なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大動脈解離

2016年11月03日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。73歳男性が嘔気・嘔吐が続して食事がとれないという症状で救急搬入された。ちょっと遠方の糖尿病専門医のクリニックに糖尿病・高血圧症で通院している。糖尿病の治療はインスリン強化療法だった。

 3日前の月曜日から症状があり、昨日クリニックを受診した際にそのことを訴えた。ポタージュスープなど食べやすいものをというアドバイスを受けたそうだ。

 微熱があり、酸素飽和度が軽度に低下していた。血圧も90~120mmHgで変動した。意識も会話はなんとかできるが、ぼんやりしていた。搬入時に血糖が73mg/mlと低下気味で、50%グルコース20mlを静注したところ、30分後には300mg/ml越えで上げ過ぎてしまったが、意識ははっきりしてきたので、最初は低血糖の影響かと思った(たぶん点滴を入れたのが効いた)。

 心電図は異常なし。胸部X線で右肺炎?と思って、浸潤影と胸水を見るために、胸腹部CTをとると、大動脈解離だった。造影CTを追加して確認した。大動脈弓の直下からの解離だった。胸部X線でも縦隔開大と大動脈弓の石灰化の位置で気づくことができるのだった。

 搬入時には訴えていなかったが、よくよくきくと、月曜日から胸部不快感があり、本日の午前4時から強くなったそうだ。どこか痛いところ苦しいところはありませんがではなくて、頭痛は?胸痛は?腹痛は?関節痛は?と何度も訊けばよかったのだろう。

 心臓センターのある専門病院に連絡すると、受けてくれたのですぐに搬送した。後縦隔が腫脹して両側胸水(血性か)もある。このくらいだと大動脈解離としての重症度病状は厳しいのだろうか。

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