なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

アナフィラキシー

2020年03月25日 | Weblog

  今日は内科再来を診ていた。高血圧症・咳喘息で通院している70歳女性が予約外で受診された。

 昨日夫と一緒にお出かけをして、昼食にしらすのパスタとサラダを食べた。サラダにはにんじんのドレッシングがかかっていたが、それには果物が混じってたようだという。

 食べ終わって15~30分くらいでめまい・ふらつきを自覚した。冷汗もあった。ふらふらしながらも1時間かけて当地の自宅まで(車で)戻ってきた。

 のどの違和感が続いたが、喘鳴や呼吸困難まではいかなかったそうだ。体温測定すると35℃以下だった。血圧は100で、ふだんの130前後から見て下がっていた。発症時はもっと低下していたのだろう。病院に行こうか迷ったが、結局そのまま自宅で安静にして次第に軽快した。

 今日はのどの違和感は消失して、朝は慎重にお粥だけを食べたという。血圧は140台だった。まだ調子が悪いというが、会話は普通にしていて、動きも問題なかった。

 この患者さんは、リンゴ・梨・サクランボ・生エビを食べると喉の違和感が生じるので、普段は避けている。蕁麻疹がでることもある。母親も子供(娘さん)も喘息があり、アレルギーの家系だが、ご本人は喘鳴を自覚したことはない。

 ただ咳が続き、特に夜間から早朝にかけて咳がひどくなる。県内有数の総合病院で喘息としてかどうかわからないが、テオドールの処方を受けていた。13年前から当院で降圧薬の処方を開始したが(他院からの継続)、次の年からは咳も当院で治療したいと希望された。咳喘息(としかいいようがない)として吸入ステロイドを開始して、使用前よりは症状が軽減していた。

 何度聞いても喘鳴を自覚しないといい、咳がひどいと受診した際にも喘鳴は聴取しなかった。咳がひどくて食事もとれなくなり入院したこともあったが、喘鳴はなかった。胸部X線・CTで異常を認めず、炎症反応の上昇もなかった。(ふだんのスパイロは正常域)喘息重積発作に準じた治療でしだいに軽快して退院した。

 その後も咳がひどくなって、ステロイドを短期に使用して軽快していた。地域の基幹病院呼吸器内科の先生に紹介したこともあったが、あまり関心をもたれなかったようだ。そちらの対応でいいんじゃないですか、という返事だった。

 症状が軽快して受診した理由は、また同じことが起きないかと心配になること、孫がエピペンの処方を受けているので自分もどうかということだった。詳細はわからないが、お孫さんはアナフィラキシーショックをきたしたのだろう。

 今回のエピソードは食事性(たぶん果物)のアナフィラキシーショックに準じるものとしていいようだ。エピペンを処方した。もしエピペンを使用するようなエピソードがあった時は、必ず病院を受診(救急要請でよい)するよう伝えた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする