なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

黄疸で受診

2024年06月14日 | 消化器疾患

 6月12日(水)は内科外来(再来+新患)に出ていた。午前11時ごろに黄疸の55歳女性が受診した。外来の看護師さんが、今日は消化器科医が不在になるので、と内科の方に持ってきた。

 今月始めから倦怠感があり、皮膚の黄染・かゆみ、尿の濃染もあった。(便の色も薄くなったといっていた)発熱はなく、腹痛もない。

 一見して確かに黄疸があり、肝臓が触知された(3横指)。浮腫はない。意識は清明で普通に会話できる。その日は一人で車で来院していた。

 15年前から健診で肝機能障害を指摘されていた(AST・ALTが50~80。γ-GTPが150~200)。体格はやせ型で、脂肪肝を来すようには見えない。ウイルス肝炎か、原発性胆汁性肝炎(PBC)・自己免疫性肝炎(AIH)が疑われた。

 血液検査では炎症反応はわずかに陽性(0.9)で末梢血では異常がなかった。血小板は28.7万と正常域だった。HBs抗原・HCV抗体は陰性だった。肝機能はAST 1549・ALT 1263・LDH 1222・ALP 400・γ-GTP 289・総ビリルビン9.5と著明な肝障害を認めた。

 腹部エコーでは肝表面の凹凸と内部エコーの粗雑さを認めた。胆道系の拡張はなかった。

 経過からは慢性肝疾患があり、それが増悪したか、何か別の原因が加わったものということになる。PBC・AIH疑いで抗核抗体(ANA)と抗ミトコンドリア抗体を提出したが、外注検査なのですぐには出ない。(NASHも否定できないか)

 早めに肝臓専門医に紹介する必要がある。問い合わせると、大学病院は最短で2週間後の外来予約になるという(直接電話で依頼すれば、もっと早くなるかもしれないが)。

 癌ではないので、がんセンターには紹介できない。医療センターに問い合わせると、幸いに翌日消化器内科の予約枠がとれるといことだった。患者さんに説明して、紹介することにした。

 

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