総論的な範囲で、しかも主催国のフランスに大きく遠慮をしている、甚だしく不徹底で月並み以下の発言となっている。

省エネルギー政策については、まったく新しい具体策もなく、タダつけたしに言っているだけで、熱意は全く感じられない。
化石エネルギーの「環境性」については、このブログで主張して書いた「天然ガスの特別普及施策」は一切触れられていない。
環境性を言うならば、温室効果ガス削減になる方向で、石炭や石油を天然ガス主体に転換することが有効な政策であるのに、全く言及もない。

一番の落第点は、自然エネルギーの普及促進、「実用性」への挑戦の課題である。
2020年代の早い時期に20%の普及を目指すと言っているが、実はこの中身には「大型ダム式の水力発電」が含まれている。
自然エネルギーと言うと、水力も含まれると思われるだろうが、環境保護活動をしている人からみれば、「大型ダム」は環境破壊の最たるものであり、今後は絶対に止めて行くべき対象である。

日本では、現状で7%の電力を大型ダム水力で発電している。
それは年々、ダム湖の水底にたまる土砂によって、ダムの水量が大幅に減っていくので、水源貯留としての機能が失われ、発電の為の水量は減少していく。
今後のダムの新規増設は、八ツ場ダムの紛争に見られる様に、自然破壊の防止の観点からは、中止に至ることは必須である。

この様に大型ダム式水力発電は、自然エネルギーとはいえず、再生可能でもないエネルギー源である。
これを除外すると、現在の自然エネルギー発電は2%程度で、2020年までに13%にする目標を言っているにすぎない。
いや、それも「2020年代の出来るだけ早い時期に」などと、目標達成の時期を曖昧にする姿勢には、取組が本気でないことをうかがわせる。

菅政権に対抗する野党の諸氏、政治家に期待したいのは、国の重要なエネルギーの長期政策に対して、曖昧でナマヌルイ取り組み姿勢を、厳重に追及すべきである。
同時に、対抗する具体的な政策を、化石燃料の環境性、省エネルギー政策を一層加速する具体的な政策を提示して、現政権の実行を迫るべきである。

東電のだらしのない報告をうのみにして、自民党総裁の質問では、政権への揚げ足取り追求の国会質問などは、見苦しいを通りこして、日本の政治家の恥さらしになっている。
野党の中にも、若手の毅然とした論理で追及する論客がいるのだから、老害としか言えない様な発言をする政治家は引退させて、活力のある日本を再生させるために世代交代をした方が良い。

菅内閣の取組は一歩前進だが中身は全くナマヌルイ。メディアも。

2011-05-26 | 快適エネルギー社会問題
官首相がパリのOECD(経済協力開発機構)の会議に出席して、日本のエネルギー政策についての将来目標を表明する。
この中身は新聞報道によると、4つの挑戦となっている。
① 原子力エネルギーの「安全性」への挑戦。
② 化石エネルギーの「環境性」への挑戦。
③ 自然エネルギーの「実用性」への挑戦。
④ 省エネルギーへの「可能性」への挑戦。

この具体的な中身の例では、太陽光発電の発電コストを、2020年には現在の3分の1、2030年には6分の1まで引き下げることを目指す。としている。
昨年6月に決めた政府のエネルギー基本計画にある達成時期を10年程度、前倒しする計画である。
この様な計画の見直しによって、再生可能エネルギーの割合を「2020年代の出来るだけ早い時期に20%とする。」と数値目標を掲げている。

再生可能エネルギーの普及目標を具体的な数値で掲げたことは、今までの政府は触れて来なかったので、一歩前進といえる。
しかし、このブログで書いてきたが、日本の歴代の政府は、経済産業省の言いなりに、原子力偏重のエネルギー政策に埋没して、再生可能エネルギー(政府は新エネルギーと呼んでいる)の普及促進をさぼってきた。
その空白の15年を取り戻すには、10年程度の前倒し政策では、まったくナマヌルイ。

