庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経常収支が赤字に転落した責任を原発停止のせいに転嫁。

2014-01-31 | 経済問題

安倍首相の認識は単純な算術のレベルすら、理解が出来ていない様だ。

貿易収支が大幅に悪化した責任には一切触れないで、ただ、原発が停止したままだから、輸入の燃料費用が増大して、3.6兆円も海外におカネが出て行ってしまう、と説明する。

その3.6兆円のうち、どれだけが円安による増加であるか、算術計算すらしないで、全部を原発停止の為に赤字になったかのような認識だ。

これほど、国民を愚弄している話はない。

  

日本の電力の供給量の割合がどうなっているのか、をもう一度、おさらいをして実情をキチンと把握するのが基本である。

多い順にあげると、天然ガス42%、石炭27%、石油19%、であり、輸入に頼る燃料による火力発電は88%に達している。

これらの燃料費が、2012年12月の安倍内閣発足後は、円安に誘導した影響で、すべての燃料費が10~15%の価格上昇になってしまったのである。

原発の停止により、「旧式の石油火力発電」を再整備して、稼働している燃料費の増加分はあるにしても、原発事故前に石油火力は9%の割合であったから、10%の増加分は、原発停止の増加の影響と見るべきだろう。

 

これらの算術計算をするだけで、原発を再稼働出来ない場合の燃料費の増加分は、3.6兆円に達するわけがない。

つまり、天然ガス価格の値上がり分や、石炭価格の値上がり分もすべて、原発停止のせいにしている。

無分別にも円安に誘導してしまった政策ミスを、すべて「電力会社の不始末による全原発の停止状態」の責任を転嫁しているのだ。

さらに、野田政権時代の2012年においては、貿易収支の赤字が出た時期でも、わずかに留まっていた。

それが、月間で11兆円もの大幅な赤字を更新したのは、一体、誰のせいなのか。

 

民主党野田政権時代は、円高に苦しめられたと言いながら、全原発が停止していても、電力不足の停電もなく、日本中の国民生活と産業は動いていた。

安倍政権に交代後は、一部の金融成金と輸出依存企業の業績好転はあったが、結局は、輸出依存の産業構造ではないから、輸出金額の増加はなくなっている。

この経済構造の変化に気がつかない「アベノミクス」の暴走が、輸入金額の膨大な増加を招き、大幅な貿易赤字で国富を海外に流出させているのである。


地域社会は電力事業の独占体制の改革を待っている。

2014-01-30 | 快適エネルギー社会問題

原発ゼロの政策を現実的でない、と批判する勢力は、現在の地域独占の電力事業体制を肯定している「守旧派勢力」の代弁をしているのだ。

原発がすべて停止しても、電力の供給量は、予備として保管していた「旧式の火力発電」を整備し直して、発電量の不足分を補っているのが現状である。

この旧式で燃料の利用効率が低い石油火力発電を、出来る限り早く、エネルギー利用効率の高い、天然ガス発電などの新鋭機に切り替えるのが急務である。

ところが、東京電力などの大資本、大企業の動きは全く前向きの機動性がない。

 

その一方で、新規の電力事業者の参入は活発化している。

現在は、一定規模以上の事業所の電力市場は自由化されているので、表向きは、自由競争で価格とサービス競争が進んでいるとされている。

ところが、大手の電力会社は、競争相手が出てくるのを嫌って、何かと条件をつけて、できるだけ参入を遅らせてきた。

そのせいで、いまだに電力供給量の2%程度にしか、新規の発電事業者の供給量は増えていない。

 

東京都をはじめ、自治体の意欲のあるところは、電力会社の電力供給に頼らないで、自前の発電所、または、価格低減の意欲ある事業者からの電力購入を検討している。

自治体で所有している水力発電所の電力は、今までは既存の大手電力会社二、言い値で買取られてきた。

電力自由化時代に入ったから、自治体も新電力企業としての立場で、自由に市場で売電して、自治体収入の改善に役立てたい意欲がある。

また、新規に火力発電所の建設を計画する動きもあるのだ。

 

ところが、これらの動きにブレーキをかけるのが、「原発再稼働」の「安倍内閣の方針」である。

長期のエネルギー目標も策定出来ないママにして、原発維持と再稼働を優先する政府の姿勢は、自治体の自立的な動きを封じる上に、民間企業の積極的な投資の判断の障害になっているのだ。

