庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

資本主義の欠陥を補うには政治介入が必須で政治家の責任だ。

2016-04-30 | 国創り政治問題

安倍政権の経済政策の行きつまりは、お金の流れる量を増やすことで「需要不足経済」が活性化すると想定したが、思惑ハズレであった。

超金融緩和をしても国内投資は増えず、富裕層や大企業を儲けさせても、周辺の人が少し恩恵のおこぼれに預かるだけで、全国には浸透していかない。

資本主義の原則は「資本収益率の高いところにお金が集中する」ということを、安倍首相は改めて知らしめさせられたのであろう。

そこで、政府が介入できる賃金増加によって、直接的に消費者の懐を満たすことに方針を転換せざるを得なくなった。

 

新自由主義の最大の欠点である「資源の適正な配分が出来ない」ことを知って、自由主義から政府介入を深めることにしたのだ。

資本主義を突き詰めると。収入格差の拡大が社会不安を引き起こすレベルに達した段階で、戦争や暴動などの暴力的な破壊する方向に世論が沸騰して、資本主義経済の徹底的なダメージを与える段階に進んでしまう。

いまや、世界は新自由主義の悪影響が顕著となり、破壊活動が多発する不安定な社会に進みつつある・

日本はそこまで破壊的ではないが、人々は将来不安が増えて、日本では【子育ての不安ばかりを誘う】ので、人口減少は慢性的な流れで長期的には衰退する。

 

日本は長期的な衰退する傾向に対して、ついに「予防的な政策」として、『人への投資を可能な限り最大化』する方向に転じなければならない。

安倍政権はスローガンとして「一億総活躍社会」を目指すと掲げた。

その一段目とし、保育士、介護士の給与アップと「同一労働同一賃金」の目標を掲げて「収入格差の拡大防止」を政策の前面に押し出してきた。

それに抵抗する勢力範囲は、広い層に存在しているが、自由市場主義の限界が見えているので、政府の役割が一層重くなっている。

資本主義を信奉する経営者たちは、政府が賃金水準の決定に介入するのに、抵抗する姿勢だが、国民の代表であるから「文句を言うのを抑え込む」はずである。

 

日本が長期的な衰退に向かっているのに、世界で自由に経済活動をしたい「多国籍企業の経営者」の要求を、優先的に聞いてきたことが、そもそもの誤りだ。

国の役割は持続的に繁栄を続けられる制度を作り、国民の生活を豊かに保つことが「最大の役目」である。

世界中で好き勝手に活動できる多国籍企業の利益を優先する理由は、その国にとっての富をもたらす企業であるから、優遇して利益追求の自由を与えるのだ。

しかし、ブラック企業とまではいかなくても、政府が要請するレベルの賃金水準を提供できない企業経営者を、保護する必要はない。

必要な賃金水準で黒字経営ができないならば、企業責任で経営者を交代させることで、要求どうりの賃金で利益を上げられる経営に転換するだろう。(続)


デフレ脱却の入り口で政府ができる賃上げを着実に実施せよ。

2016-04-29 | 経済問題

安倍政権の「一億総活躍社会」の実現に向けて、保育士の給与待遇の改善は急務であり、まずは「月額1万2千円の給与増額」は最優先で実行すべきだろう。

それと、2020年代初頭までに「介護離職ゼロ」を目指すとしている対策には、不足する「介護人材の確保」が必要であり、給与増額がその前提になる。

2017年度には、介護士の給与の増額を「月1万円の上乗せ」を実現して、介護士不足の対策が実行される。

その財源の1千億円を確保して、給与増額の継続的な実行を図っていくとした。

保育士の給与待遇と、介護士の給与増額を実行する事は、政府の所管事項であるから、」実現できないという事は無い。

 

介護士不足の対策には給与水準を増額することは不可欠だが、介護事業を営む側では、「今働いている人は助かるが、1万円で新しい人が介護業界に来るほど甘くない。」と言う。

それでも、財源を確保する算段ができるならば、デフレ脱却に少しでも貢献するように「介護士の給与水準を毎年5%引上げ」を実施すると宣言すべきだ。

「デフレ脱却のメドの物価上昇率2%」を達成したならば、【消費税引上げ10%】を実行して、その税収増を優先的に「介護士不足対策」に回すのである。

それとも、「消費増税はデフレから離脱する流れを抑制」してしまう弊害があるから、『消費増税はさらに先送り』をして、介護士不足対策の賃金増額を「介護保険料のアップ」で賄うことも選択できる。

 

このようにして、安倍政権のアベノミクス第一段階の失敗を取り繕うには、「一億総活躍プラン」は再挑戦の良い題材になるだろう。

保育士不足の対策には、野党の民進党は早々と「保育士の給与水準を月4万円の増額」を打ち出している。

例によって、その財源の捻出には全く触れていないので、民進党の対策案には「マスメヂィアも世論も冷ややか」だが、保育士の給与水準増額の合意はできている。

与野党で方向が一致しているのだから、「次期臨時国会で増額法案成立」できる。

自民党政権ならば、実行力が不足することはないであろう。

 

こうして、保育士の給与待遇を改善し、介護士の慢性的な不足対策にも踏み込むことには、社会全体の合意が得られやすいので、早期に実現できるはずだ。

問題は、給与待遇の改善が「保育士や介護士」の給与アップ、そして「最低賃金の年5%以上」の増額を実現した段階で、他の人への波及をどうするかである。

この段階では、デフレ経済を進行させた「非正規雇用社員」の増加で、【平均的な社員賃金の引下げを画策】してきた「大企業経営側からの抵抗」が予想される。

保育士、介護士、最低賃金従業者が、軒並みに5%の賃上げが実現すれば、「非正規社員の給与アップ」は必須の状況になる。

それこそ5%程度の平均賃金の上昇が必要になって、相対的な人件費の上昇が生まれる。

それが狙いなのだ。(続)