その具体的政策に踏み込むと、再生可能エネルギーの電力を「固定優遇価格買取り」制度は、大震災直前に、閣議決定して国会に提出しているが、まったく審議が進んでいない。
この制度は、普及促進の一丁目一番地の政策で、ドイツなどで大きな実績を上げている政策であり、これの実現ですら、もたついている様では、実行能力には大きな疑問符がつく。
他の再生可能エネルギーや、買取り制度など以外の普及促進と発電コストの引き下げに有効な技術開発への支援策などは、宙に浮いたままの夢想論、希望的な期待が飛び交うだけでは、目標倒れに終わる。

また、マスメディアの役割も大きいが、「再生可能エネルギー」の新技術や課題についての不勉強が多すぎるので、何かと間違った情報がメディアの前面にでて誤解をまねき、国民世論に対する啓発がお粗末な状況になっている。

再生可能エネルギーの中身をとっても、現状(2009年)の割合は、9%と数値を出している。
しかし、大型のダム式水力発電の7%を含む数値であり、その他の(政府が言うところの新エネルギー)本当の再生可能エネルギーは2%にしか過ぎない。

菅内閣のいい出している目標20%には、この大型水力発電は、除外している筈であるが、もし、含めているならば、本当の再生可能エネルギーの普及目標は、わずか13%ということになる。
この数値は、論外に低い目標であり、政府はマタマタ、経済産業省の官僚主導によるエネルギー政策に翻弄されることになる。

メディアの記者は大本営発表に対して、もっと賢くなってはどうか。

エネルギー自給率のまやかし原子力がん細胞を削除して健康体に。

2011-05-25 | 快適エネルギー社会問題
食料の自給率が40%程度に留まっていることは、マスメディアに度々登場し、これを45%に引き上げる目標が設定されている。
それに対して、エネルギーの自給率が10%以下であることを報じることは、極、まれである。
経済産業省は、原子力発電を純国産という呼び方で、自給できているエネルギーとみなし、この原子力発電の比率を増やすことで、自給率が向上していく、とみなそうとしていた。

世界の流れは、原子力ルネッサンスなどの新語を掲げて、原発の増設ラッシュの突入しようとしていたが、今回の福島の大事故で、世界的にも見直しの動きが活発になっている。
一方、気候変動対策の観点からは、国連IPCC(気候変動の関する政府間パネル)が、再生可能エネルギーに関する政策決定者用の報告を発表した。

現在、1次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合は、13%であるが、これが2030年には43%になり、2050年には77%に増える。
これは、先進国と途上国を代表する40人の専門家による「ワーキンググループ」の報告だが、原子力に見直しがかかった状況からすれば、再生可能エネルギーの競争的な普及に突き進む。

日本はどうかといえば、現状ではわずか2%に満たない普及の段階にとどまる。
なにゆえにこの様な低いレベルにあるかは、このブログに何度も書いてきたので、もう、繰り返さないが、ひとつだけは強調しておきたい事実がある。
それは、自分たちに利益になることを最優先した【原子力村】の住民たちが、原子力発電の不祥事が起きるたびに、それの事態の収拾を図ると同時に、水面下で、再生可能エネルギーの普及促進を出来る限り抑えることに奔走してきたことである。

この次元の低い謀略によって、「新エネルギー(再生可能エネルギー)促進特別措置法」は、いつも骨抜きの策略の影響で、当初は1%未満に抑えられ、現在でも2%未満という、世界でもまれにみる低い普及率にとどまってしまった。
この【原子力村】は、マスメディアに腐敗ぶりを報道されているが、日本の将来のエネルギーの技術進歩と事業の拡大を大きく邪魔をした、【日本のがん細胞】の様な存在であった。

今、この大事故による困難な状況で、がん細胞を切除して健康体にもどれば、日本の優れた技術力と、民間の健全な競争的な活力を引き出して、トップクラスの普及促進が実現する筈である。
30年以上に渡って日本中にはびこって根ズイタ【原子力依存がん細胞】を取り除く手術は、困難な大治療になるであろう。
しかも、各部に相当な痛みを伴うことも覚悟して臨まなければならない。