つまり、安倍内閣の曖昧原発維持路線が、新鋭の発電所建設を遅らせて、化石燃料費の高騰の悪影響を増大させているのだ。

エネルギー政策と国益を守る経済政策において、これほど、地域の自主的努力の邪魔をする政権は、旧態依然たる旧産業依存体質のお粗末さである。


その場の都合で言説を翻す様な人物はリーダー失格だ。

2014-01-29 | 国創り政治問題

元首相の小泉純一郎氏は、現職の時代には原発推進の責任者であった。

それが、3・11事故以後に、利権で曲げられた安全疑惑と放射性廃棄物の最終処分の欺瞞に気がついて、これ以上の稼働は止めるべきと意識転換をした。

自身の現職首相時代の判断ミスを率直に認めて、国民に原発即ゼロを訴える姿勢は、正常な人格を持った正常な判断である。

ところが、自分自身の判断ミスを認めようとしないで、素知らぬふりをして原発維持路線を進もうとする安倍という人物は、人格のかけらもない様である。

 

安倍という人物は、自分の判断してきたことをすぐに忘れてしまい、都合のようことだけはしっかりと説明して、誇らしげにふるまう習性である。

つい一年前には、日本はデフレ経済から離脱して、経済を活性化する必要が最優先の課題だから、金融市場に大量のおカネを日銀から供給する、と言明した。

自分の言いなりになる日銀総裁を任命して、異次元の超金融緩和として「アベノミクスの第一の矢」と誇らしげに始めた。

結果は【大幅な円安に誘導】で、輸入品の価格は軒並み15%も上昇している。

効果を力説した「輸出企業の業績向上」はあっても、輸出総額は減少している。

 

最近の貿易収支は、赤字額を更新して11月度は11兆円を超える最大赤字を記録して、経常収支も赤字に転落してしまった。

これでも、物価上昇に転じているから「アベノミクス」の狙いのデフレ(物価下落現象)脱却には成功したと自慢げである。

本来は、国内の民間企業が積極的に市場を開拓する「国内投資」を増やして、需要の増加によってデフレ経済を離脱するのが本筋である。

その基本的なことも判らない【経済オンチ】のリーダーが、成長戦略の責任者と言うから、成果のほどは怪しいもので、早くも民間の責任に転嫁している。

 

1年前に言ったことも都合が悪くなれば言説を翻す習性だから、第1次安倍内閣が原発依存推進で、再生可能エネルギーの普及を邪魔した政策を採ったことは、すっかり忘れている。

原発大事故の原因となった、官民癒着の電力利権構造に対する反省も【責任者としての国民に対する謝罪】は全くなしで、逃げ回るだけである。

再生可能エネルギーの普及促進は大幅に停滞して、世界の後進国に停滞してしまった責任にも触れようとしない。

そして、「今すぐ原発ゼロは無責任だ!」と、無責任習性の人物が言い放つのだ。


安倍政権は原発政策にお手上げ状態だから若手に任せよ。

2014-01-28 | 核エネルギー・原子力問題

少し前の新聞記事で(1月21日付け)、自民党の若手らでつくる「エネルギー政策勉強会」のメンバーの国会議員5人が、福井県敦賀市の「高速増殖炉もんじゅ」を視察した。

日本原子力研究開発機構の施設で、「核燃料が増殖しながら発電する未来の夢の原子炉」の実験設備である。

しかし、この技術は難関の連続で、世界の原子力先進国では実用化を放棄して撤退し、日本くらいしか研究継続をしていない。

民主党政権では、この「高速増殖炉」研究を中止して、「使用済み核燃料の最終処理を研究する施設に転用する」計画が浮上していた。

 

自民党に政権交代してからは、この施設をどうするかは、民主党政権時代の方針を白紙に戻すことだけは決まって、従来のママの「高速増殖炉研究」を続けることにしてしまった。

そのための維持する費用が、ムダな経費となって積み上がる施設となった。

政権交代してからすでに1年以上も経つと言うのに、経費のムダは続いている。

安倍政権は原子力政策を「依存度を減らしながら維持する」アヤフヤナ方針を示して、この高速増殖炉の研究開発継続の転換策を、全く放棄したかに見える。

 

自民党の「エネルギー政策勉強会」のメンバーは、『使用済み核燃料の最終処分方法の研究施設に転換すべきだ』との意見表明をしている。

不勉強な政治家が多い中で、少しでも次世代に対する負の遺産を減らそうとする姿勢は、評価出来るが、自民党内での発言力が小さすぎることが難点である。

自民党内の守旧派は、この使用済み核燃料に対する勉強もしない上に、ただ、電力会社の責任で何とかする筈であるとの、甘い想定に浸りきっている。

原発再稼働の前提は、不始末に対処する方針をキチンと示すことが先である。

 

都知事候補者にも、この不始末に対する見識も方針もなく、当面はゼロにすることはできないから順次再稼働を認め、そのうちに誰かが解決策を決めてくれる時までは、使用済み核燃料は原発の敷地内に貯めておくのが良いと逃げる。

