なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胸腔ドレーン挿入~癌性胸膜炎

2016年11月01日 | Weblog

 10月20日に食欲不振で施設から救急搬入された80歳女性(10月21日記載)。2年前に東京の大学病院で右上葉肺癌の手術を受けて、年齢+認知症+体力低下で化学療法はしない方針になっていた。左胸水貯留を認め、胸水細胞診で腺癌陽性と判明した。消化器癌などが否定的で、肺癌の再発と判断した。

 もともと青森県に長女と同居していたが、折り合いが悪かった。肺癌の手術を東京の病院で受けることにして、東京の二女と同居することになったそうだ。二女とも折り合いが悪く(たぶん患者さん自身の問題)、姉二人から当地に住む長男が面倒みるよう言われたそうだ。引き取ったといっても、施設に入所させたので、あまりかかわってはいない。救急搬入の時に付き添ってきた長男嫁も、遠慮がちというか、よくわかりませんという雰囲気だった。

 数日後に長男が来院した。肺癌再発・癌性胸膜炎と伝えた。ほとんどベット上生活の体力のないやせた老女で、何と言っても「いやです。やめて下さい」と言う。癌に対する治療は適応がないだろう。できる範囲で胸水のコントロールをして、点滴などで経過をみるしかない。6か月もつと保障はできないので、1~3か月程度か。感染症や癌性心膜炎併発で急変もありうると伝えた。施設にはもう戻せないので、このまま最期まで入院でと言うと、それでけっこうですということだった。確かに、病院であずかってもらって、時々お見舞いに来る方が楽だろう。いよいよ悪化した時はDNRとした。

 救急搬入時に胸腔穿刺をして、検体を採取した。そのまま900ml排液していたが、また胸水が貯留してきて、搬入時の状態に戻ってしまった。相変わらず処置は嫌がっていたが、ひとつひとつ話かけながら行うと、問題なく胸腔ドレナージができた。今日は900mlの排液でいったんクランプした。明日以降も排液して、胸膜癒着術を行ってみる予定だ。

 

コメント (1)
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