給与水準の立ち遅れ対策にやっと取り掛かった安倍政権。

2016-04-28 | 経済問題

政府が働く人の賃金水準を引上げていく政策が【総需要不足経済】の対策になる。

長年にわたって賃金水準が低いことが【保育園の待機児童】の慢性的な問題となっていたが、ようやく安倍政権の動きが出てきたようだ。

「保育園また落ちた。活躍できねーじゃねーか!」と安倍首相の怠慢を非難したブログの投稿が話題を呼んで、対応を迫られた格好だが、入り口に立ったようだ。

保育園の設備不足も問題だが、2017年度末までに9万人の保育士不足が見込まれ、待遇改善が急務であった。

保育士の資格があっても賃金水準が希望に合わない、と半数の人が答えている。

 

安倍首相が2015年初頭の施政方針演説では、保育士の処遇改善を3%実施するとして、これで「待機児童ゼロの実現に全力投球」していくと表明した。

保育士の平均的な給与は「月21万9千円」で、3%改善は約6600円である。

「月22万6千円」に上昇したら「待機児童ゼロを実現」と想定したのなら、いかに現状の認識がお粗末かが、問われるが、これが安倍政権の全力投球の実力か。

2016年初頭の施政方針演説でも、保育士不足が9万人になるのを、「2017年度末までに確保する政策を打ち出します」、と約束していた。

全産業の平均給与よりも【月10万7千円以上も低い】現状の賃金が、慢性的な保育士不足の原因であると自明なのに、例のブログが出るまでは放置していた。

 

口ばかりが動く安倍首相がやっと、放置できない政治問題として取組み始めて、保育士の給与水準を「月額で1万2千円引き上げる方針」を決めた。

昨年度の女性保育士の「賞与を含む月額で26万8千円」は、28万円に引き上げるが、それでも全産業の女性社員の平均的給与より、3万円も安い。

【保育士の責任の重さ・事故の不安】や、【休暇が少なく取りにくい】処遇改善を、必要としているので、この程度で保育士不足の解消は難しい状況であろう。

今までの対策がお座なりの先送り体質であるから、女性保育士の賃金水準を全産業の女性社員のレベルに引き上げる事を目標にして、その財源を確保すべきだ。

 

5月にまとめる「一億総活躍プラン」で「具体的で実効性のある待遇改善策を示す」としているが、与党の提言では僅か2%の賃金上昇にすぎない。

1%の賃金上乗せに200億円の財源が必要だとして、及び腰の姿勢でいる。

最低でも5%の賃上げは「デフレ脱却のやる気を示すボーダーライン」だが、その財源の1000億円を捻出する実行力が問われる事になる。

民主党政権の歴代の内閣では、デフレ脱却の取り組みには消極的で、待機児童ゼロの目標も無く、「安心して子供を育てられる社会」を作ると、言うだけであった。

政策目標を立てる能力がなく、財源を生み出す真剣な検討もできていない。

そのような政党の政権公約を信用した国民は、完全に裏切られて【民主党政権を追放した。】

敵失で転がり込んできた政権だが、3年間の実績は落第点で、この先は・・?(続)


賃金水準の引上げを政府の総知を結集して全て実行する。

2016-04-27 | 経済問題

デフレ経済の原因が、長期にわたる賃金水準の低迷であることは明確である。

従って政府が介入してでも、『大多数の働く人の賃金引上げ』を実現することが、デフレ脱却の入り口になることには、もはや異論はないであろう。

問題はどのようにして企業経営の判断に、政府が賃金引上げを半ば義務付けのように誘導する制度を、適用していくかにある。

その前に政府が所管している「賃金水準の決定権」が明確になっている分野から、責任感を持って「デフレから離脱できる水準の賃金」に、引上げていくのだ。

最低賃金は当然で、今までは政府の怠慢で低水準に抑えていたのを転換する。

 

民主党政権に交代した時期に、最低賃金の引上げを実施するとしていたのに、民主党内の意見はバラバラで、迷走している間に【東日本大震災に遭遇】した。

自民党政権の負の遺産である【原子力村の癒着構造】によって、やるべき安全対策が手抜きだらけであったことが原因となって、【原発メルトダウン】に至った。

5年たっても原発事故の本格的調査はできず、地元の避難者の将来も見えないまま、【自民党政権の無責任な姿勢で、曖昧なママに先送り】をしてきた。

民主党政権の実行力不足と自民党政権の無責任な先送り姿勢が、日本をズルズルと先進国のレベルから大きく後退させてしまった。

せめて「最低賃金のレベルを先進国並」に引上げることが始まりになる。

 

前にも書いたように、ヨーロッパに主要諸国では、1300円/時以上が実施されている状況である。

アメリカでは各地の州レベルで違いがあるが、大半はヨーロッパ以上の水準で、それでも【収入格差拡大が大きな政治問題】となって、さらに引き上げる動きは活発化している。

日本はアメリカやヨーロッパよりも、「収入格差が少ない」段階であるが、バブル崩壊後は「価格競争力の維持」を優先して「低賃金労働者」を増やしてきた。

先進諸国とは【逆の収入格差拡大の政策】をとり、「賃金デフレの進行」を進めてしまったのである。

 