3・11の原発事故が起きるまでは、この様な無責任で他人任せの原発擁護派が大半であったが、今は、許されない状況なのに、厚顔無恥も甚だしい。

今の時点で、【トイレの排せつ物の引き取りが出来ないマンション】の販売を、公然と認める様な無神経な自治体首長は、言語道断で人格を疑うレベルだ。

それに気がついた時点で、即時、原発の再稼働はゼロが当然の決断である。


東京都知事選の原発政策関心の薄さは都民の無責任度の証。

2014-01-27 | 核エネルギー・原子力問題

東京都民の関心は、経済の活性化と福祉関連の政策に重点がおかれて、エネルギー政策の行方については、国が決めることであると思い込んでいる。

原発依存度をどの様にして行くべきかは、自分たちが選択しても、国の官僚や利権政治家が勝手に決めて行くのを、受け入れるしかない、とあきらめている。

しかし、こんな他人任せ、お上の言うことには逆らってもしかたがない、とする態度は、民主主義が未成熟であることの証であろう。

 

東京都が消費する電力で産まれる「GDP」の総額は、IMFデータでの順位では14位(2010年)で、韓国、メキシコに匹敵する規模の地域である。

もし、韓国やメキシコの大統領選挙で、エネルギー政策を問われた場合に、国連の方針に沿っていきますとか、アメリカの方針について行きます、と答えたら、何と自主性のない大統領候補だと、蔑まれてしまうだろう。

自分の国の将来を考えて、基本的なエネルギー政策を、政治的なリーダーシップを発揮して、国民が最も望む方向へ政権公約を高々と掲げる筈である。

 

ところが、都知事候補の保守系候補は、選挙の公約にはしたくないのか、とにかくウエの方針に従う姿勢ばかりを強調している。

東京都には原発が一基もないから、東京都民の関心は薄い筈だから、うかつなことを言って後で縛られるコトがない様にしている。

それを良しとする東京都民がかなりの割合でいるのも、この無責任姿勢が通用する空気を作りだしている。

本来は、受益者負担の原則で、原発の電力の恩恵を受けている東京都民が、【使用済み核燃料の後始末】に、応分の責任を負うべきなのである。

 

日本の人口の10%の住民が全国の総消費電力の10%を利用して、世界で14位の「DGP」を生みだして、豊かさを享受しているのだから、原発の後始末には10%以上の責任を負うべきなのである。

大震災前には54基の原発が稼働していたから、現在も約6基分の原発が生み出す「使用済み核燃料」の後始末の責任を負うのがスジの通る民主主義である。

原発推進派も、原発依存度を下げて行く陣営も、この今までに恩恵を受けた【6基分の使用済み核燃料】を『東京都内のどこか』に、最終処分の技術と処分地が決まるまでの(約100年はかかるかもしれない)期間は、「安全確実に保管する責任」を負うとすべきである。

もちろん原発即ゼロの陣営も同じ様に、責任を負うとする基本姿勢の筈である。


政府や責任ある政治家はエネルギー政策の転換方針を示せ。

2014-01-26 | 国創り政治問題

原発を維持する政策を主張する陣営の説明は、筋が全く通らない論理で、とにかく再稼働をすることで、問題事項の先送りをして行きたいだけなのである。

使用済み核燃料の行く先を全く決めることが出来ないので、溜まり続ける「再処理待ち核燃料」が、行き場がある限りは、原発を運転し続けることで、最終の始末の問題を誤魔化し続ける姿勢だ。

この問題を直視しない安倍内閣は、無責任政治家の最たるものである。

再処理工場の未完成問題も、国費の浪費の垂れ流しであり、高速増殖炉「もんじゅ」の実現不可能問題の対応も、全く着手することも逃げている。

 

最無責任政治家の次が、「将来的には原発の依存度を下げる方針です」と、国民の意向に沿った素ぶりを示しながら、どの様なスケジュールで依存度を下げるのか、何も考えていない、日和見政治家が目立つ。

これも無責任の代表で、行政の最前線や電力会社の経営者、新電力参入事業者にとっては、方針が全くアヤフヤな事業環境のもとでは、思い切った新事業計画や、設備投資の方向すら決めることが出来なくなる。

3・11以降の3年の間に、この方針が確立していれば、もっと迅速な代替電量の計画が具体化して、経済の再生に貢献できた筈である。

 

この様な「政治家の無責任ぶり」に、ついに堪忍袋の緒が切れた小泉純一郎元首相は、『原発は即ゼロにすべき』と断言する政治的表明をした。

これに対して、「原発ゼロを今言い出すのは無責任」との趣旨で、安倍首相は相変わらずの日和見態度で、自分は責任ある総理大臣だから、当面は原発を維持する方針をとり、小泉元首相をやんわりとかわしたつもりでいた。

