85歳男性が昨日の当直帯に救急搬入された。当直は若い整形外科医だった。顔面のけいれん様の動きが続いていた。意識はあるが、ぼんやりしていた。この方は昨年10月に小脳腫瘍で県立がんセンター脳外科を受診して、悪性リンパ腫として化学療法と放射線療法を受けている。次回の外来予約は来月だった。電話で問い合わせてみたが、もう治っているので関係ないという返事だった。
脳部MRIで左小脳に腫瘤(の治療痕)があった。脳幹部も大脳も問題ない。血液検査は異常なかった。けいれんとしてセルシンを投与して、動きは一時的に治まったが、また始まった。電話がきて、どうしましょうと言われた。顔面がピクピクと動いていても意識消失していないので、けいれんとしては変だ。短期入院として経過をみることになった。眼輪筋がピクピクする顔面神経けいれんはたまに見るが、こちらは片側に起きる。
今朝になって、顔面の動きは治まっていた。家族の話では、顔面がピクピクと動いている時でも食事はとれるという。両側の頬部と下顎の動きだった。神経内科医と相談したが、けいれんではなく、不随意運動で振戦かミオクローヌスだろうという。実際に動いているところを見ていないので、推定になってしまう。治療薬としてはランドセンだが、定期的に内服するのもどうかということで、症状が出た時に頓用となった。