国民は、その痛みを乗り越えて、本格的に原子力の【政官民の癒着】体質を、体中から切除する事に協力をしていくであろう。
それによって、日本の再生可能エネルギーの普及は急速に進み、これからはエネルギーの自給率がホントウに高まることにつながる。
この重大な転機を乗り越えれば、安心出来る『快適エネルギー社会』の実現が近づいてくる。

天然ガス火力発電は中継ぎだけでなく、将来は[CO2排出]ゼロ。

2011-05-24 | 快適エネルギー社会問題
再生可能エネルギーが将来の本命であることは間違いないが、その技術進歩にはまだ多くの課題が立ちはだかっている。
何しろ、日本では新規の電力開発への助成金は、9割方が原子力発電に投入され、その中でも、使用済み核燃料の再処理設備の為に、膨大なお金が使われている。
しかも、再処理後の燃料は今の原発では、危ない面もあって、ほとんど使う様になっていない。

今回の大事故によって、マスマス、再処理した燃料を使う計画は、ほぼゼロとなるであろう。
さらに2050年を目指して、プルトニウムが増加する夢の【高速増殖炉】の試験設備が、動き出しているが、これにも膨大なお金がかかり、しかも、成功する見込みはほぼゼロに近い。
この様に、原発にとらわれている状況では、新規の電力を開拓する費用は、ほとんど無駄に使われてしまったも同然である。

ここで、原発に無駄に回っていたおカネを、『再生可能エネルギー』の研究開発に回すことによって、やっと、日本も立ち遅れた分野の開発が軌道に乗り出せる。
しかし、原発にこだわって、失ってしまった時間は15年に相当し、これを取り戻すには、10年以上はかかってしまう。
いくら、政府が今の時点から躍起になっても、この停滞した時間は戻ってこない。

従って、今すぐ『再生可能エネルギー』を主力に置く路線に転換しても、すぐには発電能力は増えて行かない。
最大限にガンバッタとしても、2020年には電力の25%程度を代替する事が精いっぱいであろう。
その間は、原発を廃止すると電力供給が不足する懸念がでてしまう。

それであるから、現段階での最良の選択は、「天然ガス火力発電」の緊急増設が現実的である。
これによって、電力供給力の不足の懸念を一掃して、経済の活性化につながる景気浮揚対策と「需要の大幅喚起」の施策を、打ち出すべきである。

それでようやく、雇用不安がへることで、原発を停止して廃炉にして行く路線に転換できる。
それまでの期間は、原発を抱える地元は、不安を乗り越えるガマンを強いられる。

原発依存症の陣営からは、炭酸ガス排出削減はどうしたのか、と足を引っ張りだす。
だが「天然ガス火力発電」は、化石燃料発電の中でも、[CO2排出]の割合は、一番少ない。
だから、石炭火力発電をできるだけ廃止して、「天然ガス火力発電」に置き換えるだけでも、削減目標は達成できる。
原発をすべて停止しても、温室効果ガスの削減目標は、国際的にも高い評価を受けている「2020年までに25%削減」というレベルを達成できる。

その後はどうするのか。
せっかく建設した「火力発電設備」は、将来の目標を「2050年までに80%削減」の高いレベルに設定すると、無駄な投資になってしまわないか。
心配ご無用。
その時期には、[CO2排出の分離技術]が進歩し、その[CO2ガス]を利用した『藻類の培養システム』によって、大量の「バイオ燃料が効率よく生産」できる技術が完成している。

産業を維持し拡大させるエネルギー政策を早急に。「低炭素」の罪。

2011-05-23 | 快適エネルギー社会問題
日本の電力エネルギーを支えるのは『天然ガス火力発電』である、という主張は、原子力村の住民を除いた電力事業関係者の一致した見解である。
それが、何故に日本の国策には主力電源とは、ならなかったのか。
自公政権の時代に、政治と電力企業が癒着して、それに乗じて天下り先を確保したい経済産業省の利害が、原子力発電を主力にする方向に捻じ曲げていたからである。

今や、政財官の癒着が原発の大事故を招いたのは、公然の事実として、誰の目にもハッキリと見えてしまった。
そこで、原発に依存したい陣営の言い分は、原発の発電コストは依然として安いから、今ある原発の運転は継続する方が、日本の産業のためになる、と言いだしている。
しかし、『天然ガス火力発電』は、日本が改良を重ねて今や、エネルギー利用の効率は60%近くに達し、確実に原発の発電コストよりも安くなっている。

