月曜日に85歳男性が熱中症で入院して、内科の若い先生が担当していた。意識清明で血圧も130程度だった。血液検査でCKが624と上昇して、血清クレアチニン1.44mg/dlと上昇していたが、想定内の結果で、点滴を行って軽快すると見込まれていた。
夜間に血圧が60mmHg台に低下して、点滴を増量して80~90mmHg台になっていたが、午前8時半ごろに突然心室頻泊になった。心肺蘇生を行って心拍は再開したが、呼吸は戻らず、用手的人工呼吸から人工呼吸器装着に切り替えた。
不整脈発症前に採取された血液検査再検では、血清CK13200と上昇していた(AST・LDHも上昇)。血清クレアチニンも2.97mg/dlに上昇していた。血清カリウムは3.4とむしろ低めで、不整脈を誘発する値ではない。
受診時の心電図は陳旧性心筋梗塞(前壁中隔)の所見があった。心拍再開後に心エコーで診てもらったが、中隔の動きは悪いものの、明らかに新規の心筋梗塞が発症したとはいえなかった。心電図モニターで、VT発症前にPVCのR on Tを認めていた。陳旧性心筋梗塞からの心室性不整脈としても、横紋筋融解の影響を受けた可能性がある。
心停止を繰り返して、結局昼に亡くなった。Autopsy imagingをさせてもらったが、心肺蘇生処置に伴うものはあるが、有意な異常は認めなかった。
熱中症による横紋筋融解が急激に進行したということなのか。もっと大量に輸液を行えば、軽減できたのだろうか。