最低賃金に依存するような「安い人手に頼る仕事」を守っていても、さらに人件費の安い「新興国の仕事」になるので、国内に留めることは無理なのである。

最低賃金の引上げを「政府の責任」で実施して、影響を受ける零細事業者の「生産性向上」の支援を進めるべきであった。

国内のサービス産業での「最低賃金レベル」を採用する企業は、【ブラック企業の潜在的な病根】であって、早晩に退出させるべき企業である。

「賃金デフレの原因」となっている【最低賃金の抑制方針】は、10年以上前にも転換すべきだったが、「政権の怠慢」で不良債権の先送りと同じようにされた。

病根を取り除くことが、「賃金デフレからの脱却」であると覚悟を決めて取り組み、痛みを受ける事業者の再建と、生産性向上を支援する方針にすべきだ。(続)


消費購買力の向上がデフレ経済からの離脱の要で給与アップだ。

2016-04-26 | 経済問題

デフレ経済の克服には、超金融緩和政策を継続的に実施する必要があるかもしれないが、それだけでは効果も薄れて弊害の方が大きくなる。

日本の現状も「マイナス金利政策に踏み込む」ところまで追い詰められて、ついに日銀も決断して、アベノミクスの4年目はマイナス金利を実行した。

早速の弊害が金融業の収益悪化に現れて、景気回復にブレーキがかかる有様だ。

企業がいくら低金利の条件でも、需要不足の解消が見込まれず、消費購買力が落ち込んでいく情勢では、低金利でも借り入れて投資をする機運にならない。

経済原則に沿った経営判断をする経営者ならば、日本国内への投資増加はするはずもないのである。

 

それ故に「政府の介入による賃金水準の引上げ」が、消費購買力の増強に効果が出せるはずだ、との判断は妥当性がある。

問題は、政府経営権に介入して「企業従業員の賃金上昇」と実現できるか。

その具体的な政策と法制度はどのようにすれば可能なのか、を徹底的に検討して、『与野党の合意で実施する』ことが必要である。

与党の自民党と公明党は、「デフレ脱却の経済最優先」では一致しているから、『政府の介入でしか賃金上昇が実現できない』との認識に転換すればよい。

野党の民進党は、以前から賃金上昇を主張していたから、もとより異存はなく、他の野党も政府介入による賃金水準上昇の実現は大賛成であろう。

 

まずは、取り掛かる課題としては、「現行法で政府所管」となっている『最低賃金の引上げ』であろう。

厚生労働大臣の諮問機関である「中央最低賃金審議会」の小委員会での議論で、引上げ額の目安を決めることになっている。

これを、厚生労働大臣が「物価上昇率目標2%+経済成長率目標3%」を上回るように「各都道府県の地方最低賃金審議会」に参考提示するのだ。

各都道府県の意見を踏まえて「各労働局長」が決めることになっている。

各地の労働局長は、当然、厚生労働大臣の部下であるから、政府介入ではなく、政府そのものが「決定責任部門」である。

 

民主党政権が「最低賃金目標を1000円/時」を掲げながら、3年もの間、実現できないことが不可解であった。

今は安倍政権の公約が『人への投資』と、「一億総活躍社会」を実現すると転換したので、実行力のある自民党政権であるから、確実に実現できる。

現段階で800/時であっても、毎年5%以上の引上げ額で実現すれば。2020年には「最低賃金目標を1000円/時」が実現できる。

低収入の働く人たちの収入増加は、確実に消費購買力の強化につながり、少しでも地域経済への貢献が可能になる。

当然、「最低賃金での雇用で成り立っている事業者への補助」が必要になる。(続)


バブル経済の崩壊後のグローバル経済では賃金上昇を義務付け。

2016-04-25 | 経済問題

日本の高度経済成長時代には、企業の業績向上を見込んで『物価上昇率以上の給与増額』が実施された。

実質賃金の向上が実現できない企業は、人手不足の状況では優秀な人材を引きつけて、企業への忠誠心を持って働いてもらうには、給与アップは当然であった。

バブル崩壊以後の企業倒産が増えて人あまり状態が起きると、人件費抑制が前面に出て、安い人手を使って経営することが、企業の生き残りの手段になった。

低成長時代には、企業経営の論理に沿って【労働分配率を下げて経費節減】をする経営が合理的とされて、ブラック企業が勝ち組になってもてはやされた。

【賃金の停滞がデフレ経済を長期化】させる最大の原因となっている。

 

これまでの経済活動の理屈に沿って、企業活動の自由度を認めていたならば、低成長時代の突入した場合には、必ずデフレ経済に陥っていく。

それに輪をかけて「グローバル化された世界」では、「資本の移動の自由化」と「貿易自由化」が是とされたので、新興国への資金移動が活発になった。

賃金水獣が低い国に製造拠点を移していく動きが、経営上の合理性に合っている。

資本主義社会での基本原理である『資本収益率(r)>(g)経済成長率』は、誰も否定できない世界共通の事実となって、先進国での共通の問題を投じている。

つまり、自由主義市場経済を採用する国は、すべてデフレに向かい、【収入格差の拡大の難問】に直面しているのである。

 