ところが、すかさず、「使用済み核燃料の最終処分を決めないママに再稼働をする方がよっぽど無責任だ!」と、斬って捨てられた。

これには、安倍首相は一言も答えを持ち合わせていないので、逃げてしまった。

 

ここまで言われてしまっては、経済産業省が「原発維持を前提としたエネルギー基本計画」を、そのまま鵜呑みにするのは、あまりに格好がつかない。

それで、1月中にまとめて閣議決定しようとしたスケジュールは延期して、「最終処分をどうするかの、踏み込んだ検討をする」との方針にすることで、当面の無責任批判をかわそうと、基本計画の表現を練り直すことにした。

そして、都知事選の結果によっては、逃げ回るのが得策か、少しは前向きに検討を進める表現にするか、風見鶏政治家の本領を発揮している状況だ。


原発の必要性を政府も電力会社もまともに説明をしない。

2014-01-25 | 核エネルギー・原子力問題

自民党は先の政権公約において、「原発への依存度はできるだけ下げて行く」として、国民の原発に対する反感を和らげる作戦で臨んだ。

当時は、原発の電力がないと停電の恐れがあるとしていたので、それに対する不安も手助けになって、自民党の政策を容認する人が増えていたのである。

ところが、政権交代後の原発の規制基準が策定された後は、日本中の原発は審査待ちの状態になって、全原発は停止した状態が一年以上も経過した。

その間に、停電の恐れに近づいた時期は、ほんの数日に留まっている。

 

むしろ、アベノミクスの「円安誘導政策」の影響で、天然ガス価格や石油価格が10~15%も値上がりしたので、電力会社が負担する燃料費は、大幅に増加してしまい、やむを得ず、電力料金の値上げを容認する羽目になった。

輸出依存企業以外は、「円安のデメリット」をもろに受けて経営を圧迫して、電力を多消費する産業界も、円安による電力料金に値上げの悪影響を受けている。

ところが、原発を維持しようとする陣営は、この円安による電力料金値上げには一切、触れようとしないで、原発再稼働さえすれば、電力料金を下げることができる様に、国民を煽っているのである。

 

一体、48基残っている原発のうちの、何基を再稼働すれば、電力料金を値下げ出来るのか、一度も説明を試みようとしない。

現在は10基の原発の再稼働を目指して、電力会社が申請をして、原子力規制庁は基準に適合しているか、審査中である。

では、この10基が再稼働すれば、電力料金は値下げすることが出来るのか。

電力会社も政府も、その様な「国民に直接影響する試算」を、公表することには、全く後ろ向きで逃げている。

10基が再稼働しても、アト10基の再稼働が必要だと、言い出すのであろう。

 

その追加分が審査に合格して、再稼働が出来たら、「電力料金は値下げ」出来るのかと言えば、その回答も出される状況にはない。

安倍首相は、審査に合格した場合は再稼働を認める、として、ただそれだけで国民の負担がどうなるのか、説明をしようとする気配もない。

原発の維持を基本方針とするならば、積み立て不足の「廃炉費用」を、どの様な方法で電力会社の経費内で収めようとするのか。

今のままでは、電力会社は廃炉費用を国民に負担に回すつもりでいる様だ。

電力会社の経営判断ミスのツケまで、政府は国民に押し付ける気なのである。


都合の悪いことは逃げ回るのが責任者と言えるのか。

2014-01-24 | 快適エネルギー社会問題

東京都知事選挙の論戦が始まっているが、「保守系の自民党頼み候補」は、国の最重要政策である原発依存に対して、何の意見表明もしないで、原発はだれかが決めてくれるのを受け入れるだけ、の超消極的姿勢に終始している。

その頼みの親の「安倍首相」は、これまた、アイマイ姿勢で、原子力規制委員会が規制基準に適合していると評価すれば、再稼働を容認する、と責任逃れで、規制委員会と地元自治体依存で、何の意志もない様である。

国策として営々と進めてきた「原子力政策」の転換に、方針を示さない「一国のリーダー」は、あり得ない話だが、首都のリーダーもそれにならうのか。

 

元の東京都知事であった石原慎太郎氏は、原発推進論者であった。

東京都の電力は、東京電力が進めている福島原発と新潟県柏崎原発の電力に依存している事実から、原発は当然、必要だとしていた。

しかし、放射性廃棄物の問題などは、自ら知ろうともしない「ノーテンキな原発信奉者」であった。

【仕様済み核燃料の再処理】についても、「リサイクルして利用するのは良いことだ」と、素人的な初歩知識で、盲目的に原子力政策を信じただけにすぎない。

その再処理によって、地球上でもっとも危険性の高い【プルトニウム】が生産されることも知らず、再処理後にも高レベル放射性廃棄物が、大量に残される事実も知らずに、ただ、「リサイクルはよいことだ」、との無邪気さである。

