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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

非代償性肝硬変

2016年11月29日 | Weblog

 7月から11月初めまで入院していた79歳男性が、今日外来を受診した。アルコール性非代償性肝硬変で、腹水・浮腫と肝性脳症がある。利尿薬とサムスカ(7.5mg)を使用して、腹水が減ると肝性脳症が悪化する。微妙なバランスを取らなければならないが、、腹水はコントロールできなかった。何度か誤嚥性肺炎にもなった。今回は退院の見込みがないこと、できるだけの治療をするが、肝不全(肝性脳症による昏睡)でどうしようもない時にはDNRとすることにしていた。何とか、腹水があるものの、食事もとれて肺炎にもならない期間が続いて、患者さん待望の退院になった。すぐに再入院だろうと予想していた。

 独身の娘さんと二人暮らしで、元気な時は車で娘さんの送り迎えをしていた。朝に駅まで娘さんを送り届けると、昼からちょっと飲酒する。午後7時ごろ、本人が言うには酒が切れた頃に、また駅まで娘さんを迎えに行く。夜はまた飲酒する。やめるように何度言っても、他に楽しみがないといってきかなかった。

 先週せき込んで1日だけ発熱があったが、その後はないという。予約は2週間後だったが、気になって今日早めに受診してきた。訪問看護師さんといっしょだった。腹水は悪化してないというが、見ると明らかに悪化していた。胸腹部CTでみると、今まであまりなかった胸水もある(それも大量に)。絶対入院の所見だが、患者さんはせっかく退院できたので入院したくないという。娘さんも、食欲もあるので、入院させたくないという。発熱があったので、外来で内服薬を追加してもらえばいいくらいの気持ちで来たようだ。この画像をみて帰宅して良いとはいえない。

 画像を見せて相談したが、結局外来で経過をみることになった。みることになるといっても、すぐに救急搬入になるかもしれない。娘さんには、自宅で急死しても仕方ないという覚悟がないと無理とも言ったが、やはり内服追加で帰りたいという。利尿薬は現在ダイアートとアルダクトンAで、サムスカは休止していた。サムスカを追加してみるが、呼吸困難・意識障害・発熱などがあれば、すぐに来院するよう伝えた。いっしょに来た訪問看護師さんも、入院にならないと聞いて、「よかったねえ」と喜んでいた。いや、そうじゃないんだけど。

コメント (2)
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