なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

絞扼性腸閉塞

2020年03月17日 | Weblog

 土曜日の日直の時に、腹痛の86歳男性が救急搬入された。

 10日前から心窩部の違和感があり、糖尿病で当院している診療所(地域の基幹病院のサテライト)でPPIの処方を受けた。その後も症状は続いていたそうだ。

 その日は午前5時から強い心窩部痛が続いていた。搬入されたのは午前10時半近いので、我慢していたがしきれなくなったのだろう。

 50年前に十二指腸潰瘍で胃切除術を受けて、2/3を切除したと答えた。年齢の割にはふだんは認知力・体力にまったく問題ない方だと思われた。それほど腹部は膨満していないが、搬入後に1回嘔吐した。

 術後の癒着性腸閉塞が疑われたので、頑張ってもらって立位で単純X線撮影をした。完璧ではないがニボーがあるようで、やはり腸閉塞だった。我慢強い方でかえって所見がとりにくいが、腸管虚血の程度をみるためと他疾患の可能性もあるので、腎機能を確認して造影CTを行うことにした。

 CT撮影中に若い放射線技師さんが、「何だこれは」と声を上げた。他と比べてあまり造影されない拡張した小腸が描出された。癒着性なのか内ヘルニアをきたしているのかわからなかったが、絞扼性腸閉塞だった。骨盤内に腹水貯留もあった。

 外科当番の先生に確認してもらったが、当院では麻酔科の関係で時間外の緊急手術ができなくなっている。緊急手術できる病院に搬送するしかなかった。外科の先生が地域の基幹病院に連絡すると、幸いに受け入れてもらえた。

 

 

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