なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

Streptococcus dysgalactiae

2020年03月11日 | Weblog

 慢性心不全の急性増悪で何度も循環器科に入退院を繰り返している85歳男性。

 もともと、慢性心房細動・びまん性心筋症があり、慢性腎臓病・貧血もあった。貧血は白血球減少・血小板減少もあり、骨髄異形成症候群などの血液検査が疑われたが、精査は希望せず、そのまま経過観察になっていた。

 先週の木曜日に循環器科を退院していた。土曜日の夜に自宅で転倒して、前額部を打撲して裂創になっていた。救急搬入されて、当直の外科医が縫合をした。

 血液検査で炎症反応上昇(白血球17500・CRP26.2)、血圧低下(70~80mmHg)、そしてもともと慢性心不全があることから、内科で入院となった。その日の当番だった内科の若い先生が担当した。

 明らかな肺炎・尿路感染症はなく、感染巣は不明だった。血液培養2セット・尿培養を提出して、セフトリアソンの投与を開始していた(血圧低下にはドブタミン投与)。

 週明けの月曜日に、血液培養2セットから溶連菌が検出されたと細菌検査室から報告があった。週明けから循環器科の扱いとなって、抗菌薬はゾシン(PIPC/TAZ)に変更になっていた。前回退院時の検査でも、白血球5100(ふだんは2500~3000)・CRP2.9と後から見ると上昇し始めていて、その時点で始まっていたらしい。

 今日菌名が確定して、Streptococcus dysgalactiaeだった。これはC群またはG群で、プラチナマニュアルには「臨床的な振る舞いはA群β溶血性連鎖球菌と似るが、高齢者や糖尿病、悪性腫瘍を有する患者に菌血症、皮膚軟部組織感染症を起こす」とある。

 前額部の裂創はあるが、他に皮膚軟部組織感染症はない。搬入時から発熱はない。血圧は回復してきたが、炎症反応は4日目の昨日も搬入時と有意な変化はない。セフトリアキソンでもゾシンでも効くはずだが、次の検査では軽快するのだろうか。そして感染巣はいったいどこなのだろうか。

 もともとの汎血球減少(白血球2500~3000・Hb7~8g/dl・血小板10万前後)も精査していないのでわからない。がんセンターの血液内科受診は希望しないなら、内科で骨髄検査の提出だけはできるが。

 

 

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