 

原発大事故後は、自らの不明を恥じることもなく、突然、東京都知事を辞任して放り出してしまった。

次の猪瀬前都知事は、副知事時代から【東京電力の経営者の腐敗体質】を問題視して、地域独占に胡坐をかいた東電の経営者に、厳しい注文を付け続けた。

代替電力を東電だけに任せるわけにはいかないとして、新電力事業を東京都主導で立ち上げて、数年後には300万KWまでに引き上げる計画を進めていた。

この電力があれば、柏崎原発の再稼働がなくても電力供給は充分可能になる。

 

原発政策に対しては、日本最大の自治体首長として方針を明確にして、行政トップの責任を(その良しあしは別として、)果たしていたのである。

ところが、今度の保守系都知事候補は、日和見主義のホン性を現わして、都合の悪そうな懸案には、さらわぬ神にたたりなし、の無責任姿勢に終始している。

ご本人には、判断が出来ないレベルの問題は、理由をつけて逃げてしまうのだ。

自民党惨敗時はさっさと離党して、原発ゼロを言い出す風見鳥ぶり体質なのだ。


東京都民の国創り意識と先進意欲を問われる都知事選。

2014-01-23 | 快適エネルギー社会問題

いよいよ東京都知事選挙が始まった。

東京都民だけでなく、関心が高まっているのは、原発に依存する社会を続けるのか、それとも今、決断して『脱原発社会』への方針を確実に決め、危険性が圧倒的に少ない「再生可能エネルギー依存社会」へ転換するか、国民の一割の東京都での、「国民(都民)意識の将来選択」を迫るものだ。

対抗する候補者の「東京オリンピック・パラリンピック」を成功させる。

目玉は、何とも挑戦意欲のこじんまりとした、最小リスクの公約を感じさせる。

 

世界一の都市、東京のリーダーは、そんなに小さな志でいては、既得権構造に飲み込まれて、大したことも出来ない4年間を過ごすことになりそうだ。

『脱原発依存社会』を目指す、との志はよしとしても、実行出来る政策は「東京都発の戦略特区」とでも位置づける必要がある。

具体的には、東京都が東電の経営に影響できることは限度がある。

首都圏と中京圏を結ぶ「東海道大産業地帯」の分断の恐れがある、「静岡県浜岡原発」は、中部電力の設備で、中電は、形式的な「原子力規制委員会」の安全基準を満たす目的で、堤防のかさ上げ工事を進めている。

 

これを中止に追い込むことはできるわけではなく、政府と中電と地元自治体に、要請することしか出来ない。

関西電力は、すでに福井県の原発4基を規制委員会に審査請求して、夏場前の認可を前提に計画を進めている。

関西地区の自治体では、京都府、滋賀県が再稼働反対の姿勢でいるが、国と福井県、原発地元自治体は、隣の自治体の懸念などに配慮する姿勢もない。

地域社会、国民の意見の合意もない段階で、再稼働を急ぐ理由は何なのか。

 

それは、表向きには、再稼働をしないと「燃料費の高騰で電力料金値上げ」をせざるを得なくなる、からだと言っている。

実は、電力会社「再稼働しないと赤字の連続になる」から、銀行が融資をしなくなるので、なんとしてでも、安全性はあると強引に押し通しているのだ。

安倍政権は、国民の意向よりも金融関係、電力事業関連の利益を重視することが最優先なので、それを容認するとしている。

その利権構造による「ゆがんだエネルギー政策」に、東京都民が先頭に立って【原発利権・電力利権・金融利権】の腐りきった構造を、破壊する動きに支持をする意思表明をするかが問われている。


日本で一番の権力者は中央官僚で次が首相、そして都知事。

2014-01-22 | 国創り政治問題

安倍政権の原発依存方針は、中身は全く従来の路線の延長で、将来展望も理念もない無責任な官僚依存にしかすぎない。

小泉元首相の指摘する様に、放射性廃棄物の最終処分に対して、全く他人ごとの様に逃げておきながら、原発再稼働を容認すると言う。

「今の段階で原発ゼロを言うのは無責任」と、自分の方が責任感があると言いたげであるが、もっとも責任を負うべき一国のリーダーが、大事な決断をすべて官僚の判断に依存していることこそ、最大の無責任である。

 