もはや「賃金の水準は市場原理で」という考え方は通用しない段階になっている。

労働組合と経営側の「労働需給市場での交渉」による賃金水準決定の仕組みは、【賃金デフレに停滞】して、【収入格差の拡大による社会不安定】に落ち込む運命だ。

安倍内閣のデフレ脱却政策は、「新自由主義経済」の原理に囚われて、企業活動の自由度を高くする考え方をとっていた。

これでは「超金融緩和」によるお金は、経営合理性に沿って海外投資に流れる。

大企業の収益増加分は、申し訳程度の賃金上昇で済ませて、物価上昇率を下回る低水準の「労働分配率に引下げ」に固執して、「自社の経営」しか眼中にない。

これでは、デフレ経済を長期化させる現状に留まるだけで、国民の将来不安が増していくばかりである。

 

もはやこの段階に至っては、企業経営の自由度を「賃金水準の決定」に限っては、政府の介入によって「デフレ脱却に必要なレベルに引上げ」するしか無い。

賃金水準の決定に政府が介入するのは、自由主義経済とっては「あってはならない暴挙」である、との声が上がるであろう。

しかし、そのような非難をする専門家には、「デフレ脱却」の方策もなく、「収入格差の拡大」を止める算段も、全く持ち合わせていない。

批判するだけで、対策案を出せない専門家の言うことは、一切考慮に値しない。

安倍首相が企業の賃金上昇を義務つける政策に、転換するのが本当の対策だ。(続)

 


安倍政権の本気度が試される「新三本の矢」の実現可能性は。

2016-04-24 | 経済問題

本気で「デフレ脱却」の対策に取り組む覚悟なら「第2段階のアベノミクス」の公約を実行するべきである。

単なる「参議院選挙向けの姿勢」に終わるならば、公約倒れになった「民主党政権」と同じ実行力欠除で、次期衆議院選挙では政権から退出させられる。

経済界のいいなりに【経済政策を生産者優先】にしてきたことが、日本経済を【賃金デフレの長期低迷】に引きずり込んでいる。

あらゆる方策を動員して、賃金上昇の流れを作り出し、下からの押し上げ効果を最大にするのが、アベノミクス第2段階であろう。

 

新3本の矢の目玉は、「GDP600兆円目標」を2020年ごろに達成すると掲げた。

2015年の名目GDPは500兆円であり、2013年に安倍政権になってからの名目GDPは3年間で28兆円増えている。

このままの状況で行くならば10年間はかかってしまうが、5から6年間で実現するには、並みの政策を続けていては実現不可能である。

また、希望出生率1.8人を実現して、50年後に1億人の人口を維持する長期の国の目標を定めている。

その政策手段としては、子育て世代の生活水準を上昇させて「安心して子育てできる社会」を作っていくとしている。

そのためにも、まずはデフレ脱却した上で「安定成長の軌道」」に日本経済を離陸させる必要がある。

 

その覚悟を具体化したのが「一億総活躍プラン」として、5月にとりまとめて「参議院選挙での公約」のベースにする。

それでは、デフレ脱却の目標を数年で達成するには、物価上昇率目標を4%に設定するつもりがあるのだろうか。

また、名目賃金上昇率を全国民平均値で3%以上に引上げることができるのか。

安倍政権の経済ブレーンの浜田宏一氏は、【賃金が上がる前に物価だけ上がるのは好ましい状況ではない】と、3年間の【アベノミクスの失敗】を認めている。

だから、まず賃金が3から4%上がって、物価上昇率2%になっていくのを狙う、と説明しているが、そんなことは初めから分かっているはずであろう。

 

自分の企業経営のことしか頭にない大企業経営者と、大企業の下請けで四苦八苦の中小企業経営者に、どうやって「年3から4%の給与増額」をさせるのか。

日銀の黒田総裁の出番の前に、安倍首相が「毅然として大企業に賃上げ要請」をしてきたのなら、それに応えない大企業にはどのような罰を与えるのか。

【買い叩きを強いる大企業の強引な取引】に、政府が介入できる方策はあるのか。

政府所管の「最低保証賃金の引上げ金額」でさえ、4%の増額もできない実行力で、大企業の経営権に介入できる法制度を、国民の前に提示してもらいたい。

それが政権運営を委託するに値する政党であるか、が問われるのである。(続)


安倍政権の経済政策の幻想ではなく押上げ政策を実施せよ。

2016-04-23 | 経済問題

安倍政権の経済再生を重視する政策は、日本の長期停滞から離脱するためには、必須の優先順位である。

それだから、「経済活動の血液」であるお金を潤沢に市場に供給する「超金融緩和政策」は、経済停滞に喝を入れる効果は期待できる。

しかお金が潤沢になれば、必要としている人や企業の消費行動が、すぐ活発になるわけではないのは当然である。

将来の成長した経済社会の希望も見えなければ、消費を増やすわけにはいかないし、企業でも経営の不安がある状態では、借り入れして投資することもない。

低所得者層と中小企業に優先的にお金が回る政策を、何よりも先に実施すべきだ。

 

安倍政権の第2段階のデフレ脱却政策は、第一段階が【臆病の罠】に落ち込んで、インフレターゲット政策は失敗したと見られている。

3年間の物価上昇率は1%程度だから、企業の賃上げも1%をうわまわれば、責任は果たしているとの認識で【3年目の賃上げは低調】終わりそうである。

低所得者層にとっては、消費増税の悪影響をもろに受けて【実質賃金の水準は低下】して、生活苦は増加する一方である。

「インフレターゲット論」の提唱者たちは、デフレ脱却が明確になる前に「消費増税は逆効果」であって、絶対に実施してはいけない増税だ、と非難している。それなら、円安誘導実行と同時に、「消費増税延期」を言い出すべきだろう。

