5月2日に記載した完全房室ブロックの95歳女性のその後。5月21日に入所している施設から、左下肢の浮腫がひどいので診てほしいと依頼が内科外来に入った。
うっ血性心不全で両下肢の浮腫はあるはずだが、左下肢だけというのは何だろうか。心不全の増悪ではなく、深部静脈血栓症か。
施設で救急要請して、救急隊から37.4℃の発熱の発熱があると報告があった。微熱では何ともいえない。
搬入されると、すぐに左下腿の蜂窩織炎と分かった。一部が自壊して膿が出ていた。下腿前面が中心だが、発赤はほぼ全周性だった。中心の7~8cmがぷよぷよして、膿瘍があるかと思われた(もっと液体っぽかったが)。
一通り検査して、心不全の悪化や肺炎・尿路感染症など他の感染症は否定的だった。蜂窩織炎でいいようだ。ただし、液体貯留は膿?。皮膚科医が注射器に針を付けて穿刺すると、軽度に膿性のさらさらした液体だった。膿瘍形成というよりは、浮腫のある下腿なのでこんな形になったらしい。
動いてしまうのでMRIは撮れない。CTで診て筋層への進展はなく、ガス発生などもなかった。
穿刺液と血液培養2セット(静脈が細すぎて、2セットとも動脈から採取)と提出して、抗菌薬を開始した。壊死性皮膚軟部組織感染症になると困るが、翌日の様子では大丈夫のようだ。