なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

貧血と肺癌

2014年01月29日 | Weblog

 消化器科の若い先生から相談を受けた。内科医院(その先生の父が院長)から60歳男性が貧血・消化管出血疑いで紹介された。健診で便潜血陽性(2日間とも)を指摘されて、小球性貧血だった。上部・下部消化管内視鏡検査を施行したが、出血源はなかった。腫瘍マーカーとしてCEAとCA19-9をみたが、いずれも正常域だった。小腸出血が疑われたが、当院ではカプセル内視鏡もダブルバルーン内視鏡検査もできないので、これ以上の検索は無理だった。

 貧血とは別に、胸腹部CTで右肺に八つ頭状の腫瘤があり、縦隔リンパ節腫脹を指摘された。肺癌では小球性貧血は説明しにくい。肺癌に関しては、がんセンターの呼吸器外科(あるいは呼吸器科)に紹介するとして、小腸の検査をどうするか。とりあえず、一番近い基幹病院の消化器科でカプセル内視鏡を行っているので(症例は少ない)、頼めるかどうか聞いてみることになった。肺癌についても、早急に紹介しなければならない。無理矢理一元的に説明するとすれば、肺癌の小腸転移だ。転移巣が小腸にあって、通常は粘膜下腫瘍になるが、表面にびらんを形成して、そこから出血が続いているというものだが、かなり苦しい。消化管出血と肺癌は別物と考える方がいいようだ。肺癌の症状はなく、たまたま見つかったのはラッキーだが、縦隔リンパ節転移があると手術適応はどうなるのだろうか。

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