なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

痰からPasteurella multocida

2019年08月30日 | Weblog

 先々週の土曜日に、外科外来で診ている86歳男性が肺炎で救急搬入された。この方は食道癌・下咽頭癌があり、がんセンターで緩和的放射線照射を受けたが、その後再発していた。

 経口摂取できなくなって、胃瘻増設による経管栄養が行われていた。自宅でみるのが難しくなったら入院の方針となっていた。いよいよ悪化した際にはDNARの方針だった。

 内科日直は外部の先生(他の病院からのバイト)だった。酸素5L/分でも酸素飽和度の上りが悪く、人工呼吸が必要かもしれないと、地域の基幹病院に搬送したが、これまでの経過から当院で入院治療するようにと戻された(ごもっともです)。

 これまでの経緯から、肺炎ではあるが、外科入院となって治療が開始された。抗菌薬はセフトリアキソン(CTRX)が使用されていたが、月曜日に土日の救急外来受診・入院をチェックした時に、この場合はスルバシリン(ABPC/SBT)、あるいはもうゾシン(PIPC/TAZ)でもいいかなと思った。

 

 AST会議で、この患者さんの入院時の喀痰培養から検出された菌種について、細菌検査室の技師さんから訊かれた。検出されたのは、Pasteurella multocidaPseudomonas aeruginosaだった。当院ではPasteurella multocidaの感受性検査はできない。

 痰からPasteurella multocida?。どういう意味になるのか。

 入院後の経過をみると、酸素化は改善していて、吸入酸素量は2L/分まで下がっていた。炎症反応も順調に低下してきている。臨床的には確実に改善している。結果的にセフトリアキソンは正しい選択だった(普通の市中肺炎)。

 たぶん両者(両方の菌)とも気道の定着菌、と考えるのが正しいのだろう。当院に月1回来てもらっている感染症専門医にメールで相談すると、肺炎の起炎菌ではないでしょう、ということだった。

 その後、この患者さん宅では猫を2匹飼っていることがわかった。猫を飼っている家庭の人は、気道にPasteurella multocidaが定着するのだろうか。そういう研究はある?。 

 

 今日は高速バスでしまなみ海道を通って松山に来た。曇りだったこともあるが、島々を渡って来るので、7割がた陸地を走っていて、瀬戸内海を渡った 感動に乏しい?。今治に入ったところで晴れた(初四国)。

 道後温泉本館は工事中で、現在は入浴のみになっている。先ずは道後はいから通りで、お土産を買って宅配便で送った(これが大事)。 子規記念博物館は立派で見応えがある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする