6月8日(土)は当直だった。救急搬入はなかったが、喘息発作や脳梗塞の患者さんが受診して午前1時まで断続的な診療となた。
朝から嘔気が続いているという19歳女性が受診した。大学病院の精神科に通院して向精神薬が処方されていた。
日中に2回嘔吐していた。心窩部に若干痛みがあり、腹部は平坦・軟だが心窩部に軽度に圧痛があるかもしれない。下痢はしていないという。水分はとっていた。
診察室に入ってきた時から泣いている。痛みや嘔気がひどくてというのではないらしい。母親の話ではこれまでも同様の症状が続くとずっと泣いているという。
小学生の時から当院の小児科医(定年退職後も継続勤務していたが一昨年退職)に頻回に受診していた。感冒症状が多いが、腹痛や頭痛もあった。
中学3年の時に自宅が火事で全焼した。その後から悪夢にうなされるようになり、不登校となり、昼夜逆転の生活となった。高校2年の時に、このままではどうにもならないと判断して大学病院精神科に紹介していた。心的外傷後ストレス障害(PTSD)としていたが、その前から心身症的な愁訴があったようだ。
大学病院では向精神薬が処方されている(クエチアピン50mg/日、イフェクサー112.5mg/日、トラゾドン25mg/日)。こういう症状の時は安定剤+SSRIのような処方かと思ったが、抗精神薬もしっかり入っていた。
点滴をして制吐剤(メトクラプラミド=プリンぺラン)の注射と、P-CAB(タケキャブ)の内服をしてもらった。経過を見たが、母親は泣き止まないので何とかしてほしいという。
芸がない気がしたが、いつものヒドロキシジン(アタラックスP)の点滴静注を行うと、ちょっとうとうとしたらしい。悲しげな表情がなくなって泣き止んでいた。
嘔気も治まったので、点滴が終わったところで帰宅とした。翌日(日曜日)に調子が悪い時はまた点滴に来てくださいと伝えた。あとで確認すると、受診いていて日直の先生が同じ点滴をしていた。
月曜日は受診しなかったので、良くなったのか、他の病院を受診したかだろう。受診した日はふだんの薬を飲んでいなかったので、嘔気が治まった時にきちんと飲むよう伝えていた。
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