そこで原発依存症族は、「温暖化対策」を海外に約束するからには、原発抜きでは達成は不可能だ、との論法を言いだしている。
さらに、天然ガス発電は各国での普及が進むと、ガスの奪いあいになって、価格が高騰する恐れがある。
やはり、将来の供給安定性を確保するには、原子力発電技術を日本で改良して、安全性を高めることに邁進すべきである。と言いだしている。

この様な状況に置かれていることを頭にいれて、日本のエネルギー政策をどうしていくか?
次の3つの手段を選択する事が求められている。
Aコース:原発の安全性を高める対策をして、既存の原発の運転を継続する。
     寿命のきた原発は、最新技術を盛り込んだ新規の原子力発電設備に置き換える。
Bコース:『天然ガス火力発電』の設備増強に主力を置いて、発電供給量を確保し、余力が確保
     できた分から、既存の原発を停止し廃炉にして行く。
Cコース:『再生可能エネルギー発電』の研究開発を強化して、コスト高の段階でも導入する。  
      原発の寿命が40年を超えたモノはすべて停止して廃炉にしていく。

このブログの読者は、どのように判断するでしょうか。
Aコースを選択する人は、多分いないでしょう。
Abunai選択は、日本の国民は選ばない。
Cコースがマスメディアの論調で、今は大きく採りあげられているが、Challengeは懸念が残る。
そこで、Bコースの選択が有力であるが、話題性に乏しいのか、マスメディアには、ほとんど登場しないので、国民は知らない状況に置かれている。

ここ数年においては、「低炭素社会」への論調が主力になっていて、原発か再生可能エネルギーかの議論ばかりが採り上げられる。
しかし、【低炭素の言葉のまやかし】にのせられて「原発主力のエネルギー政策」を、うやむやに認めてしまう様な評論家ばかりでは、日本の経済はマスマス危うい状況に陥る。

まずは、きちんとした産業を維持して雇用を守ることを最重要視すべきである。(以下、次回に)

脱原発への中継ぎは天然ガス火力発電に注力する。躊躇なく! 

2011-05-22 | 核エネルギー・原子力問題
日本のエネルギー政策を原発依存から離れて、主力を『再生可能エネルギー』に転換する流れは、ほぼ決まっていると、判断してよいだろう。
問題はその転換の速度をどの程度に想定して、有効な政策を打ち出すかに議論は移っている。
原発を抱える地元や自治体は、原発が必要なのではなくて、地元が活性化する産業、雇用機会が欲しいのである。
だから、それが出来ないうちに原発を停止して廃炉にするのは、大きな抵抗感がある。

それと、『再生可能エネルギー』への転換は、基本的には理解したが、技術的に完成しているわけではなく、将来の目標を本当に達成できるのか。
それまでの事業化の見通しや、雇用機会の創出に不安も持ったままでは、おいそれと原発廃止には賛成しないであろう。

さらに、原発の全面的な停止に向けての、電力供給不足をどうやって賄うのかも、大きな不安になっている。
今の電力会社の首脳陣では、その対策案すらも、検討して行く能力が無いように見える。
これらの問題点に対して、既存の電力企業以外の民間会社の活力を、全面的に活かそうというのが電力自由化と、その具体策としての『送電・発電の分離』策は、やっと政府の課題として前面に現れて、これから活発な議論が展開される。

時代の流れは、『送電・発電の分離』にほぼ決まっているが、その欠点を補う制度や、政府の関与と責任をキチンと議論のうえ、あらゆる想定をしておかなければならない。
アメリカの様に、『送電・発電の分離』がされていると、大停電に陥った事故の再発もありうる。
それが起きてから【想定外の事態】でした、と言い訳してもらう様では、まったくダメである。
従って、まともな想定が出来ない既存電力企業の言い分は、割り引いて聞く範囲にとどめるべき。

