なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

下肢動脈血栓塞栓症

2020年03月04日 | Weblog

 地域の基幹病院から転院してきた75歳のその後。

 当院の神経内科に脳梗塞後遺症・心房細動で通院して、抗凝固薬を処方されていた。昨年12月31日に脳梗塞が発症して、基幹病院に救急搬入された。左中大脳動脈領域の梗塞で、出血性梗塞だった。抗凝固薬は中止された。

 右半身完全麻痺・全失語で寝たきり状態となって、右内頚静脈からCVカテーテルが挿入されて、薄めの高カロリー輸液が入っていた。薬剤注入のため経鼻胃管が挿入されていた。

 1月下旬に治療継続のため、当院に転院してきた。経口摂取も不可能なため、後は末梢用の点滴に切り替えてもいいと思います、と診療情報提供書に記載されていた。家族と相談して、高カロリー輸液は継続することにした。

 転院してきた日の夕方から悪寒戦慄があり、高熱を呈した。CVカテーテルからの血流感染で、血液培養2セットから腸球菌(Enterococcus faecalis)が検出された。カテーテルを抜去して、抗菌薬投与(エンピリックからABPCへ)で軽快治癒した。

 やっと落ち着いたと思っていたら、今度は右下腿~足のチアノーゼ・冷感が出現した。造影CTで右膝窩動脈の血栓塞栓症を来していた。

 外科医(血管外科)が家族と下肢切断について相談した。希望があれば手術を行うが、病状から安全にできるという保証がないことが説明された。家族は保存的に経過をみることを選択・同意した。

 CTで心腔に大きな血栓を認めていた。脳梗塞発症から1か月は経過しているが、抗凝固薬投与で出血を来す可能性もあるが、ここは使用するしかないという判断になった。

 ヘパリン持続点滴で経過をみて、経過中に緑膿菌による尿路感染症で高熱があったが、その後は微熱程度でバイタルは安定して経過した。右下腿に温感があり、下腿の一部・足趾・足底は黒色に変化していた。

 ここからどうしたらいいかとなるが、対症的にいけるところまで行くとしかいえない。

 

 昨日午後に、感染管理相互評価でがんセンターを訪問した。院内面会制限になっているので、時間外受付で体温測定をして、マスク着用で会議室に案内された。

 通院しているがん患者さんが発熱で受診するので、そのつど過敏に反応(コロナではないのかと)しているそうだ。かかりつけではない発熱の患者さんが受診(初診)することはない病院なので、普通の病院はどうしているかと訊かれた。

 保健所から疑い例として紹介される以外は、初診の段階ではまったく他の疾患と区別できない。普通に診察・検査をして、その中から拾い上げるしないと考えています、とお伝えした。

 肺炎の画像は通常の肺炎とは違うらしいが、胸部X線・CTで本当に鑑別できるか自信はない。

 

 

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