今度の第2段階の「新3本の矢」の段階では、早々に「消費増税10%は延期」と厳重に提言している。

 

第一段階の「アベノミクスの超金融緩和」は、物価上昇率2%目標を打ち出していたが、実績は1%であり、本気でインフレにするなら「目標を4%に上げて実勢で2%以上にする」政策をうち出す必要がある。

それと、大きな間違いは【トリクルダウン効果】が出ると期待していたが、富裕層と大企業のお金は、【グローバル化された世界各地に飛散して】しまう。

なかには、不条理な節税を狙って「タックスヘイブン」を経て、行き先不明の金満家の不正蓄財に消えてしまうのだ。

いくら甘い幻想の二世政治家でも、今後は「トリクルダウン効果」などは言い出さない世界の情勢になっている。

 

結局は「野党が従来から主張」している、下からの押し上げ効果を狙った、低所得者へ重点的に配分を増やして、国内消費に直結するお金の流れにしていくのだ。

まずは正社員の給与増額を3から4%昇級を、主要な大会社の責任として打ち出すことで、本気で「物価上昇率4%を目指す」のである。

そして、「同一労働同一賃金」の原則を徹底的に追求して、非正規雇用社員の給与増額は当然であり、『正社員以上の給与アップを政府が徹底的に支援』する。

当然、最低保証賃金1000円/時を実現するのは、3年以内に成果を出すのだ。(続)

 


収入格差の拡大が需要不足経済でデフレに停滞し続ける。

2016-04-22 | 経済問題

20年以上に渡って経済界の要求ばかりを優先して、働く人たちの給与改善を後回しにしてきたツケが、「賃金デフレ」となって経済活動を停滞させた。

民主党政権に交代した時期に、人への投資を掲げた目標で「同一労働同一賃金」、「最低保証賃金1000円/時」を目指すとしたが、実行力はほぼゼロであった。

デフレ脱却を最優先した安倍自民党内閣では、円安誘導による生産力への優遇を図るのは良いとしても、輸入品の価格上昇に対して、「配慮がゼロ」であった。

企業を儲けさせれば、働く人への配分が当然増えると期待した「自民党政権の甘い幻想」は、3年間での実績が「実質賃金のマイナス」に転落した有り様だ。

 

現在の経済不況の根源は、大企業や富裕層にお金を儲けさせても、働く人への配分は最小限度になる「資本主義の仕組み」に起因している。

インフレターゲット論では、物価上昇率目標を掲げて、将来は確実に諸物価の価格上昇が起きる、と大多数の人に浸透させることが必要という。

物価が上がることで「お金の名目価値が下がる」と信じさせれば、お金を貯めこむのではなく、【物価上昇前に消費に回すはずだ】との理屈に立っている。

しかし、物価上昇率以上に「賃金水準が確実に上がっていく」と、信じなければ日本のような節約志向の高い国民性では、将来に備えて貯蓄を優先する。

このことがわかっていない「米国の経済学者」には、「アベノミクスの欠落」が見えていなかったようだ。

 

しかし「インフレターゲット論」を提唱しているアメリカの経済学者は、日銀総裁が「物価上昇率目標2%達成」する、と打ち出したがそれではダメだ、と言う。

実際に2%達成をしたいのなら「物価上昇率目標を4%」と言うのが良い。

実際の政策が実行されるのに当たって「臆病の罠」のリスクが必ず浮かんでくる。

つまり必要な目標数値が低めに設定されて、「政策が妥当でも成果は中途半端」になってしまうことで、政治的にも経済的にも裏目に出るリスクがある。

日銀総裁の目標値は、反インフレ派の人たちが反発しすぎない低めに設定した、妥協点の数値であろう、と推測する。

その結果として「インフレ率は1%」以上には上がらない。

 

後付けの説明だが、アベノミクスの物価上昇率は1%程度であり、国民、消費者の認識では、インフレが起きるとは思わないない現状である。

これでは、誰でも「アベノミクスの超金融緩和政策」は信ぴょう性が失われて、倹約意識が増加するだけで「貯蓄志向」を助長してしまう。

日本国民の倹約意識が高いことを知っている企業経営者は、消費がそうは簡単には増えないと見てしまうので、設備投資の計画は先送りするだろう。

アメリカ人よりも節約志向の強い日本人には、「臆病の罠」を乗り越える「高い物価上昇率目標」が必要だと提唱している。

日本で「デフレ脱却」を目指す対策には、4%物価上昇率を目指す政策が良い。(続)

 


お金の供給を増やすだけではなく使う人の収入を増やす。

2016-04-21 | 国創り政治問題

安倍首相が「一億総活躍社会を目指す」と宣言したのは、2015年9月の記者会見であった。

自民党総裁戦で無投票再選された会見で、「アベノミクスは第2ステージに移る」として、「一億総活躍プラン」の中身を「新3本の矢」に差し替えた。

アベノミクスの最初の3本の矢は、「超金融緩和によるダフレ脱却」であるが、3年たっても【ダフレからに離脱は見通しがたたず、経済の好循環は起こらない。】

景気テコ入れの公共工事のバラマキ政策は「工事費の高騰を招き」、全国での工事の遅れ、特に【東北地方の津波災害からの復興にブレーキ】をかけてしまった。

第3の矢の「経済成長戦略」は、未だに姿が見えず、研究段階にとどまる。

 