この様な『送電・発電の分離』段階を踏まえて、次世代の電力をどのようにして行くか。
確かに「再生可能エネルギー」のメリットは、将来の面では有利であるが、現時点では発電コストが割高で、今のままの技術と発電コストでは、産業界にとっては受け入れがたい経費の増加になってしまう。
だから、今の原発の安全性を高めて、使えるだけの期間は、充分に稼働させた方が良い。
産業の為や、国民生活への実質的な悪影響を最小にするためにも、既存の原発を稼働させるべきだ。
これが、「原発運転容認論」として、今後のマスメディア表面に躍り出るであろう。

だが、これも、原子力神話と原発コストは安いと言う、洗脳が残っている証拠でもある。
現在の技術で、すぐにでもコストの安い脱原発電力は供給可能である。
『天然ガスによる火力発電』は、日本で技術的、事業的に成功している、有力な本命事業である。
まずは、再生可能エネルギー促進を図る一方で、日本の総力を挙げて、各地に『天然ガス火力発電』を、大特急で増設することが最善策である。
もちろん、天然ガスの調達を新規に計画すると、2年~5年は見なければならないが、原発ゼロの為の発電供給力の1700万KWは、確実に達成可能である。
何を躊躇することがあるのか。

旧時代の原発と土建業を採るか、未来の再生可能エネルギーに挑戦か。

2011-05-21 | 快適エネルギー社会問題
日本のエネルギーの将来を「再生可能エネルギー」を主体にした、国産の自給エネルギーに転換する事は、空想だけではないことを説明してきた。
太陽光発電と風力発電は、1990年代から技術進化をして2010年代には本格的な普及期にはいる。
地熱発電は、これからの開拓になるが、2020年までには実用化が進んでいるであろう。

将来展望が見えていない、バイオマスエネルギーは木質系の発電技術は2010年代に進化し、2020年にはかなりの割合の普及する。
また淡水系の藻類は、2010年代の研究開発のより、2020年代には本格普及期に入るであろう。
そして、大本命の海水系、大型海藻類の人工栽培によるエネルギー利用技術は、2020年までに実用化のモデルを造る。

この様な大きな目標を設定すれば、2030年頃には原子力発電に頼る必要もなく、エネルギーの消費量が増えても供給力は、国内産の再生可能エネルギーにすべて依存して可能に状態になる。
進化した技術は、海外への展開も活発のなり、国内の雇用機会が大幅に増える。

国内から撤退して海外に生産移転をする製造業関連の雇用の減少に対して、新たな産業を起こすことで、国内経済の活性化と成長が可能であろう。
原子力産業の関連する事業は、廃炉の段階の作業だけになるが、その穴埋めは全く問題ないくらいに、新規産業が置き換わる。

国の方針を脱原子力、脱化石燃料と意思を決めることで、以上の様なエネルギー関連の技術開発を産業化の拡大促進は、国内経済全体の活況をもたらす効果も期待できる。
それなのに、未だに、原子力発電関連の仕事を失いたくない、という原発立地の地元は、危険な原発と同居する方向を要望している。
すぐ目の前の存在する設備と技術のすがりつくしかないのは、悲劇的である。
耐震性や津波対策を講じれば、最低限の安全性の補強はできるであろう。

だが、多くの原発は設備の寿命が30年を超え、40年もすぐ目の前である。
さらに50年まで耐久性があると想定して、一部の修理交換で、原発の運転を継続する路線を、経済産業省は維持しようとしている。
しかし、それは、発電コストを見かけ上だけ抑える、延命策にすぎない。

結局、2020年や2030年時点で見れば、安心できない原発を修理しながら運転継続するよりも、早めに「再生可能エネルギー」を主力とするエネルギー政策に転換していけば、発電コストも有利になる。
安心できて、供給量も増加させる可能性が十分にあり、さらに、技術の進化次第で発電コストも現状よりも安くできる。
今がその方向に転じる重要な転換点である。
まだ決断できないでいるのは、10年、20年後には「不要となる防潮堤をカサ上げする工事」を期待している土建業の為に、働いている政治家から抜け出せないからか・・・・・。