老政治家がいたたまれずに【都知事選の争点化】してでも、その無責任体質を暴きだそうとして立候補を表明した。

対抗する日和見候補は、「自民党の顔色をうかがいながら」の政治姿勢で、「原発への依存は減らしていく方向が良いと考えているが、これは国が決めることだ」として、逃げの政治姿勢に終始している。

それでいて、東京を防災の都市にして行く事に重点を置く、と公約を掲げているが、災害の最大の懸念は、原発事故の再発による【都市機能のマヒ】の懸念であって、それを国の判断にお任せでは、早くも公約違反であろう。

 

中央官僚たちは、当面の権力構造を大きくは変更したくないのが本心である。

「原発大事故は、想定を超えた津波の災害であって、それに対する最後の歯止めの非常用電源を低地に設置していた、東京電力経営陣のミスである。

国民を納得させるために、{原子力規制委員会}を原子力族からは切り離す制度にしたから、あとは、安全性を書面上でクリアー出来た原発から、電力会社の責任で【再稼働を強行】させればよい。

政権はただそれを容認すると言えば良いだけで、あとはできるだけ騒がれない様にして、なし崩し的に原発の稼働が進めば既得権構造にとってよいことだ。」

 

主権者は官僚群であり、内閣はそれを国民に伝える報道官である。

「それに対して、異議を唱える老政治家達は、たまたま、元気を取り戻そうとしているだけだから、何も言わずにやり過ごすのが、もっとも妥当な対応だ。

評論家出身の日和見保守議員が、首尾よく都知事に当選してくれれば、あとは、従来どうりの「権力の順位」に従って、国の重要政策を中央官僚の手腕でコントロールするのが、日本にとって最も適切な政策なのである。」

この様に腹を決めて冷静に対処している中央官僚群にたいして、日本の国民は承認しているのだろうか。

都知事選は、『官僚支配に対する抵抗戦』である。


中央権力の押し付けによる強引政治は地域の反発で停滞。

2014-01-21 | 国創り政治問題

東京電力の経営陣は、実質的に国有化されているから「国の方針」に従っている「再建計画」を提出している。

その内容は、実質的には東電管内の電力消費者に負担を強いる「電力料金値上げ」による再建方針である。

東電の再建を原発再稼働を前提とするのは、世論を無視する「原発安全性の押し売り」であり、従来の様な地元の同意をおカネで買う様な態度である。

どの道を採っても、電力産業の利権を優先して、地域と国民を犠牲にする既得権擁護の政治姿勢にこだわっている。

 

沖縄の基地問題も、お金の力で特定の地域に犠牲を強いる強権的な進め方しか出来ない「非情な知恵のない政治」の典型である。

権力の行使は、世論の支持の上に立って、当事者の利害を丁寧に調整した上で、知恵を絞り尽くした結果によって、最後は責任を負える決断ですべきなのだ。

ところが、世論の本質も理解しようとせず、目先の権力維持が最優先する決断は、決して長続きするわけがない。

原発問題も基地問題も、政権に将来展望をまともに出来ないママに、従来の路線を惰性的に進めている「政治の怠慢」の表れである。

 

東電管内の電力問題は、原発立地の地元の新潟県と柏崎市の理解を得ることを最優先すべきである。

新潟県知事は原発の事故原因の究明と、事故対応姿勢の改革を求めている。

東電の経営者は、この要請にまともに応えていないで、3年近くになるのに、地元の疑問を和らげる状況に出来ないでいる。

この様な経営陣を承認している政府の責任であり、原発再稼働はナシで電力料金の値上げもしないで、再建策を立て直すことに権限を使うべきである。

 

東電管内の最大の消費自治体である「東京都知事選挙」が始まるが、この原発に対する取組姿勢は、大きな政治姿勢の分かれ目となり、争点になる。

原発ゼロを方針とすれば、東電の再建策にたいして見直しを公約にするだろう。

国が承認している再建策は、「原発再稼働が出来ない場合は、電力料金値上げ」を東京都民にも迫るのだ。

東電の値上げを承認するのは、中央政府の権限であるが、「安倍政権」はそれに対して逃げるばかりである。

自民党の支援を受ける都知事候補は、公約からは、逃げ回ることをしかねない。


主権者は国民であるという認識に立ち再建策を打ち出せ。

2014-01-19 | 経済問題

電力会社はいかにして電力を安定的に、かつ安価に電力を供給するかに、社会的な大きな責任を負っている。

それ故に、戦後の電力事業再編の時期に、地域独占による電力事業の特典的地位を与えられて、倒産の危険性をなくして、果敢な設備投資を将来に向けて実行出来る権限を与えられた。

それを実行してきた先輩諸氏の志をナイガシロにして、現在の電力会社経営陣は、独占的な地位に胡坐をかいて、国民や民間企業を見下す姿勢で、電力事業の改革を怠り停滞を招いてしまった。