安倍内閣の2年9か月の成果は、お粗末の一言につきるが、野党のバラバラ状態に助けられて、内閣支持率は無風状態で維持している。

しかし、このまま「経済の好循環を期待」しているだけでは、国民から見放されるのは時間の問題である。

そこで、国民の誰もが期待する政策目標を広く集めて、それを「威勢の良いスローガン」に仕立てる事で、マインドの向上を図ろうとの作戦である。

野党が全く取り上げてこなかった「少子化対策」を前面に掲げて、「50年後の一億人の日本人口」を目標にしようと、高々と掲げた。

50年後の人口が8600万人に減ってしまうのを「少子化対策」を打ち出して挑戦しようというのである。

 

「アベノミクスの失敗」を表に出さずに、第2ステージに移るとの言い方も、安倍内閣ならではの「イメージコントロール作戦」の一環である。

「名目GDP目標600兆円」をかかげるなど、国民の目を幻惑する術を心得ている。

現在の500兆円のGDPを、毎年3%名目成長率を達成することで、2020年代の初めには達成できる計算だ。

経済界からは、ありえない数値目標だとの非難が多いが、物価上昇率目標が2%になれば、実質経済成長率は1%程度で実現可能になる。

現実的には、物価上昇率目標2%は黒田日銀総裁の公約であるが、2017年の後半以降に実現すると、粘り腰を見せている。

 

では、物価上昇率2%、経済成長率1%以上を継続的に実現できる「具体的政策」は何があるのだろうか。

それは、「積極的に人への投資」政策であり、今までの視野に入れなかった「働く人への給与配分を大幅に増加」させる政策である。

謳い文句としては「同一労働同一賃金」を言い出して、「一億総活躍プラン」で実行政策をうちだす姿勢でいる。

正社員よりも4割も実質賃金が低い「非正規雇用社員」の給与を政府の介入で「強制的に引き上げる制度」を実現すれば、企業の人件費負担が増加する。

この増加分は、価格に転嫁することで、物価上昇率の上昇に貢献する。(続)


迷走が始まる自民党政権と実行力の貧困な野党の何方を選ぶか。

2016-04-20 | 経済問題

安倍政権の方針が金融緩和だよりから、『人への投資を優先』する政策に重点がうつることになり、従来の民主党が政権交代した時期に逆戻りした。

なんの事はない、6年間も停滞と逆走をした挙句に、2010年の「コンクリートから人への投資」に転換しそうである。

いや、そうは言っても、自民党政権のやる事は、全て選挙で勝つ事を優先するので、またすぐに【公共工事のバラマキ】に舞い戻る懸念は大きい。

コンクリートに依存して、防災を強化しなければならない地域や施設は、日本中のいたるところに残っているのが現状だからである。

 

だが「日本列島改造論」が国民的な支持を得ていた時代からは、必要なインフラや防災施設は整ってきたので、政策の優先度は『人への投資を重視』であろう。

阪神淡路大震災や東日本大震災の被害に対して、国を挙げての復興支援は必要だが、期間や地域が限定的で、その期間だけの増税で対応が可能であろう。

今回の熊本大地震の被害も莫大な規模になる予想だが、国を挙げての復興支援が必要であり、国民の総意で災害からの立ち直りを祈りたい。

阪神淡路大震災の場合と違った地域の将来像を描きながらの復興事業としたい。

東日本大震災の場合は、大津波の災害にたいする備えも大規模な高台移転の必要になるので、国民的な支援と忍耐力が基本になっていく。

 

復興と将来の地域社会作りは「人の熱意が基本」であり、「地域の自律的な共同社会意識が育つ事」を最優先で考えるべきだろう。

この地域社会作りは、災害復興地域の課題であるが、日本が高度経済成長とバブル経済に踊った後の後遺症で、地域社会が破壊されてしまったケースが多い。

21世紀になってからの課題で優先すべきは、地域社会が健全性を取り戻して、地元の持続的な経済的自立が図れる「地方創生」の再構築である。

安倍政権の政策の骨太の方針に掲げているが、未だに「成功事例も少なく」、中央官僚主導の政治から抜け出せない。

それは「地方分権」やら、「地域主権」とか、とにかく「地方の主体的な意志と合意形成を土台」にしなければ進まない課題である。

 

しかし、明治維新以来の中央統制に慣れすぎた国民性が、何かと「お上尊重の姿勢」が強く、【日本の制度的欠陥の縦割り行政の弊害】が大きな障害になる。

自民党政権では、中央官僚に依存する政治手法なので、地方に権限を移譲する事に「中央官庁の抵抗」が大きすぎて、【看板倒れの地方分権】に終わっている。

政権交代の看板政策であった「民主党の地域主権」公約は、『地域のことは、地域が決める、活気に満ちた地域社会』を作る、と高邁な理想を掲げていた。

しかし、地域社会が未成熟であっただけでなく、民主党の政治家自体が、【合意形成の意識が薄くて、野党体質の批判ばかり】の体たらくであった。

「民進党の体質」で、果たして実行力を伴う合意形成ができるか、問題だ。(続)


21世紀の経済成長路線は人への投資が始まりである。

2016-04-19 | 経済問題

20世紀型の経済成長の基本は生産力を重視する政策で、「企業活動の支援」を政府が税金の配分で調整をする役割を果たしてきた。

1990年代以降は「企業の生産力はすでに一流国」に達していたが、働き手の労働環境や給与の待遇は、まだ一流国とは言えない状況にあった。

それが「バブル経済の崩壊」という環境悪化と同時に、金融の自由化、貿易自由化、規制緩和の【新自由主義経済の潮流】に流されて、労働環境は悪化した。

生産企業は企業努力を生産性向上に向ける代わりに、働く人の賃金抑制、非正規雇用の導入による人件費抑制に活路を求めてしまった。

 