日本は海洋国家であると認識して再度提言する『海藻類の人工栽培』

2011-05-20 | 海洋産業問題
再生可能エネルギーがマスディアの前面に登場して、菅内閣も長期エネルギー戦略の方針を、全面的に見直そうとしている。
太陽光発電、風力発電、地熱発電など、海外で順調に開発促進が進んでいるニュースが、テレビ、新聞等で紹介されるが、日本の立ち遅れが毎回指摘され、政治主導の必要性が強まっている。

その中で、バイオマスエネルギーの分野は、一番、理解が進んでいない分野である。
利用可能性の大きさの割には、日本では木質材のエネルギー利用程度しか実績も少なくて、ほとんどの人が、その可能性の奥深さを知らない状況に置かれている。
これは、現在のマスメディアの怠慢によるところが大きい。

このブログでは、バイオマスの分野で、『藻類の開発』が必要であることを、何度も書いてきた。
昨日は、「淡水性の藻類の研究」が進んでいて、その先端の利用技術を紹介した。
藻類でも「海水における大型海藻類の利用」が、現在の重要な挑戦課題であると何度も書いてきた。
マスメディアには、ほとんど登場しない話題なので、もう一度、その概要を紹介しておきます。

2010年8月14日「植物としての光合成能力は海藻類に勝るモノはない。」関連8月12日。15日。
2010年8月21日「日本のCO2排出削減の手法は海藻類の人工栽培が主力に」
2010年9月29日「海洋エネルギー資源が豊富にあるのに事業化は最後尾」
以上のブログを再読していただければ、その趣旨は理解してもらえると思います。

昨日の陸上のおける淡水系の藻類の栽培技術は、アメリカでの研究が盛んで、2015年頃からは実証試験が始まる上、事業化の可能性は広大な国土を活かせるので、膨大な数量が期待される。
しかし、日本では陸地の利用に限界があるので、海洋国家の特徴を生かして、沿岸部の適地を開拓して、「海藻類の人工栽培」の技術開発に最重点をおくべきであろう。

実証事例としては、コンブの養殖が実績もあるので、一番の事業化の候補である。
だが、研究を重ね、事業化に適した栽培種と技術を積み重ねることによって、世界でも最先端の利用技術が実現出来る分野である。
なぜ、ヨーロッパ(大陸国家)やアメリカ(大陸国家&一部は海洋)の様な、国土の条件が大きく違うところの情報ばかりを追いかけるのか。

日本は世界で第6位の[EEZ](排他的経済水域)を保有している大海洋国家である。
その恵まれた気候条件の沿岸部を利用して、エネルギー(もちろん、食料の一部も)の原料となる『海藻類の人工栽培』に、国家としての将来を託さないのか。
それは、日本の将来エネルギ―を、「原子力エネルギー」の平和利用という美名のもとに、官僚と産業界(電力多消費産業と土建産業)の誤った選択によって、捻じ曲げられたからである。

今からでも遅くない。
地震による津波問題と台風の被害対策の難問はあるが、日本の技術を結集して積み重ねれば、必ずや『海藻類の人工栽培』の実用化、商業化が実現出来る。
今必要なのは、その決意と国民的な『希望の持てる目標』にして行く活動である。

日本は海洋国家であると認識して再度提言する『海藻類の人工栽培』

2011-05-20 | 海洋産業問題
再生可能エネルギーがマスディアの前面に登場して、菅内閣も長期エネルギー戦略の方針を、全面的に見直そうとしている。
太陽光発電、風力発電、地熱発電など、海外で順調に開発促進が進んでいるニュースが、テレビ、新聞等で紹介されるが、日本の立ち遅れが毎回指摘され、政治主導の必要性が強まっている。

その中で、バイオマスエネルギーの分野は、一番、理解が進んでいない分野である。
利用可能性の大きさの割には、日本では木質材のエネルギー利用程度しか実績も少なくて、ほとんどの人が、その可能性の奥深さを知らない状況に置かれている。
これは、現在のマスメディアの怠慢によるところが大きい。

