振替休日だった月曜日に80歳男性が救急搬入された。食べていたこんにゃくを喉に詰まらせて、チアノーゼを呈した。居合わせた人がなんとか取り除いてチアノーゼは軽快した。掃除機で吸引したらしい。
救急搬入時、開眼はしているが、発語はなく、コミュニケーションはとれなかった。右共同偏視を認めた。家族の話では、普段は話もできて、右不全麻痺はあるが歩行できるそうだ。
頭部CT、さらに頭部MRIの検査で、陳旧性の多発性ラクナ梗塞を認めるが、脳出血や新規の脳梗塞は認めなかった。窒息しかけたということで、搬入は外科扱いで日直の外科医が担当していた。低酸素によって脳障害が生じた可能性を考えたようだ。内科の日直をしていた、内科の若い先生に相談して内科入院となった。
入院後も入院時の意識状態が続き、回復は見られなかった。頭部MRIを再検すると、右中大脳動脈領域に梗塞巣がまだらに出現していた。そしてMRAで右中大脳動脈の閉塞を認めた。他の脳血管も動脈硬化が目立っていた。
搬入時の頭部MRI検査の時は、頭が動いてしまうので、MRI拡散強調画像で所見がなかったこともあり、放射線技師さんはMRAは動いて無理ですと報告していた。
脳梗塞として治療を開始したが、右中大脳動脈の本幹なので、大きな脳梗塞に進展する可能性がある。ただ、脳血管の動脈硬化から、狭窄をカバーするバイパスができているのでは、とも考えられた。
また頭部MRIを再検したが、梗塞巣は広がっていた。MCA領域全体ではないが、さらに進行する可能性もある。
この患者さんは、他県からお盆の行事で家族といっしょに当地に来ていた方だった。かかりつけの病院があり、脳血管障害やリハビリを行っている病院だそうだ。今週は主治医不在ということだが、家族は転院を希望されていて、病状が許せば来週中に搬送したい。
喉に詰まらせたことと脳梗塞は、どういう前後関係になるのだろうか。