安倍政権は、このような人件費の抑制によって常態化した「賃金デフレ」の実態に目を向けずに、金融緩和による市場のお金の流動を増やす事にした。

市場でのお金が潤沢になれば、デフレマインドを払拭できて、「消費行動の増加が期待出来る」と、大きな勘違いをして「アベノミクス」のおまじないに専念した。

結局の所、2012年12月の安倍政権発足後に2015年12月までの【実質GDP

成長率は平均0.6%】にとどまっている。

2000年以降の「実質GDP成長率0.9%」よりも下回る成果では、完全に経済政策は落第点である。

 

この期間に「非正規雇用社員」の割合が、働く人の全体の4割を超えるレベルに達して、「アベノミクス経済政策」では増え続ける有様である。

平均賃金の水準は減少して「正規社員の6割しか給料がもらえない」非正規雇用の賃金格差が拡大していった。

年収200万円以下の働き手は2割代半ばまで増えてしまい、GDPの6割を占める【個人消費の冷え込みを加速】してきたのが、安倍政権の実績である。

経団連をはじめとする企業側の要求に沿って「非正規雇用の規制を緩和」して、賃金水準の全体を押し下げた事が「消費購買力不足」を招いたのだ。

消費が落ち込んで、大企業までもが倒産の瀬戸際や企業買収になってしまった。

働く人への配分を惜しみ続けて、結局は国内市場の縮小を招いた、【自分の首を占める行動】を繰り返したのが、【経団連首脳の愚かな実績】である。

 

安倍政権の認識も「3年以上経過して初めて人への投資」に目を向け出した。

「一億総活躍プラン」の中身はこれからだが、掲げるスローガンには、「同一労働同一賃金」を目指すとしている。

「時間外労働の割増賃金の引上げ」も実施すると約束したが、これらは「欧州各国の水準を目指す」としているだけで、情けない状況にある。

これからは、政治で実行できる事は全てやる覚悟を決めて、「経団連の言う事はほとんど間違っていた」と認識して政治的な決断で挑戦するべきである。

国の成りたちの基本は、国民の生活が豊かになることであり、その『始まりは人への投資』を、いの一番に優先する事である。


一億総活躍プランでの経済効果を試算したなら前倒しで。

2016-04-18 | 経済問題

安倍政権が施政方針演説で打ち出した「一億総活躍プラン」の検討が進んでいる。

この施政方針演説の内容は、アベノミクスの経済政策が行き詰まって、お金の流動を増やすだけでは、デフレ脱却もできず、経済が低迷すると認識したからだ。

つまり、大企業への優遇から「人への投資の最優先」を経済政策の柱に据えることで、消費購買力の大幅な向上を目指すことになる。

大企業を優遇しても儲けたお金は海外に投資をしてしまうだけだ。

富裕層が株高政策で儲けたお金は、タックスヘイブンに蓄積されて、日本国内の経済活性化に貢献することは、もはや期待できない、と悟ったのだろう。

 

これでやっと、「民主党が政権交代選挙の公約」に掲げた政策目標と、ほぼ同一線上に並んだことになる。

民主党が2009年8月に打ち出したい政策が、2016年1月になって対抗する自民党が政策の中心に据えることになった。

いわく、時間外労働の割増賃金を引上げて長時間労働を抑制します。

年次有給休暇を確実に取得できるようにする仕組みを作り、働き過ぎを防止する。

いいじゃないですか。すぐにでも国会で法案を成立させましょう。

非正規社員の均等待遇の確保に取り組み、被用者保険の適用を拡大します。

ますます、所得格差是正への本気度が問われる政策が、少しでも早く実現したい。

 

ところで、いつまでに実現すると約束するのでしょう。

まさか、民主党の選挙公約の2014年版のように、達成時期の約束を全て曖昧にするつもりではないでしょうね。

このような「人への優遇と投資を促進する制度」に反対する野党は、どこにも見当たらないから、臨時国会でも通年で開催して、2016年度末までに施行したい。

安倍内閣の経済効果試算では、「一億総活躍プラン」の実現によって、年間で20兆円のGDP増加が見込まれる。

その2割でも2017年初頭に実現していれば、消費増税による経済の抑制に弊害は、相殺されるから、経済活動の活発化は実現できるだろう。

 

民主党政権では、このような経済効果を試算もしないで、ただ、党内議論の迷走によって実現性が遠のいてしまった。

財源の捻出もできずに、経済効果を削ぐ「消費増税にばかり突き進んで」国民生活を犠牲にする「愚かな選択」をして、政権を追われている。

自民党政権も、大企業と富裕層をとませることばかりして、国民生活を後回しにしてきたから、」次の選挙では政権を追われる可能性が大きい。

ここで、野党に先を越されないように、「人への投資」を、先に実現してしまえば、実行力のある政党との評価を得られるので、次期総選挙でも第一党になれる。

政策の内容を横取りしても、「国民生活が第一」であれば、あとは実行力が評価できる政党に投票をするだろう。「政権維持が第一」の自民党らしい政策なのだ。(続)


