なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性胆嚢炎

2024年05月22日 | 消化器疾患

 5月18日(土)当直の時に、翌19日(日)午前4時過ぎに病棟から連絡が入った。入院している82歳男性が腹痛を訴えているとう。

 

 患者さんは娘と二人暮らしで、隣りの市内に居住している。4月26日に自宅の庭で倒れているところを隣人が発見して、救急要請していた。娘さんは日中仕事で、自宅に患者さん一人になる。認知力低下とADL低下はあるが、何とか自宅で生活できるというくらいだった。

 救急隊から39℃の発熱があると報告があった。左前額部と頬部に擦過傷があり、左手背の皮膚が広範にめくれていた。頭部CTは異常なし(脳委縮と陳旧性ラクナ梗塞のみ)。

 コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性で、発熱の原因は軽度の肺炎と診断された。その日救急外来を診ていた外科医(大学病院からバイト)から、その時間の内科当番の当方に連絡がきた。

 肺炎は抗菌薬1週間投与で解熱軽快した。ADLが低下したので、リハビリのため入院継続となった。しかし座位になっただけでももともと100mmHgの血圧が70mmHgまで低下して、意識が低下してしまう。(横臥すると回復)

 リハビリの目標を下げて、座位を長く保つことと、介助で車椅子移乗できることにしていた。在宅介護が困難であれば施設入所も考慮となった。

 

 今回の症状は、18日午後11時ごろに臍周囲の痛みを訴えた。夜間だし、指示のアセトアミノフェン500mgを内服させると軽快したそうだ。翌19日の午前4時にまた腹痛の訴えがあり、それで連絡したという経緯だった。

 痛みは右季肋部痛になっているという。胆嚢結石があるのは知っていた。アセトアミノフェン1000mgの点滴にしてもらった。内臓痛→体性痛の経過か。

 午前中に胸腹部CTを行うと、胆嚢が腫大して、周囲に軽度の腹水貯留があった。胆道系の拡張はなかった。白血球11000・CRP1.6と炎症の初期像だった。肝機能障害は軽度だった。(時間外は検査技師が不在で簡易検査法になる)

 胆嚢結石・急性胆嚢炎として抗菌薬(PIPC/TAZ)と点滴を開始した。胆嚢結石は一度でも胆嚢炎を起こせば手術適応になったしまう。

 娘さんは仕事でか電話に出なかったので、午後から病棟看護師さんにまた電話してもらうことにした。「胆嚢結石があり、今回急性胆嚢炎を来したこと。当院は外科手術ができないので、保存的治療に反応しない時は搬送になること」を伝えてつたもらった。

 その日の午後から高熱が出ていた。アセトアミノフェン使用で20日朝は37.2℃で、腹痛は自制可(ぼーっとしているので正確につかめないが)ではあった。

 白血球19200・CRP16.8とぐっと上昇したのは想定していたが、AST 967・ALT 583・LDH 420・ALP 318・γ-GTP 112・総ビリルビン4.2(血清アミラーゼは正常域)と思いがけない高値になっていた。胆道系酵素より肝細胞性障害が目立つが、ビリルビンも上昇している。総胆管結石もある可能性があるが、胆嚢の炎症自体が重度なのか。(発症早期からの腹水が嫌な感じ)

 

 地域の基幹病院外科に連絡して、事情をお伝えした。受けれもらえたので、救急搬送させてもらった。造影CTで確認してからとも思ったが、すぐに搬送とした。自宅から直接先方の病院に行く方が近いので、娘さんには当院に来ないで直接行ってもらうことした。

 

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