なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

妄想・異常行動

2024年06月04日 | 精神科疾患

 5月29日(水)に一人暮らしの84歳女性が救急搬入された。市営住宅に住んでいるが、同じ住宅の住人が患者さんの玄関前に血痕があるのに気付いた。

 不審に思って市役所に通報して、そこから警察にも通報された。左頭頂部に血腫があり、血液が頭髪に付着していた。閉眼しているが呼びかけると開眼して会話は可能だった。転倒して頭部打撲したのだろうが、そのままにしていたのだった。

 当院に救急搬入された。救急当番は非常勤外科医だった。頭部CTで右頭頂葉に小出血を認めたが、保存的に経過を見るくらいだった。

 長男の話では、1か月前から意味不明の言動があり、徘徊して近隣住民とトラブルになっていたそうだ。内科の常勤医が担当となって入院した。

 被害妄想があり(毒が入れられている?)、食事摂取しようとしないので、点滴をしていた。当日は特に問題なく過ごしていた。翌日になると、点滴を抜いて点滴セットの先端(点滴ボトルに刺入するところ)を看護師に向けてきた。

 看護師4名で対応して、体幹抑制をしたが、すり抜けて病棟内を徘徊していた。担当医が市役所の係(以前から近隣住民とのトラブルで介入していた)に連絡すると、市内の保健衛生で来ている精神科病院の先生が診察に来た。

 認知症のテストでは案外正答できて、明らかな認知症とはいえないらしい。妄想と異常な言動は若い人ならば統合失調症だが、この年齢だとそうもいえない。若い時から未治療できた統合失調症というのでもないそうだ。病名はどうなるのか。

 もう1名別の精神科医の診察もあり、措置入院となった。数か所の精神科病院に当たったが、軽度だが脳出血があることなどもひっかかった。やっと入院できる病院が決まって、入院翌々日の5月31日に転院となった。

 

 以前、市内の精神科病院の先生に隔週できてもらって、主に認知症の患者さんの対応(処方など)を診てもらっていた。あまり対象になる患者さんがいなかったのと、先方の先生も忙しくなり、精神科回診はなくなってしまった。

 もっともあまり薬を使わない方針の先生だったので、院内の先生の期待(せん妄、BPSDを何とかしてほしい)通りにいかなかったというのもあった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする