なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

わからない多発関節炎

2014年01月13日 | Weblog

 先週の火曜日に前日当直だった外科医から相談を受けた。早朝に49歳男性が胸背部痛で救急搬入された。急性心筋梗塞・急性大動脈解離・肺血栓塞栓症・(気胸)を疑って、心電図、造影胸腹部CT・血液検査を行ったが異常はないという。痛くて動けなくなってますが、何でしょうかという。その場に内科の若い先生もいて、私が診ましょうということになった。後で報告に来て、多発関節炎だという。炎症反応は白血球数1万で、CRPが7と、軽度から中等度に上昇していた。末梢血は、脱水なのか、もともと多血症なのか、血液濃縮を呈していた(結論は両者ともありだった)。SAPHO症候群ですか、と以前一度だけ診た症例を思い出したが、胸部X線には典型的な所見はない。

 数日の経過での多発関節炎の鑑別ということになった。ウイルス感染症や性行為感染症による反応性関節炎を疑ったが、それらしい症状や行為はない(自己申告)という。年齢が高齢者ではないが、結晶誘発性関節炎点滴をして、外注の結果が出るまで、NSAID投与で経過をみることになった。関節痛自体は軽減したという。ところが、左下肢が腫脹して、造影CTで深部静脈血栓症(DVT)を起こし(肺梗塞はない)、ヘパリンの投与が開始された。

 外注の結果で抗核抗体が640倍と高値だった。抗CCP抗体は陰性で、淋菌・クラミジアも陰性だった(HBV、HCVも陰性)。皮疹はなく、CKの上昇・筋肉痛はない。抗リン脂質症候群の検査も出してみますと言っていた。言っていたというのは、その日熱があって、ボーッとしていたので、ほとんど考えられなかった。リウマチ膠原病に詳しい先生方に電話で聞いてみることを勧めて、候補を何人か上げた。その後は、食欲もなく倦怠感がひどかったので、外来の処置室で点滴を2本受けていた(終わったのは午後7時半)。

 3日休んで、何とか軽快してきた(まだ下痢はあり)。一つの疾患で説明がつくのか、複数なのかもわからないが、明日患者さんと検査値を診て考えよう。まあ主治医が適切に対応していると思うが、話をしているうちに考えがまとまることもあるので、その合いの手くらいは入れてみよう。

 昨日病棟に電話で確認したら、なかなか血清カリウム値の上がらなかった低カリウム血性ミオパチーの患者さんと糖尿病性ケトアシドーシスの患者さんは順調に回復していた。

コメント
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