このブログでは、バイオマスの分野で、『藻類の開発』が必要であることを、何度も書いてきた。
昨日は、「淡水性の藻類の研究」が進んでいて、その先端の利用技術を紹介した。
藻類でも「海水における大型海藻類の利用」が、現在の重要な挑戦課題であると何度も書いてきた。
マスメディアには、ほとんど登場しない話題なので、もう一度、その概要を紹介しておきます。

2010年8月14日「植物としての光合成能力は海藻類に勝るモノはない。」関連8月12日。15日。
2010年8月21日「日本のCO2排出削減の手法は海藻類の人工栽培が主力に」
2010年9月29日「海洋エネルギー資源が豊富にあるのに事業化は最後尾」
以上のブログを再読していただければ、その趣旨は理解してもらえると思います。

昨日の陸上のおける淡水系の藻類の栽培技術は、アメリカでの研究が盛んで、2015年頃からは実証試験が始まる上、事業化の可能性は広大な国土を活かせるので、膨大な数量が期待される。
しかし、日本では陸地の利用に限界があるので、海洋国家の特徴を生かして、沿岸部の適地と開拓して、「海藻類の人工栽培」の技術開発に最重点をおくべきであろう。

実証事例としては、コンブの養殖が実績もあるので、一番の事業化の候補である。
だが、研究を重ね、事業化に適した栽培種と技術を積み重ねることによって、世界でも最先端の利用技術が実現出来る分野である。
なぜ、ヨーロッパ(大陸国家)やアメリカ(大陸国家&一部は海洋)の様な、国土の条件が大きく違うところの情報ばかりを追いかけるのか。

日本は世界で第6位の[EEZ](排他的経済水域)を保有している大海洋国家である。
その恵まれた気候条件の沿岸部を利用して、エネルギー(もちろん、食料の一部も)の原料となる『海藻類の人工栽培』に、国家としての将来を託さないのか。
それは、日本の将来エネルギ―を、「原子力エネルギー」の平和利用という美名のもとに、官僚と産業界(電力多消費産業と土建産業)の誤った選択によって、捻じ曲げられたからである。

今からでも遅くない。
地震による津波問題と台風の被害対策の難問はあるが、日本の技術を結集して積み重ねれば、必ずや『海藻類の人工栽培』の実用化、商業化が実現出来る。
今必要なのは、その決意と国民的な『希望の持てる目標』にして行く活動である。

電力も燃料も再生可能エネルギー転換。次世代『藻類バイオマス』

2011-05-19 | バイオ燃料・バイオマス
日本の電力エネルギーを原発に頼らない『再生可能エネルギー』の拡大普及に転換する計画は、既に政策的な促進の段階に差し掛かっている。
さらに、発電コストを引き下げる技術革新も、各企業の中で重点課題として人員と研究資金の投入が行われているであろう。
この様な潮流を知らないのは、既存の既得権に胡坐をかいてきた電力会社の旧時代経営者である。

そこで、次の課題は、電力以外のエネルギーは、どのような方向に進むべきかの問題である。
バイオマスエネルギーが本命だと説明してきたが、陸地の木質バイオマスを利用する方策は、大半を発電にまわして、その排熱を熱源とする『コジェネ(電力と熱利用の併用)』が主体である。
自動車用や船舶に使う燃料は、相変わらず化石燃料(ガソリン、ディーゼル燃料)に頼ることになってしまう。
もちろん、自動車も船舶も省エネルギー技術による消費燃料の削減に取り組む必要は大きいが、それだけでは限界がある。

一時期は、バイオ燃料として自動車のガソリンの代替に、「サトウキビやトウモロコシからつくる【エタノール】燃料」が話題になっていた。
それらは、食料の供給量を妨げることや、耕作地を奪うことで、世界的には普及させるには懸念がおおきい。
そこで、現在は、食料にならないセルロース系のバイオマスや、藻類(単細胞植物から水中の大型海藻までをまとめて呼ぶ)バイオマスを栽培して、エネルギー利用する研究が盛んになっている。

