なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎+ノロウイルス胃腸炎

2016年02月17日 | Weblog

 糖尿病・高血圧症で通院している71歳男性が、初めて奥さんと一緒に受診した(いつもは一人で来る)。体がたるくて食べられないと言う。1週間前から咳があり、微熱もあったようだ(体温測定はしていない)。そのころから下痢も続いていて、倦怠感・食欲不振(嘔吐はないが嘔気あり)も続いていた。今ノロウイルスが流行っているので、てっきりそれに罹患したと思った。血液検査を出して、点滴を開始した。

 白血球数10200、CRP38.4と上昇していた。もともと糖尿病腎症・ネフローゼがあるが、血清クレアチニンが2.2と普段より悪化していた。脱水症による腎前性腎不全が加わったものと判断された。胸部X線で右肺に粒状~斑状影があり、胸腹部CTを追加した。両側肺に浸潤影が散在していた。腸管は壁肥厚・浮腫はほとんどなかった。CK・AST・LDHが上昇している。

 全体がレジオネラ肺炎の像かとも思ったが、尿検査でレジオネラは陰性で、肺炎球菌の方が陽性に出た。便の迅速検査ではノロウイルスが陽性だった。嘔吐して誤嚥性肺炎をきたした可能性もあるが、嘔吐はしてないという(誤嚥するような方ではない)。今日の診断は肺炎球菌肺炎+ノロウイルス胃腸炎ということになる。筋原性酵素上昇は脱水症によるのか。

 この方は隣町でペンションを営んでいて、今は廃業していると思っていた。入院して、よくよく訊くと、東京の息子さん宅で暮らしていた。奥さんは隣町で施設(グループホームらしい)を経営している。2年ちょっと前から当院に通院し始めたが、それ以前から東京に住んでいて、当院外来へは新幹線で通院していた。まあ、もともとの自宅に寄って奥さんと少し過ごしてから帰るのだろうが、大変ではないのか。東京から通ってもらうような診療でもないし、退院した後は東京の病院の糖尿病外来へ紹介でいいと思う。この方は、自己インスリンが枯渇していて、緩徐進行型1型糖尿病と判断されるので、専門医に通院するのが好ましい。

 NHKの今日の健康に良く出演されていた、昔の糖尿病の教授の外来には、わざわざ東京から通う患者さんがいたそうだ。カリスマ性のある教授ではあった。

 

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