なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

スタチンもエゼチニブもだめ

2016年11月18日 | Weblog

 一昨年から糖尿病・高血圧症。脂質異常症(高コレステロール血症)で通院している71歳男性が、3日前からの筋肉痛で受診した。主に肩と上腕の痛みで、把握痛もある。両側大腿部にも痛みがあるが、上肢に比べると軽度だった。

 症状だけ聞くと、リウマチ性多発筋痛症(PMR)と思われたが、しゃがんだ姿勢からの起き上がりはそれほど支障なかった。炎症反応と筋原性酵素を提出した。

 ただこの方は今年の3月にずっと投与してきたスタチン(リピトール)による筋障害をきたしていた。もともと投与前からCKが正常より若干高めに出ていた。慎重に筋肉痛とCK上昇の有無をみてきた。筋肉痛はなくて、CKは投与前より軽度にすこしだけ高くなるが、横ばいだった。脂質異常は正常化していた。スタチンを中止すると筋肉痛は軽快して、CK(一時4000まで上がった)も改善したが正常域にはならなかった。

 脂質異常症は無治療で経過をみていたが、かなり高値になる。9月からエゼチニブ(ゼチーア)を投与してみた。10月に来たときは大丈夫だった。そして今回スタチンの時と同じことになった。CKが9000に上昇して、AST・LDHも上がっている。白血球数が少し高めだが、CRP・血沈は正常域だった。腎機能は今のところ正常域。また念のため多発性筋炎の検査も提出したが、薬剤性と判断された。

 肩上腕の痛みがあるので、筋肉が弱ってはまずいと思って、腕立て伏せとスクワットをしたそうだ。それは逆効果と言うと、そうも思ったが、一人暮らしで常に動けなくなったら困るという気持ちがあるので、ついやってしまったという。自分で車を運転して来院しており、検査で広い院内を歩いたが、特に問題なかった。食欲は良好だった。

 エゼチニブの副作用と判断された。内服を中止して、来週初めに再受診とした。腎機能も含めて慎重に経過をみることになる。これはもう脂質異常症は経過観察だけが、古い薬を考慮するしかないようだ。2回も起こして、申し訳ありませんと伝えた。

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