20世紀の経済政策では低成長どころか停滞に陥る。

2016-04-17 | 経済問題

日本の将来は「政治家の能力レベル」を引き上げることが必須である。

経済成長を目指す政策は、20世紀的なやり方では【国民の所得格差を拡大】するばかりで、消費購買力が低下し続ける。

この経済成長路線を続けては、いつまでたってもデフレ傾向を転換できない。

アベノミクスの政策の失敗が、「典型的20世紀型経済刺激策」が通用しないこと証明されている。

優先的に大企業の利益を増加させれば、徐々に中堅企業、下請けの中小企業の活動が活発になって全体的に経済の波及効果が期待出来る、というのは通用しない。

 

このように、大企業優先の考え方が染み込んでいる政治家集団が、「自民党に所属して政権与党」を形成して、お友達同士で間違ったことを認めようとしない。

マスメディアは、当初の円安誘導と株高政策にだまされて、「アベノミクス礼賛者」が世論を誘導したので、いまさら、ダメ出しもできないでウヤムヤにしている。

グローバル化が進みだした時期に、国際競争力の維持が大義名分となって、賃金の抑制や【非正規雇用の規制緩和】に賛同して、賃金水準の低下を礼賛した。

「価格破壊」と賛辞を送る無能ぶりを、メディアの論調がひろめてしまった。

低価格路線の経営者側を【勝ち組と称えてを誉めそやす傾向】が、さらに【労働ダンピング】に拍車をかけてしまったのだ。

 

ついに、「最低保証賃金の水準」は先進国では最低レベルになり、いまだに「時給1000円のレベル」すら、達成できない。

あまりに賃金水準の低い「ワーキングプワー」が増加してしまったのに、有効な対策がおざなりにされていた。

民主党は政権交代選挙の公約では、「時給1000円のレベルを目指します」と明確に掲げていたのに、政権を追放されると、2014年12月の衆議院選挙では、「中小企業に対する支援を行いつつ最低賃金を引上げていきます。」と逃げてしまった。自民党の政権公約には、最低賃金の引上げには関心すらないままに3年間を無為に過ごし、2016年の所信表明演説でやっと1000円を目指すと言及した。

 

このように「国民生活の最低保障の責任」において、政府の役割が必須であるのに、「生産者側の収益」を優先する20世紀の思考に縛られていたのである。

生産側を重要視して、供給を充実すれば「経済成長が活性化」するのは、20世紀の供給不足時代の認識である。

1990年までの「バブル経済全盛時」には、供給過剰に達して状況で【バブル経済が崩壊した】段階で、【需要不足経済時代】に突入したのである。

この時期に経済成長が鈍化して、大企業側の経営方針は「海外への市場開拓」に重点が移っていった。

国内での需要不足の慢性化により、企業側の新規投資は海外向けになる。

この段階で、国内の消費購買力を高める政策が必須なのに、何もしなかった。(続)

 


自由市場競争主義の経済下では人材への投資は最小化される。

2016-04-16 | 国創り政治問題

安倍政権の経済政策の基本は、富裕層と大企業を先に優遇して利益を増やせば、高邁な精神の人格者ばかりだから、恩恵を人に回すはずだ、と想定した。

そのような人格者いるだろうが、世界経済の現実社会では通用しない。

大企業といえども、グローバル化された経済下では「市場競争の中での、生き残りが最大の目的」になっているから、株主の意向に沿わない経費はかけない。

自社の継続的な利益の確保が可能になる人材投資に限定するのは当然である。

このような「当然の論理」がわかっていない「政治家の集団」が、日本の政治制度を支配する構図は、時代の進歩に逆行している。

 

2014年の春闘によるベースアップには、安倍政権の要請が功を奏したかのように「デフレ経済下では久々の賃上げ」が実施された。

それまで、「何もしないで眠っていた連合」は、「官製春闘」と揶揄されて、春眠からやっと覚めて、今まで放置していた「非正規雇用社員」のベースアップを前面に打ち出す「本来の労働運動」に取り掛かっている。

しかし、現実には「グローバル化された国際競争での賃上げ闘争」では、企業側は人材確保に必要な「最小限の賃金」しか払わない。

労働組合が要求しようが、政府が懇願しても、企業経営の論理は「株主の意向」に沿うことしか念頭にはない。

 

「労働側の論理」としては、働く人たちの団結力によって、賃金引上げや労働条件の改善を勝ち取って来た20世紀の歴史がある。

21世紀になってからは、デフレ経済とグローバル経済による海外への生産拠点移転の圧力で、「従来の論理と労働条件獲得の交渉」では賃上げは無理になる。

労働組合側は、労働分配率の慢性的に減少する流れを、止める対策が全くできないで、この10年間以上を無為に過ごしてきたのだ。

連合が支援する「民主党政権」が誕生しても、政権公約はほとんどが不履行になり、非正規社員は増え続けて、最低賃金の1000円/時も空手形になった。

 

労働組合の従来の交渉戦術では、企業側の経営が成り立つことが前提になるので、海外との価格競争力で負けてしまうと言われれば、賃金アップは実現しない。

非正規雇用の範囲を【経営者側の都合の良い制度】に緩和し続けたことで、【賃金の慢性的な低下】が引き起こされてしまった。

企業側からすれば、できる限り人件費を抑制することが、価格競争力維持の有力な手段だから、政府が規制を緩和することを要求し続ける。

この自由競争市場の効率性優先の制度改革が、相対的に賃金水準を下げることで、企業の生き残りを図ることが、自体をより一層、深刻にしていった。

経済活動の原則は、人びとの暮らしを向上させるのが目的であるはずが、既得権益を維持したい「企業の生き残り」を目的に取り違えてしまった。

ここから日本の衰退が始まって、あとは景気浮揚策が借金を積み上げる。(続)