なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

残念な結果でした

2016年11月12日 | Weblog

 10月に入院した78歳は、頭痛・発熱・炎症反応上昇があった。肺炎や尿路感染症による症状を疑って抗菌薬で経過をみたが、改善しなかった。最近の頭痛・側頭動脈の圧痛・顎跛行・血沈100以上から巨細胞性動脈炎と判断した。プレドニン投与で症状が消失して、炎症反応も陰性化した。糖尿病が悪化したが、インスリン強化療法で血糖も改善した。退院して、外来で経過をみることになっていた。

 退院前日に高熱・頭痛・上背部痛が出現した。ステロイドが入っているので、感染症の併発を疑ったが、はっきりしたものは指摘できなかった。検査でもともと糖尿病腎症があった腎機能が一気に悪化して、凝固系の異常(Dダイマー著増)もあった。頭部CTと胸腹部CTで異常はなかった。改善していた視力障害も悪化した。プレドニン中等量で治療していたが、不足だったと考えて大量投与にした。

 しだいに解熱してきて、食事も少し食べていた。何とかしのげるかと思ったが、入院時にあった喘鳴がひどくなり。肺に陰影が生じてきた。肺胞出血を疑ったが、主に片肺だけで喀血はなかった。プレドニン増量時から抗菌薬も併用していたが、効いていない。後手後手に回った治療に反応せず、数日の経過で亡くなられた。

 何だろう何だろうと思ってるうちに終わってしまった。正確な診断はできていない。巨細胞性動脈炎という診断自体が正しいのかどうか。大動脈系の動脈炎をきたすタイプもあって、それは通常のタイプよりも10歳くらい若い方でみられるらしいが、それだったのか。それでも、当初は軽快して退院するところまでいけた(はずだった)のに、残念な結果だった。 

 家族親族はいるそうだが、一切かかわらない関係になっていて、後見人の方(実際はさらにその代理の方)がお世話していたが、事務的な手続きに関わるだけだった。最後は誰もいない病室で、バイタルの低下を見守るだけになった。血管炎の何かだとは思うが。

 

コメント
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