なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原因不明の十二指腸狭窄

2020年03月29日 | Weblog

 火曜日に、地域の基幹病院糖尿病科から86歳男性が転院してきた。脳梗塞と糖尿病の既往があり、3月初めに意識障害・低血圧・低体温・代謝性アシドーシス・腎障害で救急搬入されていた。

 入院後は保温・点滴などで症状軽快していた。搬入の数日前から嘔吐が続いて、食事摂取できなかった。CTで十二指腸下行脚の全周性の肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査では、通常の内視鏡は通過できず、経鼻内視鏡は辛うじて通過可能だった。生検では悪性腫瘍は証明されなかった。

 入院後に総胆管拡張・膵酵素上昇があり、総胆管結石による急性胆管炎・急性膵炎が疑われた。抗菌薬投与で軽快したと記載されているが、総胆管結石があるかどうか確定はできなかったようだ。(動いてしまうのでMRCPは不可能)

 脳梗塞(延髄梗塞)後遺症で嚥下自体も障害されていると判定されて、その意味でも経口摂取は中止された。末梢静脈からの点滴で経過をみることになり、それで悪化した時はDNARの方針になっているという。

 十二指腸狭窄が改善されれば経管栄養の可能性もある、高カロリー輸液に切り替えるのも方法としてはあるが、寝たきり状態で踵の褥瘡・全身的な廃用もあり、とある。

 息子さんに方針を確認したが、末梢からの点滴で経過をみるのでいいということだった。転院後、体幹抑制と手の抑制をしても点滴を何度も自己抜去してしまい、看護師さんが困っている(高カロリー輸液の実施は困難)。

 それにしても、この十二指腸狭窄の原因は何なのだろうか。膵頭部癌や下部胆管癌があるが、生検で証明できないだけかとも思ったが、そうでもなさそうだ。可能であれば当院でも上部消化管内視鏡検査を行って、十二指腸下行脚の現状を確認したいが、その機会があるかどうかわからない。

 

 来週は基幹病院から3名の患者さんが転院してくる予定だったが、1名は病状が悪化して取りやめになると連絡が来た(時々あるパターン)。救急部からの症例で、電話で聞いたところでは、敗血症性ショックで治療を開始して間もない時期に連絡してきていた。ほぼ満床なのはわかるが、ちょっと早すぎないか、とは思っていた。

 

 

 

  

 

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