日本では、筑波大学の渡邉信教授が「ボトリオコックス」という淡水に生息する藻類に着目して、研究を重ねている。
その成果の一部は、『藻類バイオマスエネルギー技術の展望』との題名で概要が発表されている。
なぜ、この様な藻類が着目されるかと言えば、単位面積当たりの成長量が格段に大きく、収穫後の燃料の抽出量が圧倒的に多いことにある。

上記の資料(グーグルで、バイオマスエネルギーで検索すれば、一番に出てくる。)を引用すれば、
トウモロコシや大豆から採れる油の100倍以上、もっとも収穫効率の良い油ヤシよりも、8~20倍以上も生産できる。
条件を最適に設定したプールを造り、大規模に生産できる技術を開発すれば、日本の様に国土が限られている地域においては、燃料用の植物としては最先端の可能性を秘めた方策である。

この淡水藻類による栽培で、ディーゼル燃料を製造すると、現状の試算では155円/リットルで、
耕作放棄の30万ヘクタールを活用すれば、日本で現在消費しているディーゼル燃料の置き換えがすべて可能になる。
研究課題は、この製造コストをどこまで引き下げることができるか、それが優先課題である。
このほかにも、藻類を利用した化石燃料の代替燃料の研究が活発になるであろう。

いつまでも原発や石油に頼る依存症は、時代遅れになることは確実である。

日本の特質の海洋国家をいかした快適な『海上風力発電』の実現。

2011-05-18 | 快適エネルギー社会問題
日本は世界で一番、地震発生の危険性が高い地域にある。
これは宿命であり、それに備えて安全なインフラと、万が一の場合には協力して復興を図る地道な努力を怠らない、国民性が備わっている。
そんな本質もわきまえないで、危険性のある未熟な技術である原子力発電を、国の基幹エネルギーに据えてしまい、54基もの原発を造ってしまった。

今こそ、この愚かな誤った選択を正しい方向に転換する好機としなければならない。
その技術手段は、『地熱発電』の積極的な開発と、『バイオマス発電』の技術革新による、国内での自給可能なエネルギーの普及促進である。
これによって、今の残った原発を廃止しても、電力エネルギーの供給は確保される。
原発を廃止したら、日本は電力不足の為に、産業が荒廃して沈没してしまう、などの脅しは、原子力依存症の中毒にかかった人種の言うことである。

それでも、電力を賄えるには不足で化石燃料の輸入依存に頼らなければ、日本はやっていけないのではないか。
さらに、温暖化対策のためには化石燃料の使用量を大幅に削減する目標を立てて、実行可能な計画を進めなければならない。
だから、化石燃料を置き換えるためにも、原子力発電は必要だ。という論法がしぶとく残る。

こうして、問題だらけの原子力発電所を維持した上で、さらに増設を14基も計画するなど、無謀なエネルギー戦略に突進していった。
当時は、再生可能エネルギー技術の実現可能性が危ぶまれていた状況もあって、安全性には目をつむれば、原子力発電は技術的には目の前にできていた。
しかし安全性と使用済み核燃料の課題は、表面から外されて、論争はうやむやのまま葬られている。

未だに、『再生可能エネルギー』を主力にするには、日本の狭い国土では無理だ。という思い込みが大半である。
原発をゼロにして、地熱発電やバイオマス発電に力を入れても、限界がある。と思っている読者は多いであろう。
そこで、もう一度、以前に書いたブログを紹介しておきますので、再読していただきたい。
2010年10月13日 「将来に向けての研究開発には多くの人員と資金を充てる」
2010年10月19日 「海上風力発電産業を国家戦略室の優先課題にすべき」

これからは、風力発電の可能性を研究し、海洋国家である日本の特質を生かして、『浮体式風力発電』を実現出来る戦略を立てるべきである。
風力発電を人家が多い陸地や、急峻な山地の多い地域に建設するよりも、陸地から適度に離れた海沿いに、建設する技術を開発して行けば、日本の特徴を生かした一大産業に発展する可能性が高い。
もちろん、津波対策や台風被害の懸念の為に、難しい技術開発が控えているであろう。
しかし、いつまでたっても安心できない原発や、無理難題の夢のエネルギー【高速増殖炉】の開発にこだわるよりも、心地よい夢の描けるエネルギー技術の研究課題ではないか。