なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

何の肺炎?

2019年08月17日 | Weblog

 金曜日の午後に、救急当番をしていた外科医から連絡が来た。咳込んで呼吸困難?になって救急搬入された36歳女性の診察を依頼された。

 3週間前の先月末から、咳・痰が続いていた。体温測定はしていないが、少なくとも高熱はないようだ。搬入時の体温は36.7℃だった。呼吸数は26回になっていたが、一過性の頻呼吸でその後は落ち着いていた。

 今月初めに長崎県から当県に引っ越してきた。今日は隣の県に出かけて、自宅まで戻る途中で、咳き込みから呼吸困難になって、救急要請をしたのだった。確かに咳込みといえるような咳はしていたが、その時は過呼吸になったのもあるようだ。

 胸部聴診上は異常がなく、喘鳴やラ音(crackles)は聴取されない。アレルギー性鼻炎があるが、今回夜間明け方の喘鳴はないそうだ。

 血液検査では、白血球7800・CRP0.6という値で、これだけから考えると、感冒後の咳の遷延のようではある。しかし、そうではない。胸部X線でははっきりしないが(心陰影の背側)、CTでは左下肺野に浸潤影がちゃんとある。急性肺炎だ。

 症状が出てから、当県に引っ越してきて、夫の実家が隣の県(今日出かけた県ではない)にあり、そちらのクリニックを2軒受診していた。まず耳鼻咽喉科を受診して、セフェム系第3世代の内服薬が処方された。効果はなかったという。次に内科を受診して、レボフロキサシン(クラビット)が処方された。2日内服して、めまいが生じて、子供の世話もできないくらいだったそうで、薬のせいと判断して内服を中止していた(正しい判断)。

 マイコプラズマの迅速試験、肺炎球菌尿中抗原は陰性だった。マイコプラズマだと合いそうな経過・検査所見だが、確定はできない。当院は移動途中で運ばれただけなので、居住している市内(県庁所在地)の病院に紹介してほしいという。

 住所を訊いたが、どこがいいかわからず、わかりやすい医療センターの呼吸器内科に紹介とした。来週の火曜日以降しか受診できないというので、その間抗菌薬内服を処方して経過をみる。

 何を選ぶか迷ったが(オグサワ?マクロライド?テトラサイクリン?)、マイコプラズマ狙いでマクロライドのクラリスにしてみた。

 

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