なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳幹部病変、くも膜下出血

2016年02月23日 | Weblog

 糖尿病で入院して今月初めに退院した78歳男性が構語障害と左半身麻痺で救急搬入された。退院した後に、少し自宅で過ごしてショートステイ入所していた。自宅に戻った後、いつもより動きが悪かったが、同居の娘さんは疲れたのかと思っていたそうだ。2-3日構語障害(しゃべり方がおかしい、普段より呂律が回らない)が進行して、動きも悪くなり(半身麻痺とは気づいていないらしい)、今日救急要請した。

 もともとは高血圧症・軽度の糖尿病・アルコール性肝硬変で通院していた。昨年は腰痛で整形外科に入院したが、化膿性脊椎炎・椎間板炎で内科に転科した。抗菌薬の長期投与で治癒したが、そのころから車いす生活になった。娘さんとの二人暮らしで、息子とは折り合いが悪いらしい。昨年末から血糖コントロールが悪化して、膵癌を疑ったが否定された。インスリン注射は娘さんが1日1回しか打てないということで(ご本人は打てない)、トレシーバ1日1回のBOTにした。まあまあの血糖コントロールとなって退院した。

 救急当番の外科医から連絡がきた。頭部MRIでは脳幹部に拡散強調画像で淡く高信号域があった。放射線科医に診てもらったが、脳梗塞とも言えず、橋中心髄鞘崩壊症(central pontine myelinolysis CPM)ではないかという。血清ナトリウムは137、血清カリウムは4.1で血糖は97だった。血清アンモニアは187と高い。肝性脳症ではあるが、普段と比べて特に悪化しているようでもない(自分で買いに行けなくなってから、アルコールは飲んでない)。基礎に肝硬変はあるが、糖尿病も含めて悪化した様子はない。CPMとすれば、何が引き金になったかわからなかった。入院で慎重に経過をみるしかない。

 

 その後、救急外来に44歳女性のくも膜下出血が救急搬入された。救急当番の外科医が、地域の基幹病院脳外科に連絡しようとしたが、すぐに対応できないので、手がすき次第折り返し電話をすることになったらしい。救急室に向こうからの電話が入ったが、事務員が間違えて私のPHSにつないできた。私が名前を言ったので、PHSの番号を間違えたと気付いたのだろうが(一瞬躊躇った感じが伝わった)、何故かそのままつないてしまった。基幹病院に事務員も違う医師が出たので、困ったらしい。謝って、改めてかけ直すよう伝えて、救急室の事務員に連絡した。その後で、患者さんの画像を見でくも膜下出血の搬送とわかった。

 

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