 

それが、火力発電が増えたから電力料金を値上げする、という姿勢である。

極短な例では、「電気料金を値上げするのは権利でもある」と傲慢にも発言した電力会社トップがいたことで、国民の怒りに火がついた。

今回の東電の再建計画も、原発事故の原因究明も、汚染水処理の対策もままならない状況の中で、原発を安全と言い張り続け、「再稼働が出来ないならばすぐに電力料金を値上げする」、との怠慢な再建計画を政府に提出した。

これは、国民が主権者であり、電力会社のお客様である、という基本的な認識の欠如とシカ言い様がない。

 

そのなかで、経済産業省が、前向きの再建策の方向を打ち出す報告を出した。

1月19日の報道によれば、全国で電力の融通をすれば、年間で約1700億円の発電費用を減らせる試算を公表した。

低コストの火力発電所を優先的に稼働して、電力各社で融通すれば電気料金を安くできる様に送電線網の強化を始める。

日本中の電力使用量は約10兆kWh.で、平均の発電コストは11円/kWh.とすれば、約1.5%の発電コストが下がる。

さらに2016年からの家庭向け電力自由化の法改正を行い、全国の低コストの余剰電力の買取販売で「事業者間の競争」が活発化して、コスト削減が更に進む。

 

この様な、「国民の便益を最優先する政策」を実行して行けば、電力会社の傲慢な経営姿勢では、通用しなくなるのは明らかである。

原発の再稼働の是非に関係なく、電力料金の値上げなどの経営方針は、自由化された発電事業市場では、経済的にも社会的にも通用しない。

わずか2年後の情勢も読めない「東京電力の経営陣」は、すぐにでも総退陣して、『出直しの果敢な再建策』を作り直す体制に転換する必要がある。(続)


原発即時ゼロは電力料金の値上げする道だという洗脳だ。

2014-01-18 | 核エネルギー・原子力問題

今までの日本国内での報道では、原発がすべて停止している状態で、火力発電への依存度が90%を超えるレベルで、燃料費の増加がおおきい。

それは、当たり前のことを言っているだけで、日本の電気料金が海外の先進国のレベルに比べて高い理由の説明にはならない。

「原発の発電コストが安くて火力発電が高いから、電力料金の値上げが必要になる」、というのは、経営努力を何もしないことをさらけ出しているのだ。

原発電力が安価である神話は、すでに崩れていることを、再確認してみよう。

 

3・11の原発事故の混乱期を過ぎて、原発の発電コストの実情はどうかを、政府は「コスト検証委員会」を作って調査のやり直し(2012年12月)をした。

その報告書によれば、原発発電は、最下限でも8.9円/kWh.で、その後の【廃炉費用】の増加、【使用済み核燃料の再処理費用】の負担増加などを入れると、それの1.2~1.5倍程度に増加する。

同じ報告書では、石炭火力は9.5~10.3円/kWh.LNG火力は10.7~10.9/kWh.石油火力は22.1~25.1円/kWh.となっている。

その見直し報告書以前は、2004年の経済産業省のデータで、原発コストは、4.1円/kWh.と公表されていたので、【原発の安価神話】はこの洗脳によるものだ。

 

電力コストの増加分は、石油火力発電を稼働させることで、発電コストを押し上げているのが本当の話で、この旧式なエネルギー利用効率の悪い石油火力をできるだけ稼働させないで済ませるのが、電力料金の抑制対策になる。

その方策としては、余剰の出ている電力会社間の融通を活発にして、石油火力で補うことを極力減らすのだ。

それに、民間企業が所有しているLNG火力、石炭火力などの自家発電電力を買い入れて、非効率な石油火力の稼働をしないことだ。

この様な経営努力を積み上げれば、電気料金の値上げは必要がなくなる。

 

それでも、日本の電気料金は欧州に比べて高い実情を知っておく必要がある。

海外との競争力を言われる「産業用電気料金」を税抜きで比較すると、日本

18円/kWh.に対し、ドイツ10円/kWh.スペイン10.4円/kWh.(円レート1ドル100円で換算)である。

同じく家庭用電気料金は、日本26円/kWh.に対し、ドイツ18.5円/kWh.スペイン24円/kWh.で、電力会社の経営努力が足りないのは明白である。

(これは2012年のデータによるので、2013年末ではもっと差が開いている。)


