なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高血圧性脳症でいいのかー久しぶりに「本家です」

2014年01月01日 | Weblog

 昨夜の当直は内科入院が2名だった。89歳男性は偽痛風の関節炎で何度か入院していた。今回も右膝関節の疼痛と発熱で、奥さんが驚いて救急要請した。意識は清明で(ただし、相当な難聴)、化膿性関節炎とは思えないが、血液培養2セットを提出した。関節液貯留がそれほどなさそうで、穿刺はしなかった。軽度に腎機能障害があり、NSAIDの継続はしがたいので、1回だけ使ってあとは湿布で経過をみることにした。以前は湿布だけで治ったことがある。糖尿病があり、血糖コントロールはいいものの、ステロイドは当面使用しないことにした。

 朝方に後頸部痛で30際くらいの男性が受診して外科医が診た。意識清明だが、項部硬直?として、呼ばれた。僧帽筋がもともと凝っていて、ふだんから痛いという。肩を触るとガチガチにかたい。猫背で姿勢が悪かった。仕事は溶接をしているそうで、肩がいかにも凝りそうだった。僧帽筋を少しマッサージしてみると、受診時よりは首が動くようになった。ふつにNSAID(ロキソニン)と湿布で経過をみてもらうことにした。少しずつ、首や肩の運動をするよう勧めた。

 その後、83歳女性がトイレに行こうとして、台所で倒れたと救急要請が来た。意識がないという。老夫婦の二人暮らしで夫も要領を得ない。ほかに二人ついてきたので、ご関係はと尋ねると「本家です」という。都市部ではないことだが、郡部では時々あるパターンだ。親戚の誰かにに何かあった時の責任者ということになる。

 意識レベルはJCSの100だった。麻痺はなさそうだった。高血圧症と糖尿病で内科医院に通院していたが、何か月も治療を中断していた。外来で簡易血糖測定をするとHiと出て、血液検査で血糖が737mg/dlと高値だった。血液ガスでケトアシドーシスはない。高血糖高浸透圧症候群にしては突然すぎる。脳血管障害が疑われた。血圧が240/120mmHgと著しく高い。放射線技師が院内にいたので、すぐに頭部CTを撮ったが、頭蓋内出血はなかった。脳梗塞が出てきそうなところはないかと見たが、CTで早期にわかるようなサインは陰性だった。

 ペルジピンを静注して血圧が150程度になると、意識が出てきた。呼名に開眼して短い返事をした。点滴を開始したが、まだインスリンは使っていない。高血圧性脳症のようだ。血液は濃縮気味で腎機能障害もあった。血圧か血糖かというより、両者の合わせ技にように思われる。降圧剤の点滴と点滴・インスリンで経過をみることにした。あまり大きな声では言えないが、患者さん本人も夫も服は相当に汚れていて、普段の生活がわかるようだ。おそらく家の中は靴を脱いで入る時に、一瞬とまどうような状況だろう。

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