なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病棟の急死

2016年02月10日 | Weblog

 今日は退職して実家の内科医院に戻る消化器科の若い先生の送別会だった。内視鏡室と内科外来のスタッフが集まった。赴任時より内視鏡の腕も上がったところで残念だが、開業それも継承なので仕方がない。

 会が終わって、病院に戻って泊まることにしていた。着替えていると携帯電話が鳴って、入院している81歳男性が心肺停止だという。病室では当直の整形外科医が蘇生術をしていた。気管挿管をして蘇生術を続けたが、反応がなかった。連絡を受けた家族が来たので経緯を説明した。

 この患者さんは食欲低下で昨年入院した。アルコール性肝硬変で依存症だった。点滴をしているうちに食欲が出て退院できるようになった。なったが、家族は自宅に戻るとまた飲酒を続けるので、自宅退院はさせたくないという。希望する精神科病院に紹介状を書いた。どうなるかと思ったが、受診してそのまま入院になった。アルコール依存で家族が困っているので入院とした旨と返事が来た。

 今回は精神科病院入院中に、浮腫と肝機能障害・発熱が出現して、当院に紹介された。浮腫(心拡大・胸水・肺うっ血)は心房細動・心不全の増悪だった。投与していた利尿薬が中止されていたのだった。またこの方は胆膵治療の専門病院で胆道ステントが挿入されていた。詳しい経緯は不明だが、総胆管結石に対する処置だった。胆道ステントの閉塞だと当院では処置ができないので、軽快しない時は処置のできる病院への紹介にする予定だった。幸いに、心房細動・心不全は利尿薬投与で軽快した。胆道感染も抗菌薬投与で治癒した。

 退院調整を開始したが(精神科病院から施設へ回される予定だった)、消灯時間後に看護師さんが病室を見回った時に、意識消失・心肺停止に気づいた、当直医が呼ばれて心肺蘇生術が始まったのだった。

 AIとして頭部CT、胸腹部CTを行った。頭部CTは著明な脳萎縮のみで、頭蓋内出血はなかった。胸腹部CTでも決定的な所見はなかった、冠動脈の起始部に石灰化があり、冠動脈(左本幹?)による急性心筋梗塞が疑われたが確診はつかない。心疾患による急死とさせてもらうしかなかった。

コメント
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