東電の再建計画は国民を犠牲にして電力利権を守る政策だ。

2014-01-17 | 経済問題

東京電力の今までの経営は、すべての国民が非難するほどに、ひどい経営姿勢であったことは、もはやだれも否定はしない。

しかし、これから経営再建を図るとしての「総合特別事業計画」を政府が正式に認定した内容は、国民を愚弄するレベルである。

東電の責任問題に踏み込まないで、福島県民もすべての原発を廃炉にする様に要求していることに対応せず、新潟県民に負担を不安を強いる「柏崎原発4基」の再稼働が前提あることが、不信感を増長しているのだ。

 

電力事業の地域独占は2016年度の『発電・送電の分離』の方針に沿えば、送電部門は今後の重要なインフラ設備を維持する役割となる。

それを、事故責任を何も採らない東京電力の資産のママにしておくことが、正当性があるのか、説明は一切ない。

持ち株会社化して、送電部門の市場への中立性を保持するとしても、東京電力の旧経営陣が責任も逃げ回っているままに、経営分離するだけで済ませてしまうのが不合理なのである。

 

送電部門は、今後も適切な経営陣を充てれば、十分の収益性のある事業分野であり、責任逃れに躍起の旧東電経営陣は、絶対に手放したくない資産である。

この送電線網を別企業にして、国や東電管内の自治体が経営権を買収して、東電の経営陣が利権をむさぼらない仕組みにすることが、第一番の再建策である。

さらに、日本で最も多くの発電設備を保有しているのだから、その設備を競売にかければ優良な価格で売却できて負債の削減になる。

民間の意思ある企業が買収して、今後の電力事業活性化に貢献できる様になる。

こうして、送電線部門の別会社を国・自治体に売却し、火力発電所の優良資産は、競売にかけて優秀な民間企業に経営移転するのだ。

 

こうすれば、原発の再稼働は一切しなくても、東電の経営は黒字化できるくらいに資産売却収入で維持できるのである。

もちろん、電力料金の値上げなどは、全く必要がない経営再建計画となる筈だ。

ところが、政府も東電もこの様な「国民、東電管内の電力利用者」の利益に沿った経営計画には一切踏み込まない。

「原発再稼働か?」さもなくば「電力料金値上げ10%か?」を、打ちだして、電力関連企業の利権を最優先にする「再建計画」しか、立案出来ないでいる。

それを批判するマスメディアも、再建策の中身は鵜呑みしている低レベルだ。


東京電力は経営責任を明確にして出直しの再建計画にせよ。

2014-01-16 | 核エネルギー・原子力問題

東京電力は地域独占の電力事業に安閑とした経営姿勢で、殿様商売の体質に染まりきっていた。

原発神話を作りだして地元の住民・自治体を、言うなれば洗脳して安全対策をおろそかにしてきた罪は、簡単には償えない犯罪的行為である。

それの経営は、国がバックアップすることで、一時しのぎの金融業界の貸付で、何とか破綻を免れている状態である。

それなのに、経営再建計画には新潟県の原発を再稼働する前提でしか立てていないのは、無責任も甚だしい経営態度である。

 

何故、地元の新潟県の責任者が、「原発事故の原因を明らかにすることが先決だ」と言い続けていることに応えようとしないのか。

通常のプラントや大型に交通機関が大事故を起こした時には、まず、直接の原因を究明することが、大前提になるのは、世界の常識であろう。

津波による電源喪失で冷却不足に陥ったのが原因として、すべてを【想定外の津波が原因】とする姿勢は、おおくの批判と疑問を持たれているのが現状だ。

東京電力自身も、冷却不足による炉心溶融の経緯も把握できていない上に、同型の原発は危険性が高いことを承知しているのに、それは逃げて説明しない。

 

原子力規制委員会の審査は、危険性の少ない原発から審査を進めている。

比較的危険性の少ない「加圧水型の原子炉」[PWR]から審査を進めるのは当然で、東電の原子炉は【BWR】(沸騰水型原子炉)で、冷却性が劣るのだ。

その上に、新潟県柏崎原発は、活断層の可能性が懸念されている立地状態で、原発推進派にとっても、再稼働する順番は最後の方になるべき原発である。

それほど、地元も専門家も疑問視している原発を「4基も再稼働」する、無謀とも言える再建計画である。

 

この様な無謀な再建計画を、安倍政権は、正式に認定したと報道された。

実質的に国有化をしている東京電力を隠れ蓑にして、またも【原発安全神話】を再建しようとする「原子力産業利権族」の再登板を狙っているのだ。

地元にはお金をバラまいて、今までの様な地域利権を与える戦術は通らない。

今度は【原発再稼働を認めない場合は、電力料金値上げ】を東電管内の電力利用者に対する脅しとして、利用する狙いの再建計画である。

本来は、原発再稼働ゼロを想定した場合の『本当の再建計画』を提出する責任があるのに、東電関係者、いや、安倍政権の閣僚の無責任ぶりに呆れる事態だ。