なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低カルシウム血症

2020年03月07日 | Weblog

 水曜日に中脳梗塞・低カルシウム血症で入院していた66歳男性が無事に退院した。

 12月中旬に高速道路で2件の接触事故を起こして、そのまま逃げてしまっていた。警察でも病気と判断して、病院を受診するよう指示された。

 運動失調・振戦・興奮状態で入院したが、頭部MRIで中脳の淡い梗塞巣を認めて、地域の基幹病院脳神経内科に転院した。

 特に治療もなく、むしろ慢性腎臓病の悪化と低カルシウム血症の治療が優先されるとして、4日後に戻ってきた。

 低カルシウム血症(補正血清カルシウム6.4mg/dl)・高リン血症(血清リン5.5mg/dl)に対して、活性化ビタミンD3製剤(エディロール)と沈降炭酸カルシウムを開始して、それぞれ正常化していった。正常上限を越えたので、、沈降炭酸カルシウムは休止して、ビタミンD3製剤だけにしたが、それだけでも正常域だった。

 興奮状態は治まって、振戦も軽減した。認知機能も改善して、認知症相当から正常になった。中脳梗塞よりも低カルシウム血症の方が症状に対する比重が大きかったのだろうか。

 もともとは7年前に深部静脈血栓症と心不全で循環器科に入院した。重症の僧房弁閉鎖不全症と診断されて、心臓血管センターのある専門病院で僧房弁置換術+MAZE手術(心房細動の治療)+左室心筋切除術を受けていた。

 術後は心臓血管外科の外来(大学病院から)に通院して、慢性腎臓病の悪化(血清クレアチニンが4mg/dl台)で腎臓内科外来(こちらも大学病院から透析と兼任)に紹介されている。その時も補正血清カルシウムは5.9mg/dlと低値だったが、無症状だった。

 ということは、中脳梗塞と低カルシウム血症の合わせ技だったのだろうか。カルシウム値の補正で血清クレアチニン5mg/dl台まで上昇したのが、2mg/dl台まで改善していた。内科になじんだのか、内科通院を希望された(心臓血管外科や腎臓内科のフォローもしてもらうが)。

 

 実はこの年になって、低カルシウム血症の治療をしたのが初めて、というのは結構恥ずかしいことかも。

 

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